Angra&Nightwish

                 3月17日(木) 於:渋谷AX



Angaraのボーカリストが、アンドレ・マトスからエドゥ・ファラスキに代わってから2回目の来日。
前回のRebirthツアーは行こうかなと思ったが、“立ち見”に恐れをなしてやめてしまった。
が、今回は2004年9月に発表された『Temple Of Shadows』を引っさげてのツアー。いくら何でも見逃す手はない!!


【Nightwishは艶っぽかった】

18:30に、いきなり照明が落ちた。
あれっ?早いんじゃない?と思いつつ、Nightwish登場。背景は「Once」のジャケと同じ。(コレ→)
渋谷AXに到着したのが遅かったので、超満員の会場の後ろの方になってしまったため、ほとんどメンバーの姿が見えない。はっきり見えるのはキーボード君(ツォーマス・ホロパイネン)のみ。
まっ、いっかぁ、誰も見えないわけじゃないから。。

すると、ターニャの姿がやがて見えてきた。
真紅の艶やかなドレスだ。サテンのように、光沢がある。袖口から同色の布が垂れ下がり、袖口が広がっているように見える。美人だしとっても妖艶だ。
おそらく、最新作の「Once」からの曲なのだろう、ベーシストのマルコ・ヒエタラとターニャのふたりでボーカルをとっていたようだ。
私はほとんどターニャ主導で歌われていくと思っていたが、マルコの歌が1/3くらい占めていて、びっくりした。
ターニャは、さすがオペラを学んできただけあって、声が美しい。いわゆる声楽の声にちょっと鈴木京香が入っているかな。(^^)僅かに鼻にかかる。

ルネッサンスのアニーにも言えることだが、スキャットの部分が多い。
声の美しさを際立たせるには、歌詞のあるメロディを歌うだけよりも、歌詞なしのメロディ、あるいは単音だけを発した方がいい。小技はいらない。伸びやかで突き抜ける声が存在すればそれでいい。

Nightwishはボーカルが主役のバンドだ。
サウンドはヘヴィーなリフが続き、ミドルテンポが多い。が、その反面ギターソロが少ない。
途中、ピンク・フロイドの曲がかかり、デヴィッド・ギルモアのような、メローなギターソロを聴かせてくれた。ギターがたっぷり聴けたなと思ったのは、この部分のみだった。

その後に、唯一予習した『Century Child』からの1曲目“Bless The Child”がかかった。キーボードとターニャの幻想的なスキャットから始まり、美しくもハードでドラマティックな曲だ。
同じアルバムの“The Phantom Of The Opera”は、ターニャとマルコの掛け合いも聴けた。マルコの声は、声を振り絞っているので、まるでStyxのJY(ジェームズ・ヤング)のように聴こえた。いわば「ダミ声」なのだが、結果としてターニャの美声を引き立てており、いい対比になっていた。

ターニャは、Angraの前座のような位置づけにかかわらず、衣装を3回替え、合計4着で姿を現した。
1.真紅のドレス
2.海老茶の光沢のないドレス。生地は硬そう。袖口は広がっている。
3.濃いピンクのドレス。初めのに似ているが、袖口から垂れる布は少ない。
4.まるでビスチェのような、肩と胸元を出した、薄い水色のドレス。色っぽくて素敵。

こんなターニャをうっとり見つめるだけで、ライブに来た甲斐があるってものだろう。
私から見ても素敵だった。ターニャは自分の役回りをよく理解していると思う。
もちろん、一番露出度の高い「4」が最高にいいっ!!

