Mansun日記第16章 (1998年8月)

MANSUNつるべ打ち(1)

Mansun on Media

1. Crossbeat (September 1998)

● どわあああ〜!
▲ おおー!
★ うわー!
◆ というわけで来日が待望されるMansunですが、考えてみたらMansunはただ来日するだけじゃない。もうすぐ待望のニュー・アルバムがリリースされるわけで、ということはつまり、これから新聞雑誌には待望のMansun情報があふれかえるわけだ。インターネットは毎日のようにアップデートされてるから、ついそっちのほうを忘れていた。でも電子情報ばかりが情報ではないというわけで、リリース前、来日前の前哨戦として、しばらく各メディアのMansun情報を追ってみようと思う。とか言って、これまでも逐一やってるような気もするが。
● なんであんただけ平静なのよ?!
◆ みんなでアワアワ騒いでたってしょうがないじゃないか。
★ えー、何を泡食ってるかと言いますと、クロスビート9月号のMansunフィーチャーを見たからなのだ。
● とにかくこの写真がもう!
★ ここまでお耽美して恥ずかしくないの?!
▲ 日本の雑誌はバカにしていたけど、写真があるんでやめられない。この手の写真は向こうじゃなかなか見られないよね。ちなみにフォトグラファーは小松陽祐。
● だからねー、これだけ目の覚めるような「美少年」なんだから、きれいなカラーでアップで撮ってやればどんなにかって前から言ってたのに!
▲ そういや、Mansunのオフィシャル・フォトって、4人並んだ、いかにも営業用っていう写真ばかり。Paulのアップってなかったよね。
● もったいない。これだけの素材を!
★ 前のロッキンオンの「フランス人形写真」(第6章参照)にもドギモを抜かれたけど、これはそれ以上!
◆ きれいだわあ。
● きれいなんてもんじゃないわよ。口で形容するのはむずかしいのだが、薄青いフィルターかけたPaulのアップで、全体に雪が降ってるの。
◆ べつに写真はどうってことないと思うんですがね、写ってる人が普通じゃないのね。
★ Ice Queenならぬ、氷のプリンスって感じ。
 白雪姫のようだ。
▲ どういう比喩だ!
● だったら「白雪王子」だ。
▲ 確かに、この冷たい美しさは彼独特だ。
◆ ●が言ってた「Brettみたいな髪型」ってのはこのことか。
● うん。基本形は変わらないんだけど、前髪を右側だけ長く残して、目にかけてるの。
◆ Brettはおでこを出してたし、前髪はあごぐらいまであったよ。べつに似てない。
★ でもこれは意識してるよね。この鬼太郎ヘアっていうか花形ヘアっていうか。
▲ そういや、Glastonburyでもこうだった。
● でもこの髪は邪魔! 前髪を目にかけるな。せっかくのきれいなお目々が隠れちゃうじゃないか。片っぽでもこれだけきれいなのに、両目が見えたらどんなだろ? ほんとに目がつぶれちゃいそう!
★ モノクロの連続写真もいいよね。Chadとのツーショットもいいし。というところで、あらためてPaul Draperのルックス徹底解剖やってみようと思います。
◆ もうさんざんやってるじゃない。だいたい、私と▲が6章でくわしくやったし。
▲ セルロイドのような肌、キラキラ光目、氷のような無表情ってことね。
● でも見るたびに発見がある。なにしろ毎回顔が変わるもんで。

