Mansun Concert Review

第一夜(19 December 2000 at Shibuya AX)

◆ ええい! 2年ぶりのMansunだってのに、会議なんか入れやがって!
● あれはほんとに私をいじめるためにやってるとしか思えない。
▲ わざとだ、わざとに違いない!
★ でも私がMansunファンだなんてこと(どころかMansunのことも)誰も知らないのに(苦笑)。
◆ もう明日は絶対に電話も出ない! Faxのスイッチも切る! メールボックスも開けない!
★ でもなんとなく、こうなること予期して名古屋と大阪は取らなかったのが、かえって幸いしたかな。どうせ行けなかったけど、まさかキャンセルだなんて。
▲ そう、Paulが風邪ひいてのどをやられちゃって、大阪はかろうじてやったんだけど、名古屋はドタキャンという番狂わせ。
◆ またかよー!
▲ またって、Mansunでキャンセルなんてことないよ。
◆ 確か向こうじゃあったよ。それになんかしょっちゅう風邪ひいてない?
★ ほんとに体よわいんだねえ。私もイギリス行くたび寝込むけど。
● かわいそう‥‥日本になんか来なきゃいいのに。
▲ なんか矛盾したこと言ってない?
◆ Neil (Codling)も病弱だし、美少年薄命と‥‥
▲ 殺すなよ。
★ でもあの人がのど痛めやすいのわかる。あの唱法は絶対のどに無理かけてるもん。
◆ 小さい体で無理やり声振り絞ってるからね。
★ 特に今の「張り切りドレイパアくん」になってから、ギグのしまいのほうはかろうじて気力だけで立ってるって感じだったもん。これは今年の英国ギグ見た子も言ってた。アフターショー・パーティーでは死んでたって。
▲ 声出すのって実は重労働なんだよ。私も3時間しゃべったあとは声ガラガラになるし、口きく気力もなくなるもん。
◆ それはタバコのせいじゃない?
▲ Paulもじゃん。
● だからタバコはやめれってのに。それで、夜は10時には寝て、朝は6時に起きてジョギングして、ジャンクフードやめて健康食たべて、毎日ジムに通って筋肉つける‥‥って、そしたらPaulがPaulじゃなくなっちゃう! えーん!
★ 何いってんだか、わけわからなくなってきた(笑)。

◆ というわけで、行ってみるまで果たして東京はできるのかどうかもわからないし、私のほうも時間に行けるかどうかわからないし、どうも暗雲立ちこめる幕開けでした。
▲ だからもう今回はおまけみたいなものだと思うことにした。たとえやってもPaul、完調のわけないし。
● とりあえず、前髪が復活したかどうか見るだけでもいいやと。
◆ あんたはそれだけかよ!
★ いや、実はマジな話、今回は私にとって正念場だったんだよ。とにかく私は“Little Kix”に失望したので、「これでギグが良くなかったら捨ててやる!」と思って。
◆ いきなりそれはないでしょう! そういう悪意をもって見るのは。
★ 悪意じゃないってば。
▲ でもさ、これが普通のバンドだったら、「Mansunはもう3回も見たし、アルバムも気に入らなかったからもういいや」ってなるところじゃない。それでも行くってところに愛がある。
◆ だって、行かないわけにはいかないでしょう、立場上(苦笑)。
● サマソニは行かなかったよ。
◆ それもあんまりだとは思ったが。
★ ほんとはあそこで失望して、本気でMansunに見切りをつけることになるのがこわかったの。
▲ せっかく始めたサイトが半年の命じゃ悲しいもんなー。
◆ なんでそういうネガティブなことばっかり言うの! 待望のMansun来日だってのに!
▲ 最後まで聞けって。そんなわけなんだけど、病気じゃしょうがないから、たとえ今日はどんなにひどい出来でも勘弁してあげようと思ったら、かえって気が楽になった。
● 執行猶予がついた。
★ まだファンやめなくてもすむと思うとうれしい。
◆ なんなんだ、それはー!!!

