Mansun日記第36章 (1999年1月)

MANSUN CONCERT REVIEW Part One

(17 January 1999, Akasaka Blitz)

1月17日 17:40 ○○線車内にて

▲ あー‥‥
● いやー‥‥
★ なんか言葉になりません。
● とにかく、前回▲ひとりに書かせたのは大悪評だったので、今日はみんな総出で、これから赤坂Blitzに向かうところ。
◆ そうじゃなくても、Mansunのコンサート・リビューは毎回、その場にいながら何も見てない、聴いてないとしか思えない
★ でも、興奮しすぎて何がなんだかわからないっていうのとは違うよね。どこか妙に醒めてて。
▲ だから、それはステージ上の人がクールすぎ、醒めすぎてるからじゃないかと前回思ったのだが。
◆ やっぱり毎日CDを聴き、ビデオを見、ウェブサイトを読んでると、実物見てもあまり感激しないのかしら?
● そんなことない! 今回はもう3度目なんだし、その間、愛と渇望はつのるばかり! 今日という今日は何もかもばっちり見て聴いてくるぞ!
★ ●だけ元気(笑)。
▲ 今も緊張はしてるんだけど、なんかぼーっとしてる。
◆ 仕事が忙しすぎるのがいけないのよ。今日も出るまで仕事してたんだから。
● もっと喜べよ! 9月に見れて、1月にまた見れるなんて夢のようじゃない。
★ とにかく今日はなんとか来られただけでも感激。クリスマスに痛めたひざを4日前にまたやっちゃって、一時はもう無理かと‥‥
▲ そういや、こないだのリビューでもひざが痛いとか書いたっけ。すでに徴候はあったんだな。
● コンサート前なのに、どこが痛いとか、ババアみたいな話!
★ これってコンサートなんか行くのは年齢的にもう無理って体が言ってるんじゃ‥‥
● なにを! 若いもんにゃまだ負けんわ!
▲ その言い方がババくせーんだよ。

◆ ま、どうせいざとなれば豹変するから。コンサート前は弛緩タイムなのだ。年寄りはアドレナリン放出しっぱなしじゃ身が保たないからね。
★ まあ、こういうロー・キーで始まったリビューは、本番になると嘘のように盛り上がるということが多いから、かえっていい前兆かもしれませんね。しかし早すぎたんじゃない? 整理番号何番?
◆ Aの663番。
★ これじゃ6時10分には着いちゃう。入場までだいぶ待たされるな。
▲ やっぱりじっとしてられなくて、つい早く出ちゃうのよね。仕事に行くときとちょうど逆。
● いいじゃん。おしゃべりしながら待ってれば。
★ ひとりでしゃべってたらキチガイだよ!
● じゃ、頭の中でしゃべる。
(以下、頭の中の会話の採録)
● あー、Paulかわいいかなー。かわいいといいなー。ひげもじゃだったり、スキンヘッドになってたらいやだなー‥‥
▲ アホなことばかり抜かすな!
★ 書くときは多少頭使ってるけど、ふだん考えてることはこの程度で。
◆ バカバカしいのでやめ。
(採録中止)

18:20 Blitzロビーにて(開演前)

