プロレスラー列伝3
カート・アングル物語
この兄ちゃんは、95年のアトランタ・オリンピックの金メダリストなんである。正真正銘のメダリスト。
ほんとなら、アメリカのヒーローのはずなのに、とてもお客さんに嫌われている。
なぜか。
言ってることもまともだし、クリーンファイトなのに、
あの世界では、下品で好き放題言いまくりのストーンコールドや、
卑怯なHHHの方が人気が出るのであった。
金メダルをちっとばかり見せびらかしすぎるからか。
ちっと若はげだからか。
しかし、彼がでてくると、私も嫌いですが、なんとなく面白くてベタながら、盛り上がるのも事実。
ヤツのメダルネタには笑えるものが多かった。
今までに、2人にメダルを奪われている。
ストーンコールド
その一人はストーンコールドで、別にメダルを欲しくて盗った訳ではなくて、単に嫌がらせだったらしい。
仕返しにストーンコールドは、半殺しの目に合わされ、泣きまねまでさせられた。恐ろしいヤツ、カート。
キレるとこわい。
しかし、カートはWWF史上、最短の出世を遂げた実力者なのである。
さすがメダリスト。
しかし、入場曲名も「MEDAL」で、観客は曲に合わせて「You su〜ck」と合唱している。笑える。
それをまたカートが怒ってたしなめるのもおかしい。(ゆーさっくは、下品なスラングでしゃぶれ!
の意味もありますが、字幕ではへなちょこ、になっております。)
もう一人にメダルを盗られた時も大変だった。
えーと、たしかエディ・ゲレロだったか。
チャイナの彼氏ですね。チャイナ、HHHに振られて、男の趣味が悪くなった。
スペイン語なまりバリバリの田舎モンですね。
そいつが、カートの金メダルを盗って、靴下やタイツの中に隠したり、
WWF NY(レストランである)の支払いに使おうとしたりした。
WWF NYの支払いはそんなに高いのか。ハンバーガーがメインのくせに。
また、トリーがビンス・マクマホンさんに、就職のお願いを色仕掛けで行っている時に、
「やあ!トリー!僕の金メダル見せたっけ?まだだろ?」
と言いながら、邪魔をして、マクマホンさんに怒られていた。
アノ頃は、やたらにカートはみんなにバカバカ言われていたなあ・・・。
「バカじゃないよ!ヒーローだよ!」
と、ストーンコールドに真っ赤な顔して言い返していたっけねえ。
そんなカートが、一夜にしてアメリカン・ヒーローに返り咲く日がやって来た。
それは、
いうまでもなく、2001年9月11日のテロが契機となったのだ。
あのテロでアメリカ中が暗くなった。みんな自信を失い、涙にくれた。
しかし、当然ながら「自分たちにも非があったのだ。」とはアメリカ人は反省はしない。
必要なのは、人々に勇気を与える大団円である。
どうすればいいのか。
幸い、次の会場はカート・アングルの地元である。
どんなストーリーにすればいいのかは、子供でも理解できる。
そう、オリンピック・ヒーロー、カートを再びアメリカの英雄に返り咲かせるのである!!
その日のメインは、カート対ストーンコールド。
タイトル戦である。
いつもなら下品なストーンコールドに声援を送る観衆も、そして全米の視聴者も、
この日ばかりは、いつもは嫌われ者のカートに心よりの声援を送った。
苦戦の末、当然カートはベルトを手にする。
総立ちになる観衆。その目には涙が。
カートの郷里の親戚一同もリングに上がり、胴上げをして祝った。
その中には、以前、なんかのタイトル戦で、最初相手と戦い、ダウンしたあとで、
リング下から本物のカートが出てきて驚く相手に技を決めさせた
「影武者の、カートそっくりの兄」の姿はなかったのは、言うまでもない。
どこから見つけてきたんだ、あんなにそっくりな男を。
さすがだ。
WWFはアメリカそのものだ。
素晴らしきかな、合衆国。
さて、最後にステファニーとカートの関係について触れて、お終いにしようと思う。
思えば、カートという男、つねに体制寄りだった。
だからビンス・マクマホンさんにはいつもスリスリだし、その令嬢のステフにも、好意的なのである。
ビンスに媚びるカート
その影では、HHHとの夫婦仲を悪くするように画策。
控え室で、気を失ったステフにキスしてる所を、HHHが目撃。
「やっぱり出来てやがったのかー」
世界中の人々は、その瞬間、寝取られ亭主のHHHに心から同情した。
あの天下のヒール、HHHを「良い人」にしてしまったカート、流石である・・・・。
ステフの財産が目当てなのか、それとも本当にステフが好きなのか、
判然としないながらも、カートと彼女の関係は良好のようだ。
HHHとステファニー夫妻
がんばれ、カート。(まとまり無いなあ・・・)
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