■PIERROT TOUR 2002■ 「PSYCHEDELIC HEAVEN」

2002/09/20 大阪厚生年金会館

1.HEAVEN
2.新月
3.DNA
4.ENEMY
5.HOME SICK
6.ゲルニカ
7.LOVE & PEACE
8.BELIAVER
9.COCOON
10.AUTOMATION AIR
11.壊れていくこの世界で
12.OVER DOSE
13.REBIRTH DAY
14.BIRTH DAY
15.PCYCHEDELIC LOVER
16.LANDSCAPE
17.SUPER STRING THEORY
18.ATENA

−Enc1−

19.Adolf
20.真っ赤な花
21.MAD SKY

−Enc2−

22.自殺の理由
22.HAKEN KREUZ
23.蜘蛛の意図
24.HUMAN GATE









    
・・・涙で霞む記憶の中にあるあつい塊を今、どうやって穿り出そうか。
















「そこにいるだけでいいから。」



"存在の意味"なんて、思春期を終えた頃にとっくに訣別していた問題で。
今はもう、あたしはあたしのやり方で生きていて、
例え貴方達が私を肯定してくれなくとも、
私は此処にいる。


私にとっては相互関係なんてどうだってよくて、
"どうして此処にいるのか"
それは、
私が私のやり方で選んだ貴方達だからこそ、
貴方たちが、ピエロが、私にとって心から愛せる、大切な、存在なのであって、
だから、
私はこうして此処へ来ているんだよ、と、思う。



私にとってどうしてHUMAN GATEが特別なのかっていうと、
私もずっと前は様々なことに対して葛藤して足掻いていた。
けれど、そんな私に対してあの曲は、
この現実の中にある自分の存在の意味とか、
生きていかなくちゃ行けない日常とか、
そういうものをやっと受け入れさせてくれた曲なの。
思春期を終える頃に、わたしを助けてくれた曲だったから。


だから、
BIRTHDAYだけじゃなくて、HUMAN GATEをやってくれたのが嬉しかった。
やっと逢えたと思った。



私にとって、

"そこにいるだけでいいから"

という言葉は、私を肯定してくれる言葉なのではなくて、
貴方達に対する私の想いと同じなんです。




満たされなかった訳じゃ無い。
けれど、BIRTHDAYに重ねてしまうのは自分の気持ちだけ。

言葉にはしないし、伝えようとも思わない、だけど、

あなたたち自身すら、そうやって他人から愛されるべき存在なんだと、
生きてきた全てをかけてその存在を肯定しようとする、私が、
此処にいるんだよっていう事実だけが、あればいいと思う。





そう、結論を出した、最後だと思った。

でも、違った。
あのひとはそんな私をも満たしてくれた。
誰も言ってくれなかった、ずっと言って欲しかった言葉を、言ってくれた。

自殺の理由の前のMCで。




・・・俺は歌うから。
その時は瓦礫の上でも聴きに来てよ。





ピエロを好きになって、キリトを好きになって、
ずっとずっと私が待っていた言葉。

"歌うから"

何よりも守りたいのは、何よりも大切で愛しているのは、
歌っている、その存在だったから。
感情よりも先に涙が溢れた。
失いたくない、絶対に、見失ったりしない、そう思った。
今迄の誰もそんなふうに言ってくれたことなんか無くて、
だけどずっとずっと、キリトを好きになるよりも前から私が、
孤独の淵で求めていた言葉がそれだった。

物凄く救われた気がした。
あたしの存在の意味なんて肯定してくれなくていい。
ただ、そこにいて、
その場所で、
歌ってくれれば、
それだけで、いい。


そこにいるだけでいいから、


その姿を、歌声を。
わたしはいつまでもここでこうして待っているから。



全てだった、それが、ずっと。
想い続けていたいろんな全てが、
その一言で受け入れてもらえた気がした。





最後。

たったひとつの音がそのことを告げて泣き崩れた瞬間と、
間奏の時に上手の袖で客を煽っていたキリトと、
しゃがみこんで見上げたステージの明るかったことと、

気が付いたらすがり付いて泣いていた。
あの曲の最中も泣くことしか出来なかった。

ずっと待っていた、全部、全部、全部。





それでも、言葉になんか出来ない。
今はもうあの渦中にいた時とは違って、
今朝目が覚めたら繰り返す日常の中に自分が置かれていることをはっきりとまた、自覚していて。
あの記憶が少しずつ薄れていく思い出になるのだと言うことが少しだけ寂しくて、
そして、わたしにとってこの日常を生きることこそが"HUMAN GATE"そのものなのだと。

前回気が付けなかったけれど、
ピエロは私が生きる世界そのものであるということをもっと掘り下げてしまえば、
私の全てはあの曲に集約されているのかもしれない。
あれだけが最後まで私の居場所なんだと思う。
あの曲が最後まで私の存在の意味と、
生きて行くことを肯定してくれるたった一つの糧なんだと。



"いつかその思いを託して羽ばたいた鳥達が晴れた空に帰ってくる日まで"


また、HUMAN GATEを聴ける時まで、
私はずっと多分、この曲の中にいるんだと思う。




束縛は解けない。
依存して切り開いた道じゃない、だけど、
守りたいものが、大切なものが私にはあるんだ。
私が終わる時まで、この想いは消さないよ。



キリトがステージを去る瞬間まで、口には出せなかったけど何度も何度も、
心の中で叫んでいた言葉。
今も、あの時と変わらない気持ちで、たった一言だけ、伝えたい言葉。


「ありがとう」


ここにわたしを連れて来てくれて、ありがとう。






・・・最後に。



一緒に見てきた人達、あの時あの場所にいた友達、
ただ手を離さないでいてくれた、
涙を受け入れてくれた、
それは、私が存在する意味と等価値であると思った。

例えひとときだけでも、わかちあえる仲間というものは大切なんだと、
しばらくしてしんみりと思いました。



些細なことですが、あの時わたしは、
感情が暴走して涙を流して苦しくって、
だけど、
手を握っていてくれた人がいて、
「聴けて良かったね」
そういってくれる人がいて、
それはね、直接はあのライブとは関係の無いところでだけど、でも、
凄く凄く嬉しかったよ。

ここを見てはいないかもしれないけど、
直接いうのは恥かしいから、ここに書いておくね。

どうもありがとう。
ライブの記憶は無い代わりに、
流した涙と繋いだ手のひらが暖かく感じた記憶は残ってるよ。




2002.09.23
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