Blackmore's Night 2004 Japan Tour

                2004/10/22(金) 渋谷公会堂


LAKME(Sister Of The Moon)
Cartouche
Queen For A Day Part1&Part2
Under A Violet Moon
Mistrel Hall
Past Times With Good Company
Soldier Of Fortune
Durch Den Wald Zum Bach Haus
Diamonds And Rust
Home Again
Fires At Midnight
Renaissance Faire
The Clock Ticks On
Ghost Of A Rose
Still Remember You
Avalon
Mr.Peagram's Morris And Sword
Mondtanz〜Child In Time


All For One
Difficult To Cure 〜 Self Portrait
Writing On The Wall
Black Night

Beyond The Sunset
The Times They Are A Changin'
Dandelion Wine




今夜はブラックモアズナイトのライブだ!
いつものライブとは気合の入れ方が違う!!ああ、リッチー、久しぶりよぉ!!

渋谷公会堂の前は、40代〜50代のおっちゃん達でごった返している。オバちゃん達も結構いる。
20年前のレインボーのライブでは、見た目もコワくレザーのジャケットを着ていただろうになぁ〜。。

座席に着いてセットを見ると、幕は開いていた。
薄暗い中に、舞台は幕に沿って石垣のようなワクに囲まれていた。サイドの後ろの方にも石柱が何本か建っているよう。
1mや2mくらいの木が数本並べられて、楽器と共に緑色の照明を浴びている。背後にはかすかに古城が見える。アンプ等のスイッチONのランプが赤く光り、中世的な妖艶な雰囲気を醸し出している。まるでファーストの「Shadow Of The Moon」のジャケの世界観だ。
いったいこれからどんなお伽話が始まるのだろう。。

レインボー時代は、舞台いっぱいに虹のセットがあり、曲に合わせて光が点滅していた。
今回はそれが中世の石垣に変化していた。
やっぱりリッチーは大仕掛けが好きなんだなぁ〜と、うれしくなった。

会場に流れていたクラシックの音量が大きくなり、聴き慣れたブラックモアズナイトの曲に変化した。
“オオ〜〜ッ!!”会場は期待と興奮で最高潮!照明が落ち、メンバーが姿を現した。

まずはシスター・オフ・ザ・ムーンのコーラスを披露。
姉妹だけあって、姿格好も似ているし、そのハーモニーは他の追随を許さないくらいに素晴らしかった!
衣装も中世的。

次がキャンディスだ!!
碧の胸のあいたドレスに、袖は裾が大きく広がっている黒の薄地(肩を出しているようだ)、腰にゴールドの幅の広いチェーンベルトを幾重にも重ねている。ドレスの裾は不規則にギザギザに切られており、それが「歌姫」でありながら「吟遊詩人」だと主張している。
ブロンドの髪をなびかせ、色が白く、とっても美しい。

ここでバックのメンバーを書いておこう。

   
Harmony Vocalists : Lady Nancy & Lady Madeline (Sister Of The Moon)
   Bass & Guitat : Sir Robert
   Percussion : Squire Malcolm
   Keyboaard & Backing Vocal : Bard David
   Violin & Recorder & Ahawm : Tudor Rose


それぞれが腕利きの職人芸をみせてくれた。

照明が加わると、森の中だったステージが、中世の街並みに変化した!!
石柱だと思っていたものが、建物の一部だったのだ。まるで「Under The Violet Moon」のジャケ!街の広場で演奏しているようだ。両端に置かれている酒樽や、マイクスタンドにからみついている蔓草がいい。そして、外枠の石垣になんと火が灯り、松明になった。松明は背景にも4ヶ灯っていた。なんて素晴らしい演出なんだ!
これはもう、音楽を超えている。芸術だ。