▲ (しみじみと)しかし奇遇だよなあ。
★ 何が?
▲ Mansunというのは私にとってすごく特別なバンドで、それこそ顔なんかぶちゃむくれでも、二目と見られないバケモノみたいな形相でも、無条件で好きになったはずじゃない。
◆ 確かに。実際、最初は顔なんかぜんぜん好きじゃなかったし。
● 私は最初からかわいいと思ってたよ。
▲ なのにそれがこんな美少年だったなんて。それも、他の誰でもない、リード・シンガーでフロントマンで、すべての曲と詞を書き、プロデュースまでしているPaul Draperが。
◆ あふれんばかりの才能というものは自ずと顔にも現れるのよ。
▲ きれいなことは知ってたが、もしかしてこの人、私たちの歴代の美少年コレクションの中でも5本の指に入るんじゃない?
★ 私もそう思う。
◆ 私はべつに、この人はそんなびっくりするほどの美少年だとは思わない
▲ 意外な反応。
★ Neilがいちばんって言いたいんでしょ。
◆ そりゃもちろん「美少年」としてはNeil Codlingにかなう者はいないが、そうでなくても、この人はアラがありすぎるよ。
● どこに!
◆ 口がぽってりしすぎてるし、たれ目だし、目がでかすぎるし、まつげも長すぎるし、ブロンドだし‥‥
● そんなの欠点じゃないじゃない! ふっくらした唇はセクシーだし、よくこの目に文句がつけられるわね!
◆ 背低いし、足短いし‥‥
★ それ言ったらSylvianなんてそのままじゃない。
● でも目がつぶれるほど美しかったことに違いあるまい。
★ だいたい面食いの女王◆がPaulのルックスに文句言うなんて。
◆ だって私はルックスでファンになったわけじゃないって最初から言ってるでしょ。あくまでも純粋に音楽に惚れたからで。
★ だいたい写真見て買ったくせに。
● それも最悪の「Midge Ure時代」の写真。
▲ これはあれよ。みんなが騒ぐから、「自分のもの」だと思ってた◆はすねてるだけよ。
◆ 本気だってば! きれいじゃないとは言わないよ。だけど絶世の美少年ってほどじゃないと思ってるだけ。その形容はむしろNeilのものだ。
★ 十分タメだと思う。美しさでも妖精っぽさでも。
● そうそう、Neilは初めから妖精タイプだと思ってたけど、この子だってこの世のものじゃないよね。
◆ だからそこまで行かないって。Paulはあくまで人間よ。生で見たときの印象を思い出してよ。Neilは卒倒するほど驚いたけど、Paulはそれほどでもなかった。
● ◆はまだPaulよりJohnny Deanのほうが美しいと思ってるんじゃないの?
▲ ケッ!(笑)
◆ そんなこと誰も言ってない! Johnnyは化粧落としたらただの人だったけど、この子はスッピンでもこれだけきれいだし。
★ これはやっぱりいつものあれじゃない? ◆▲と●★との男の子の好みの差よ。私たちは少女のような美少年を好むけど、◆▲はもっと大人っぽい、男っぽい男が好みでしょ。
● でも最初に美少年だって言い出したの▲だよ。
★ おかしいな。これもRichey効果で男の好みが変わったかな?
▲ よけいなお世話だ。だいたい私は元から面食いだ。Clashほど美しいバンドはいなかったのを忘れてほしくないんだけど。

