Mansun日記 第31章 (1998年12月)

1998年大回顧

《これは恒例の年中行事なのですが、なにしろとてつもなく長いので、皆さんの関心ないだろうと思われる部分はカットしてあります。番号が飛んでいるのはそのためです。それにこの年はMansunだけ先にやっちゃったので、あとはほとんどMansunとは関係ない話ですが、それでも英国音楽ファンの人には興味深い部分もあろうかと》

◆ さて、それでは今年も残り少なくなりましたが、ここらで1998年回顧へ行ってみようと思う。
● Mansun! Mansun! Mansun!
◆ だからMansunはもういいだろうっての!
▲ でもたしかにMansun以外なんにもない年だったからねえ。ていうか、私がMansun以外に目が行かないせいもあったけど。
● これでMansun除外したら、何も話すことがなくなっちゃう。
◆ いろいろあったでしょうが。Mary Chainのこととか、Lotus Eatersの復活とか。
★ それはもうさんざん書いたからいいよ。
◆ だったらMansunこそあれだけしゃべり倒してるのに。とにかく1年の締めくくりのけじめとして。

1. 英国紙誌ライターズ・ポール

◆ そこでさっそく恒例のポール結果を見てみよう。
▲ Mansunが1位じゃないポールなんか。
● ぜんぜん見る気が起きないね。
◆ むろん私個人は、アルバムもシングルもライブもぜーんぶMansunがNo.1だが(ビデオだけはちょっとね)、いちおう英国プレスが1998年をどう見たかの参考と資料として。今回は表にしてみました。各紙誌の上位5位までと、それ以外は私の気になるバンドだけ。

Writer's Poll Best Album

 
Artist / Title NME MM Select
Mercury Rev / Deserter's Songs 1 3 21
Air / Moon Safari 4 5 1
Catatonia / International Velvet 30 1 6
Beastie Boys / Hello Nasty 2 2 13
Pulp / This Is Hardcore 7 4 2
Beck / Mutations 3 6  
Belle & Sebastian / The Boy With The Arab Strap 15 7 3
Gomez / Bring It On 48 13 4
Fatboy Slim / You've Come A Long Way Baby 20 11 5
Massive Attack / Mezzanine 5 14 23
Manic Street Preachers / This Is My Truth 24 29 7
Michael Head / The Magical World Of Strands       11
Embrace / The Good Will Out 12 15   
Placebo / Without You I'm Nothing 25 24 14
Mansun / Six 49 23   
The Bluetones / Return To The Last Chance Saloon   31  
Rialto / Rialto    39  
 

2. ポール結果 − Mansun

● げっ!
★ うー‥‥
▲ 殺!
◆ ああ、みなさん、ここで取り乱さないように。
▲ 何よ、“Six”のこの順位は?!
◆ 確かあなた、昔はManicsの順位が低いと言って怒り狂ってたけど、そのManicsがすべてで1位を占めたら、またそれで怒り狂ってるくせに。
▲ Manicsだってここまでひどくなかった。
★ プレスに嫌われてるってのはほんとだったのね。
● 少なくともアルバム・リビューで星4つ半をつけたMMが23位ってのはひどいよね。
◆ アルバム・リビューってのは署名ライターの個人の評価だけど、これは本紙総合点だから。
▲ (荒れ狂って)順位なんぞ23位でも230位でも同じだ! それよりあのアルバムに1位以外を付けられる批評家の見識を疑う!
◆ 私はそんなもんだと思ってた。嫌われてるのも事実だし、あれはクリティックには理解されないよ。でもファンはわかってるからいいってのが、Paulの考えでしょ。
● でもいちおう寸評には‘a possible future classic’と書いてある。
▲ 将来どころか、今だって、昔だって、生まれる前からクラシックだったー!
★ それにくらべてNMEは下げてくるのは予想してたけど、49位(ポールは50位まで)というのは‥‥
◆ この順位に意味はない。これは「意地でも載せたくないけど、どうしても無視するわけにはいかない」というので困った場合の典型的なポジション。
● 50位はRobbieだしねえ。バカにしてる!
▲ 寸評は目を覆うばかりの酷評だし。
★ でもNMEはまだ載せるだけまし。Selectなんか完全無視だもん。
▲ もうSelectなんか買ってやらない!
◆ とにかく、どっちつかずの態度のMMは別として、ほかは徹底したアンチMansunを打ち出してきたわね。なんでそんなに嫌われるのかわからないけど。
● ルックスが良すぎるから。
★ 才能がありすぎるから。
▲ そんなのあるかよー!
◆ 私はまたアナクロでポップだからかと思ってたけど、それにしちゃDivine ComedyやSpaceは好かれてるしなあ。
★ だってああいうのとは出来が違いすぎる。やっぱり出る杭は打たれるのよ。
● Mansunを憎めるなんて人じゃないとしか思えないわ。ジャーナリスト殴ったり、殺すと毒づいたりもしないし、インタビューでもあんなにまじめでお行儀いいのに。
★ 自分らが騒ぎ立てる前に売れちゃったのが気に入らないんじゃないの?
▲ じゅうぶん騒いでたじゃないか!
★ しかしわからんなー。プレスとしちゃ、今はまさにポストOasis、Manicsの「スーパースター」がほしい頃合いでしょう? Mansunなんかまさにうってつけなのに。
● そう。すべてにおいて華があるし、目立つし、カルトだし、性格暗いし、詞は異常だし、普通ならイギリスでは無条件で愛されるタイプなのに。
★ 音楽だってポップで前衛で、耽美で攻撃的だし。ないものがない。
◆ だから何かひとつまかり間違えば、たちまち彼らの足元にひれ伏すって。
▲ まかり間違うってのは、Paulが精神病院に入れられたり失踪したりってこと?(冷笑)
◆ とにかく、ここまで憎まれるのは大物の証明だから。
▲ 余裕じゃないか。
◆ だってそれはManicsが証明したでしょう?
★ そのくせ両紙とも、記事では大々的に扱うのが姑息だ。
◆ だってパブリック・ディマンドには抗しきれないから。というわけで、我々ファンさえ支持してれば、プレスがなんと言おうとゴマメの歯ぎしりってわけよ。

