Mansun日記第15章 (1998年7月)

MANSUN ON INTERNET

《この章はタイトル通りWWW上のMansunサイトの話なんですが、人が苦労して作ったものに対して勝手なことを言ってるだけなので、言われる方もいい気はしないと思うし(悪口は言ってませんが)、そうじゃなくてもバカバカしく長いので、かなりカットしてあります》

★ でも、パソコンで写真見てもつまらないって言ってなかった? たしか“Dinopix”の話で。
▲ あの頃からはすでにパソコンのスペックは長足の進歩を遂げて、写真も大きくきれいになってるわけよ。
● そう。“Dinopix”じゃCD-ROMのくせにパラパラ・マンガみたいだったムービーも、今じゃほんとのCGがなめらかに動くしね。
◆ 今は静止画の話だって。それでインターネットに接続したときも、真っ先にやったのが写真集め。これはふだんからやってるが、写真1枚ほしさに1000円近い金出して雑誌を買ってることを思うと、これだけの写真がただでコピーし放題ってのはすごい、という話はもうしたっけ?
★ でもちっちゃいよ。印刷画とは画質もくらべものにならないし。
● Mansunの写真ならどんなものでも貴重なの!
◆ というわけで、さっそくそのヴァーチャル写真帳を開いてみよう。ビューワはArt Viewer Liteというシェアウェアが気に入って使ってます。(ここでダウンロードできます。お金払う価値あるので、いいビューワをお捜しの方はおすすめ)
▲ オフィシャル・サイトの特徴は宣伝用のプロモ・フォトが大量にあることなんだよね。
★ レコード会社のロゴの入った、モノクロのやつね。こういうのってどういうルートで流れてるんだろう?
◆ 当然レコード会社からもらってるんでしょう。
● でもファンサイトにもときどきあるよ。いいなー、私もほしーなー。《持ってるもん!》
▲ もちろんすべてPennie Smithの撮影。ああ、なつかしい。いやでもClashを思い出してしまう。やっぱりフォトグラファーもはっきりした個性があるよね。一目でPennieが撮ったものとわかる。
◆ これだけあれば写真集が出せるな。
● ほしい! 絶対ほしい! 合わないとか悪口言っちゃったけど、やっぱりかわいいものはかわいいなあ。
★ ていうか、粗いとか暗いとか言ってたけど、Mansunを撮るといやでも繊細な感じになるから不思議。やっぱりバンドの個性も写真に出るよ。
● ああー! このPaulのフランス人形の目! 見るたびきれいになっていく。やっぱり最新の写真がいちばんすてき。
◆ 売れてキャリアを積んでいくと、どんなバンドも洗練されてルックスも向上するというのは言えるよ。
★ 別に洗練されたという気はまったくしないんだけど。今が髪型も服装もいちばんかまわない感じだし。
● 内面から磨かれて行くのよー! だいたい誰が肥えたって? こんなにほっそりしてるじゃないよー!
◆ 確かに。でもこの人が顔が変わるのは毎度のことだから。
● ああ、これ壁紙にしよう。パソコンに向かうたびPaulの顔が見られる幸せ。
★ だいたい家にいるときはいつもパソコンに向かってるし。写真を壁紙にできるのっていいね。ピンナップを壁に貼るのと違って、汚れないし、簡単に変えられるし。
▲ 来客や出入り業者に見られないですむし。
● かわいいなー、かわいいなー。どうして年々、かわいく幼く見えるようになるんだろう?