MCは主にベースのマルコが行っていた。金髪の山羊髭。
ライブの流れやMCがうまく、演奏や歌もうまく、Nightwishは実に堂々としていた。次回の来日公演は、単独でも人を集められるだろう。舞台映えするのだ、ターニャは!!
気付いたら、1時間20分もやっていた。今夜は長時間になりそうだ。がんばって立ち続けよう。


【セッティング】

会場セッティングは20分間だった。ドラムセットが移動し、代わりに高い台の上に乗ったドラムセットが運ばれてきた。
高さが1m近くありそうだ。これならよく見えそう。
Nightwishが終わったら、少し人が減った。Angraを見ずして帰るのだろう。ああ、もったいないと思いつつ、エライッ!!!
少し前の方に移動できた。Nightwishの時は、キモい男の隣りで、よく見えるポジションをGETするために、よく体がぶつかったので、移動できたのはありがたかった。立ち見は、見えないだけじゃなく、いかにキモい男からよけるかが重要なので、できるだけ女性の近くに行きたい。



【そしてAngra登場!!】


薄く流れていた音楽が、不意にGate XVに変化した。
いよいよAngraのステージが始まる。
ステージの背景には『Temple Of Shadows』の裏ジャケの、星の中の天使像が映し出されていた。
純然なるクラシックだと思っていたGate XVだが、こうしてよく聴いてみるとところどころに『Temple Of Shadows』のテーマとなる主旋律がさりげなく織り込まれている。Angels And DemonsやLate Redemption、The Shadow Hunter、The Temple Of Hate、Morningstarってところだ。
割といい曲なんだなぁ〜と早くも感激。

それが終わると、直ちに“Deus Le Yolt!”が始まった。これも終わり、ついに
“Spread Your Fire”!!キターーーッ!!!
サビの♪Glorious-Don't be afraid〜では大合唱だ。みんな腕を振り上げ、大声を張り上げる。
キコとラファエルによるツインギターはとにかく強力だ。ギターソロになると二人して中央に集まり、向き合って音階を変えて同じメロディを奏で、格別のハーモニーを生み出す。それが一糸乱れず、息を呑むほど完璧なのだ。
Rockの持つノリと観客を黙らせる聴かせどころ。これを今まさに両立させている。私達は奇跡の瞬間に立ち会っているのだ。
ツインギターというと、ひとりはリフ担当でもうひとりがリード担当が大半だ。たまにツインになってもアクセントに過ぎない。それがAngraだと、高速ギターソロをツインギターでいとも簡単にこなしてしまう。
キコが天才的にギターがうまいのは知っていたが、まさかラファエルがキコ並にギターがうまいとは。
実力差がないゆえのユニゾン。二人が向き合うのは、相手の呼吸を確認しながら合わせるためだろう。いいステージにしようという意気込みが伝わってくる。
エドゥは、顔は長いが意外と小男というのは、Burrn!誌で知った。趣味の悪いピンクのぴっちりしたレザーのパンツを穿いて写っていたが、この日も同様ないでたちだった。エドゥ、キミは黒のパンツの方が似合うと思うよ。上は黒のシャツだった。アルバムの撮影時に着用したのと同じだ。お気に入り?一張羅??^^;
ちなみにキコはオレンジと黒のTシャツ、ラファエロは黒にシルバーのドクロの絵のついたTシャツだった。
そのエドゥだが、歌は最高にうまい!!低音から高音まで、クリアで声量がある。音程がブレない。

エドゥは、英語でしゃべりながら、「Tonight,No English!Only Japanese. OK?」と言い、「またかえってこれてうれしい。みなさん、あいしてます」と言った。
Angraのような、世界的に人気のあるグループにそう言われるのはうれしい。また、謙虚な気持ちがあるから人気が出るのだろう。実力だけじゃないのだ!
ギターは、キコはESPのMH-series、ラファエロは、やはりESPのH-seriesに見えた。
ESPのHPで勝手に私の記憶に近いのを照らし合わせると、キコはSigunature SeiesのStephan Carpenter、色はsee-thru Green、ラファエルはHorizon-custom、色はamber-sunburstだった。