3. ポール結果 − Manic Street Preachers

◆ それじゃMansun以外のところを見ていこう。
▲ 何よ! Manicsのこの順位は?!
● 今ごろ気がついたか。
★ Mansunで頭に血が上ってそっちまで見てないからね。
▲ (また頭に血が上る)“This Is My Truth Tell Me Yours”が両紙とも20位台ってのはどういうこと?!
★ あのお、あなた、あのアルバムについてはさんざん不平を言ってた本人なんじゃない?
▲ 私が不満を言うのは、それだけManicsを愛し、期待してるからで、他人がけなすのは許さーん!
● 勝手なやつ(笑)。
▲ Manicsを神棚に祭り上げたのは誰だよ?! この1年Manicsだけで食ってきたのは誰だよ?! 恩を徒で返すようなこの仕打ち!
★ たしかにこの1年、ウィークリーにManicsが載らない週はなかった。MMなんか‘No Manics Special Issue’なんてうたってたくらいで。
◆ これもほぼ予想通りだな。だいたい、いっぺん祭り上げたあとは引きずり下ろすってのがプレスの常套手段だから。SuedeだってOasisだって、それやられたでしょ。
▲ それにしたってこんな順位でいいアルバムじゃない!
● Manicsなんかまだいいよ。もう功なり名遂げてすべてのものを手に入れたんだから。Mansunのほうがずっとかわいそう。
▲ なにい?! まだまだこんなのManicsのふさわしい栄光じゃない! まだアメリカでブレイクしてないし。
● そうなったらとことん憎むくせに。
▲ 誰がManicsを憎むか!
★ ここで仲間割れしないでよ。でもこっちが順位を落とした理由は明々白々っていうか。やっぱりAOR‥‥
▲ ManicsはAORじゃない!
◆ (寸評を読む)「このアルバムで彼らは国民の心をつかみ、メインストリームのレコード購買層に浸透した」(MM)、「ソフト・メタルは忘れて、ワーキング・クラス・ヒーローであることの価値を実感すべきだ」(NME) やっぱりそういう目で見られてるわね。
▲ ちがーう! Manicsはそんなんじゃない!
● この上は、次のアルバムは“The Holy Bible”よりもっと気持ちの悪い、聴いた人が発狂するようなのを作るしかないね。
★ “Six”みたいなの?(笑)
◆ それでもさすが、記事量がいちばん多いのはManicsだ。勝てば官軍ってことね。
▲ でもそれには売れなきゃ。なのにプレスに総スカンくってたんじゃ、売れるものも売れない。
● だから“Six”は売れてるって言ってるじゃん!

4. ポール結果 − 上位組

▲ ところで総合トップのMercury Revって何よ?
◆ アメリカのバンドだな。ってことで守備範囲外なので知りません
★ 昔なら、「どんなのかちょっと聴いてみよう」と思うところだけど、Mansunがいるってのにアメリカン・バンドに手を出す必要なんてまるで感じないし、関心もわかない。
● 総合トップはAirじゃないの?
◆ これは金メダル方式で算出したので。(オリンピックの金メダル競争の順位の方式。Mercury Revは1位と3位があるのでAirより上なわけ)
★ Airは知ってるけど、あんなほんわかしただけの、手抜き音楽! 3か月後にはいなくなるのはわかってるのに!
▲ しかも、Mercury Rev、Air、Beastie Boys、Beckといったところはみんな外国人
● いきなり国粋主義(笑)。
▲ 昔からだ。Beastie Boysきらい! 大っきらい! Glastonburyのこと(Prodigyの“Smack My Bitch Up”にケチ付けた)があったのに、こんな高い点付けるプレスの見識を疑う!
◆ それもManicsを引き下ろした時点で予想がついたな。国産で超大物がいない場合、票が割れてアメリカの変なのが押し出されて1位になることはこれまでもよくあった。
▲ いるじゃないか、Manicsが!
★ 普通、プレスが2年連続で支持することはないからね。とにかく去年総なめにしたんだからもういいじゃない。
◆ 英国勢でトップに来たのはCatatoniaか。
▲ Catatoniaはいいよ。ただ、一番って感じじゃないだけで。
● Pulpが意外な健闘を見せましたね。
◆ PulpこそBrit Popの終焉とともに、とっくに終わったかと思ってたんだがなあ。少なくとも私は飽きた。
★ それからBelle & Sebastian。
● きらーい! 大っきらい! ネオアコの名を汚すやつめ!
▲ Gomezはまあ妥当なところ。
◆ 私はGomezがもうちょっと上に来ると思ってたけどな。オリジナリティという点で抜きん出てる。メガネくんってところも。
▲ GomezはMercury Prize取ったところで、ミュージック・ペーパーからは見捨てられたんでしょう。特にNME、Mansunのひとつ上の48位ってのは明らかないやがらせだ。
◆ ダンス勢で上位に入ったのは、Air、Fatboy Slim、Massive Attackか。意外と少ないな。今年もダンスは健闘したと思うのだが。
● Norman Cookの返り咲きは喜んであげたいが、Fatboy Slimはきらいだ。
★ Massive Attackが意外と票を集めたね。
◆ 格からいって当然じゃない。
★ いや、“Protection”の時が意外と低かったんで。どう考えても“Protection”のほうがはるかによかったと思うんだけどな。
▲ そういうめぐり合わせってのもあるんだよな。