● ここで仲間割れしてもしょうがない。そこで上から順に解剖。まずは髪だけど、最近この色で固定しているところ見ると、やっぱりこれが地色かな?
★ これなんて言うの? やっぱりブロンド?
◆ 厳密に言えばライト・ブラウン。日光やライトが当たると金色に見えるけど、ブロンドじゃない。
▲ さっきはブロンドだから嫌いと言った。
◆ 私は黒髪が好きなだけだ。
★ でもこの色がいいんだよ。やっぱりこれがいちばん似合う。
● 髪質も細くて柔らかそう。
★ でもいつもモシャモシャになってる。これがまたかわいいんだけど。
▲ 髪が細くて軽すぎると、すぐそうなっちゃうんだよ。
★ おでこは‥‥
▲ ほとんど前髪下ろしてるから見えない。でもオールバックは最悪だった。この手の顔の人は絶対おでこ見せちゃいけない。Neilも同じ。
◆ ほっといてよ。
● 眉毛も濃いめだけど、色が薄いのと、すっとまっすぐなのでうるさくない。
★ 眉はむしろもっと黒いぐらいでいい。色が薄いとないみたいに見えるから。この写真は眉が黒っぽく見えるので、アクセントになっている。眉墨つけなさい。
◆ いや、髪が淡色なのに眉毛が黒々した人ってきらい。Damon Albarnがそうじゃない。
▲ それで目だよな。前に◆が言ってたように、この人は目がすべてと言ってもいいのだが。
● 澄み切ったブルーの、宝石のようなキラキラ目。
◆ シャム猫のような目だな。
★ あ、それそれ! 一目見たときからこの人は猫だと思ってたけど、言われてみるとシャム猫だ。ペルシャ猫の目もきれいだけど、シャムより鈍くておっとりしている。きれいだけど、冷たくて鋭い目はシャム猫そっくり。
● ほっそりして優美で、気位が高そうなところもシャムだよね。
▲ トカゲじゃなかったの?
● その形容はやはりNeil Codlingの独占でしょう。生まれついてのトカゲ男。
◆ なんかほめられてんだかけなされてんだかわからんな。Neilだって猫の目だよ。
★ でも全体の雰囲気がトカゲだ。
● Paulって、つい丸めてくちゃくちゃにして抱きしめたくなる、毛むくじゃらの生き物って感じがするところも猫っぽいでしょ。
▲ そんなことしたら引っかかれそう。
● 引っかかれてもいい。いやがるのを無理やり押さえつけて‥‥はあはあ‥‥
◆ 変なところで興奮しないように。
★ 確かに関節も柔らかそうだ。Neilはやっぱり丸めるのは無理でしょ。トカゲだから。
◆ なんの話だか(笑)。その毛むくじゃらってところはどう?
★ この人は絶対肌を見せないのでわからないのだが、やっぱり相当毛深そう。アップの写真をよくよく観察すると、喉元にもうぶ毛が生えてるし。
● だから、これだけまつげ長い人は体毛だって濃くてもしょうがないんだってば。でもこの際、クマでもいい。“Six”のシンボルのひとつは『クマのプーさん』だそうだし。
▲ 『クマのプーさん』とタオイズムについてのアルバムだと聞いたぞ(笑)。
◆ ああ、そういうのはいい。またでたらめ言うんだし、あくまで自分の耳で聴いて判断したい。今はルックスの話に絞ろう。少なくとも毛の色が薄いから、体毛濃くてもあまり不潔感がないということは言えるな。
● 毛むくじゃらのほうがかわいいよー。
◆ どこまで行ったっけ?
★ 目の話。
● まつげ長ーい。
★ でもやっぱり色が薄いし、まつげも柔らかそうで、くしゃくしゃっとなっちゃうので、マスカラは絶対つけたほうがいいよ。
▲ 私はナチュラルなほうが好き。これでマスカラ付けると、ますますフランス人形みたいで人工的な感じになっちゃうから。
● ロッキンオンのときはやっぱりマスカラつけてたよね。
◆ この人は華やかな顔立ちのわりに淡泊で寂しい感じがするので、多少の化粧はしたほうがいいと思っていたが、この写真はきれいだね。湖のような青い目に、淡いまつげが薄もやのように影を落として。
