Mansun日記 第24章 (1998年9月)

MANSUNつるべ打ち(5)

1. 夏枯れのこと

● えーん! つまらないよー! “Six”が出たらメディアにはMansunがあふれるなんて誰が言ったんだよー!
◆ 自分じゃないか。
● なのにMansunサイトはこのところちっとも更新されてないし、プレスでフィーチャーになったのはThe GuardianとUncutだけ! これはどういうこと?! なんでみんな騒がないの?!
◆ サイトの更新がないのは、たぶん今が向こうは新学期の始まりだからじゃないかな。ウェブマスターは大学生が多いから。中には試験で大変だった人もいるだろうし。
● 学校がなんだよー! Mansunの方が大切だよー!
◆ 自分は何なんだ(笑)。
● だったらプレスに載らないのは? 特にNMEとMM! Mansunの新譜が出たのに、ものの見事に無視しやがって! 特にMelody Maker! リビューじゃあれだけ絶賛しておいて、無視ってのは何、無視ってのは?! 憎まれてるってのは本当なのかしら? 毎週広告出してやってるのは誰だと思ってんだ!
◆ あのねえ、少しは人の都合というのも考えたら? インタビュー申し込んだって、断られちゃしょうがないじゃないか。なにしろあれだけ狂的に働いてちゃ、そんな暇がないのかもしれない。Paulはインタビュー嫌いだし。
● えー(不満顔)。だいたいNMEは卑怯だよ。フィーチャーには絶対しないくせに、いつも表紙のどこかに必ずMansunとうたってる。Mansunの名前を出せば売れると思って‥‥実際、それにつられて買ってるけど。
◆ あとさ、メディアは新聞雑誌だけじゃないってことも忘れないでよ。音楽紙としては、毎週テレビに出てるやつなんか、わざわざ取り上げるまでもないって考え方もできる。
● キー! くやしい! そんなの見られるやつがいるなんて許せない!
◆ なんでそうぼやくのよ。あんなすばらしいアルバムを出してくれただけでもいいじゃない。どうせまたこの後もシングルがつるべ打ちに出るし。(次のシングルには“Negative”が決定している)
● 私はPaulが見たいの! 最近のPaulはまったく外れがない! っていうか、ほんとに見るたび美しくなっている! 今が旬なのよ。このチャンスにできるだけ写真集めておかないと‥‥
◆ おかないとどうなんだよ?
● 美少年の命は短いんだから。
◆ なるほどRoddyの写真を見てショックを受けたから、旬のうちに骨までしゃぶっておこうという魂胆だな。
● 違う! でもあたらあれだけの美貌を持て余してるなんて、もったいないというか、資源のむだ使いっていうか。
◆ 誰が何を持て余してるって?(笑)
● あとさ、もしかしてSelectってもうないんじゃない?
◆ なんで?
● Selectのウェブ・サイトがなくなってるのよ。
◆ ほんとに? サイトは一時的に不通になることってよくあるよ。もしかして閉じたのかもしれないし。
● それにもう長いこと新刊見てないと思わない?
◆ あのPlaceboの表紙のがあるじゃない。
● あれ出たのもうずいぶん前だって。それっきりどこにも入ってない。
◆ そんなバカな。あれ何月号だった?
● 10月号。
◆ だったら新しいじゃない。
● だって雑誌は先の日付つけるじゃない。
◆ 確かSelectは月初めの発売で、翌月の日付をつけるんじゃ‥‥だったら、9月に出たってことでしょ。それでまだ10月になってないんだから。
● 翌々月じゃなかったか? とにかくもう1か月以上見てないのは確か。あれには“Six”のリビューが載ってて、まだ買う前だったから8月の終わりに買ったんだもん。
◆ えー?
● ああ! Selectがなくなったら、もう英国誌は全滅じゃないか! もう二度とMansunを(英国誌で)きれいな写真で見ることはできないのか!
◆ そんな‥‥だったら発売日が変わったんじゃないか? それになんらかの理由で入荷が遅れることもあるし。あなた、変に疑心暗鬼になってない?
● だってMansun見たいんだもん!