6. ポール結果 − 下位組

◆ まあ、それはめでたい、ってことでポールに話を戻したいんだけど。
★ もう他はどうでもいいっす。
◆ そういうやる気のないこと言わないで。去年の新人王Embraceの評価が意外と低かったね。
▲ 新人王はStereophonicsでしょ。Embraceは二番手で。
● そういやStereophonicsの名前がない。
▲ 今年はアルバム出なかったんだよ。でもStereophonicsにとってはいい年だった。フェスティバルやなんかで見せ場を作ったし、Brit Awardsの新人賞取ったし。
★ Embraceはまあまあこんなところだと思うな。いいバンドだけど、それほど突出したものは感じられない。
◆ Placeboは?
▲ いてもいいけど(ビデオ好きだし)Mansunより上にくるのは許せない。
● Brian Molkoはやっぱりブスだと思う。Bluetonesの完全無視はどういうことだ? あれも将来を嘱望された新人だったのに。
★ “The Last Chance Saloon”はやはり一般には理解されないアルバムだと思う。そのくせ人気だけはあるってことで、MansunやShed Sevenが嫌われるのと同じ理由で干されてると見たね。
◆ 一方、97年の私のベスト新人はRialtoとSpearmintだったのだが、かろうじてRialtoがMMに入っているだけ。
● Spearmintは出たのがB面集だし。認められなくてもいいです。あれは私だけのベスト新人でけっこう。
★ 仕事してるんかな、あいつら? ほんとにアルバム出るんだろうか?
● どうせ、ここもオンライン直販でCD買うことになるだろうけど、それでいいです。
▲ もう達観してる(笑)。アルバム聴いてますます惚れ込んだSpearmintとは対称的に、Rialtoには失望させられたけどな。あれこそプレスには嫌われそうな歌謡曲なのに。
● ほかにもなんか大物が抜けてない?
★ Mary Chain‥‥
▲ うーむ‥‥
★ せっかくCreationに移籍したのに! “Munki”はすばらしかったのに! 私はこの日を待ってたのに!
◆ Mary Chainはイギリスじゃもう終わったバンドと見なされているようだねえ。むしろアメリカでのほうが人気が高いくらいで。
▲ 少なくともニュース種にはなって世間を騒がしたから、忘れられてはいない。
★ ああいうことでニュースになってほしくないよー! あーん!
◆ あとBernard ButlerとIan Brownの名前がどこにも見あたらないんだよ。どっちも鳴り物入りのカムバックだったのに。
● Ianはまああれ(後述)として、Bernardは批評家には好かれるかと思ってたのに。年の初めだったから印象が薄れたかな。
◆ まあ、Bernardはもうどうでもいいですけどね、来年のSuedeがこんな扱いだったら怒るよ。ということで、今年はそんなもんだ。
● やっぱりMansun以外の話だと盛り上がらない!
▲ 実際、私自身、今年はMansun以外ほとんどCD買ってないのも事実だけど。

7. 音楽誌クリスマス・イシュー

◆ しかしせっかくだからクリスマス・イシューも見るか。Mansunの話はもうやっちゃったから、Mansun以外の部分。
★ いちばん気になってたのは、「その年を代表する」ことになっている表紙。これが、NMEはManicsの“South Park”(後述)パロディ、MMはCatatoniaでした。
● しかしこれ!! パロディにもなんにもなってないじゃない! 3人が毛皮のえりのついたコート着てるだけで。おまけに看板が“South Wales”! まんまですがな!(爆笑)
▲ どうせ顔が丸いって言いたいんでしょ。
★ それより問題はJamesの「おやじ笑い」よ。どうしちゃったの、これ?
● どう見ても、できあがったドカチンおやじ(笑)。
▲ いいんだよ。Manicsはワーキング・クラスの代表なんだから、ドカチンでも。
★ この顔見てると、“The Everlasting”で泣かされたのがバカみたいな気がしてきちゃう。これならPaulの笑い顔のほうがまだましだ。
● Jimの笑顔を見せられて以来、「笑うミュージシャン」には過度に神経質になっている★であった(笑)。
★ (しみじみと)理屈ではわかってるつもりだったけど、Manicsって変わったんだねえ。もう昔のManicsはいないんだね。「世界一知的なバンド」はどこへ行ってしまったの?
▲ なんだよ、その言い草は! 労働者は知的じゃないとでも?
★ これならまだJimのほうがましだっていうか。
● もともと土方体型だから、その素質はあったんだけど、わずか4、5年でここまで変わるかね。その意味じゃPaulは安心。どんなになっても土方にだけはなりようがないから。
★ Jimだってそうだと思ってたんだよ。
● 今だって土方には見えないよ。せいぜいが、佐川急便のお兄さんくらいで。
★ えーん!
▲ 土方だってなんだって愛してるよ! あれだけ美しい歌が書け、あれだけ美しい歌が歌え、あれだけかっこいいギターが弾ける土方なら!
◆ ▲をからかうのはやめさないってば。
★ 私は本気よ。
◆ まあ、この中で絶対土方おやじになるはずがないのはSuedeだけですけどね。笑顔もすてきだし。
▲ さりげなく自慢をするな。
◆ それはそうと、片方がManicsを表紙にするのは確定的だから、もう片方が誰になるかというのを気にしてたんだけどね。
▲ 私はStereophonicsかと思ってた。
★ 土方顔のお兄ちゃんよりは女の子の方がまだましなんじゃないかい?
● あれはあれで土方姐ちゃんだが。
★ なんかウェールズの人ってやっぱり‥‥
▲ Mansunという期待もちょっぴり持ってたのだが。
◆ ところが実際はCatatoniaという、やや番狂わせ。
▲ さっきも言ったようにほんとにいいバンドだけどね、表紙になるようなタイプじゃないと思ってたのだが。
★ 私は女ボーカルのバンドはまともなバンドと認めないもん。
● それって差別よ。Cerysは大好き。歌うまいし、おばさん顔だし。
▲ 男は土方を差別するくせに!