2曲目のWaiting Silenceは、イントロで音が一時希薄になり、ブルースのドラムが際立つ。ココが好きなのだ。複雑なリズムやメロディの中にシンプルさが垣間見えるから。
間奏では、まずベースランニングがある。ここでキコとラファエロ、さらにベースのフィリペが中央に集まって向き合っていた。まるで狭い場所でジャムセッションしているようで、何とも楽しそうだ。その後に、ギターとベースが複雑に絡む、テクニカルなパートがあるが、ライブでも誰がどの音を出しているのかわからず、ただただ超人プレイに驚くばかりだった。
違いはキコのギター音の方がリバーブ感があり、ラファエルのギターの方が鋭いというか。。
とにかく、二人は仲むつまじい。結束が固いとも言うか。『Fireworks』発表後にキコとラファエルだけが残されたが、結果としてより質の高いアルバムを製作できたのは、二人がいい関係を築き上げた証拠だろう。
どちらかが出るってことはなく、ひたすら平等なのである。ギターソロは半分ずつ受け持つ。それぞれに個性がある分、プレイの幅は2倍に広がるってことなんだ。

エドゥのバックコーラスは、ラファエルとベースのフェリペが主に担当していた。
キコもするのだが、遅れて入ったこともある。コーラスはあてにできないな。^^;

3曲目は、『Rebirth』からAcid Rain。ブラジルらしいラテンの影響が伺えるHRで、結構好きな曲だ。
初めのクワイアはテープで。(No Pain For The DeadのEdenbrigeのサビーネ嬢のパートもテープだった。)
この曲のギターソロも二人でハモっていたと思う。
会場内は、熱気に溢れていた。エドゥの歌と共に歌い、頭を振り腕を振り上げた。

6曲目では(曲名不明^^;Unholy Warsみたいなの)キコ、ラファエル、フェリペ、そしてエドゥの前にパーカッションというか太鼓が置かれ、それぞれが民族調よろしく太古の記憶を呼び起こすように素朴に叩いていた。
生命の息吹というか、躍動感があり、実に安定していた。
こういう、場面変化・アクセントをつけるのがうまいね。

個人的に好きな“Angel And Demons”では、めちゃくちゃ速いギターソロが聴ける。
いつやってくれるかと期待していたので、興奮せずにはいられない。
もう、イントロからして凄まじすぎる!あんなに変リズム&複雑なフレーズをなんとキコとラファエルはこれも音階違いのユニゾンでこなしてしまったのだ!なんて奴らだ!!貫禄さえ感じられる。
間奏のギターソロは、私はすべてキコが担当していると思っていたが違った!前半のリズミカルな早弾きがラファエル、後半のドライブ感を伴う早弾きがキコだった。
もう感動。言葉が出ない。凄すぎる!!二人の優秀なギタリストがいるバンドってこんなに魅力的なんだ。
プレーの確かさと、二人で弾くことによって生じる競合感と楽しさ。バトルというより協力し合って形を築き上げているようだ。一人ではできない音色も、二人ならハモれるし、より高度な表現ができる。

“Wishing Well”は、エドゥが「僕たちの夢です」と紹介した。
スタンドに取り付けられたアコースティック・ギターが登場した。キコはマンドリン。
肩からエレキギターをぶら下げたまま、スタンドのアコギを弾く。
ラファエルのアコギとキコのマンドリンの微妙に違う音色が暖かさを生み出していた。
♪Love will drag your heart away〜 ですぐにスタンドから離れて元のギターに戻った。
気が付くと、キコのギターが変わっていた。ネックがふにゃっと、先がつぼまった筆のような形をしていた。ペグは2つは上で4つが下向き。マサさん情報(サンクス!)によると、Tagimaという、ブラジルの日系人が作ったギターだそうだ。で、こちらが本来のギターらしい。

“Temple Of Hate”は、スタジオ盤では、ガンマレイのカイ・ハンセンのボーカルである。
今日は当然エドゥ。なかなかステージに現れないものだから、ま、まさかここもテープ??と心配してしまった。
さて、駆け込んできたエドゥ君、ステージで上を向き、口で霧を噴いた!!テンション高いぞ!!
ああやっぱり、エドゥの方が声が突き抜けているし、うまいや!!カイ・ハンセン、いらない!!
ライブ盤が出たなら、エドゥ版“Temple Of Hate”を聴くだけでも価値がある。
イントロの攻撃的なツインギターを聴きながら、シン・リジーからの影響はここに出ていると感じた。