◆ というふうに(声に出さずに)ブツブツ言いながら赤坂に着いたのだが、電車から降りてギョ! 駅はがらがらで、普通ならぞろぞろとBlitzへ向かう人波がどこにもいない。
▲ まして駅を出ると日曜日の赤坂は人っ子ひとり歩いてなくて、真っ暗で、シーンと静まり返っているし。
● さらに階段を昇りおえてBlitzの前に出てギク! 入場を待ってるはずの群衆がどこにもいない!
◆ 日本での人気はうなぎ登りだし、今回はむちゃ混むことを覚悟してたのに!
★ まさか世紀の大ボケをかまして、もしかして日を間違えたかと思って、あわててカレンダーとチケットを見くらべてしまった。
◆ もちろん間違いじゃなかったんだけど、なんで?! 確かBlitzってSuedeのときは入場にえらく時間かかったよね。入場6時じゃなかったのか?
● (あわててチケットを確認)5時からだった! 開演が6時になってる!
★ やっぱり大ボケ!
▲ 絶対早すぎるとか言ってたボケは誰だ?
◆ それで今はロビーにすわってタバコふかしてるところ。中では前座バンドがすでに演奏している。
★ 前座が6時からだったのね。結局1時間まちがえてよかったじゃない。前座なんて見てもしょうがないし。
● 前座って誰なの?
★ 知らない。日本のバンドみたいだけど。
◆ でも今から入ってないと場所取りが! ちらっとのぞいたら場内ぎっしりだったぞ。
▲ だいじょうぶ、だいじょうぶ。始まればどうとでもなるから。それに前座が終わってもセッティングのやり直しがあるから、まだ時間かなりある。
● 前座が1時間で7時まで、そのあとセッティングに30分で、Mansunが出るのは7時40分ぐらいになるな。
★ 結局いつもと同じじゃない。
◆ ほんとに入ってなくてだいじょうぶ?
▲ だいじょぶだって。それより少しでも体力温存しておいたほうがいい。なにせ疲れてるんで。

18:40 Blitzロビーにて

◆ 暇だから売店行っておみやげ買ってきた。
★ 何があった?
◆ Tシャツは種類はいっぱいあったんだけど、私の持ってるやつとか色違いが多くて、結局、黒地に銀の文字で‘NOBODY CARES WHEN YOUR GONE’って書いてある小さめのと‥‥
▲ Manicsみたいだ!
★ “Legacy”の決め文句ですね。
● どうでもいいが、つづりが間違ってるぞ。when you're goneでしょうが。
◆ でもいちおうオフィシャルTシャツなんだけど。それから胸に‘SPECIAL’、背に‘BLOWN IT’と書いてある大きい黒のTシャツ。
▲ こっちはスローガンとしては意味不明だが、Paulがいちばん好きだと言ってた曲だからいいや。
● とにかく写真やスリーブの絵じゃなけりゃなんでもいいよ。
★ でもこのTシャツ高くなかった? 3800円もした。それを2枚も買うなんてお金持ち!
◆ 私は大人だからそれぐらいの贅沢は許されるんだよ。それに“Legacy”と“Being A Girl”のリバーシブルになってるポスター。
▲ そのポスターどっちもすでに何枚も持ってないか?
◆ いいんだよ、大人だから。
★ そういうもの片っ端から買い込むところが子供だって(笑)。
◆ それと日本のファンジン、Positive Insanityの第5号。ここにはいつもインターネットでただで写真いっぱい落とさせてもらってるから、少しは献金しようと思って。
● この表紙の写真! こんなのサイトにもなかったぞ。このお澄ましPaul、かわいー!
◆ ダテ眼鏡のAndieとかもめずらしい。もしかしてアップされてるかもしれないな。あとでサイトに行ってみよう。
● (中をパラパラ見て)げっ! ぐえええっ!!
◆ どうした?
● こ、このGuardianの翻訳記事についてるPaulの写真!
★ うわっ!
▲ うそー!
◆ これは‥‥ひょっとしてこれまでで最高のお耽美写真ではないか!《これはうちのサイトの(元々の)ホームページにあった写真です。ここで言ってるようにGuardianではなくて、Sunday TelegraphのPaulとHoward Devotoのジョイント・インタビューについていた全紙大の写真。といっても、もちろん私は持ってなくて、MansuniteのSuziに頼んで使わせてもらってただけど。持っている人いたら譲ってください! 1万円でも買う!》
● きれいー!‥‥(と言ったきり言葉が出ない)
★ きれいなことは知ってたが、なにこれ?!
◆ ‥‥ちょっと今は時間がない。この検討はあとで。
● こんな写真Guardianに載ったの?! Guardianも買うんだった!!
▲ そんなのどこで買うんだよ?
● 洋書屋には入ってるよ。もとい、入ってたのに! 知ってりゃ買ったのに!
★ 週刊紙買うのにもあれだけ苦労してるのに、日刊紙が入ってるかどうか毎日本屋チェックするんですか?
▲ 写真どころじゃないでしょ。これの実物を今から見るんだから。
● うそー! うそー! 信じられなーい! しあわせすぎて夢みたい!
◆ とにかく今は時間がない。こんなこと書いてる間に前座が終わったようで、みんな中に入っていくじゃないか。
▲ ああ、その前にトイレとロッカー。
★ これじゃほんとに前行けなくなっちゃうよ。
▲ 平気だって。私に任せなさい。うう、アドレナリンが‥‥
● アドレナリンはいいから、早くしろって!