◆ それじゃとっておきの秘蔵写真出しちゃおうか。Paul Draperの恥ずかしい写真発見!
● わっ!
◆ 世にもめずらしい、地球上にはこれ1枚しか存在しないのではと思う「Paul Draperの笑い顔」写真!
★ べつにReid兄弟にも笑顔写真があるくらいで、それほどめずらしくは‥‥
▲ なにこれー?!
● ぎゃっ!
★ これ‥‥笑ってるの?
◆ だってほらー、唇のはしがちょっと上がってるし、歯がちらっと見えてるし、目をかすかに細めてるし、普通こういうのを笑ってるって言うんじゃないの?
▲ それはそうだけど、なんかむちゃくちゃ無理がないか?
★ 変なかおー!
▲ 目は(いつも通り)死んでるしよー。
● たまたまこれは変に撮れてるだけよ!
▲ 笑ったらどんなにかわいいかって言ってなかったか?
★ かわいくなーい! やめてー!
◆ やっぱり慣れないことはするもんじゃないね。
★ しかも、こんなに大きな鮮明な写真で!
● や、やっぱり笑わない方がいいかな?
★ このサイン会のやつも、かすかに微笑を浮かべてるように見えるけど、この人なんで笑うと口がマントヒヒみたいになっちゃうの?
◆ 歯を見せずに笑おうとすれば誰でもそうなる。
▲ それにしてもスケベたらしい笑いっていうか、腹に一物ありそうな笑いっていうか‥‥
● クールにしてればあんなに美少年なのに! これはもう削除よ。
◆ だめよ! めずらしいんだから。
▲ これで彼が絶対笑わないわけがわかったっていうか‥‥
◆ Sylvianの笑顔よりショックでしょ。
★ Sylvianは単に笑うと白痴みたいに見えるというだけだけど、この人はまるで別人っていうか‥‥
● それもいつものことだけど。

◆ それじゃお口直しに、TOTPの写真なんてどう? これはいちばん新しい“Legacy”の出演時のもの。初登場7位だな。
● あ、きれい! それもこんなにたくさん!
★ パステルカラーの背景がすごくきれい。
● Paulもよ! 死ぬほどきれいー!
★ なんでテレビ画面なのにこんなにきれいなの?
▲ ビデオ・キャプチャーで取り込んでるからに決まってるだろ。しかしなんか‥‥また顔が変わらないかい?
◆ まあ、それはいつものことなんで‥‥
★ なんか青ざめてやつれて疲れた感じに見える。そのせいかいつもより大人っぽく見えるし。“Legacy”のプロモ・フォトではやけに幼くかわいく写ってたのに。
● それでも目がさめるほどハンサムじゃなーい!
◆ 心なしか、James Spaderに似て見えないか?
● そう言われると確かに。どっちも女の子のようにきれいだからじゃない?
★ でもPaulがSpaderに似てるなんて話一度も出たことないのに。そうやってカメレオンみたいに1週間単位で変わってほしくないんだよ。
◆ いいじゃない、飽きがこなくて。
▲ そういう問題か?

◆ まだある。6月のGlastonburyのライブ・ショット。これはGlastonburyのサイトから拾ってきた。
▲ そういうものがあったか。盲点だったな。Readingは忘れずチェックしよう。
★ でも小さいし、白茶けてる。どうせならもっと大きな鮮明な画像で見たいのに。
● 文句を言うな。これだけでも19枚もあるんだから。それにライブはどれ見てもかっこいいし。
◆ Mansun NetというサイトにもGlastonburyの写真がいっぱいあったんだけど、クラッシュしちゃったとかでリンクがこわれてるのよ。だけど作者が夏はホリデイに出ちゃうので、修復できるのは9月だって。
● 思わず催促のメール出してしまった。
▲ しかしTOTPとはまた別の人だなあ。大人っぽく見えるのはこれもいっしょだけど、女っぽかったTOTPにくらべ、こっちの方が男らしく見える。
◆ 確かに変身が趣味という人もいるが、そういう人はたいてい髪型や服装やメイクが変わるだけ。なのにこの人はこのところ、化粧もやめちゃったし、髪型も身なりもまったく変わってないのに、顔だけ変わるってのはなんでなの?
★ ほんとに人間カメレオンだね。