◆ でも緊張したわー。Mansunはもう4回目だからべつに緊張はしないけど、私がカムアウトしてから、今回が初めてのMansunだと思うと。
★ これまで私はMansun行くときはいつもひとりで、知った人に会うはずもないから、ある意味気楽だった。でも今は面割れちゃってるしー。
▲ あの写真で? 
● どうせ面割れなら、いっそ出口でDesperate Iconsのチラシ配ろうかと。
★ やめてよー!
● そしたらチラシ印刷(クラブのフライヤーみたいなの)ってやっぱり何万もするのを知ってやめた。
★ そこまで調べたんですか?(笑)
◆ そこで、今度はオリジナルTシャツを作って販売しようかとも思ったんだけど‥‥
▲ そんなの会場で売らせてくれるわけないよ。
◆ だから外で。
▲ あんたはテキヤかい!
◆ 最近、なかばあきんどなんで(笑)。でも、こっちは作る暇がなくて断念。でもいつかTシャツは作りたいな。うーんとかっこよくて「着れる」やつ。売れなくても人にあげれば喜ばれるだろうし、バンドにも送れるし。
★ で、結局、私に気づいて声をかけてくれた人にはDesperate Icons特製ポストカードをプレゼントということに落ち着きました。
▲ それってやっぱり気づいてほしいってこと?
◆ うーん、あまり目立ちたくもないし、でも誰にも気づかれなかったら悲しいし、とりあえず、こんなとこまで読んでくれてるお客様には何かしたいと思って。

▲ で、問題は開演に間に合うかってことだったんだけど、これはもうなりふり構わず逃げてきました。
◆ おかげで開場前には着いたんだけど、番号呼ばれてさあ入ろうとしたら、中にはコインロッカーがないっていうじゃない。だったら先に言ってくれよ!
★ 私はなにせ仕事帰りのでかいカバンを引きずってますからね。
◆ そこで外のロッカーに行ってる間に、500番台になってしまった!
▲ おまけにロッカーは小さすぎて私のカバンは入らない。そこでしょうがなくロッカーの上に放置するはめに。
● 何も貴重品はいってないから大丈夫と思ったんだけど、考えてみたらあの中の仕事の書類、なくしたら首が飛ぶんだった(笑)。
★ それを屋内ならまだしも、屋外のロッカーの上に放置していくって‥‥
◆ いいよ、あんなとこ首になったほうが! でもAXもキライ! ロッカーぐらい中に設置しろ!
● というわけで、早くもAXも嫌いになってしまったわけね。
◆ 好きくない。
▲ ここは新しいところで初めてなんだけど、赤坂ブリッツみたいな作りで、ブリッツよりちょっと小さいかなって感じ。
◆ なんかこういうプレハブみたいなの好きじゃない。ちゃんとした建物に入ってるほうがいい。
★ クラブがいいよー、絶対。
▲ でもMansunクラスになると、クラブじゃ無理。かといってホールでやるようなバンドじゃないんで、どうしてもこういうとこになっちゃうんだよ。
◆ Mansunならホールでもいいよ。NHKホールあたり。あそこ音がいいから。
● 私はPaulが近くで見れないところなんかいや!
▲ じゃあ、今はどこが好きなの?
◆ 私が好きなのは、ロビーが広くてきれいで、トイレが広くてきれいで、ロッカーが広くてきれいでたくさんあって、それでいてハコは小さいってのがいいな。
★ やっぱり新宿のリキッドルームかな。
● きれいっていうなら恵比寿ガーデンホールじゃない?

◆ 入場をあせったのは、前回の経験からいって、モタモタしてると前へ行けなくなっちゃう!と思ったからなのだ。ところが息せき切って駆け込んでみると‥‥
● ガラガラ‥‥
★ ってほどじゃないけど、こないだのブリッツとはえらい違いだった。
◆ 真ん中へんに仕切りがあるんだけど、前半分すら埋まってなかったからね。
▲ やっぱり落ち目‥‥?
◆ うーん、これまでの経験から言って、日本のコンサートの入りははっきり言って人気とも実力ともほとんど関係ないとしか。だから気にすることはないと思うよ。
▲ でもさ、これまた経験からいって、ほんとに盛り上がった最高のコンサートって、どれもぎゅう詰めだったじゃない。なんかいやな予感がしたなあ。
◆ この状態で最高を望むのなんかもう最初からあきらめてる。