最後にリッチーの登場だ!
相変わらずの黒の上下とトレードマークのベージュのブーツ!あれかぁ〜〜っ!!
おおお、リッチー、お元気そうで。なのに以外にもあっさりとなじんでしまった。
曲にもよるんだろうが、リッチーはアコギをサイドギターのように地味に弾いているだけだからなぁ〜。
キャンディスが間奏でWoodwindsというリコーダータイプの古楽器を吹いていたりして、よっぽど目立ていた。
月の形のタンバリンもカッコよく叩いていた。
が、しかし、1曲目のCartoucheが終わり、キャンディスが「久しぶりに皆さんとお会いできてうれしい。来てくださってありがとう。」みたいなことを言ったのを聞いたとたん、涙がどわぁ〜〜っ!と溢れてきて、今ここでリッチーを目にしている奇跡のようなものを感じた。
21年ぶり?やっているサウンドは変わろうと、リッチーならではのフレーズがあちこちから飛び出し、それを耳にするたび、過去に私がリッチーが大好きだったことが思い出され、感慨深いものになっていくのだ。
また、音楽を聴いて今もなお涙することができる自分をうれしく思った。

キャンディスのボーカルは格段にうまくなっていた。高音は強く低音は囁くようにやさしくはかなげ。どこか突き放したようなアンニュイな雰囲気さえ漂わせる。古くて申し訳ないが、オリビア・ニュートン・ジョンとスティーヴィー・ニックスを足して割ったような感じだ。
高音の伸ばすところに独特のヴィヴラートをかけるなど一貫性があり、完全にキャンディスの特徴になっていた。
MCがとってもうまく、観客が「キャンディス」と呼びかけると「ハ〜イ」を気さくに応え、場をなごませていた。リッチーが何か言うと、笑って反応していた。
あれっ、なんでリッチーがこんなに穏やかなんだ??キャンディスの存在が彼を安定させているとしか思えない。

演奏は完璧。一分の隙もなく、きっちりと仕上げられていた。完全主義者のリッチーらしく、音響も潰れる音がなく、細部まできれいに表現されていた。照明も音に合わせ、色を変えたり光を回転させたりしていた。
時にラテン調に明るく、時に暗くもの哀しく、時に浮遊感まで伴って。。。
舞台全体から圧倒的に伝わってくる凝った作りに負けないリッチーとキャンディスの演奏力と存在感!!見事だ!!

ボーカルのある曲だと、メインはどうしてもキャンディスになってしまう。
リッチーのアコギはチューダー・ローズのヴァイオリンにかき消されてしまったりもした。
だが、Minstrel HallやMr.Peagram's Morris And Swordのギターだけの曲だと、リッチーの独壇場だ。
ベースのSir Robertをドラくらいの大きめのマンドリンに持ち替えさせ、二人で情感豊かに弾きまくる。私はリッチーの世界観に浸り、しばし幸福な時間を送っていた。
時間があればギターの練習を繰り返すというリッチーは、衰えなんか微塵も感じさせない。むしろ表現力に幅が出てきたようだ。演奏の終わらせ方の余韻を聴いていると、とってもリッチーだなと思う。
Ghost Of RoseやRennaisance Fairの名曲は、ステージで聴いても素晴らしい。感動して、また涙が溢れる。

リッチーがキメで右手を大きく上げたことが2回あった。この時のリッチーのポーズはカッコ良く、2倍くらいに大きく見えた。オーラ出ているよ〜!
聴かせる曲が多いせいか、概ね観客は静かに見ていた。♪Under the violet moon〜、♪Home agean〜 くらいかな、一緒に歌ったのは。
なんと、ヴァイオリンのチューダー・ローズがヴァイオリンソロで♪しょ、しょ、しょじょじ〜 と弾き出した。間奏つきで。よく知っているわぁ〜。どこで習ったんだろう?ってことは、リッチーも覚えた??

Fires At Midnightでは、途中から「自画像」に変化していた。(この曲でだったと思うが、実際にはアンコールのDifficult To Cureのあとだった)

ラストの曲は、なんとチャイルド・イン・タイムだった。
キャンディスの♪Sweet child in time〜の入りにゾクゾクした。声をソウルフル(?)に上下させるのが絶品だった。
う〜ん、表現力はギランより上だわ。(^^)
問題のスキャットはどうするのかと思っていたら、Sister Of The Moonのおねえさま達がきれいにハモってくれていた。ナイス!!これで1部は終了。


アンコールはまるで2部。個人的にはこちらが遥かに好き♪
きっと観客のほとんど全員がそうだったろう。
リッチーのガリガリという音が流れた途端、ウォォォォ〜〜〜ッ!!私も無意識に叫んでいたわ。
そうです、伝説の白いストラトの登場!!!!
ああ、これだ、リッチーはこれだ、ストラトなんだよ!!