◆ それじゃMansunの華、ライブ写真行きます。これはすべてファンが撮ったもの。
▲ うそー、これはプロ・ショットでしょ? 隠し撮りってのはたいてい暗くてピントが狂って、どこにメンバーがいるのかわからないようなのが多いのに。
★ コンサート会場は暗いからね。
● Mansunのライブは誰が撮ってもサマになるのよ。
★ 写真の出来はいいんだけど、この豆粒みたいなのはどうにかならないの?
◆ だってあまりにきれいに写ってるから。特にこの金髪Paulいいでしょ。この人は絶対ブロンドが似合うので、(どれがほんとの色か知らないが)またブロンドに戻してほしいわ。
● あ、こっちは「Midge Ure時代」のだけど、くわえ煙草でやってる。
▲ 彼もスモーカーなんだ。
◆ シンガーはタバコ吸っちゃいけないのに。だから声がかすれるんだよ。ルックスについてもなんか言ってくれない?
● かあいい‥‥
◆ あんたはいいから。
▲ この人も痩せてるわりにはむっちり見える体型だな。
★ だからこの肉質好きよ。体型的にもReid兄弟を思わせる。ちっちゃくてズンドーの抱き心地の良さそうな枕体型。
▲ あれほどかっこわるくないよ!
● 身長いくつなんだろ?
◆ それはインターネットにあった。ついでだから全データ公開しちゃお。これは“Mavis Bird”のサイトにあったんだけど。

FULL NAME : Paul Edward Draper
NICKNAME : Paul
BIRTHDAY : 26 / 9 / 1972
HEIGHT : 5'8"
PREVIOUS JOB : Graphic designer
ORIGIN : Wavertree. Liverpool
FULL NAME : Dominic Chad
NICKNAME : Chad
BIRTHDAY : 5 / 6 / 1973
HEIGHT : 5'10"
PREVIOUS JOB : Bar manager of the Fat Cat pub, Chester
ORIGIN : Maidstone, Kent
FULL NAME : Steven King
NICKNAME : Stove
BIRTHDAY : 8 / 1 / 1975
HEIGHT : 6'0"
PREVIOUS JOB : Graphic designer
ORIGIN : Ellesmere Port, Merseyside
FULL NAME : Andrew Rathbone
NICKNAME : Andie / Dogbone
BIRTHDAY : 8 / 9 / 1971
HEIGHT : 6'1"
PREVIOUS JOB : Used car salesman
ORIGIN : Blacon, Chester

◆ あー、インターネットは楽でいいなあ。こういうのも前はいちいち手で打ち込まなくちゃならなかったのに、今はコピー&ペーストでいいんだもの。
● わーい! Paulのお誕生日もフルネームもわかっちゃった!
▲ PaulよりEdwardの方が好きなのに。そっちをファースト・ネームにすれば良かったのに。
● だいたいStoveが本名だなんて、嘘ばっかり!
★ だからそんな名前の人間いるわけないって。
▲ Steven Kingよりましなんじゃない?(笑)
● Paulは5’8”か。
◆ それほどある?
★ ほぼ私と同じくらいと目測していたから、確かじゃないかな。《私は5’7”。大女なんです。しばしば自分のアイドルよりでかい》 Jim(Reid)も5’8”って言ってたから。
◆ それも信じられない。
▲ でも、ステージで見て「ちっちぇえ!」と感じる人って、だいたい私くらいの身長よ。男女差と人種差を考えてよ。
◆ それにしてもStoveとAndyが6フィート超えてるって信じられる?
★ そのぐらいあるんじゃない? 身長差からいっても、だいたいこの通りだし。
▲ これってどの程度確かな情報なの?
◆ 知らないけどさ、このサイトはかなり信頼がおけるよ。
● しかしこれにはかんじんな情報が抜けている。髪の色と目の色!
★ 目の色はわかってるじゃない。全員ブルー。
◆ あ、それは良いね。
● それより髪の色ー!
◆ さっきどうだったっけ?
★ TOTPでは真っ黒に見えて、Glastonburyでは茶色、最新のNMEでは黒っぽかった。
▲ ブラウンと書いてあるバイオも見たよ。
◆ やっぱりその辺が地色なんじゃないかな。
★ でもブロンドの時のほうが多いよ。
● わからーん! 顔だけじゃなく髪の色までころころ変えないでくれ。
▲ 顔は別に変えてるわけじゃ‥‥(笑)