2. ウェブ夢の話

● ああ、おかげで変な夢見ちゃった。
◆ どんな?
● 朝起きて、いつものようにMansunのオフィシャル・サイトに接続したんだよ。(最近は仕事のため朝が早いので、5時や6時にインターネットに接続するというバカなことをやっている) そしたら、ギャラリーが更新されてて、新しいページができてるの。「やったー!」と言って、さっそく保存して、今度はSound Offを見たら、こっちもPaulからの新しいメッセージが届いてるの。ところが、その中に私の名前が出てくるんだよ
◆ なんで!
● たぶんいつものファンへの感謝の言葉だと思う。だけど、今回は名指しで5、6人のファンの名前が並んでるんだけど、私の名前がいちばん最初にあるの。おまけに名前と併記して、私のメール・アドレスまで載っててさ、おまけにリンクまで張ってあるの。
◆ べつにそれほど変じゃないじゃない。
● いや、夢にしちゃリアルすぎるところが変なんだよ。それで私はうれしいとかなんとかいうより、こういうところに個人のアドレス公開しちゃうのは、プライバシーの侵害なんじゃないかと思って、ウェブマスターに苦情のメールを書こうかなんて思っているうちに、もしかして、これってぜんぶ夢なんじゃないかと思い始めて、「まさか!」と思いながらも、もう一度開いてみたら、サイトは前夜見たまんまで、もちろん新しい写真ページも、新しいメッセージもないの。それで、なんだ、やっぱり夢だったのかと。
◆ ちょっと待ってよ。どこからどこまでが夢で、いつ目が覚めたんだよ?
● それがわからないから不気味なんじゃない。早朝目が覚めてインターネットに接続したのは現実なんだけど、それをしながら眠って夢を見ていたのか、それともそういう夢を見て、まだ眠ったまま起きあがって、パソコン立ち上げて接続したのかがわからない。
◆ それじゃまるで夢遊病じゃん!
● 私はもともとその素質はあるから、それくらい平気でやりますけどね。
◆ そういや、眠ったまま電話をとってしゃべるという特技もあるな。最近、寝不足だし、私のいっとう苦手な早朝だから、何があっても不思議じゃないけど。
● とにかくすごいリアルなんだよ。更新された2ページ以外は、隅々まで現実のMansunサイトのまんまでさ。もちろん部屋の様子とかも何もおかしいところなくて。ただ、今にしてみるとおかしいなと思うのは、そのPaulのメッセージ、ちゃんと英語で書かれてるんだけど、読もうとしてもどうしても意味がつかめないのね。でも、起きたばかりで頭がぼんやりしている時って、よくそういうことあるから、とりあえずテキストに落としておいてあとで読もうと思ったんだけど、目がさめてから捜したら、どこにもそんなものは残ってなかった。
◆ 当たり前じゃん。
● それに写真も、もちろん私は一度も見たことのないもので、Pennie Smithの写真なことは一目でわかるんだけど、なんかはっきりしないのね。それで、これもやっぱり起き抜けで目がショボショボしてるし、サムネールが小さいせいだと納得して、これもわざわざ開かずにその場でハードディスクに保存したんだけど、それも残ってなかった。
◆ だから当たり前だって! 夢で落としたデータが現実にあったら、そのほうがこわい。
● こわくなんかないよ。こうやってだんだん現実と夢がまざりあって、そのうち私の夢がすべて現実になったらいいな。
◆ そうなったらキチガイっていうんだよ。夢だからいいようなもんの。だいたい、どうせ夢に見るなら、どうしてもっと楽しい夢を見ない? そんなケチくさいんじゃなくて。
● そうなのよ。それがくやしくて。これだけ鮮明な現実感のある夢なんだからさ、どうせなら玄関のチャイムがピンポンと鳴って、出てみたらPaul本人が宅急便で届けられてるくらいの‥‥
(玄関チャイムがピンポンと鳴る)
◆ あ、郵便屋さんだ!(走って出る)
● げっ! げげーっ!!(本気であわてる) まさか、これも夢? まだ終わってないのか?! だったらせっかくここまで書いたのもまたパーか?