▲ というわけで、「これなら楽勝」と思ったので、いったんロビーへ出てマーチャンダイズを物色する。
● そしたら、な、ない!
★ ブリッツみたいに外に売店あるのかと思ったんだよね。でも出てみてもなんにもない!
◆ なんでないのー!!! 考えられない! そんなことって今まであった?
▲ (首をふる)
◆ なんでー! 私はTシャツとかポスターとかありったけ買い占めるつもりで、わざわざお金下ろして行ったのに!
★ 昔は会場でマーチャンダイズの通販カタログまで配ってたのねえ‥‥
◆ そういやオフィシャル・サイトも作りかけのまま放棄されちゃったみたいだし、あそこって今でも機能してるの?
▲ 結局Daveのサイトがオフィシャルに戻ったみたいよ。
◆ でもショップがない! リンク・ページもない。海外からのお客さんはたいていオフィシャルのリンクからやってくるのに。それでDaveに抗議したら冷たくあしらわれた。
● Tシャツほしいよ〜! わーん!
◆ やっぱり自分で作るしかないか。
▲ 売ってたのはファンジンPositive Insanityと、“Little Kix”のCDだけだった。日本盤シングルすら売ってない。アルバムすら持ってないようなやつがコンサート来るかい。
● しょうがないからファンジン買ってきたけど、どうせなら英国オフィシャルのファンジンも売ってほしいと思わない? 私は持ってるけど。
★ CDのおまけに何かおいしいものが付くかと思ってたんだけど、もらえるのはすでにタワーで当てたリーフレットだったんでいらないやと。
● つまんなーい! Mansunならパンフ作ったって飛ぶように売れると思わない? 言ってくれれば私が作るのに!
★ この人たちの目的はコンサートなのかお買い物なのか(笑)。

▲ で、会場へ入りますと、鳴ってるのはSuedeの“Head Music”。
◆ カンドー! 変わらぬ愛をつらぬいてるのね。
● よくある編集テープじゃなくて、アルバムを最初から最後まで流してるのね。
★ 単にテープ作る手間を惜しんだだけじゃないのか?
◆ でもって、このSuedeがまたいいんだわ!
▲ あなた、何を聴きに行ったのよ?
◆ 実はこの“Head Music”というアルバムには、私はいろいろと不満もあって、Suedeで初めて失望させられたと言ってもいいんだけど、こうやって大音量で広いところで聴くと、やっぱりうっとりするほどいいんだわ。本当にシンプルな曲なんだけど、音のひとつひとつが選び抜かれてキラキラ輝いてる。それに音のない「間」がなんとも言えないのよね。まさにPeter Savilleのスリーブそのままのイメージで、クールで、エレガントで、セクシーで‥‥
★ これ、Mansunのリビューなんですけど。
◆ ‥‥それで私は“Little Kix”にもまったく同じ不満を抱いていたんだけど、それがこれだけいいってことは、もしかして“Little Kix”の曲もライブだといいかもしれないという期待が持てる。
▲ 無理やりMansunにつなげたな。

◆ しかし、そうやってポーっとしてSuede聴いてたら、さっそく気づかれましたな。
● 第一発見者はあなたです(笑)ノリコさんありがとね! あと、いちいち名前は出さないけど、ほかの皆さんもありがとさんです。
★ いつもカキコしてくれたりメールくれる常連さんに会えたのもうれしかったけど、初めての人にもあいさつされたのがすごくうれしかった。なにしろこちらはバカ文をたれ流してるだけで、どういう人が読んでくれてるのか見えないもんだから。
● だからどんどん感想やメール送ってちょーだいね!
▲ ほんと、誰も気づかないかと思ってた。
★ だって、当日の服装まで書いてるのに(笑)。
◆ 白を着てる人はそうはいないから目立つという作戦は当たったな。
★ 作戦だったんですか?(笑)
▲ 夏の黒はもうあたりまえだけど、冬の白はまだ少ないんだよ。それで、1日目は白づくめ、2日目は黒づくめで行ってみました。
★ 何をがんばってんだか、このシトは(苦笑)。
◆ (ふと気がついて)はっ! いま気がついたけど、ふわふわの真っ白なアンゴラ・セーターにクリーム色のミニスカート、クリーム色のダウンコートという、年甲斐もなくブリブリした格好はまるきり●の趣味だし、黒シャツ、黒Tシャツ、黒の革ジャンに黒いパンツという、まるでヘルズ・エンジェルズのおばちゃんみたいな格好は▲そのものじゃない!
▲ おばちゃんはないでしょ! この年でこれが着れるスタイルを維持するのがどれだけ大変か‥‥
◆ いつのまにか、●と▲に乗っ取られてた!
★ 四重人格が表面に現れてくるのって病的よね。
◆ うーむ、疲れと興奮でつい気がゆるんだせいで、出てきちゃったか。
● 人のことをおできみたいに‥‥