8. Manic Street Preachers (NME)

◆ それじゃやっぱりManicsからか。
▲ もういいよ。Manicsの話もさんざんしたから。
★ あなたの一方的な言い分をいっぱい聞かされただけじゃない。本人たちの言い分も聞いてみたい。
● しかし、この記事、“The Holy Bible”なんてタイトルつけてるけど。
▲ 隔世の感があるよね。Jamesは変な色眼鏡(サングラスなんてものじゃない)かけてるし、Nickyは歯むき出して笑ってるし。
◆ そういうことでいちいち当たるのはよしなさいって。
▲ (ほとんど)変わらないのはSeanだけだ。
★ だってこの子、いつも黙ってうしろに立ってるだけなんだもん。
▲ 今は黙ってるのがいちばん賢そうに見えるな。
◆ だったら他の2人はバカかよ。NMEはそうは思ってないみたいよ。これはManicsの3人をThree Wise Menにたとえて、今年目立った著名人にどんな贈り物をあげたいかを訊くもの。それによって彼らがその人たちをどう見ているかがわかるわけ。
▲ 人の悪口いわないManicsなんてつまらないよ。
★ たしかに、Richeyがいたら痛烈な言葉で切りまくっただろうに、どれもやけに同情的ね。George Michaelに対しては、Jamesは開口一番「ぼくは彼にアメリカNo.1アルバムをあげたいね」なんて言って。
● (感動して)やさしい!
▲ やさしいManicsなんて!
◆ Nickyが言うには、「彼がバカなことをしたとは思わない。単に向こう見ずだっただけだ」って。
● Georgeは何も悪くないもん。
★ Nicky 「もうずっと前から彼がゲイなことはみんな知っていた。ただぼくのママはショックを受けてたけど」。
● 自分の息子は化粧してドレス着てるのに?(笑)
▲ Marilyn Mansonの悪口すら言ってない。
★ でもこれ、思いきりバカにしてるよ。「時代に追いつくために」RushのCDをあげるなんて言って。
▲ だけどビデオはおもしろいとかほめてるじゃないか。最近はけなすんでも、同時にフォローするんだよね。昔のManicsだったら‥‥
◆ ああ、もう昔話はいい。
▲ Courtney Loveも好きらしい。Jamesなんか彼女のために曲を書きたいなんて言ってる。げー。
● 女に甘いね。これが身内であるCatatoniaのCerys Matthewsになるとべたぼめ。「彼女はすべてを持っている。すばらしい声、すばらしい歌詞、すばらしいルックス‥‥」という調子で。
◆ それでCerysにはPrincess Of Walesの称号をあげるそうだ。
▲ それはけっこうだけども‥‥
● 悪口も言ってるじゃん。Beastie Boysは本当にきらいらしい。「音楽史上最も過大評価されたバンド」「うぬぼれで愚か」「どこがいいのかぜんぜんわからない」という調子で。
▲ それはまったく同感だけども、チベット・チャリティは尊敬すると言ってるじゃないか。よけいなこと言わなくてもいいのに。
◆ だってそれは立場上。Prodigyとの一件も気に入らなかったらしい。結論としてBeastie Boysにあげたいものは「良心」だそうだ。
▲ 良心なしでチャリティやってるのか?
★ やっぱつまんなかった。私はManicsがMansunのことどう思ってるのか聞きたかったのに。サポートやったんだしさ、MansunはあそこまでManicsに対する愛と忠誠を貫いてるんだから。
◆ 同じサポート・バンドでもMogwaiのことは聞いてるのにね。
▲ どうせほめるに決まってるから。Mansunへの賞賛なんか載せたくないから、NMEが意地悪したに決まってる!

9. Manic Street Preachers (Melody Maker)

● MMのほうは?
◆ それが2ページ・フィーチャーなんだけど、バンドのインタビューじゃなくて、「Manicsは裏切った(sold out)のか? それとも未だに90年代で最も重要なロックバンドなのか?」という、読者の論争を取り上げている。イラストもSALEと書かれた洋服屋のショーウィンドーに3人が並んでいるというもの。
▲ げーっ! それも悪意に満ちた企画! 読みたくない!
★ だから自分はさんざん言っといて‥‥
▲ 私はManicsが裏切ったなんて言ってない! “This Is My Truth”にはちょっと不満があるだけだ。
● それでなんだって?
◆ だから日和ったの、年とったの、Nickyの詞はRicheyほど魅力がないの、Richeyがいたらこんなことはしなかっただろうだとか、あんなことはさせなかっただろうだとか。もちろんのこと服装のことも言われてる。
★ 何も目新しい意見はないね。すべて▲にさんざん聞かされたことで。
▲ 私は‥‥!
◆ ちょっと意外に思ったのは他ならぬウェールズ人からナショナリズム批判が出てることくらいかな。「アンドラ旗をふりまわすのも星条旗をふりまわすのも、基本的には同じことだ」と言って。
▲ それは実際そうだと思うけど‥‥私もあのナショナリズムにはちょっと不快感を覚えていたけど‥‥
★ ウェールズ語も話せないくせにね。
▲ Nickyに言わせると「学ぶ機会を奪われた」んだそうだ。
◆ しかしKentにお住まいのDan Hardingさんの投書「本当いってManicsのシングルをどう考えたらいいのかわからない‥‥(中略)‥‥俺はただ信じ続けるための理由がほしいだけなのに。くそっ!」というのを読むとちょっと胸が痛みますね。
▲ ううっ‥‥
● それってまさに今の▲の心境そのものじゃない。Manicsはまだ特別なバンドだと信じたい。ここで何かひとつでも「しるし」を見せてくれれば、喜んでまたManicsの前にひれ伏すのに、なのに本人たちがそれを裏切るようなことばかりしてくれるってわけで。
▲ 人の気持ちを代弁してくれてありがとね(冷笑)。
★ それでMMの結論は?
◆ それが‥‥これは成功の代償であっていかんともしがたいと。Manicsは何か別のものに変わりつつあり、その変身が完成したあかつきには、どうせ誰も気にかけなくなるだろうって。
▲ うっ!
● そこまで言う?
★ でもそれって事実かもしれない。
◆ MMはこれでManicsを見捨てる気かねえ?
▲ もういいんだ! 私にはMansunがいるんだから。それに私はソフト・メタルもAORも好きなんだ!
● あーあ、これでまた傷が広がった。
★ なんかますます暗くなってこない?

