december
    november

    october.02

Xinlisupreme
murder lisence cdep


>>>fat cat
 

徹底して無感情で暴力的なノイズのみを武器にfatcatからデビューした、大分出身
突然変異種Xinlisupremeが早くもミニアルバムをドロップ。MBVからSuicide、Fliyng Saucer Attack、Merzbowまでを連想させる壊れてしまいそうな美しき狂気の世界を、度を極限まで高めたサイケな轟音ギターと乱暴な打ち込みドラムだけで描き出してしまう彼らの気概には脱帽するしかない。なぜAndrew Wetherallをしてベストロックバンドと言わしめたのか? その答えはこの音塊と正面から向かい合えば、自ずと出てくるはず。


Epic45
reckless engineers  cd


>>>where are my

bearosやjonathan whiskeyから7"リリースをしてきたイギリス中西部のポストロックバンド、Epic45から待望の1stアルバム。シングルでは高いクオリティーの曲を作っていながら、アルバム単位となると今ひとつなバンドも少なくない中、彼らはしっかりとした統一感ある作品を届けてくれました。ギターやベース、ドラムといった基本となる楽器に加え、キーボードとエレクトロニクスが絶妙に配置されていて、寂寥とした情景が浮かんでくるようなシネマティックなサウンドです。歌うこと以上に真実味のある感情表現、言葉を持たない音楽に惹かれる理由はそのあたりにあるのかもしれません。



Giardini Di Miro/Deep End
split  10"


>>>love boat

errolのコンピで強く興味をもったイタリアのGYBE!、Tarentelとも呼ばれている6人組オーケストラル・バンド。今年リリースされた2作のうち、スプリット盤の方を取り上げます。ギリギリのところで過剰な泣きを回避したメロディーの展開や、神聖な音を丁寧に織り重ねていく様は確かにTarentelに近いかも。前述2バンドより楽曲がコンパクトに収まっているところは個人的には好み。今後GDMは日本盤、そしてHerrmann&Kleine、Styrofoam、Dntel、Opiateなどが参加したリミックス盤のリリースを控えていて、更なる飛躍を遂げることでしょう。


Yuppie Flu
the blue experiment  
10"



>>>rex

イタリアが誇るエクスペリメンタル・ポップバンド、Yuppie FluがUKデビュー! 今年リリースのアルバムからセレクトした2曲がシングルとなりました。スペーシーな電子音とバンドサウンドのバランスがすごく自然に溶け合った、彼らのキャリアの中でも1・2を争うくらいのポップなメロディーが詰まった佳曲です。それでいながら不快を催す1歩手前というべき独特なトーンも健在なのです。VinesやAvalanchesの初期作をリリースしたRex Recordsからということで、Yuppie Fluも遂にUKブレイクを果たしてしまうかもしれません。


Meets Guitar
the great slip
 7"


>>>johnny kane

Billy Mahonie周辺は相変わらず騒がしいようです。サイドワークを全て把握しきれていないのですが、GliderにJet Johnson、Relictなどなど... そしてこの度ギターのGavin Bakerが新たにMeets Guitarなるソロ・ユニットを始めました。ユニット名どおりギターへの原点回帰をテーマとした作風で、2曲ともアコースティックを基調としたフォーク・トラッドな作品となっています。なんとB面では渋味ある枯れた歌心までも披露。いやはやBilly Mahonieのワーカホリックぶりには感心するばかりです。


Gaston
#1  10"


>>>becalmed

ここ数年、英米以外でもヨーロッパのポストロック・シーンは深く掘り下げる価値があるほど面白いことになっています。ということでドイツはベルリンからスリーピース・バンドのデビュー盤を。クリアトーンを主体としたギターの響きにタイトなリズムがグルグルと絡んで行く洗練されたスタイルが持ち味で、ビブラフォンの効果的な使い方もなかなか堂にはいったもの。やはりMercury ProgramやDianogah、Tristezaあたりに通じます。次の7"はDiefenbachやLemko Hallらを抱えるスウェーデンのspeakerphoneからリリースされるそうなので、一目置いてみては?


