シャーペンの消しゴム


シャーペンには、消しゴムというやつが先っぽの方についている。消しゴム本体を忘れた時なんかは意外と便利さんである。しかし、以前人にシャーペンを貸したところ、「先っちょの消しゴム使っていい?」と聞かれた。「なぜわざわざ聞くんだい?」と紳士のように問い詰めたところ、シャーペンの消しゴムを使うことを、お相撲さんのお尻を拭く係並に嫌がる人がよくいるのだという。

 
  その事実をはじめて知った時は驚愕の思いであった。なぜシャーペンの消しゴム(以降アレ)を使うことがそれほどの屈辱となるのか。私はその傾向にある友人から理由を聞いた。彼は「これはさ、いわゆるポリシーってやつだよ。アレを使いまくって汚くなると、もうそれはシャーペンじゃないわけ。ただの芯が出る棒だよ」と偉そうに言ってきたので、後で彼のアレを物凄く黒くしておいた。


  それはさておき、そういうことらしい。しかし、一つ疑問が残る。なぜアレがあるのだろうか。初めに意外と便利と書いたが、使うのをためらう人のほうが統計上では多いらしい。シャーペン会社もその事実を目の当たりにしていることだろう。だったらなおさら消しゴムという機能を廃止すべきである。 そしてさらに便利かつ見た目も綺麗という代物を作らないといけないと私は考える。


 そこで少し考えてみた。まずシャーペンになんか色々な機械を入れる。液晶も頑張ってつける。アンテナも頑張ってつける。ボタンとかも巧みにつけていく。はい、シャーペン携帯電話の完成。電話しながらメモが取れる。周りから見ると、ずっとシャーペン持ってるわけだからすごい勉強できる人に見える。あと、めちゃめちゃ軽い。一石三鳥。特許とれるかもしんない。

 これをあの友人に話してみたところ、「お前ってそんなかわいそうな奴だったっけ?」と意味深なことを言われてしまった。しかし、ここで挫折してはいけない。なんとか友人にその便利さを伝えようと努力した。
「消しゴムみたいに、ただ消えるだけじゃないんだ!」
「そうだったとしてもブームは消えるよ」


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