20:55 コンサート終了後

● ぱくぱく、ぱくぱく‥‥
★ またも酸欠金魚状態
◆ Jesus Jonesのときみたいに、肺から空気が絞り出されるってほどひどくはなかったんだけどね。だんだん息がもたなくなるのは、やっぱり年かなあ。
● ああ‥‥ああ!
▲ もうちょっとしてから書こう

21:20 ○○ビルディにて(食事中)

● ああ‥‥ああ! 言っちゃってもいい?
◆ だめ。おいしい話は家へ帰って落ち着いてから。とりあえず順を追って話そう。あのあとホール内へ入ったのだが‥‥
★ すごい人! こないだの楽さはなんだったの?って感じ。
▲ コンサートの入りってのは行ってみないとわからないんだよ。とにかく日本でも盛り上がってるから、今回は混むのは予想していたが。
● 英国の美形バンドっていうとすぐこれだから、いやんなっちゃうわね。
★ 人ごとみたいに!
▲ Chadはギターうまいし、StoveとAndieも渋いから、男の子にも受けるしね。
◆ そこでできるだけ隙間を見つけてもぐりこんだんだけど、フロアの前から3分の1くらいの所がせいいっぱいだった。
▲ でも始まった時の混乱に乗じて前へ行けると思ったから、べつにあわてなかった。
● たしかに前へは行けたけど、それでもまだステージまで10メートルはあったぞ。嘘つき! あれだけ大丈夫って保証しておいて。
▲ だってでかい男ばかり壁になったところへ入っちゃってさ。
◆ Paul見たさに真ん中から攻めたのが間違いだったか。
★ むしろ脇からのほうが、最初は遠くても入り込みやすいんだよね。
● Paulをこんな遠くから見たの初めて!
◆ そういや最初のクアトロは、PAの前だの親子が邪魔だの文句言ってたけど、Mansunをステージのかぶりつきで見られたなんて、どえらい幸運だったんじゃないの?
▲ これからはもう絶対無理だろうなあ。いちばん前ってのは。
● それにしたって1時間も間違えなければ、もっと前で見れたのに。
▲ いや、今日は作戦のあやまりだ。とにかく人がほどけないんだもの。
★ これはBlitz特有の細かい仕切りが災いしたと見たね。普通ならあの男どもがどどーっとなだれ込むんで、それに乗じていっしょに行けるのに、柵にはばまれて動けない。
◆ くぐって前に行こうにも、その柵にたどりつけないんだよね。Suedeの時は最初からいちばん前のマスに入っちゃったから、最初こそ苦しかったもののあとは楽だったんだが。
★ だからもっと早く前座のうちに行ってれば。
◆ でも体力的に6時からずっとあの中で待つのは苦しいよ。
▲ ボディ・サーフィンで人の頭の上から行くという手もある。
◆ 無理だよー!
(料理が来る)
▲ ああ、だめだ。飯が喉に通らない。
◆ 私は胃だけは丈夫なのでこういうことはまずないんだが。《どうやらすでに風邪を引いていたためらしい》
★ 今は興奮と疲労で胃がでんぐり返ってる状態なんで。
▲ 赤坂は近すぎるよ。クールダウンの時間が必要だ。
◆ じゃ、あとは家へ帰ってから。