● あっ! しばらく見ない間にオフィシャル・サイトがまたアップデートしてるじゃないか! それもPennie Smithが撮った最近の写真がいっぱい!
◆ 広告やスリーブじゃ使われなかったアウトテイクもいっぱい! 録音スタジオでのスナップもある!
★ モノクロだけじゃないじゃん。野外でのカラーのスナップもある。
● ひえー! かわいー!
▲ Mansunに対するリアクションって他にないの?(笑) 写真を見れば「かわいい!」、音を聴けば「いい!」だけで。
● だからカラーのほうが絶対かわいいって。ふわふわのやーらかそうなブロンド、真っ青なお人形の目、ふっくら色白のほお、桜貝のくちびる、白鳥の首!
★ 彼、背はちっちゃいくせに、首がすーっと細くて長いのよね。そこがまた好き。
◆ しかし、この人たちの最近の服装って‥‥Mansunといえば顔だけじゃなく、コスチュームもコロコロ変わるので有名だったのに、このごろはバカみたいに普通の格好。ジーパンにTシャツだよ、信じられる?
● 絶対そのほうがいい。男の子はそれがいちばんかわいい。
◆ しかしPaulはやっぱり服持ってないとしか。このPennieの写真、まさかすべて同じ日に撮ったとは思えないけど、Paulはぜんぶ同じシャツじゃない。さっきのライブ写真もそうだし、Astoriaのライブの時もそうだった。Top Of The Popsで着てたのも同じ、Glastonburyで着てたのも同じ、去年のNorthwichのライブ・フォトも持ってるんだが、そこでも同じの着てた! ほんとにこれしかないのか?! Mary Chainも着たきりスズメだとは思ってたけど、それよりまだひどい。
▲ そういや、こないだのフリルのシャツも、いつどこで見ても着てたな。
★ デビュー時のあのクマみたいなモコモコのセーターも! 一度着ると半年ぐらい脱がないのでは?!
● Mansunは忙しすぎて着替えてる暇なんかないのだ。
★ まさか(笑)。
● それとも、気に入ると意地でもそれしか着ない人なんでは? 実際、このシャツ似合ってすてきだけど。
▲ 人間は服じゃなく中味だ。入れ物なんかどうでもいいのだ。中味がこれだけいい男ならば。
★ そういや、中味もみんな同じ顔だ。これが素顔か?
● 素顔も何も今がいちばんかわいい! Chadも髪切って、脱色ブロンドやめてからかわいくなったし。ああ、幸せ! ありがたやありがたや、なんまんだぶ。
◆ というところで「Mansun見たい病」も多少収まったようなので、今日は終わり。
● あっ、思い出した! Mansun行きたいー!

P.S.

▲ “Six”は8月26日日本先行発売だって! イギリスからの逆輸入情報だけど。
★ えー! 向こうじゃ10月だとか言ってなかった?
◆ 聴きたい! だけどMansunはオリジナル盤しか買いたくないし。
● でもステッカー付きで、ボーナス・トラック1曲入りだって。
▲ 私はシングルすべて買ってるからボーナス・トラックなんかはいらないのだが‥‥
★ でも店頭に出てるのに、買わずに我慢するなんてことは‥‥
▲ イギリスのファンもそう思ってるみたいで、誰か買って送ってくれないかというメールが載っていた。
◆ でも私はどうしてもイギリス盤じゃないと‥‥
● 両方買えばいい。
▲ そういう手があったか。
◆ 同じのを2枚買うの? 《という程度で動揺しているところで、「この頃はまだコレクターじゃなかった」ことがよくわかりますね。ところが今は“Six”だけでも10枚以上持ってるという‥‥》
▲ だいたいねえ、私は「英国オリジナル盤を持ってる」ということにこだわってたけど、インターネットでコレクター情報とか見てると、むしろ日本盤の方が稀少価値があってプレミアついてたりするのよ。
● そういやそうだ。プレス枚数も少ないだろうし、どこかしらオリジナルとは変えてあるし、イギリスで買うとバカ高いし。
★ 稀少価値とかプレミアとかいっても意味ないんでは? だってMansunのCDなんか手放す気ないでしょう?
● そりゃもちろん! 一生大切にする。
★ だったら市場価値なんて関係ないじゃん。
◆ でも持ってることに意味がある。日本盤のシングルはどうせオリジナルを持ってるからと思って買わなかったけど、やっぱりぜんぶ買おうかしら?《こちらも全部どころか各5枚ずつぐらい買うはめに‥‥》
▲ ところで日本公演はその後の広告でもしつこくワンオフ・ギグと銘打ってるところを見ると、追加はないみたいね。
● びえーん!
◆ あとはダフ屋が頼りか。

P.P.P.S.