10. クリスマス・イシューその他

● なんか明るい話題ないの?
◆ だからCatatoniaとかStereophonicsとかEmbraceとかの上り調子の若いバンドは明るいんじゃないか?
★ 今そんなの読む気にならない。だいたいこの人たちの言うことあまりおもしろくないし。
● そういや、定番のOasisはどこ行った?
◆ どっちも1ページ大の企画ものがあるだけね。
▲ ずいぶん冷たくないかい? Oasisは今年B面集が出たのに。
◆ だからこれはプレスが終わったとみなしたバンドに対する典型的扱いだよ。
▲ 終わったと決めつけたのは自分らじゃないか! そういや“This Is My Truth”について、「Oasisの“Be Here Now”と同じ失望を感じさせる」と書いたのを読んだぞ。Oasisはぜんぜん変わってないのに、自分らが飽きると、もう終わりだと勝手に決めてしまう。
◆ たしかにOasisのような音楽はある意味でタイムレスだけど、BlurやPulpのようなBrit Popこそとっくに終わってると思うけどな。
★ Brit Popはもう終わりだという特集もあったよ。
▲ それにRadioheadはどこ? Verveはどこ? 去年はあれだけ騒いだのに。
● 少なくともそういう人たちにくらべ、Mansunはこれだけでかい扱いなんだからいいとしなくちゃならないのかな。
★ 少なくとも、年々大きくなってはいるよね。来年は表紙だ!
▲ そういや、Suedeは? Suedeの記事がどこにもないじゃない。
◆ だってこの1年は本当に影も形もなかったもん。今年した仕事はNoel Cowardのカバーだけでしょ。もちろん待望のアルバムが出る来年は見ておれよ。そういや、両紙のクリスマス・イシューでSuedeに言及したのはなぜかNoel Gallagherただひとり。
▲ どうせろくな話じゃ‥‥
◆ それが驚いたことにそうじゃないんだ。「誕生パーティにいちばん呼びたくない人は?」という質問に、「Damon Albarn、キャセイ・パシフィックの社長(??)、Brett Anderson‥‥」と言いかけて、「いや、実を言うとBrett Andersonには会ってみたいんだ。だったらSpice Girlsの女にしとこう」だって。
★ 敵の敵は友と。
▲ どうせイヤミのつもりに違いない。
◆ いや、イヤミ言えるほど頭よくない。案外本音だと思うな。
● 意外といいやつかもしれない。
▲ だいたいこの三者の戦いをあおってたのはプレスじゃん。それがなくなればべつにいがみ合う理由もないわけで。
◆ Blur VS Oasis、Blur VS Suedeのしこりは残ってるわよ。よってこの二者が共同戦線を張れば、Blurなんぞ何するものぞ。
★ 自分であおってるんじゃないかー。

12. 1998年総括 − ウェールズの年

◆ だったら、この辺で簡単にまとめておくか。私にとっては一も二もなくMansunの年だったけど、一般的に見れば‥‥
▲ ウェールズ全英制覇。これっきゃないでしょう。今年のシーンを引っぱったManics、Catatonia、Stereophonicsのような大物、あとSuper Furry Animals、Gorkys Zygotic Mynci、60 Ft Dollsといった中堅、それに出番を待ってる新人は数知れずってわけで、ウェルシュにあらずんばバンドにあらずっていう感じの年だった。
● それは大げさだと思うけど、たしかにManics以前、思い浮かぶウェールズ人ってTom JonesとGreenくらいだった。
◆ それくらい音楽的辺境だったんだよねえ。
▲ それを変えたのはManicsだ。偉大なバンドってのは地元の後続にも影響を与えるんだよね。Manicsがいるおかげで、「だったら俺も!」といって名乗りをあげるウェルシュ・バンドが増えたわけで。もちろんManicsのほうも、そういう新人を大事に守り育てたけど。
★ さっきのナショナリズム批判はどこ行っちゃったんですか? だからManicsがつぶれても、あとを継ぐ新人が育ってるから大丈夫ってこと?
▲ そこまでは言ってない! でもシーンの活況ってのはそうやって作られていくんだ。Manchesterがそうだったし、Bristolもそうでしょう。
● すると近い将来、Chesterから大物アーティストが続々と‥‥
★ それはどうかなあ‥‥とにかく「これからは西だ!」というのは私のお題目でもあったわけで。ただしそれはEMFを念頭に置いてたんだけど。
▲ Chesterだってウェールズに近いじゃないか。Paulはウェールズ育ちだし。
★ 強引な理屈。
◆ ウェールズはいいんだけどねえ、この人らは色気がないなあ。今のManicsも含めて、剛毅で純朴でたくましくて骨太で元気なのはいいが、繊細さというものがねえ。
● 美少年もいない。
▲ だってRicheyは? Greenは?
● そういう例外は別として。同じケルト系でもスコットランドは美少年の宝庫なのに。
◆ そこでやっぱりChesterの出番なわけね。
▲ とにかくウェールズは偉大なんだ!