▲ でもね、やっぱりコンサート行くからには、服装もそれなりに決めてきてほしいですね。昔は外タレのコンサートというと、みんなそれなりにおしゃれしてたじゃない。それにくらべて、最近はミュージシャンのクローンはおろか、バンドTシャツ着た人すらほとんど見ないのは寂しい。
● そうそう、たとえTシャツ持ってなくても、開演前に売店で買って着替えるのがお作法だったよね。
★ でもMansunクローンってどんなの? あの人たちまるで普通の服しか着ないじゃない。それもどっちかというとダサい‥‥。あれじゃまねしたって普段着にしか見えない。
◆ 着てるじゃないか、変なの。Chadのサイケ・ルックは最近よく古着屋なんかで売ってるし、絶対目立つぞ。私は着たくないけど。
● いちおう夏のサマソニには、袖だけシースルーの黒いブラウスを着てくつもりで買ったんですけどね。ほら、去年の1月のPaulのまね!
★ だったら今年はNew York Cityシャツだ(笑)。
▲ いっそひねって「大阪城」とか書いたようなおみやげTシャツがいいんでは?(爆笑)
◆ こりゃだめだ‥‥

★ あのー、たぶん読者は洋服の話じゃなく、Mansunの話を読みたいと思ってるんじゃないかと思うんですが。
◆ 待て待て。その前にいつもの観客評だ。
★ だってお客さんも普通の、おとなしそうな子ばっかりだったじゃない。最近は何見てもそうだけど。
● また年寄りめいたことを言うと、昔はお客を見てるだけで飽きなかったけどねえ。なんか正体不明のあやしい人がいっぱいいて。
▲ いちばんあやしいのはあんただって!
◆ やっぱり今どき英国インディーなんか聴いてる人は、それなりにまじめで賢くて年もけっこういってる人が多いからしょうがないんでは?
● じゃあ、Marilyn Mansonとか行くと、ああいう格好したやつがうじゃうじゃいるのか?
▲ 知らないけど、いないんじゃないかな。
◆ キンパツの子すらいなかったなー。
★ 女の子多かった。ま、これは当然だけど。
● あと、外人ひとりも見なかった! なんで?
◆ なんでと言われても困るが‥‥
● 最近、白人の姿が減ったなあ。不況だからか。
★ あの人たちいると盛り上がるんですけどね。声でかいし、体でかいし、エーゴしゃべれるから。
◆ 私はなぜかコンサートへ行くと、キンパツの日本人や外人にばかり声かけられるんだけど。
★ 同類だと思われてるんじゃないですか?(笑)

◆ ではそろそろ‥‥Mansunの話行きましょうか。それじゃ、Paulを見ての第一声ね。みんなで声をそろえて、せーの!
◆●▲ ちっちぇえ!
★ 何を今さら‥‥(笑)
◆ だってMansun見るの約2年ぶりなんだもん。こんなにちっちゃいっての、忘れてた。
▲ 自分のヒーローはやっぱり無意識に過大視してるからね。
● あれで170センチ以上あるなんて絶対うそ! Chadが私ぐらいで、Paulは絶対見下ろす感じになるぞ。
▲ おまけに体重は私よりはるかに軽いだろうと思うと、よけい情けない。
◆ それを言うな。
● ちっちゃくってかわいいなあ‥‥
◆ 手足が短いのは前から気づいてたけど、胴も異常に短いよねー。
★ だから彼を見るといつもお人形さんのようだと思ってしまうのだ。
▲ あのTシャツ、べつに普通のLサイズでしょ。なのに袖はひじまで来ちゃうし、すそはお尻をおおってしまう。確かに日本人の女の子が着ればそうなるけど、白人の、しかも男で!
● だからいいんじゃない。私、Tシャツがパンパンになるような外人男きらい!
◆ おかげで、今回はもっこりはなし。
▲ あんたはそれが見たいんか!

● そいでね、2番目に「うわー!」と思ったのは、パーカ!
▲ そんなのいつも着てるじゃん。
● でも生では見たことない! 私は男の子の服ではパーカがいっとう好きなんだ。それにこの人はこれがいちばん似合うんだ。もうかあいくって、かあいくって‥‥
★ すぐ脱いじゃったけどね。
● 脱ぐなー!と思ったりして。
▲ どうせ脱ぐならぜんぶ脱げー!
◆ いつも言うが、おまえらまるでストリップの観客みたいだな。
● もっこりが見れないと不平言ってる人に言われたくないわ。
◆ 誰も見たいなんて言ってないー!