Jullander

john symmes' welt  cd&lp


>>>earwing, beau rivage

Billy Mahonieとのスプリット・リリースで気になる存在だったJullander。実際にBilly MahonieやReynoldsとツアーをしてたりもして、てっきりUKのバンドかと思いきやドイツのハンブルグで活動する4ピースのようです。SlintやShellacの影響を強く感じる王道ポストロック/ハードコア・スタイルですが、若干まろやかなところも。ときおり吹かれるサックスがいいアクセントに。なんといってもドイツ語の響きがとても新鮮です。アイスランドの次はイタリア? デンマーク? スウェーデン? それともドイツ? 欧州の旅はまだまだ続きそうです。


Toboggan
picket fences  cd


>>>gentlemen

スイスからHoney For Petziに続いて、有望なバンドが登場しました。Tobogganという名のスリーピース(ベースとギターが女性という佇まいに惹かれます)で、音源はParazitというバンドとのスプリットと本デビューフルのみ。手触りとしてはMogwaiやTristezaの初期作に近い、決して作り込まれていない生々しいプロダクション。スリーピースを感じさせない厚みのある演奏で、気取りのない真直ぐな音にすごく好感を持てます。また感情を極力抑えた感じのヴォーカル・トラックも雰囲気にばっちりはまっています。この手の音源が日本のレコ屋に並ぶ「健全な」状況は期待できないのでしょうか?


Eska
the case wrapped up  cdep


>>>d+c

昨年末にリリースされたメンバーの別ユニットJames Orr Complexの方はチェックしていたのですが、本体の方は未聴のままでした。ようやく聴く機会に恵まれたので取り上げます。EskaはMogwaiとも深い交流のあるグラスゴーのギターバンドで、このシングルはchemikal undergroundのスタジオで録音された
とのこと。95、6年からの活動という決して短くはないキャリアに裏打ちされた円熟味あふれる硬質なインストゥルメンタルがスリリングに展開されていて、文句なしにかっこいいです。


High Dependency Unit
memento mori  cdep


>>>flying nun

昨年リリースされた傑作3rdアルバムへの布石となった4曲入りシングルは、Mogwaiとのツアーの合間を縫って制作されたとのことです。3rdを聴く限りでは同じくATP2002に出演したArcwelderの雰囲気に近い印象だったのですが、いやはやもっと懐の深いバンドでありました。「bends」以降のギターロックの可能性に最も肉薄したかのような2曲目「amino」が特に秀逸。幾重にも織り込んだギターの層が虹色となって降り注ぎ、繊細で叙情的なメロディーが鮮やかに放物線を描いていくのです。UK、USともに通じる共振性を感じさせるのはニュージーランドという土地柄なのでしょう。今後に注目。



Boom Bip
seed to sun  cd&2lp


>>>lex

オハイオ州シンシナティで活動するターンテーブリスト、Bryan HollonことBoom Bip。Anticon周辺を始めとする様々なアーティストとのコラボレイトやリミックスを経て、初のソロ・アルバムが完成しました。メロウでジャジーなフワフワとした音響空間は、アブストラクト・ヒップホップの域を軽々と飛び越え、エレクトロニカやポストロックのテイストまでも感じさせます。3人のMCをゲストに迎えているのですが、なかでも奇才Doseoneをフィーチャーした10曲目が白眉。個人的にはDJ Shadow以来の衝撃となるトラックメイキングのセンスです。



Lucky Pierre
hypnogogia  cd&lp


>>>melodic

7月に紹介した7”に続いてフル・アルバムのリリース。タイトルからも分かるように、Arab Strapの髭親父(失礼)Aidanが不眠症に悩まされている自身を少しでも安眠の方向へと導かせるのが制作への直接的な動機となったようです。まるで天上界で紡ぎ出されているかのような神々しい曲群で、ときに優しく穏やかな音色がスキップする様はフォークトロニカの括りで語られそうです。いつでもどこでも熟睡してしまう僕からすると今作は十分に快眠BGMとして機能するのですが。果たしてAidanは不眠から解き放たれたのでしょうか?