22:20 自宅にて

(^_^) 観客について

● ぜえぜえ‥‥はあはあ‥‥
◆ あー、ちょっとは落ち着いたかな。それじゃ続きと行きたいが、どこまで行ったっけ?
★ ものすごい混んでたって話。
◆ うん、そんなわけで私が入ったときはまだローディーがチェックの最中だったんだが、さっきも言ったようにまわりじゅうでかい男ばかりの中に入っちゃって、ステージなんか飛び上がらないと見えない状態。
● こんな位置からコンサート見たのはTake That以来だぜ! 嘘でしょー、勘弁してよ!って感じ。
◆ そんなで20分ばかり待ったんだけど。
▲ ちなみにウォームアップ・テープはPistolsメドレーでした。その前はBowieとかかかってたようだけど。
◆ そんな状態なんで、またも登場シーンは見ていない。
▲ だって暗くなったとたん、とにかくここで場所を確保しなくちゃと、大奮戦の最中だったんだもん。ここで気をゆるめると怪我するし。でも結局見えたでしょ。
● そりゃそうだよ! そのために行ったんだもん。
◆ ここでいつもの観客評を先にやってしまおう。
★ そんなの見てない。
● そんな余裕ないもん。
▲ 客はねえ、クアトロやオンエア・イーストよりずーっとまし。だけど、最上ってほどじゃない。
★ 最上の客はあとにも先にもチッタのEMFだよ。
▲ 1曲目が始まったとき、3、4人が一度にボディ・サーフィン始めたんで、「やった!」と思ったんだけど、この時だけだったな。
★ その意味じゃMary Chainの客のほうがえらいノリだった。ボディ・サーフィンが途絶えることがなかったもん。
● Mary Chainと違っていちばん前は親衛隊みたいな女の子が固めてるからね。
▲ でも、感心したのはみんないっしょに歌うこと
◆ これにはちょっと驚いたな。それも“Six”で! Paulが歌をやめて観客に歌わせるところがあったの。例の‘you see, my life is a series of compromise anyway’ってところ。曲もむずかしいし、あんな複雑な歌詞を覚えているのかと思って感心した。
★ あとで人が話しているのを耳にはさんだら、どうやらみんなでたらめ英語だったみたいだけど(笑)、ちゃんとそれらしく聞こえるから不思議。
● でもそれより覚えやすい“Negative”のサビなんて大合唱だったよね。“Legacy”ですら歌ってた。
◆ おかげで私も負けまいと声を張り上げてしまって。実は今日、いちばん痛いのは喉だった。異常乾燥でただでさえ喉の調子が悪いのに、脱水状態で喉がからからの状態で、無理やり大声出したもんだから。
▲ こないだはいなかった外人もいたし。ただ、私のそばにいた人はやけに老けた頭の寂しいおじさんだった。
◆ 同業者と見たね。そういやPaulが「ぼくらのファンはインテリばかりだ」と言ってたが。
▲ ただ、曲間がシーンとしちゃうのはいつものことだが白ける。
● でも客は熱かったよ。こないだとはえらい違い。
◆ あのぎゅう詰め状態じゃただでさえ暑いのに。
★ でもあれ、久しぶりに体験したな。演奏開始と同時に場内の気温がぐわーっと上がって、一面に汗の臭いがツーンと充満するっての。
▲ うんうん。この寒さの中、髪までぐしょぬれになったし、まわりの人とくっつくとピチャピチャいって。《どうやらこれで本格的に風邪を引いたらしい》
★ それに踊れたし。
◆ 1回目はなにしろいちばん前なんで、ぎゅうぎゅうに押しつぶされて踊りたくても身動きできない状態、2回目は踊るスペースはたっぷりあったのに、まわりが冷えてたんで、なんか踊りがいがなかった。
● それにくらべ今回は、やっぱり身動きできないのは同じでも、周囲がみんな飛び跳ねてるからいっしょになって動ける。
▲ ああ、前回とはえらい違いだ。前はイクためにはあれだけ集中して精神統一しなくちゃならなかったのに。
★ まわりが熱くなってるといやでも伝染するからね。やっぱり観客の質の違いは大きい。
◆ ところでひざは?(笑)
▲ そういや、二、三度激痛が走ったような‥‥それとクラクラして何度か倒れそうになったけど。でも理性捨てちゃえばこっちのものよ。それに私はあれくらいもみくちゃにされないと理性を捨てきれないんだ。
● 私は捨てたよー! Paulを一目見たとたん!