15. 今年の逮捕者 − Ian Brown

◆ 実はGeorge Michaelの話はここでやるつもりだったのだが、746章で詳しくやってしまったので、それ以外だな。
▲ 実はまだ他にも大物がいるんだよね。Ian Brown。
★ こっちは何やったの?
◆ 日本語でなんと言うのか知らないが、飛行機の中でスチュワーデスと機長を脅して、飛行の安全を妨げた罪で捕まった。人命がかかっているだけに罰も重くて、4か月の実刑。今はStrangewaysにいる。
● ハイジャックでもしたんですか?(笑)
◆ いや、なんでもスチュワーデスの態度が気に入らないので腹を立て、「手をちょん切ってやる」とすごんだうえ、操縦室へ行ってドアをドンドンたたいて騒いだとか。
● バカだー!
★ 思い上がってるんじゃないの? サルのくせに。
▲ さっきNoelがキャセイ・パシフィックがどうのこうのと言ってたのはそのこと?
◆ いや飛行機はBAだったそうだが。
▲ でもその程度で実刑? ほんとに切ったわけじゃないんでしょ?
◆ あたりまえだ。
▲ それはいくらなんでも重すぎるんじゃないの?
★ 飛行機会社は世界的に乗客の暴力行為に対して神経質になってるんだよ。酔ってスチュワーデスにからんだり暴れたりするやつって多いらしい。
◆ その矢先だし、特に有名人だからスケープゴートにされたっていう説もあるけどね。
● だったらGeorgeと同じでかわいそうじゃない。
◆ でもGeorgeには同情的だった世間は、Ianにはかなり冷たい。こっちはどう見ても自業自得だし。
▲ Georgeの事件はむしろ彼にとってはプラスだったけど、これはキャリア的にも痛いよねえ。ソロ・キャリアを軌道に乗せようという矢先だったのに。
◆ 実はIanはその前にもホモフォービア発言でかなり評判を落としていたのだ。Divine Comedyの“Marvellous Party”のリビューで、「イギリス人のホモ好きって理解できない。暴力を産んだのはローマ人とナチとギリシア人だったけど、あいつらはみんなホモだったぜ」と発言したため。
● いつもの話だが、ホモだとばれるのはむしろ有利で、ホモ嫌いだと知れるととたんに総スカンなのはなんでだ?!
◆ イギリス人はホモ好きだから。
★ ところでNeil Hannonってゲイなの?
◆ さあ、見かけは見るからにそうだが、私は知らない。あのNoel Cowardトリビュートに参加したのは何もゲイばかりとは限らないからね。
★ しかし実刑判決はRob Collins以来だね。これだからManchester者は‥‥
◆ Manchesterといえば、BezがGlastonburyで逮捕された。麻薬の密売の嫌疑で。こっちは証拠がなくて無罪放免だったけど。
★ Manchesterバンドがいるかぎり、Strangewaysは大繁盛。
● だったらなんでShaun RyderやLiam Gallagherが大手を振ってシャバを歩いてるんだよ!
▲ あの人たちは引っぱられるのはしょっちゅうだけど、そこまでドジ踏まないみたいね。
★ もう慣れてるから(笑)。

19. インターネットについて

◆ 悪いけど、涙にくれるのはあとにして。これじゃ本当に80年代回顧になってしまう。
● だからインターネット接続は私の今年最大のイベントだからいいんだよ。
★ 絶対得るものは大きいだろうと思っていたし、ハマるとは思っていたけど、まさかここまでとは。
◆ 唯一悔やまれるのは、なんでもっと早くやらなかったかということだよな。
▲ でもインターネットが本当に成熟してきたのはここ数年でしょ? ちょうどいい時期だったんじゃないかな。実際、私が接続してから、みるみるうちにサイトも増えてるし。
◆ でも私が見ないままに消えていったサイトもあるだろうと思うと。
★ でも見てるとわかるけど、古いサイトよりは比較的新しいサイトの方がずっと充実してるよ。最初はみんな手探りでやってたのがよくわかる。
◆ 70年代、80年代にこれがあったらなあ。〈これの前の章で80年代の話が続いたので、気持ちがノスタルジア・モードに入っている〉 あの頃は情報入手にどれだけ苦労していたかを思うと。今なんて英語メディアはすべて手に入るし、みんなバンバン来日するし、イギリス行くのも夢じゃないのに。
▲ でもいい。80年代にはMansunはなかったもん。Mansunの誕生と成長に立ち会っていられるなら、ほかのすべてを犠牲にしても惜しくない。
◆ たしかにChadのギターは下手するとMichaelより美しいし、Paulの歌はBillyに匹敵するし‥‥
● 90年代に生きててよかった!
▲ (ちょっとしんみりして)私が永遠に生きられないことを何より悲しく思うのはこういうときね。科学は確実に進歩するし、音楽も進歩する。なのに、私は決して2100年代のバンドは見られないのかと思うと。
◆ ぜーたくな悩みじゃないかと思いますが。
★ そのころには音楽ビデオなんか、ネットからオン・デマンドで、等身大3Dホログラムかなんかで見られるんだろうな。
● それでブートレッグ市場にはミュージシャンの違法クローンが出回ってたりして!
◆ 今だって、ちっちゃなリアル・ビデオならオン・デマンドで見られるよ。それだってほんの数年前には夢の夢だったんだよ。
▲ でも2100年にはPaul Draperはいない。やっぱり私は今この時代に生きてて幸せだ。
● 愛だよなあ、愛。
◆ ぜんぜんなんの話かわからなくなってきた!(笑)と言ってるそばから‥‥