★ すごい形容!
◆ 次は鼻。この形がちょっとね。
★ 鼻の形はいいよ。
● かわいいじゃん!“Ski Jump Nose”。
◆ 鼻梁が高すぎる。
▲ ギリシア彫刻みたいじゃん。
◆ だからそのギリシア鼻があまり好きじゃないの。だから正面顔はまったく気にならないんだけど、横顔はあまり好きじゃない。それと口、口がちょっとフグだし。
▲ それはChadのことでしょう?
◆ Chadほどじゃないけど、この人もちょっとその気がある。下唇が厚すぎるし、鼻の下が長すぎるし、口全体が出っ張りすぎてるし。これも横顔の輪郭を損ねている。
★ 細かいことを!
● 口もかわいいよ。特にいつものようにむっとへの字に引き結んでるんじゃなくて、こういうふうに半開きにしていると、むちゃくちゃセクシー。
▲ 口のこと言ったら、Neilのほうが変じゃない。最初カッパに見えたのもそのせいだし。
★ ていうか、口の形はNeilとよく似ている。ふっくらして大きいところと、受け口気味なところも。
◆ だからほんのわずかな瑕だけど、決してRoddyみたいな完璧な美形じゃないってこと。
● だったら言ってやるけど、あごは完璧だよ。このあごが好きなんだ。ほっそりして丸くて小さくて。
▲ 西洋人の男にはめずらしいタイプ。この子が女の子みたいに見えるのはこの華奢なあごのせいかもしれないな。
★ しかも、いつも横にいるChadが巨大なあごの持ち主だから、よけい差が際だつ。
▲ Morrissey & Marrみたい。
● あー、その比喩当たってる! 顔はぜんぜん似てないけど、あごの形は。そうか、Marrが女の子みたいに見えたのもそのせいか。
◆ でもChadって、ロック界きってのあご男Morrisseyよりあごでかくないかい? 目はこの人も女の子みたいにぱっちりしてるのに。
★ あごより宍戸錠みたいなほっぺたが気になる。
● 悪いけど、顔の下半分なければとはいつも思う。
★ 顔の大きさの違いもかなりのもんだよ。並んでいても遠近感ついてしまう。
◆ それはPaulが極端な小顔だからよ。グループ写真ではたいてい彼がいちばん前面に立つんだけど、それでようやくバランスが取れてる。
▲ ほんとだー、顔小さい! 肩細い! それで背低いのにスタイルよく見えるのか。
◆ 足はやっぱり短いけど。
★ 目鼻口はかなり大きめなのにね。
● だから顔中目ばっかりみたいに見えるんだ。
▲ そういや、あのほっぺたの話はどうなったんだ? この写真じゃ頬もぺたんこに見えるぞ。太ったなんて誰が言ったんだ? こんなに細いのに。
◆ あー、それは考えたんだけど、この人は口の端がぷくっとしているので、角度によってはふくれっつらに見えるのね。とり・みきの描くタキタさんみたいなの。
★ そこまでひどくないよー!
● それはChadでしょう? この子はこれがかわいいんだい。とにかくあごの線は完璧よ。そういや、Neilはあご男だという噂もあるぞ。どっかのブスが「あんな四角い顔したやつ見たことない」とか憎まれ口たたいてた。
◆ 正確にはNeilはchinじゃなくてjawの部分が角張ってるの。これは気品があっていい。
★ トカゲだからあごがでかいのはしょうがないよ。
● その点、Paulは顔の輪郭も完璧な卵形で文句ないね。
▲ そしてそれに続く華奢な首。そこから下はほとんど見たことないので知らない。
★ 細いよねえ。
◆ Neilほどじゃない。
● あの人はまた極端だってば。中味が入ってるんだろうか?と思ってしまう。
▲ Paulも細いけど、ガリガリって感じじゃない。肉なんかわりとふっくらしてるんだけど、骨が細い感じ。なんかすべてが小作りで華奢にできてるのね。この体でよくあのハードワークが勤まるな。
★ いかにも脆くはかなげなところがいいよね。
▲ 脆すぎてこわれてしまわなければいいが。
◆ だからおまえは不吉なことを言うなって。