(^_^;) コスチュームと体型について

◆ それじゃいよいよステージの上に目を移そうか。まずは見た目。なにしろPaul Draperという人は、見るたび別人にしか見えないほど顔が変わるという変な特徴の持ち主なので、今回もどれだけ変わってるか、恐ろしくもあり楽しみであったわけだが。
★ でもあのまんま。Melody Makerのクリスマス・イシューのあれ。
▲ 前髪がやや短くなって、色はダーク・ブロンド。サイドと後ろがやや長めで、全体にストレートでさっぱりした感じ。
◆ 前はふわっとした感じだったのにね。おかげでよけい頭が小さく見える。
★ でも髪型は前のほうがかわいかったなあ。
● それよりお洋服の話しなさい。
★ えー、最近ワードローブが豊富になった(笑)ドレイパアくん。今日のお召し物は初めて見る服。ちょっと遠すぎて素材まではわからないんだけど、あれなんだろ? サテンみたいな光沢のある、体にぴったりしたシャツ。昔Brettが着てたみたいなの。いつもボタンを上まできっちりかける人なんだけど、タイトすぎてボタンがしまらないみたいで、胸がちょっとあいてる。
◆ あれは絶対女物のブラウスだぞ。Brettは直さないと着れなかったけど、この人ならそのままで着れるし。
● おかげで体つきがはっきり見て取れる! これまでは厚着してるかダブダブのシャツ着てたからわからなかったけど。まさにあれ! あのヌード写真で見たまんま!
★ だって裸があれなんだから(笑)。
◆ だからかっこわるいって言いたいの?
● 違う違う! あの人の、えー、個性的な体型が、生でまじまじと見てよくわかってしまった。
▲ もうなんとでも言えよ。
● とにかく細い!っていうか華奢! それなのに、なんで彼が胸の筋肉あるように見えたり、腕がたくましく見えたかわかった。それ以外の部分が細すぎるからなの。たとえば胸なんてぜんぜん肉ついてなくて、あれは単に胸郭の形(やや鳩胸)がくっきり見えてるだけなの。ただそれ以外の部分が細すぎるんで、比較対象物がない写真では、まるで胸があるように見えただけ。肋骨の下は写真で見たとおり、えぐれたように細い。それに腕もたしかに二の腕は多少肉ついてるんだけど、前腕は枯れ木のように細い。それで比較すると腕たくましいように見えるわけ。
★ それと短い腕(笑)。
● そ。腕が異様に短くて、ぬいぐるみみたいでかわいい
▲ 指も短いよね。そのわりにぽっちゃりした指だけど。
● あれがまた赤ちゃんの手みたいでかわいい。もみじのようなお手々
★ もみじ‥‥
● それでウエストはすごく細いんだけど、お腹はやっぱり小さくぽこっと出てて、腰も上半身とくらべると細いとは言えなくて、足は太くはないが、細くもなくて短足。
◆ やっぱりかっこ悪いんじゃないかー!
● なんで? かわいいじゃん! ほんとにうちのドレイパアくん(ポストペットだよ)が後足で立ったところにそっくりで。人間とは思えない! どうしてもあれに耳としっぽつけてやりたくなった。
★ あと、びっくりしたのはあの肩幅の狭さ。ぜんぜん肩ないの。それに極端ななで肩。あれも男の子の体型じゃないよなー。
◆ Neil Codlingの細さにもびっくりしたが、肩はあれよりまだ細いね。ただしNeilは肩から下もすべてあの細さだけど。
● ドレイパアくんも肩がセクシーでかわいいのよ。首から肩は本当に細いね。
★ すごく首が長くて細いと思ってたけど、実際はそれほど長いわけじゃなく、単に肉をそぎ落としたように細いのと、なで肩にすーっとつながってるから、異様に長く見えるだけ。
▲ モジリアニ体型とも言う。
● その上に極端な小顔だから、逆三ならぬ、まるきり三角形体型というか、安定してていいけど。
◆ なんかやっぱりバカにされてるような気がするな。