21. 雑誌事情

★ そういやあれ、いつもの雑誌事情やってない。
▲ でも特に言うほどの変化はないんだな。なにしろインターネットの圧倒的な情報量の前には、ペーパー・メディアはすっかりかすんじゃって。
◆ でも雑誌は雑誌で大切、ってのはいつも言ってることで、いちおうおさらい。
● いま毎月買ってる洋雑誌はDazed & ConfusedとSelectだけ。ミュージック・ペーパーはMansunが載ったときだけ買う。ただ、しょっちゅうMansunの名前だけは表紙にあるのに、中味はただのコンサート・リビューだったり、悪口だったりするので、買ってから激怒することも多い。
◆ まあ、今に見てろって。そのうちみんなしてMansunの足元にひれ伏すんだから。
★ でもそうなってもSelectは意地でも載せないんじゃない? けっこう調子のいいウィークリーと違って、あそこのMansun嫌いは本当に徹底している。100号記念の1998年回顧にも載せなかったし、1999年展望の号にも載せなかったし。
▲ でも毎月どこかには載ってるんだけど、これがものすごい悪口雑言
● もうSelectなんか買ってやらない!と毎月思うんだけど、それ以外の部分はやっぱりおもしろいんだな、これが。
◆ SuedeやManicsには好意的だしね。
▲ ちなみに、2月号には「1998年で最も許せなかったもの」のひとつとして“Six”のスリーブがあげられている。「音楽の中味は(たとえ吐き気がするとしても)笑えるが、Marillionスタイルのカバーアートは絶対に許しがたい」だって。
● それはあんたがさんざん言ってくれたことじゃないの! スリーブがダサいとかなんとか!
▲ そこまでひどくない! それに日本から帰ったあとは、また国内の小都市をまわるツアーをやるんだけど、それについてはこんな調子。「セカンド・アルバムはしばしば有望新人にスタジアムへの道を開くものだが、Mansunの“Six”は、この仏頂面の4人組をやや後退させ、イギリスの誰も知らないど田舎をまわる、スケールダウンしたツアーへの道を切り開いた」
★ (激怒して)スタジアムでやることもできるのに、あえて地方のファンのためにそういうドサまわりツアーもするのがMansunのいちばんえらいところじゃないか! これはファンをバカにしてるし、地方もバカにしてるし、これこそ許せない暴言だよ! 編集長クビにしろ!
◆ まあまあ。悪口言われるのも大物の証明だから。
● でもこの言い方はない。
▲ 絶賛してるからわかってるってもんでもないし。まあこの抵抗を最後まで続けられたら、むしろえらいと思う。
★ あんたたち、なんでそんな余裕もってられるのよ?
◆ Mansunの力を信じてるから(きっぱり)。まあ、Selectはいいや。音楽関係はそれだけ。
▲ だってほかにまともな雑誌がないんだもの。
★ やっぱりインターネットに食われたな
● でも雑誌は雑誌でないと困る。
★ いや、私がっていうんじゃなく、これまで雑誌買ってた層がインターネットから情報もらえるとなれば、わざわざお金出して買わなくなっちゃうでしょう。
● イギリスのパソコン普及率ってそんなに高い?
▲ 知らないけど、自宅になくても学校や職場からアクセスしてる人は多いよ。
◆ これも活字文化の衰退の表れか。
★ でもウェブサイトだって活字だよ。写真もあるし。
● 私は印刷された写真がほしいの。雑誌に求めるのはもはやそれだけと言ってもいい。
★ それもMansunが載ってるのだけ。
◆ Dazed & Confusedは?
▲ こっちはもう全面支持。本当に全盛期のThe FaceやBlitzを思わせる、格調と質の高さと先進性・攻撃性・ラディカルさで群を抜いてる。
● 願わくはメイン・ストリームのバンドももう少し取り上げてほしいのだが。ここが取り上げる音楽って、無名の新人ばっかりでしょ。
◆ Mansunが載らないっての? それは無理だよ。この種の雑誌でMansunが載らなくても文句は言えない。
▲ あと、イギリスの音楽誌が減ったぶん日本の雑誌を買うようになって、ロッキングオン、クロスビート、スヌーザーはけっこう買ってる。
● Mansunが載ってるから。
★ 実に明解な論理(笑)。
▲ しかしこうなると、実にむだだなあと思うのは、ミュージック・ウィークリー。読者層も完全に同じ、まったく同じジャンルの新聞を、同じ出版社が、毎週同じ日に出してなんになるわけ? せめて一方は週刊誌にすべきだよ。音楽週刊誌ってほかにないし。《実際Melody Makerはそうなりましたね》
★ 他にないのは売れないからじゃない?
▲ でも新聞2誌出しても収支とれてるんでしょ? ならなんで?
● 新聞のほうが安上がりなのかな?
◆ 確かに読者としては週刊誌1冊ぶんの値段で2紙買えるとは言えるかもね。
▲ でもこの時代にわざわざ新聞買うのはマニアだけだぜ。それにマニアは質の高いものを求めてるのに。

22. “South Park”