★ また終わらなくなってるー!
● また変わったよ、Paul。
◆ どういうふうに?
● 今日発売のインロックで見たんだけど、前髪が全体に長くなって、横に流して目の上にだらっとたらしてる。ちょっと昔のBrettみたいな感じで。
◆ 理想的じゃない!
★ でもお、Brettとは髪の色も髪質もぜんぜん違うから。
● うん、黒い直毛のBrettと違って、Paulは淡い色のふわふわ髪なんで、なんかただだらしないだけみたいな‥‥無精ひげも生やしてたし。
◆ ひげだけはやめてほしいなあ。あのお人形さんのようなツルツル顔で。
★ でもこの人は色が薄いから目立たないけど、ひげも濃そう。
▲ だからこういうまつげがぞろーと長い人は当然体毛だって。脱いだらクマかもしれない。
◆ ひー! せっかく今がベストだと思ってたのに!
● Paulならクマでもかわいいからいいや。それに顔はべつに変わってないよ。
◆ どれよ? 見せなさい。
● 買ってない。絵葉書1枚に600円も出せるかと思って。《これまた、このあとは600円どころか‥‥もう自分で書いてて情けなくからやめよう》
★ 絵葉書?
● 本文はいらないじゃん。ただMansun美麗絵葉書がついてるの。
▲ 絶対買うよ、それ。
◆ まったくあの人は見るたび違うから心臓に悪いわ。
▲ オフィシャル・サイトには「今週のPaul Draper」というコーナーを設けるべきだね。
● なんにしろかわいいからいいや。

