ストーンズファンの主張

 

「カリスマになれない哀れなキースリチャーズの人生」

MOJOさん

 

あれは私が17歳、青春真っ盛りの時。無論キースに憧れて、ギターを始めた。

キースの言う様に、鏡の前で、ギターテクニックよりも、ルックスを真似して、いかにロックギタリストっぽく見せる

か、研究したあの頃。

キースのおかげで、廻りの同級生からはまるで不良呼ばわりされ、女性に縁の無かった青春時代。

暑い夏も皮ジャンとスカーフ、くわえタバコにジャックダニエル。

まるで気分はジャンピングジャックフラッシュ。

今となっては後悔している。

なぜなら、キースは今やロックとは程遠いただのじじいであるからである。

 

何年前か、キースのテレビでのインタビューを見た事がある。

そのインタビューがキースのロック−カリスマであると思っていた全てのイメージを変えてしまった。

 

現在の彼の趣味は世界歴史の本を読む事と庭いじり。

あと自分の子供達に最高の教育を与える為、常に家族会議を欠かさない。

一日でも長生きできる様、殆ど酒も日頃は飲まず、タバコも控えている。

麻薬なんてのは勿論ずっとやっていないとの事。

いわゆるロックの世界とは程遠い世界に生きており、

もし彼の持つイメージ通りに生きてきたならとっくに死んでいると言っていた。

 

60年代のストーンズの映像を観ると、ブライアンはすかして、ギターはステージでは殆ど弾いていない事に気付]

く。

ブライアンが唯一まじめに弾いていたのはLITTLE RED LOOSTERぐらいで、後は、カッコだけつけて、女性の

視線を常に気にしている。

それがブライアン。偉大なロックスターである。

 

それに比べ、当時のキースはステージでの花は全て、フロントマンであるミックとブライアンにあずけ、もくもくとギ

ターのリフを弾いている。

昔からキースはまじめなバンドマンなのである。リズムは狂いませんでした。

 

ブライアンの死後、キースのスタイルは、もくもくとギターを弾く事よりも、ミックテイラーやロンウッドにその座を預

け、フロントマンとして、ブライアンの座を勝ち取り、いかにSEXYにギターを弾くか研究していた様に思う。

そして今日現在も彼はしぶとく生きぬいており、大げさなくらいのアクションでステージに登場しては、いかにギタ

ーを弾く姿を美しく見せるか、それは昔のブライアンの様に、花形として、ロック産業に貢献している。

 

以前イギリスの音楽雑誌にTHE BEATLESとSTONESの比較の記事があった。

そこに書かれて記事で衝撃だったのは、THE BEATLESはたかが10年の活動の中で音楽業界に不動のに地位

を築き、未だにレコードセールスは伸びているのに、STONESは地道に長年続けているのにも関わらず、そのレコ

ードセールスはTHE BEATLESの足元にも及ばない。

STONESの人生は本当にROCKなのであろうか、と。

 

60年代、偉大なミュージシャン、ブライアンジョーンズ、ジャニスジョップリン、ジムモリスン、ジミヘンドリックスが

他界。

ロックな人生を貫いた人達だ。

その後、80年代、ジョンレノンが死に、2001年ジョージハリスンが死んだ。

だが我等のキースは死なない。彼は長生きしたい様だ。

 

さてキースが死んだ時、メディアにどんな波紋を呼びかけるのであろうか。

イギリスではキースの存在すら知らない人が殆どであるのだが。

私が思うに、新聞の記事に書かれると思われるタイトルは、「継続は力なり。ロックバカ、キース死す。」もしくは、

「キースの最後の遺言は、長生きしてえなあ。」であろうか。

大体イギリスのメディアは皮肉でしか物事を捕らえないので、想像がつかない。

 

キースの様に、几帳面でまじめな性格のロックスターには、メディアで作り上げられたカリスマ性は正直感じさせら

れない。なぜならカリスマ性とは、非人間的である事だと思う。

ロックミュージシャンとしてもうすぐ半世紀を向かえるキースは、継続は力なりを唱え続け、今日現在を生き延びて

いる。

ポップ文化の中でどれくらいの地位を最後に築く事ができるのであろうか。

 

 

TOP

Copyright (C) 1999 by U All Rights Reserved