★ はやりものという点では“South Park”。NMEの表紙もそうだったし、フィーチャーにもなってる。
▲ あれ、私はてっきりイギリスのアニメかと思ってたんだけど、アメリカ産だったのね。だけどイギリスでバカ受け。
◆ インタビューじゃ作者自身がこれはすごく英国的だし、自分たちもMonty Pythonとかの英国ユーモアに影響を受けたと言っている。リップ・サービスかもしれないけど。
▲ “Simpsons”はアメリカ的すぎる。こっちの方がたしかにイギリスっぽいし、イギリス人の好みみたい。
● 見たこともないのによく言うよ。
★ もう輸入ビデオがVirginに入ってたよ。すでに隠れたブームになってる。
◆ Kennyっていういつもフードをかぶったキャラクターがいるんだけど、その子が毎回死ぬんだって。それもむちゃくちゃ残酷な殺され方で。唐沢なをきの「柏木さん」みたいだ!
● Grey Lantern On Lineの“Chester Park”に‘They killed star!’というのがあったけど、あれって‘They killed Kenny!’という決め文句のパロディだったのね。
▲ しかも、ちゃんと“Take It Easy Chiken”に引っかけてある。うまいな。
● しかもGrey Lantern On Lineは早かったな。“Chester Park”がアップされたのって、こんなにブームになる前でしょ?
★ それに似合いすぎ。Manicsはかなり無理があるけど、Mansunならあの格好似合う。いつもコート着てるし。
◆ そういや、Paulはいつもフードのついた服着てる! ちなみに私もそれがかわいいと思ったのでフードに凝ってるが。
▲ それにあれって主人公は4人組の男の子なんだよね。
● やっぱりNMEはMansunを表紙にすべきだったよー!

《その後“South Park”は見ましたが、そんなに大騒ぎするほどおもしろいとも思わなかったな。確かにブラックで身も蓋もないところはいいけど、その一方で「小学生ギャグ」(ウンコとかゲロとか)が鼻についちゃって》

◆ そろそろ話題も尽きてきたってことで、あとは新年のリーダーズ・ポール待ちだな。
● そう、この1年、ファンの声をとことん無視しくさってこれにファンがどう応えるか、見ておれよ! 特にセックス・シンボルは何があってもゆずれないわ。
★ 誰もわかってくれなくてもいいんじゃなかったの?(笑)
◆ とにかくファンの評価はあんなもんじゃないはず。それもMMのポールには期待している。Manicsが一般大衆にブレイクしたのもMMのリーダーズ・ポールからだったし。
★ 確かに、“Six”がMansunの“The Holy Bible”だとしたら、考えられなくもないんですがね。
▲ それにこういう漁夫の利みたいな言い方はしたくないけど、今年は狙い目でしょう。ライターズでもわかるように、大物がいないからね。
★ ファン投票ならまだ圧倒的に強いはずのManicsは?
▲ ミュージック・ペーパーとヒット・チャートは別物よ。
◆ まるでManics人気が失速するのを期待してるような口ぶりだな。
● その方がいいんじゃない? 一度お灸をすえたほうが。
▲ Mansunのためなら、私は何を犠牲にしても惜しくないね。
★ とか言ってて、Placeboに負けたりするとダメージでかいから、あまり熱くならないほうが‥‥

23. まとめ

◆ それじゃあとはMMのリーダーズ・ポール待ちってことで、そっちは『Mansunつるべ打ち』でやることにして、そろそろ今年もまとめと行きたいんだけど。まずは今年の予想から。
● Mansunはもうすぐライブ・ビデオが出るでしょ。今までになくポップだというシングル“Six”が売れに売れ、ついにシングル・チャートで初のNo.1を獲得。それにつられて、アルバムもさらに売り上げをのばす。今年の夏のフェスティバルでは初のトリをつとめ、年内に発表されるであろうサード・アルバムは99年のベスト・アルバムに選ばれ、各種音楽賞も独り占め。そしてミレニアムを代表するバンドとして、千年紀の幕を閉じる
◆ それは予想じゃなくて願望でしょ!
★ 千年に一度の大物ですか。大きく出たね。
▲ 私は本当にそう信じてるよ。
◆ Mansun以外では? 私はもちろんSuedeの新作と、それにNew Orderの新作にも期待。Suedeは5月頃を予定しているようだが、タイトルは最初の文字がHとしか明かされていない。なんでもこれから1字ずつ公表していくんだって。
★ 何をもったいぶってる?
▲ でもそれだけでもニュースになるあたり、さすが大物だね。
● 私はShackともちろんLotus Eatersの新譜に期待。日本にもぜひ来てほしい。
★ げー! 私だけ明るい夢がない! 私はえーと、Reid兄弟が早く仲直りしてくれることだけ。それとLKも解散したそうなので、EMF再結成も近いんじゃないかと。
● あんただけ暗いんだよ。▲は?
▲ 私はもうMansunさえいてくれれば、何も思い残すことないです。
◆ 遠慮しないで言っちゃえば? この年間回顧に書いたことは実現するというジンクスもあるし。
▲ でも‥‥
● 言いなさいよ、ほら!
▲ ‥‥Richeyが生きて元気でいることがわかること。それと当面は、1月のMansunと2月のManicsのコンサートにも期待している。
★ そういえば‥‥もうすぐMansun来るんじゃない!
● げーっ! 忘れてた!
◆ 忘れるなよ!
● インターネットほじくり返したり、新聞買うのに大わらわで‥‥
▲ もうすぐ本人に会えるってのに!
★ だってとても現実のこととは思えないですもの。
● やったー!
◆ というわけで、今年は明るい年が迎えられそうです。
● とにかく今年もMansunの年だ! 行け行けMansun!