★ やっぱりこの衣装は問題あるんでは? あまり体の線を見せちゃうのは。
▲ 顔はベタベタの少女マンガで、体だけギャグ!
◆ あんたたち、わざと話をおもしろくしようとして誇張してるんじゃない? 確かにスタイルいいとは言えないけれど、それほどひどくないし、十分人間らしいわい。
▲ そういや身長については? 5フィート8ってのはかなりサバ読んでるんじゃないかって言ってたでしょ。
● それもしっかり確認してきた。結論としてはやっぱり嘘じゃないと思う。少なくとも170pはあるね。イギリス人としては決して大柄とは言えないけれど、かといってチビってほどじゃない。
★ Jimは5フィート8でもチビチビ言われてたぞ。
● でもイギリス人でも私より小さい男の子はいくらもいるんだし。なのに異様に小さく見えるのは、やっぱりすべてが小作りだからなのよ。たとえば、ChadはPaulより5pくらいしか大きくなくて、彼もそんなに大柄じゃないんだけど、わりとがっしりした体つきでしょ。そのChadと並ぶと、Paulはまるで小学生みたいに見える。Paulが普通の男の子だと思うと、Chadはプロレスラーみたいに見えてしまうわけ。
▲ それは写真だけ見ても気がついてた。4人並ぶと、Paulだけ変に遠近感がついてしまうって。
◆ なるほど。BrettとNeilが並ぶと、まるで男女のカップルのようだと言ってたけど。
● ChadとPaulが並ぶと、まるで飼い主とペットのようだ。
★ だって飼い主はPaulなのに。
● だったら小学生と大型犬のようだ
▲ 嘘をいうな、嘘を!
● しかしPaulとChadはまだ似た者同士だからまし。StoveとAndieだって単品で見れば、じゅうぶんかっこよくてハンサムな若者なのに(こちらはこちらで熱烈な固定ファンもついている)、Paulと並ぶと、まるでただの不細工なおっさん!
◆ ひでえな。
★ でもそれ言ったら、ファンとの記念撮影で女の子とのツーショットを撮っても、女の子のほうがただのガサツなババアに見えてしまう。実際は彼よりずっと若くてかわいくてもだよ。
● 何があってもこういう人といっしょに写真には収まりたくないね
▲ よってグループ・ショットになると、Paulだけものすごい違和感。彼だけ女の子だと思えば、なんの違和感もないんだけど。

