Mansun 解散 その1

◆ とうとう来るものがきてしまいました。そこで本人(じゅんこ)がダメになってしまってるので、こういうときこそ頼りになる我々四重人格がフォローしようと思います。
● 死にたい‥‥
▲ これぐらいまだましだよ。死んだり、失踪するよりは!
◆ おまえらはろくでもないことばっかり言うなー! フォローになってない!
▲ いちばんこたえるのはやっぱり自殺だよなー。私はそれに何度も耐えてきたんだから、愛する人に自殺されることにくらべたら、解散ぐらい‥‥
★ 「解散」の2文字には、これまでもさんざんつらい、悲しい思いをさせられてきましたけどねえ。Mansunは特別だったよね。
◆ 確かに。だからこそここまでしてきたわけだけど。
▲ Mansunのおかげで私は人生変わったもんなー。仕事辞めたのも元をただせばMansunのせいと言えなくもないし。
● Mansunは永遠に不滅と信じてたのに! それこそ20年でも30年でも語り継がれ、愛されるバンドになると信じたからここまでついてきたのに!
▲ あまりにあっけない結末でしたな。
● 死にたい‥‥

★ それよりあの人(じゅんこ)だいじょぶなんですか?
◆ いちおう仕事は待ってくれないのでやってるけど、魂が抜けたみたいになっちゃって、パソコンから離れるとユーレイみたいにぼーっとして歩きまわってる。
▲ ほとんどMansunがレゾンデートルだったもんなー。彼女が生まれたのはMansunファンになってからだったし。
◆ おっと、読者のために解説しておくと、「じゅんこ」ってやつもあくまでも鈴木順子の中の一人格に過ぎないんですからね。
▲ 言うなればインターネット上で生まれた人格だわね。私らがワープロ上で生まれた人格なのといっしょで。
★ 手書きのころからいるよ。要するに日記の中で生まれたってだけ。つまり、我々はMansun登場以前からやってるから、まだダメージが浅いと。
● 浅くないよ! みんなどれだけMansunに狂ったか忘れたの?!

◆ 忘れちゃおらんよ。だからこうやってMansunをしのんで「じゅんこ」や他のファンのみんなを元気づけようと。でも今さら何を話せばいいのか。ああーっ!
▲ あなたまで取り乱してちゃしょうがないでしょ。私は平気よ。あれ(Richeyのことを言っている)を乗り越えたんだからこれぐらい。

★ とりあえず第一報から始めればいいんじゃないですか?
◆ まあそういうわけで、オフィシャルからの正式な発表を今か今かと待ってたんだけど、いっこうにその気配がないので待ちくたびれていたころ‥‥
▲ はっきり言ってどこまで予測していた?
◆ 五分五分だったね。楽観的な予想としては、Parlophoneを首になったということだろうと。悲観的には解散の可能性も50%はあると。残念なことにそっちが的中しちゃったけど。
● 私は信じてなかった! Mansunが解散するなんてあるはずがない! そんなの絶対認めない!
▲ あんたはそうだろうけど、私はある意味、デビューしたときからこの日が来ることは覚悟してたよ。
● どういう意味よ、それ?
▲ 私は悲観論者なので、ある意味どんなバンドでもそうなんだけどね。永遠に続くものは何もないし。
★ いいものにはなんでも終わりがあるんだよね。
▲ 特にあんなデビュー・アルバムを作ってしまうと、これはもうファースト1枚で終わるか、あるいはとてつもない大物になるだろうと。
● どっちもはずれじゃん。
▲ まあ、“Little Kix”は蛇足だったから。
● あれがラスト・アルバムかよー! くやしい! 情けない!
★ よく「後のないアルバム」って言い方するじゃない。“Six”はまさにその後のないアルバムだったし。
▲ “Little Kix”は?
★ あれはなかったことにする。
▲ “The Holy Bible”はまさに後のないアルバムだったけど、おかげでRicheyもああいうことになったけど、Manicsは生きのびたぞ。
● だからあの人たちの生命力は異常だって。
◆ でも“Little Kix”で終わったなら、「Mansunももう限界だったんだな」と思うところなんだけど、新曲を聴いちゃったからなあ。
★ そういうものなんですよね、解散って。「なんで今この時に!」と思うときに限って。
▲ でもまだ傷は浅いよ。解散というと、泥沼になってのあげくってことが多いけど、Mansunは安らかに逝ったから。
◆ そういう縁起でもない言い方をするなー!
★ 確かにねえ。沈みかかった船から逃げ出すようにメンバーがボロボロ抜けていったり、あるいはメンバー同士がいがみあって修羅場を演じたり、そういうのは見ないですんだ。
● 慰めにならんわ。だいたい陰で何が起こってたかは知るよしもないし。

◆ 話を戻す! それで第一報をもたらしてくれたのは、皮肉なことにStrangelove Recordsのお客さんだった。
▲ 私はてっきりオフィシャル・サイトからニュースレターが来るものと思ってたんだけど、そういや最近あれもまったく機能してなかったな。
★ でもこの人が涙が出るほどいい人なんだよー。アメリカのMikeっていう男の子で、去年初めて“Grey Lantern”を買ってMansunを知ったっていうファンなの。私がDesperate Iconsの運営者だってことも知らなかったぐらいの。しかも私からシングル2枚買っただけの縁(それもまだ届いていない)なのに、何かと思ったら、「ニュースは聞いたと思うけど、あまり気を落とさないで」という慰めのメールなの。
◆ ほんとありがたいです。昨日の日記(2003年5月2日)にじゅんこも書いてたけど、本当に我々はそういう方々のおかげで生かされているようなもんで。