▲ それで問題の前髪は‥‥
★ 確かにだいぶ見られるようになりましたね。
● 前髪はまだ短い! でも全体に落ち着いた感じになったね。
◆ ひところひどく痛んでた髪もサラサラに戻ったし、色もナチュラルになったし。
● 私、短髪はもともと好きだから、サイドとバックはすごいかわいいと思った。ああ、あれひっつかまえて頭ゴシゴシなでたい!
▲ あまりにまともな髪型すぎて、後ろから見ると小学生みたいだ。
★ でも前から見ると‥‥
● まだ言うか!
★ 衰えは隠せないよ。特に目元と口元は確かに年取った。
● きれいだったよー!
◆ 暗い中ではね。白昼の光の中ではけっこう苦しいかもしれん。ほら、このPositive Insanityの表紙‥‥
● 見るなー!
▲ なんでこの人、変に見えるかわかった。体型や動作はまるで幼児みたいなのに、顔だけジジイだから変なんだよ。
● なんて言い草なの! これ、ファンが読むのよ!
▲ 私もファンだよ。
★ 今日のギグの目的のひとつは、「Paulの容貌の衰えはどこまでほんとなのか?」を確かめることだったんだけど、あまり楽観視はできないというのが結論ですね。
▲ この手の小柄な童顔の男の子は年とったら悲惨という例はいっぱい見てきたからね。あまり希望は持たない方がいいよ。
◆ (開き直って)いいのよ、私は何もルックスが好きでファンになったわけじゃないから。
● まだかわいいよー!

▲ みんな痩せたって言ってたけど、どう思った?
● ひところの変にむくんだような顔じゃなくなった。
◆ でもあれだけ小柄な人にしては、首とか肩のあたりとか太いよ。パーカを脱ごうとしてTシャツまでいっしょに脱げそうになって、おなか丸見えだったけど、やっぱりむちむちしてたし。
● あの動作がたまらん! 途中で引っかかってモゾモゾしてて、まるでちっちゃい子みたい!
◆ 手が短いからああいうことになる。
▲ だから全部脱いじまえばいいのに!
◆ 風邪で苦しんでる人にそういうこと言うなよ。
▲ でもまた化けたのは事実だよね。99年のPaulとはまた別人。
◆ 私は見てて、最初に見た97年を思い出したな。“Taxloss”なんか聴いてるとあのころに戻ったような‥‥
● はっ! なんでかわかった! 笑わないし、踊らないからだ!
★ そういえば、まともな髪型にまともな服装というのも、あのころみたい。
◆ ほんとに調子悪いんだなー。かわいそうに。
★ でもやっぱりこの人はこの方が賢そうに見えていいよ。
▲ でも思ったほど具合悪そうにも見えなかったな。私は病み衰えて、げっそりほおがこけて、フラフラの状態で出てくるのを期待してたのに。
◆●★ そういうのを期待するなー!!!
▲ だって色っぽいじゃん。風邪ひきPaul。
● まったくもう、人の不幸を楽しみやがって。
★ Richeyで懲りたはずなのに、懲りないやつ。
▲ 私はRicheyの不幸を楽しんでなんかいない!