2. In Rock (September 1998)

● えーっ、Mansunって7月にプロモーション来日してたんだ! インロックを見て知ったんだけど。
▲ 結局買ってるのな。
★ 道理で。なんで日本人カメラマンが撮った新しい写真があるんだろうと不思議に思ってたんだ。
◆ えー、その時の行状記が載ってるのだが、あの猛暑の最中、コート姿で来日したPaulは(イギリスは寒かったんだそうだ)、イギリスを発ったときから風邪気味だったのだが、日本ですっかり風邪をこじらせてしまい、40度の熱を出して、ほとんどホテルで寝たきり状態だったという。
● かわいそー!
★ だから無理するなっていうのに!
▲ ‥‥あの人が40度の熱だしてベッドで苦しんでるところなんて、さぞかし色‥‥
● きちゃまー! 性懲りもなくまだそういうこと言うか!
▲ 風邪くらいいいじゃないかよー! 想像しただけでドキドキする。あの蒼白なほおをバラ色に染めて、うるんだ目をして、息づかいも荒く‥‥
● 人の不幸を楽しむな! もうこいつ下ろして! やめさせて!
◆ まあまあ。▲もやめなさい。
▲ 私はただ、そういうPaulを看病してあげたいなーと。
● 嘘ばっか。▲に看病させたら、顔に枕押しつけるとか、病人に砒素を盛るとか‥‥
▲ 誰がするか!
★ じゃあどうするの?
▲ 私はただ、ベッドの脇にすわって彼の手をとり、やさしく額をなでながら、苦しむ顔をながめていたいだけだ
● そっちの方が変態だよー!
◆ やめなさいってば!
★ やっぱり見た目通り体も弱いんでしょうか?
◆ マネージャーが言うには「精神的にも肉体的にもfragile」だそうだ。
▲ やーっぱり!
● 喜ぶな! あの長旅で、時差があって、しかも気候が極端に違う国へ来れば、病気しないほうが不思議だよ。体験から言って。
★ でも、本当に大丈夫なのかねえ?
◆ いちおう医者にかかって、帰る頃には元気になったそうだけど。
▲ 休めば治るんだから肉体的にはそれほど心配してないけど、むしろ精神的にいつかポッキリ行くんじゃないかと思うと、私は心配で心配で‥‥
◆ あんたが心配するとろくなことにならないんだから、よけいな心配はするな。
▲ だって働き過ぎだよ。それでまた9月に来るの? もう来なくていいよ! 日本なんて遠いんだから。
● 困るよ!
▲ だからコンサートはやってほしいけど、プロモーションなんかしないでいい。しなくても日本でなら売れるから。
◆ そうか?
★ まあ、あのクロスビートの写真だけでも新たなファンを千人は獲得したな。
▲ 美形のイギリス人バンドなら、どんなのでも絶対売れるんだからさ。
◆ 9月は1回しかできないけど、来年になったら地方も含めたフル・ツアーをやりたいとも言ってるな。
▲ だからいいってのに! それじゃいつ休むんだよ? 死んじゃうよ!
◆ そういうことを言うなって!
● ふーむ、するとこれは風邪ひき美人か。とても具合わるそうには見えないな。
▲ でもインロックのほうの、ボサボサ頭に無精ひげは病み上がりっぽい。
★ 大丈夫よ。まだ目に輝きがあるから。本当にだめになってくると目がうつろになって死んでくる。
◆ おまえもそういうことを言うな!
▲ 目はもともとうつろだし死んでるという気も‥‥
● でも絶対きれいになった。インロックの写真は去年のと並べてあるんだけど、たとえヨレヨレの格好していても、今のほうが絶対きれい。
◆ お? 「Nirvana時代」の記事もあるじゃないか。こんなの持ってたんだ。これは初来日のときのだな。
● どっかから出てきたんだよね。まだ髪が長くて、アイシャドーをつけてる。
▲ これはこれで味があるが、でもやっぱり別人だなー。
★ やだー、こんなの。今のほうが絶対いい。
◆ まだスタイル・コンシャスだった時代なんで、穴あきシャツなんか着てる。
● そこからかいま見える肌は‥‥白ーい!
▲ そういや色白って言うのを忘れてた。典型的な「生まれてから一度も陽に当たったことのない北方人」の肌だな。それも人形のように見える理由のひとつ。
◆ 雪のように白い肌。ほんとに白雪姫みたい。
★ なんか今日の◆は比喩が狂ってない?
● でも、これだけ色の白い人は「血のように赤い唇」のはずなのだが、彼は唇も色薄いね。
▲ 全身が漂白したように薄いんだよ。

★ ほかに行状記でおもしろい話ないの?
◆ Paulはほとんど果ててる状態なんであまり。他の3人も「どこか行きたいところあります?」と言われても、「べつに‥‥」だし。
▲ 本当に音楽やる以外、能がないのか?
● 初めて連れて行かれたカラオケは気に入ったようだけど。Paulなんか最初は後込みしていたくせに、すっかり乗ってしまって、ホテルへの帰り道もずっと“Daydream Believer”を歌っていたそうだ。
★ 聴きたい! 今度カバーしてほしい!
● あと、やっぱり多少変だなあと思ったのは、ほら、えーと、タイトル忘れたんだけど、“Dr Strangelove”の最後に流れる曲で、「ある晴れた日に、また会いましょう」っていう曲あるじゃない。
▲ このライターは「誰の曲かわからないんだけど」なんて書いてる。“Dr Strangelove”見てないな。
● とにかく、Paulは帰りの空港ロビーでいきなりあれを歌い出して、見送りの日本人担当者に「おまえも歌え」と強要するんだって。
◆ 空港の人混みの中で、それもあの無表情で(笑)。
● それでしょうがないから歌ったら、他のメンバーのところへ連れていって「もう一度歌え」って言うんだって(笑)。そしたら他のメンバーも真顔で合唱するんだそうだ。よくわからーん!
★ なんかよく知らないが、とにかく歌ってさえいればご機嫌なのね。
● 表情ないから、ご機嫌なのか不機嫌なのかわからないんですがね。
★ しかし、最後のほうは具合がよくなって笑顔も見られるようになったとキャプションにあるけど、これが笑顔なの?
◆ だからかすかに口の端が持ち上がってるし、かすかに歯が見えてるし。
● インターネットで見たあの「笑顔写真」とおんなじじゃん!
▲ やっぱりこれしかできないのか? 笑わない人は山ほど見てきたけど、それは単にカメラの前では笑わないだけで、笑えない人ってのは初めてだ。
★ 顔面麻痺か?
● 顔の筋肉が未発達なんじゃないの?
★ やっぱりトカゲじゃん!(笑)
▲ これが精一杯の笑顔なんだろうね。動物の中で笑えるのは人間だけだが、この人の「笑顔」を見ていると、まるで動物か宇宙人が無理して人間の笑い方を模倣しているように見える。
★ やっぱり人間じゃなかったか(笑)。