(^-^) 美貌について

● しかし、もちろんそれだけじゃ私はここまで興奮しない。というわけで、あえて今まで触れなかったお顔! クリスマス・イシューを見たときはあまり感心しなかったんだけど、生で見たらかわいいー!!!!!
▲ あんたはいつもそればっかりじゃないか。
● (突然マジになって)今までのあれとはものが違うんだ。いいか、よく聞けよ。Paul Draperよりきれいな男の子なら、これまでも見てきた。RoddyとかNeil Codlingとか。だけど、これだけ心底から、はらわたがねじくれそうに「かわいい」と感じさせる男の子は初めてだ。
◆ Robbieより?
● 論外だ。
★ Jimより?
● 当然。これまでPaulってライブで見ると、写真より男っぽく、大人っぽく見えたじゃない。私はこれがちょっと不満だったのだが、髪型の変化のせいか、今回は今まででいちばん女の子っぽく、幼く見える。クリスマスのもそうだったけど、あれ以上! 15才以上には絶対見えない。ちっちゃくて細くて華奢で、可憐であどけなくて、子供みたいっていうか、お人形さんみたいっていうか、とてもじゃないが生身の26才(♂) には見えない!
★ “Mansun's Only Love Song”で、下から紫のスポット・ライトを当ててたでしょう。あの時なんてほんとに生きたお人形みたいに見えたわね。ただでさえバカでかいキラキラ星目が異常にでっかく見えて、陶器のような真っ白な肌で。
▲ 普通、下からライト当てたりすると、変な顔に見えるものなのに。
● なぜか知らないが、それがもう異様にかわいくて。
◆ 顔にまともにライトが当たったせいだと思うな。それでディテールまでくっきりはっきり見えて。普通は頭の上からだから、顔は影になりがちでしょう。
▲ でも変じゃない? これまでの私らの理論は、近くで見れば見るほどきれいに見えるってことだったのに、今回は今まででいちばん遠いのに。
● だから、これを間近で見たら、目がつぶれるほどきれいなんだよ。それが本当の素顔なんだ。
◆ 素顔じゃないと思うな。絶対マスカラしてた。
★ 「マスカラひとつで別人のように変わる」と言ってたけど、これがその威力か。
▲ そういや、前の2回はいずれもノーメイクだった。
◆ 写真やビデオで見ても霊験あらたかだったけど、生の威力はもう無敵ですよ!
★ あと髪型変わったせいで、顔がもろに露出したせいもあるわね。
◆ それに前みたいに目をつぶったか伏せたままじゃなくて、ちゃんと目を上げてこっち見るし。
● だから顔自体が途方もなくいいんだってば! 写真やビデオじゃそのほんの一部しか見えないってことよ。そこで証拠写真。(さっきのPositive Insanityを出す)
◆ 新聞写真の、そのまたコピーみたいな写真なんで、画像は粗いんだけど、小首をかしげて、こちらを見上げたPaul Draperの美貌があますところなくとらえられている。
▲ この目、この目だよなあ。
★ この目はロッキングオンの「フランス人形写真」ですでに見たものだけど、何度見てもすごいねえ。
◆ この目がなかったら、単にきれいな男の子というだけなんだけど。
★ しかもこの写真じゃ、あの目の色が見えない。モノクロでこれだから、カラーで見たらどんなにか! まして現物なら!
● Paul Draperは目で殺すってくらいで。10メートルの距離があるからまだ自分の足で立ってられたけど、面と向かってこの目で見つめられたら私は死ぬよ(きっぱり)。
★ そのばかでかい宝石のようなキラキラ目に、長いまつげ、絹のようなブロンド、先っぽがちょこんと上を向いた小さな鼻、ぽっちゃりした半開きのくちびる、貝殻のようなキュートな耳、ほっそりしたあご、完璧な卵形の顔、でかい喉仏‥‥
▲ その最後のはなんだ!
● これもさっきの胸と同じで、つまり首にぜんぜん肉ついてないから喉仏がくっきり浮き出してしまうのよ。
◆ 喉仏ぐらい目立ったっていいよ。それがなくちゃ、誰もこれ見て男の子だとはわからない。どこからどう見たって女の子。
▲ ハリウッド女優なんかが目いっぱい決めて、ごてごてにメイクして、媚態まるだしで、ものすごいカメラ目線でピンナップ撮るじゃない。まるであの写真みたいだね。しかもこの人はスッピンで新聞写真でこれだもんな。
★ ファラ・フォーセットに似てない?
◆ ファラといえば、かつては全世界の男の子のオナペットだった人じゃないか。
● ちょっとダイアナ妃にも似てる! 前にも言ってたけど。
★ でもその人たちは塗り壁状態じゃない。この子はスッピンでこれだもん。
▲ しかしなんでいつも女性と比較する?
★ だって男の顔じゃないもん。
● それよりここで思い出してもらいたいのは「トランスヴェスティズムにおけるジェンダーの法則」
◆ なんだ、そりゃ?
● つまり、男が女装すると、男でいるときよりブスな女に見えるのに、女が男装すると、女でいるよりハンサムに見えるという法則なのだが。
★ べつに女装してるわけじゃないのに(笑)。
● それを思えば、男としてはきれいでも、女だと思って見たらずっとブスに見えるはずなんだよ。ところが女としてもこれだけきれいなPaulは、男だったらどれだけきれいなことか。
▲ だから男だってば!
★ 自分の目で見たじゃない!
● だからあの距離であれだけきれいなんだから、もっと近寄って見たらどんなにか!
◆ あのくらいの距離でいいです。それ以上はおそれ多くて。
▲ でも「男の美」とはまったくの別物だなあ。
★ とにかくきれいなのは確かと。
● きれいなのはもちろんだけど、それ以上にかわいいのよ!