★ ここで緊急ニュースです。The Jesus And Mary Chain来日! 10月11、12日、リキッドルームで。
◆ えー! そんなの知らなかった。
★ そうなんだよねえ。私は新聞のコンサート広告だけは毎日欠かさず見ているはずなのに、そんな広告見なかった。
▲ たしか、前の前の来日のときもそうじゃなかった?
● そういや、それで上を下への大騒ぎしたんだった。
★ ところが昨夜、もしかしてMansunの追加がないかとインターネットのぴあサイトを見ていたら、これが目に飛び込んできて。
▲ インターネット様々だな。やっててよかった!
★ でも本当に偶然の幸運。私はMary Chainサイトは新情報がないかと毎日チェックしてるけど、考えてみたら日本公演のニュースなんて英米のサイトには載らないんだよね。
◆ それも前回といっしょだ。英国紙誌はこまめにチェックしているくせに、国内情報にうといからそうなる。
★ Mansunのおかげだわあ。Mary Chainが来たのに知らなかったなんていったら、私は死んでも死にきれない。
▲ よかったじゃん。これで少しは気が晴れるね。
● でもぉ‥‥(不満げに)Mansunが見れなくて、代わりにMary Chainなの?
★ その言い方はないでしょう? 723章でも言ったけど、ライブ・バンドとしての実力から言ったら、MansunはまだまだMary Chainには及びもつかない。“Munki”は久々の傑作だし、楽しみ!
◆ ‥‥しかし、あれを見ちゃったからなあ‥‥
● 違いすぎる! 今が盛りの花の美少年とハゲデブおやじとでは!
★ (怒り狂って)なんてこと言うの!! あれだけ愛したMary Chainに向かって「ハゲデブおやじ」ですって?! よくもよくもよくもReid兄弟に向かってそんなことが言えたわね! ついこないだまで、みんなしてMary Chainに血道を上げてたくせに!
● でも写真は正直だし‥‥
★ だからなんだってのよ!
◆ まあまあ、確かに●も言い過ぎた。
★ 絶対許せない! それも彼らが年取って、音楽もつまらなくなったんなら何言ってもいいよ。それこそ“Stoned And Dethroned”路線の、ただの退屈な弾き語りおやじになったというんなら。だけど“Munki”みたいな、若々しくてポップでかわいくて実験的なアルバム作ったのに、見かけだけで手のひらを返すような仕打ちするなんて!
▲ ★の言う通りだよ。バンドは音楽がすべて。そういう外面的なことで差別するのはよくない。
★ 自分がどんなに楽しませてもらったか忘れたの?! 言っとくけど、若い頃のJimはPaul Draperなんか目じゃない美少年でしたよ。Paul Draperなんて「変」じゃない!
▲ 気持ちはわかるが、Paulの悪口は言うな。
★ Paulが年取ったときに●がなんと言うか楽しみだわね。
● ★だってRoddyのこと、しわしわ言ってくれたじゃないか。
★ 自分が言い始めたんでしょ!
◆ そういや、●はBrettのこともハゲだのデブだのさんざん言ってくれたからな。あれだけ痩せたし、額が広いだけなのに!
▲ あんたらマゾか? そうやって傷つけあって楽しいか? せっかくいいニュースなのに、そういうこと言う●が悪い。●があやまればすむことじゃない。あやまって取り消しなさい。
● だってぇ‥‥
◆ ほら、さっさとあやまりなさいよ。
● うう‥‥ごめんなさい。悪かったです。
★ ふん!
● 私もMary Chainがきらいなわけじゃない。ただ、かつての愛らしさと今の落差があまりにひどいんでショックを受けたのと、Mansunのチケット取れなかったので取り乱しているだけで‥‥
◆ 言い訳もしない!
▲ とにかくよかったじゃない。Mansunがだめでも楽しみができて。
◆ MansunとMary Chainと両方見れたら天国だったのにねえ。
▲ 私はMansunもまだあきらめたわけじゃないぞ。
★ でもよかったー。前の来日公演があの入りだったから、もう来ないかと思ってた。もう国内じゃ二度とMary Chainは見られないかと。
● もう三度も見たじゃない。それにいちばん見たかったときは来てくれなかったくせに。
★ おまえはまだ言うかー!
◆ よしなさいってば。それにあの写真だけで判断するのはいけない。こないだ見たのは何年だっけ?
★ 1995年。
▲ そういや、あの時はManicsの代役だったんだよな。場所も同じリキッドルームで見るはずだったのに‥‥
◆ あんたもそこで暗くならない! その時はまだかわいかったでしょ?
★ 「Jimって本当にきれいな顔してると思った」と書いたのを忘れたの?! むしろ変わらなさに拍子抜けしたくらい。
◆ それからたった3年でそんなに変わるとも思えない。あの写真はよっぽど映りが悪かっただけよ。
★ だから顔なんかどうだっていいんだってば。JimとWilliamに会えて、あの音が聴けさえすれば。
▲ その面では大いに期待できるね。
◆ (●に)ほら、あんたもなんか言いなさい。景気づけになるようなこと。
● Mansun‥‥
◆ だからMansunは禁句だってのに!
▲ まあ、●の落胆もわかるけど。
● Mansun見たいー! 今この時に、この私がMansunのギグに行けないなんて! うわーん!
◆ また思い出しちゃった。
★ でも、その気持ちはわかるわ。92年のMary Chain、チケットないと知ったときの私の気持ちもそうだったもん。
▲ それを言ったら、Manics来日中止の時の私なんか‥‥
◆ ★ものんきにそんなこと言ってないで、早く行って買ってきたほうがいいんじゃない? これでMary Chainもなかったなんていったら、それこそ立ち直れなくなる。
▲ そうよ。いつ売り出したのかもわからないんだから。
★ それは絶対だいじょうぶ。2回あるし、なにしろこの前はあの通りガラガラでしたからね。
▲ その油断が命取り。
◆ ついでにMansunないかどうか見てきて。
● ぐすぐす‥‥
★ それはないと思うなあ。電話予約のキャンセルが出るとしてもコンサート直前でしょう?
◆ だめもとよ。
★ でも、ちょっと恥ずかしいよ。こないだもミュージック・ワールド(うちの近所のちっぽけなレコード屋)でないって言われたんだし、しょっちゅう来てはMansunないかと訊ねる変な女と思われそうで。
● ぐすぐす‥‥
▲ だからさっさと行けってば!
★ はあい。