3. Melody Maker (August 15 1998)

▲ なんだよ、MMはMansunが表紙じゃないの?
◆ それはアルバム出てからでしょう。これはReading前のほんの埋め草。Readingの号の表紙はMansunにしろよ!
★ 誰がトップビルなの?
◆ Page & Plant、Beastie Boys、Garbage。Mansunは初日の3番目でAshの次。
● おえええ〜!
▲ 去年はManicsとSuedeだったのに! なんという違い!
◆ 確かにManics、Suede、Oasis、Pulp、Radiohead、Verveらのトップクラスは出ないけど、おいしいバンドはそろったよ。2日目はProdigyとSupergrassが出るし、3日目はNew Order、Bluetones、Shed Seven、Divine Comedy、Geneが出るし。Melody Maker StageのトップビルはSuper Furry Animals、Travis、Spiritualizedだし。
★ ProdigyがBeastieの前座?
◆ 「外タレ」だからじゃない?(笑)
▲ Beastieの前座やるくらいなら、まだPage & Plantのほうがましだ。かつては偉大だったこともある人たちだし。
★ だったらNew OrderがGarbageの前座ってほうが納得できない。
◆ それは時代の推移ってものじゃない? なにしろもう5年以上レコード作ってなくて、この地位を維持しているだけでも驚き。
▲ 今に見てろよ。必ずや来年か再来年にはMansunがトップビルになると予言してやるから。
◆ それはけっこうだが、とりあえず今はMMの記事の話。
● ああ、この写真はもうネットで見た。Millenium Dome(2000年式典のためにLondon郊外に建てられたドーム)の前でポーズ取ってるの。
◆ 今から言っておくが、私は西暦2000年はここで迎えるからね。《だめでした‥‥(-_-;)》
★ でも2000年式典に出演の決まったミュージシャンはPeter Gabrielだと言って思いきりバカにしてるよ。
◆ まあ、それはテレビでもいいが。とにかくLondonで迎えるという意味。それでMansunに21世紀を語らせようという企画だったらしいが、話の内容はこんな調子。

MM 「でも夜見たらきれいなんじゃないですか?」
Stove 「ああ、見えない時のほうがね」
Paul 「それできっと最後は駐車場か何かになるんだぜ。『千年紀駐車場』だ。“Car Park 2000”(Pulpの曲名のもじり)だ。駐車の祝祭空間だよ」
MM 「まあ、少なくとも駐車場というのは20世紀特有の現象ですからね。たぶん21世紀には、みんな卵形のエアカーで飛びまわるようになるんでしょうから」
Paul 「昔は渋滞なんてなかったんだろうな。駐車場ってのはたぶん、誰かが地面をロープで区切って、『ここに車を停めるな』と言ったときに始まったんだぜ。そうやって需要を作り出したわけ。車が発明される前は、どうやって馬を停めてたんだろう?」
Chad 「つなぐんだよ。柱に」
Paul 「それで盗まれなかったのか?」
Chad 「持ち主も馬といっしょにいたんだよ、たぶん」

★ もろにやる気のないインタビュー(笑)。
▲ 「俺たちに明日はない、昨日もない」って言ってる人に、21世紀を語らせるほうが無理なんだよ。
◆ とにかく音楽以外にはまったく関心ないのがよくわかります。
★ その音楽の話は?
◆ アルバム聴く前にあまり先入観入れたくないんで。ニュー・シングルは“Being A Girl”というタイトルで、「女の子になりたい」という意味深な歌詞らしいんだが、Chadが「最初は“Being A Horse”という題だったんだよ」とか言ってるし。
● 「馬になりたい」ってのはどういうことよ?!
▲ もちろん嘘に決まってるだろうが。さっきの馬の話で思いついたんだろう。
◆ 彼ら、詞やコンセプトについて説明するときは嘘八百言うからね。絶対信用しちゃいけない。