3. Push Posters

◆ (戻ってきて)わーい! もう届いた!
● (◆の抱えている包みを見て)Paul本人にしちゃ、ずいぶん細長いな。
◆ バカ! これはPush Postersに注文してあったMansunのポスターだよ。
● あー、またボケやった。本人がポスターに化けちゃった。
◆ いつまで寝ぼけてるんだよ!
● あんた、わざとやってるんでしょ。こういう話してた時にMansunのポスターが届くなんてタイミングが良すぎる。
◆ どうすりゃわざとできるんだよ。私だってこんなに早いとは思わなかった。
● これ、いつ注文したの?
◆ 火曜日(今日は日曜日)。オーダーのメール出してからたったの5日で届いちゃった。Push Postersからは何度も買ってるけど、郵便使ってたときはたいてい1か月くらいかかったのに! これぞインターネットの威力!
● 確か、Eメールでクレジットカード番号送るのは危険だからしないって言ってなかった? セキュリティ保護のあるページからしか注文はしないって。
◆ 原則としてはそうなんだけどさ、たまたまPush Postersのサイトでこれ見て、ほしいと思ったとたん、何も考えずにメール書いてた。
● ウェブ中毒だけじゃ足りずに、クレジット地獄に陥るぞ、そんなことやってると。
◆ だって欲しかったんだもーん!
● 何買ったの?
◆ Mansunの“Six”と“Legacy”のポスター。あとSuedeの“Sci-Fi Lullabies”と、Mansunのコンサート・フォト。ほんとはいちばん欲しかったのはSuedeで、“Sci-Fi Lullabies”のプロモ・ポスターはずっと捜してたんだけどなくて、やっと見つけたんだよね。
● えー、見せて見せて!
◆ げっ! でけえ!
● そんなのわかって注文してるんだろうに。
◆ そりゃそうだが、実際、家で広げてみないとどれだけでかいかわからないんだよ。1m×1.5mなんだけど。
● どっちもプロモ・ポスターなのね。
◆ うむ。Mansunのようにルックスのいい(それにスリーブがあまりよくない)バンドは、むしろメンバー写真のほうが欲しかったのだが、そういうのはなかったのでね。それであった中じゃこれがポスターとしていちばんデザインが良さそうだったので。どっちもエポックメイキングなアルバムでありシングルだし。
● “Legacy”はメンバー写真じゃないか。もっともこれだけでかいとちょっと恥ずかしいけど。しかしバカにした“Six”は、これだけの大きさだとえらい迫力でかっこいいじゃありませんか。
◆ ところが悲しいことに、うちにはこんなでかいもの貼れる壁も、広げられる床もない。そんなわけで今はしかたなくベッドの上に広げて鑑賞してるんだけど。
● これじゃ寝る場所がない!
◆ ああ、一生に一度でいいから、持ってるポスター(全部とは言わないけど、4、5枚でも)貼れる家に住みたいよ
● Suedeはなにしろ写真とデザインがいいから文句なしなんだけど、こっちは小さいのね。
◆ MansunとSuedeは逆のサイズで良かったんだけどな。
● コンサート・フォトってのは?
◆ 別送便ですぐ送るというメモがついてる。Glastonburyのやつなんだ。
● わー、楽しみ!
◆ Glastonburyの写真はネットから落としたのがいっぱいあるんだが。
● ネットから落としたちっぽけなビデオ・キャプチャー画像と、生写真とじゃえらい違いだよー。そういや、コンサート・フォトってManics以来買ってないね。あれきれいだし、他じゃ見られない写真ばっかりだし、ポスターにくらべると安いし、絶対おいしいよ。
◆ それもそうか。Push PostersにはMansunはこれしかなかったんだけど、ネットでもっと捜してみよう。
● とか言ってるまにクレジット地獄が(笑)。