◆ 話を戻そう。いつもPaulの話ばっかりで、他の3人の話がろくに出ないから。
● Chadはいつ見てもかわいい。ムクムクしてて毛むくじゃらで、ぬいぐるみのクマみたいで、つい抱きしめたくなる。
▲ しかし見れば見るほど変なコンビだよなあ、この人とドレイパアくんって。
◆ 驚いたのはChadが地味な格好してた!
● やっぱPaul具合悪いし、隣でキンキラの格好されるとイライラして蹴飛ばしたくなるからじゃありませんか?
◆ いい加減なことを言うな。
★ Andieもやたらかわいいよね。むくつけきヒゲおやじがどうしてこんなにかわいいのか理解に苦しむくらい。
◆ それはやっぱり人の良さがモロに出てしまうからでしょう。
▲ でもいつも無視されてるかわいそうなStoveさん(笑)。
● 4人いると必ずひとりはこういう人がいるんだが、そういや、Stoveだけコールがかからなかったなあ。
★ 他の3人は個人サイトがあるのに、Stoveのファンサイトだけはないし。
◆ なんでそんなに嫌われるの? Stoveかっこいいじゃん。
▲ べつに嫌われてるわけじゃないが、なぜか彼がいちばん人気がない。
★ Paulは当然としても、Chadはギターうまいから人気あるし、Andieはドラムうまいから人気あるし、でもStoveはそのー‥‥
◆ 彼は背高いし、スタイルいいじゃん。よってライブ写真ではStoveがいちばん映える。あとねえ、彼すごい痩せてるんだね。Tシャツの下にアバラがくっきり。これだけ背のある白人にしちゃすごい華奢。腕長いし、細いし、ベーシストってのはやっぱりこうじゃなくちゃ。Blurのベースなんて何よ、あれ? ビヤ樽みたいに太っちゃって、三重あごじゃない。
▲ あー、ここで関係のない悪口を言わないように。
● そんなに好きならStoveは◆にあげる。私、Paulね。
★ あ、ずるーい! そんなのダメー! 誰のなんてなし!

▲ やっぱ音楽の話も少しはしないとまずいんじゃありません? それによっては捨てるとまで断言したんだから。
◆ 今からするって。まずはいちばん心配されたPaulのボーカルだけど。
★ 声が出ないわけじゃないんだけど、苦しそうで、意識的にセーブしてるのがありありとわかった。痛々しい。
▲ それでもあれだけ歌うもんなー。
★ でもあれはほんとのPaulじゃぜんぜんない。
◆ うーん、MansunでPaul抜きでは魅力半滅なんてものじゃないなー。
▲ PaulがいなかったらMansunじゃないよ。でもあの出来だと3分の1ってとこでしょうか。
● でもかわいいからいいの。
◆ 今は音楽の話だったら!
★ でもバンドも元気ないような感じしなかった?
▲ Andieはいつも通り元気じゃない。Stoveも変わりないし。
★ 個々のプレイヤーっていうより、バンドとしてさ。
● そういえば‥‥
◆ これは“Little Kix”のセットそのものがそうなのか、それともPaulがコケるとみんなコケるのか?
▲ 案外後者だと思うな。フロントマンというのはそれぐらい重要なものだよ。

★ あとお客さんも元気ないような感じしなかった?
● そう? でもみんな楽しそうだったよ。
◆ まあ、あの入りじゃしょうがないけど、声小さいし、寂しかったな。
▲ いや、人数は関係ない。少なくても盛り上がるコンサートはあんなもんじゃない。ボディ・サーフィンも見られなかったし。
● なんか迫力ないのよね。なんていうか、バンドも客もPaulに遠慮して、おそるおそるって感じ。
★ こないだのギグを思い出してよ。リビューに書いてたでしょ。「演奏開始と同時に場内の気温がぐわーっと上がって、一面に汗の臭いがツーンと充満する」っていうの。あの熱気がぜんぜんなかった!
▲ そういや、やけに雰囲気冷えてたな。私はずっと踊ってたのに、ほとんど汗もかかなかった。
◆ なんかなー。それでもいいコンサートだったけど、これがMansunだと思うとちょっと寂しいね。
● しょうがないよ。Paulがあの状態じゃ。

◆ そういや、キーボーディストの話してない。
▲ このセットからキーボードが同行してるんですよね。典型的なジンジャーのまるまる太った男の子。
★ あの人の存在わかりました?
● ぜーんぜん。どこにいたの?って感じ。
▲ Manicsのキーボーディストみたいだな。Manicsもそうだけど、やっぱりここも4人で完結してるバンドなんで、よけいなもの入れるべきじゃないよ。どうしてもキーボードが必要なら、踊ってる暇にPaulが弾けばいい。
◆ おとなしいと感じたのは、キーボードが入って音がソフトになったからかもね。
▲ ますますよくない!