ノリのいい、All For Oneを演奏した。私は歌っちゃうよ〜!!もう黙ってはいられない。隣りのバンドを組んでいる男性も反対隣りのおとなしめの男性もノリノリだ。
が、おもしろいことに、リッチーのソロが始まると、みな手拍子をやめ、演奏に聴き入っている。
神聖なフレーズをどれひとつ聴き落とすまいとして。頭は振ってはいるが。
リッチーの振幅の大きいヴィヴラートの指の震え、チョーキングの力技等が、離れた私の席からもわかった。
1回だけアームを利用したように思えた。ミュートを利かせた音も確認した。
ああ、私にもリッチーの奏法が多少わかる!!この私が??夢みたいだ。

次はなんと第9のアレンジであるDifficult To Cure!!
どわぁぁぁぁ〜〜〜っ!!また涙が溢れて仕方ない。21年前はオーケストラを従えて演奏したんだよ!すべてリッチーが仕切って最高に輝いていたのを再現しているんだよ!!これが落ち着いていられようか??
その頃は、単にベートーベンの曲だくらいにしか感じてなかったが、今聴くとリッチーの好きなフレーズが中間で顔を出す出す。リッチーの趣味で埋められた曲だったのだ。
ドン・エイリーのパートはどうするんだろうと思ったが。。そうだ、どうしたんだろう?演奏しなかったのかも知れない。
リッチーはルネッサンス音楽に傾倒しているとは言え、ベートーベンはやっぱり好きなのだ!!

次にキーボードのBard Davidがショパンのやたら早弾きのピアノ曲(エチュード12番 ハ短調「革命」)を弾き出した。すごい!上手!!
キャンディスがチャイコフスキーと紹介し、Writing On The Wallが始まった。
これがただのWriting On The Wallじゃない。途中でグリークのOf The Mountain Kingを入れちゃったり、ついにはBurn!を入れちゃったりしたのだ!!
Burn!Burn!私がPurpleでめっちゃ好きな曲。絶対にライブでなんかお目にかかれるはずがないのに、やってくれたのだ!!頭の中はイアン・ペイスのドラムが鳴りっぱなし。そこに流れる本家リッチーの本物のギター!!くぅ〜〜、カッコいいっ!!身震いするほどだ。
カバーはいろいろあろうが、本家には誰も勝てないのだっ!!
Of The Mountain Kingは、リッチーがアドリブでいきなり入れちゃったみたいで、キャンディスが驚いていた。リッチーはいつまでたっても茶目っ気あるね♪

続いて、Black Nightだ。ベースのSir Robertが見事な歌声を披露する。Bard Davidは別の曲でオペラちっくな歌声を聴かせてくれたし、それぞれに才能があると思う。
もうノリノリで最高潮。最後はWoman From Tokyoの一節で締めた。土地柄を考慮したんだね。(^^)

メンバーがまた奥へ引っ込んだ。だが、まだあの曲をやっていない。アンコールを要請する。
再びメンバー登場。リッチーはアコギに持ち替えていた。
マイナー調のNur Eine Minuteのあと、Maybe Next TimeというサブタイトルをつけようとしたDandelion Wineを演奏した。
ああ、この曲でおしまいだわ。でも、詩のメッセージにもあるように、

So hears to you, All our friend
Surely we will meet again
Don't stay away too long this time
se'll raise a glass, maybe two
And we'll be thinking of you
Until our paths cross again maybe nxt time.
...

『また今度、きっと会えるでしょう。道が交差する時まで貴方達のことを考えているわ。』
これを信じて待つとしよう。

演奏が終わると、キャンディスは舞台の前に出てきて、観客と握手をしていた。
それにリッチーまでもが加わった。リッチーは数人と握手したに留まったが、それにしても人のえり好みの激しいリッチーが友好的になるなんて!!!
あとからあとから人々がやってきて、キャンディスは館内が明るくなってもずっと続けていた。花束の量もたくさんになった。
きっとキャンディスにとっても納得のいくステージができたんだろう。
もちろん、私にとって、夢のような時間だった。

ずっと、ずっと、リッチーのことが好きで良かった。
リッチーはファンを裏切らない。音楽性が変化したとしても、一貫性がある。
なによりリッチーはリッチーなのだ。それでいい。


200410.24