▲ おっと、そう言ってる間に第2弾が届いたぞ。でも何これ?
◆ うーん? “the band who should have/and could have.......”という意味深なタイトルで、本文は「Mansunを応援してくれてありがとう。本当にすばらしいサイトだ」というだけ。
● だけど署名がEdward Draperになってる! EdwardったらPaulのミドルネームじゃない。
▲ 単なるハンドルでしょ。
● でもこんなやつ知らんぞ。Desperate Iconsにメールくれるのは今ではほとんど常連さんや友達だけなのに。
★ まさか本人?
▲ まさかー。でも万一ってこともあるから返事は出しておいたけどね。

● とにかく第一印象は悲しいとかなんとかいうより「裏切られた!」というもの。
▲ そりゃー、ないんじゃない?
● だってひどすぎるよ! 私みたいなファナティックなファンは大勢いるのを知っていながら、なんで解散なんてできるの!
★ そういうファンの存在もかなり重荷には違いないけど。何がいけなかったんだろ?
◆ そういうことはもっと情報が入ってから考えればいい。
▲ いちおうオフィシャルでDaveが書いてるのは、「友好的な解散」だってことだけなんだけど。
● そんなのいつもの決まり文句じゃない!
★ NMEが何か言ってない?
◆ そうだ、見てみよう。

(以下NMEニュースから引用)

Mansun解散へ

バンドは去年1年間、ニューアルバムのレコーディングに専念していた。フロントマンのPaul Draperが昨年5月、NMEに語ったところによると、すでに15曲の新曲を完成していたと言う。
しかしながら彼らは「このバンドの寿命は尽きた」と判断し、「終わりにする」ことに決めた。
バンドのスポークスマンはこう語る。「8年近くいっしょにやってきたすえ、彼らはMansunはつとめを終えたと考え、別の道へ進むときだと判断した」
ギタリストのDominic Chadはこう付け加える。 「別に裏でなんかあったとかいうわけじゃないんだよ。ごく友好的な解散で。ぼくらはただそれぞれが別のことをやりたかっただけなんだ」

◆ ちなみにこれはほとんどDaveの記事からの引用。それにDaveが付け加えているのは、Chadからのファンに対する感謝とおわびの言葉だけ。
▲ 別のことってなんなのよ?
◆ Stoveはレーシング・ドライバーの道へ進みたいんだそうだ。Andieは自分の農場で家族と暮らしたいって。
● PaulとChadは??
◆ それは何も書いてないな。Paulに至っては、「休暇旅行に出ていてコンタクトが取れないし、いつ帰るかもわからない」そうで。
▲ 逃げたな。
● やっぱり逃げなきゃならないような理由があったわけ!???

▲ 私はそう思う。「友好的な解散」なんてたいていは表向きだけ。だいたい友好的なら解散する必要なんかないんだし、それならそれでもっと早くにちゃんとした発表があってしかるべきだ。少なくともスポークスマン任せになんかしないで、Paulは堂々とファンに向き合って説明するべきだし。
● えー、やっぱりー?
◆ どっちにしろPaulが争点というのは間違いないね、私の長い経験から言って。こういうほとんどワンマンに近いバンド、おまけに人一倍我の強いフロントマンを持つバンドが解散するのは、間違いなくフロントマンとその他大勢の対立のせいだよ。
● それじゃPaulが悪いみたいじゃない。
◆ そうとは言ってない。これには2パターンあって、ひとつはフロントマンがその重圧に負けてしまって、あるいは単に才能が枯渇してしまってやる気をなくす場合、もうひとつはフロントマンはやる気満々なのに、他のやつらが思うようについてこないのにフラストレーションがたまって爆発する場合。
● 後者じゃなかったら殺す。
▲ ていうか、そっちしか考えられない。Draperくんのお人柄から言って。
◆ 曲はガンガン書いてたし、レコーディングも進んでたんだから少なくとも才能の枯渇ってことはありえないよね。それにStoveとAndieは音楽稼業から足を洗うと言っているところを見ると、後者の可能性大。
★ でもStoveとAndieがもうバンドやりたくないって言うんなら、彼らがやめればすむことじゃない。
▲ だからなんか紛糾したんだろうなと。特にアルバム完成を目前にしての解散っていうのは、よほどなんかあったに違いない。
● ChadがPaulを見捨てるってことは考えられないんだけどなー。
★ Paul、かわいそう。
▲ どっちがかわいそうか知らないけど、少なくとも我々はそれを見ないですんだだけよかったじゃない。Clashの末期みたいなゴタゴタは見ているだけで耐えられなかったもん。

▲ とにかく、私がこれまで愛した人たちは何があってもそれを乗り越えて、いい音楽を作り続けてきた。ManicsはRicheyの失踪を乗り越えたし、New OrderはIanの自殺を乗り越えたし、Depeche ModeもDaveの度重なる自殺未遂を乗り越えたし、あとはこの後、どこまでできるかってことだよな。
★ Paulがってことでしょう? ギタリストはバンド解散したら終わりってのは歴史が証明してるし。
● Chadのあのギターがもう聴けないなんて! ひどい、ひどすぎる!
★ あの二人だけは離れないでほしいね。
● Paulは死ぬまで歌い続けなくちゃ殺す!
▲ 死んだら歌えないでしょうが(苦笑)。
★ それができないなら死んじまえってことよね。
◆ そっちのほうがひどい!

▲ 結局問題はPaulの去就だけだよな。彼、音楽続ける気はあるのかしら?
◆ あることを祈るしかない。とにかくあれだけの才能を埋もれさせるのはあまりに惜しい。
▲ まだ楽観はできないよ。そういう人に限って、あっさりバイバイってこともよくあるんだから。
● 私は彼を信じてるわ!

(この後まだまだ続く)