◆ そこでいよいよ槍玉にあがる曲ですが。
● だって“Little Kix”の曲は4曲しかやってないじゃん。これだけじゃなんとも。
▲ それに“I Can Only Disappoint U”“Electric Man”“Comes As No Surprise”の3曲は、もともとあのアルバムの中ではわりと好きな曲だし。耐えられないのは“Fool”だけか。
★ だってあれ、次のシングルでしょ。
▲ 最悪!
◆ それで聴いてどうだった?
● クソみたいに歌うまいなーと。
★ そこがかえってやな感じ。
● でもこれが完調だったら違ったかも。
▲ それ以外の選曲にも文句あるよ。アンコールの最後は何がなんでもアップテンポのナンバーで押し切らなきゃやなの! 最後にはじけるチャンスなんだから。その意味じゃ“Take It Easy Chicken”はぴったりのエンディング・ナンバーだったのに、“Fool”で終わるってどういう意味?
◆ 確か、Suedeのときもそれで文句言ってたね。バラードで終わらせるのはよくないって。
★ それ以外の選曲も文句あり。
● でもこれ、完全なセットじゃないんだから。
★ でも“Wide Open Space”や“She Makes My Nose Bleed”はいいかげん聞き飽きたと思わない?
◆ でもやらないわけにはいかないでしょ。
★ だったら“Legacy”やらないのはなぜ?
◆ だからそれはオミットされたんでしょ。イギリスじゃやってたよ。
● ほかにどんな曲をやるはずだったんだろう?
▲ えーと、曲目はギグによって微妙に違うのだが、“Little Kix”からは“Love Is...”をやってるな。
★ あ、それはいらない。
● でも誰だっけ? 生で聴いたらこれがいちばん良かったって言ってたじゃない。
◆ あと“Stripper Vicar”。これが除外されたのはわかるけど。喉に負担かかりそうな曲だから。
★ でも聴きたかった。
● それよりB面だよー。なんでB面曲やらない? MansunはB面のほうが絶対いいのに。
▲ それに私がいちばん好きな“Six”の曲が1曲しかない!
◆ 文句ばっか言うなよ。でも“Chad Who Loved Me”をやってくれたのは感動! これはうちのテーマソングですからね。
▲ Desperate Iconsに敬意を表して‥‥のわけないな。

▲ でもChadが歌うMagazineカバー“Shot By Both Sides”が聴けたのは収穫じゃない?
◆ うん。なにしろMansunがやる初めてのカバーだしね。それだけでも興奮した。
● またもHoward Devoto!
★ ほんっきで惚れてんだなあ。ライブセットでHowardの曲やらないことってないでしょ。イギリス人だって、Howardの現役時代なんて知ってる人そうはいないのに。
▲ 悪い? 私は昔からのHowardのファンなんだ!
● だって歌詞だけでしょ? 曲や歌はあまり好きじゃないくせに。
▲ 曲はいいよ。Paulの書く曲にもはっきり影響感じられるし。歌はまあちょっとあれだが‥‥
★ 初期のパンクっぽい曲でしたね。
▲ これもかっこよかった。
★ それでChadの歌は?
▲ むむむむ‥‥これ言うとファンの人に怒られるかな?
● 今さら遠慮したって遅いって。
▲ Chadは意外とHowardに声が似てるってことに気づいたんだけど‥‥
◆ バッキング・ボーカルだけ聴いてたときは、SuedeのNeilよりはうまいと思ってたんだけど、リードを取るのはやっぱり無理があるんじゃないかね。その点、Neilはソロでも歌えるけど。
★ 同じSuedeのRichardの歌と同レベルってとこでしょうか。
▲ いいんだよ。これはライブならではの遊びなんだから。
● だって、ソロ・アルバム出すんでしょ?
◆ それもどこまで本気で言ってるのか‥‥とりあえず聴いてはみたいけど。
● それよりPaulの歌うカバー聴きたいよー! それもSuedeかManicsの!
▲ だからこういう人はあまり名の知れたバンドのカバーをやるのは恥っていう意識があって‥‥
★ Manicsなんかモロに恥ずかしいカバーばっかりやってるけど、それが死ぬほどすてきじゃない。
◆ まあ、そのうち聴けるかも‥‥

◆ それじゃそろそろ締めたいんだけど、まとめとしては?
● Paulかわいい。
▲ 悪くはないんだけど、やっぱり不調は隠しようもないし。
● でもMansunはやっぱりMansunだった!
★ とりあえず、結論は明日を見てから出しませんか?
◆ ってところで、今日はおしまい。

SETLIST

Take It Easy Chicken
I Can Only Disappoint U
Being A Girl
Chad Who Loved Me
Shot By Both Sides (Magazine cover sung by Chad)
Electric Man
Comes As No Surprise
She Makes My Nose Bleed
Special / Blown It
Taxloss

(encore)

Wide Open Space
Fool