“The Shadow Hunter”で、またもアコギスタンド登場。今回はキコもアコギだ。エドゥまでもアコギを手にしている。
ラファエルのギターは高めにチューニングしてあるのか、普通より高めの音だったし、機械的な音がした。
エドゥの低音ボーカルが冴え渡った。ラストで高音を出すが、それもブレずにきっちり歌いきった。
すごい声量と音域の広さだ。小柄な彼のどこにパワーがあるのだろう?

ここで、それぞれのソロについて書いてみる。
キコのギターソロには圧倒される。
あまりにも速いプレーだと、いいかげんに弾いているように思えるものだ。今夜のキコもそうだった。
また、彼はタッピングを多用する。右手と左手を動かし、どこをどうやって音を出しているのかわからなかった。
左手を弦に這わせるような動作もしていた。華麗で滑らかな音を生み出していた。

ラファエルは、なんとアコギでのソロだった。
短かったものの、キコとは別の個性があり、しっかりと主張していた。

アキレスのドラムソロは、正確だしテクニカルだしパワフルだった。
今まで見た中では、マイク・ポートノイに次いでテクニカルだと思う。マイクが上なのは、手管が多いから。
かといって、アキレスのワザが少ないわけでなない。


やがて、ステージはアンコールに差し掛かった。
あの曲をやっていないと誰もが思ったことだろう。“NOVA ERA”だ!!
ステージが暗転している間に、背景の『Temple Of Shadows』のジャケ絵に、『Rebirth』のジャケ絵が重なり、『Temple Of Shadows』の絵が頭上で空中分解して『Rebirth』のジャケだけになると、会場のボルテージが最高潮になった。

“In Excelsis”が流れ終わると。。。もう大変だ。みんなで手を振り上げ、頭を振り、一緒に歌う。
疾走曲は高揚感を伴う。やっぱりエドゥ時代ののAngraを象徴する曲は“NOVA ERA”なのだ!!
私は、ずっと立ちっぱなしでいいかげん足の指先が痛くなっていたが(ヒールが高いので)、最後の力を振り絞り、もうじき終わるステージを楽しんでいた。
続いて、アンコール2曲目が“Carry On”だった。おお、こう来るか!
エドゥはすっかり自分の歌にしていた。“Nova Era”と似ている曲だ。
Angraを世に知らしめた曲で最後を飾ると、ホントにもう、満足でいっぱいだった。
いっぱい歌って、喉が痛かった。参加できたことがうれしくて、痛みが誇らしかった。
終わったのが10時15分。6時半から3時間45分経っていた。普通のライブの2倍だ。
とっても得した気分になっていた。


★ライブが終わってから時間が経ちすぎたので、後半簡単になってしまいました。ごめんなさい。


セットリスト
(他からのパクリ^^;)

Nightwish

DARK CHEST OF WONDERS
PLANET HELL
THE KINSLAYER
THE SIREN
PHANTOM OF THE OPERA
HIGH HOPES
BLESS THE CHILD
WISHMASTER
KUOLEMA TEKEE TAITEILIJAN
SLAYNG THE DREAMER
NEMO

GHOST LOVE SCORE
BAND INTRODUCTION 
WISH I HAD AN ANGEL



Angra

Gate XIII
Deus Le Volt 〜 Spread Your Fire
Waiting Silence
Acid Rain
Nothing to Say
Percussion's〜Carolina IV
No Pain For The Dead
Angels And Demons
Never Understand
Wishing Well
Drum solo
The Temple Of Hate
Kiko Guitar solo
Rebirth
Rafael Guitar solo〜The Shadow Hunter
Angels Cry

In Excelsis 〜Nova Era
Carry On
Gate XIII