(@_@)「踊るドレイパアくん」

● そこで! ハアハア‥‥もう言ってもいい? いいでしょ?
◆ 言うなと言ったって言うでしょうが。
● 聞いて驚くな! これぞ前代未聞! 本邦初公開! 今世紀ならぬ今ミレニアム最大の見物! 「踊るドレイパアくん」!! なんとあれが踊る! 笑う! 愛嬌ふりまく!!
▲ 私は自分の目を疑ったよ。またも夢見てるんじゃないかと。
★ まさか! 9月に見たときはそんなそぶりも見せなかったのに。Jimに続いて、まさかPaulまで! 仏頂面の最後の砦が‥‥
◆ でもJimのあれははっきりいって不自然すぎて気味悪かったけど、Paulはかわいいよ。
★ 気味悪いとは何よ!
● とにかく、1曲目の“Negative”でいきなり踊り始めたときには目を疑った。うちのドレイパアくん(くどいようだがポストペットだ)が踊るの見て、涙が出るほど笑いころげてたじゃない。なんであれが必要以上におかしかったかというと、本物には絶対にできるはずのないことだったからなんだよ。ところが本物があれのまねしてる! 腰ふって!
◆ あのダンスは‥‥
▲ なんかあやつり人形みたいにギクシャクした、不自然に腰の入ったあの下手くそなダンスは‥‥
● 絶対Brett Anderson入ってるよ!
★ もう絶対よ。手拍子入るところなんかモロじゃない。他にああいうダンスを踊る人はいない。
▲ 他にもうちょっといいお手本なかったのか?
◆ 別にまねしたわけじゃなく、ああなっちゃったんだと思うな。
● 前からこの人はプリプリしたお尻がたまらなくかわいいと思ってたが、目の前で尻ふられるともうたまんないっす! Take Thatも目じゃないぜ! あんなヤバいもの生まれて初めて見た! 公衆の面前でなんてことするんだー! こんな大勢の人が見ている前で!
▲ そういや、前から踊りたそうにはしてたよね。マイクの前でお尻むずむずして。
★ 「でもやっぱり恥ずかしいからやめておこう」って感じだったのに、何が起こったんだ、Paul Draper!
▲ 前からやってみたいとは思ってたものの、一度やってみたら楽しくて病みつきになってしまったという感じじゃない?
● それだけじゃない、それだけじゃないよー! 歌いながら踊るばかりか、間奏部ではなんか知らんがうれしそうにステージをぴょんぴょんはねまわる。
◆ スキップしてた(笑)。
★ それもうそー! 前は歌ってないときはさっさと引っ込んでしまうか、客席に背中向けたままだったのに。
● 変なパントマイムみたいなジェスチャーもする。観客をあおることも覚えた。おまけに口あけて笑う! 「笑うドレイパアくん」! これは猫にもできない芸当!(爆笑)
▲ 笑った顔もやっぱりかわいいじゃないか。これまで私が見た数少ない笑顔写真は、どれも口をむっと結んでたから不自然な感じだったけど、ちゃんと口あけて笑うとほんとにあどけなくて、とろけそうにかわいい。
● あ、それとちょっと前歯が出っ歯気味なのも発見。この人がいつも口とんがらしてるように見えるのはそのせい。
▲ そういや「ビーバーみたいな笑顔」とも書かれてたよね。
● それがまたかわいくってよー。
◆ もうあばたもえくぼだね。
▲ いや、ほんとにこの人はいわゆる整った美形じゃない。むしろファニー・フェイスだと思うよ。
★ そりゃ、顔があんなに小さくて、目があんなに大きいだけでも普通じゃないもん。
▲ しかし、いつも言うように、美は完全性にはないのだ。むしろ標準から外れて崩れた部分にこそあるもので。
◆ たしかに。

(第37章へ続く)