(戻ってきて)
★ ‥‥あ、あ、あ、あ‥‥
◆ どうしたのよ?
▲ なかったの?!
★ ‥‥あ、あった!!
▲ なんだ、おどかすなよ。絶対あるって自分で言ってたじゃないか。
★ 違う違う! Mary ChainじゃなくてMansun!
● (泣きやんで)なんですって?!
★ あったんだよお!
◆ 夢見てるんじゃないか?(ほおをつねる)あれ以来、よくそういう夢見るから。
● しょ、証拠見せて! チケットどこ?
★ ほら!
● (指で字をなぞる)M,A,N,S,U,N,1998,9,18。本物だー!(また泣く)
▲ やったー!
★ 実はMary Chainの10月11日出してもらったら、驚いたことに売り切れだったんだよね。それでまた目の前が真っ暗になったんだけど、12日のほうはかろうじてあったんでほっとして、それから念のためMansunはないかって訊いたら、「何枚ですか?」っていうじゃない。気が動転してたせいで、うっかり4枚と言いそうになってしまった。
◆ それって私たちのぶん? バーカ(笑)。
▲ しかしMary Chainが完売とは驚いた。
★ 良かったー。
◆ なんで? 空いてるほうが楽に見れていいじゃない。
★ だってはるばる日本まで来て、がら空きじゃかわいそうだよ。ましてあれだけの大物アーティストが。こないだのリキッドルームは本当にかわいそうだったし。
◆ Mary Chainも謎だが、Mansunがなんであったのかも謎だ。
▲ だから、発売初日にチケットすべてチケぴあに卸すわけじゃないんだよ。それは92年のMary Chainの経験で知ってたはずなのに。
★ そういや、何もかもあの時といっしょだ。歴史は繰り返すっていうか。
◆ 毎回、ひとりで大騒ぎをしているだけっていう見方も。
● (ぼんやりと)Mansunが見れる? 新譜が出る? その新曲が生で聴ける? あの天使のようにかわいいPaul Draperの本物に、本当に会えるのね!
★ Reid兄弟にもよ。
● もちろん!(★を抱きしめる) 私たちって幸せ! 生きててよかった!
◆ しかし超ラッキー。Mansunのチケットが初日に手に入ってればMary Chainの来日には気づかなかったし、Mary Chain買いに行かなければMansunが出てることも知らなかった。
● ていうか、心の底から欲しいと思えば、手に入らないものはないんだ! 愛は地球を救うんだ! これは愛よ、愛の勝利なのよー!
▲ 私もRicheyを心から愛してたし、Manicsが見られるなら死んでもいいと思ってたけど‥‥
◆ ここで暗くなるなって。
★ そういや、次はそのManicsこそ来日の可能性大なんじゃない? ニュー・アルバムが出れば、今度こそ大々的なワールド・ツアーをやるでしょう? 前はリハビリみたいなものだったけど、今度はきっと日本にも来るよ。
▲ う‥‥
◆ それはここでは言わないほうが。
▲ (必死で気を取り直して)暗くなんかならないもん。はっきりいって今はManicsよりMansunのほうが見たいし。Mansunが見られれば私は幸せ。
★ Mary Chainもよ。
● 夢は望めばかなう。▲だってまだあきらめちゃいけないよ。
▲ うれしいこと言ってくれるね。
● 絶対無理と思ったことでも、泣きわめけばたいていどうにかなるんだ。
◆ それはちょっと違うと思うけど。
▲ とにかく何があっても希望だけは捨てちゃいけないんだな。
◆ ああ、よかった。今年は明るく終われて。
▲ というか、予想もしなかったおまけまでついて。Mary ChainもLotus Eatersも。
● 待ってるよー! 早く来い!