お土産



 『…お土産何がいい?』

 それが、一ヶ月前の優の言葉。

 今。

 『一緒に行こうよ。』

 は?

 あたし、仕事あるんですけど…。

 『そうかそうか…は俺より仕事を取るわけだ。』

 いや、そういうつもりじゃ…。




 事の始まりは、優が仕事で沖縄へ行く。

 で、最初お土産を買ってくるって言ってくれてたんだけど。

 どうやら話は、私も沖縄へ行く方向になってる。




 『てっちゃんも、黒沢さんも彼女連れてくみたいよ?』

 だから、私にも行けってか。

 『そう。…あ!』

 何?

 『これ聴いてもいい?』




 優の勧めで聴くようになったCDが私の部屋には散らばっていて。

 でも、優は忙しくてCD買う時間もないから。

 私の部屋で、聴いていくのが定着しつつある。




 『こんなさぁ、俺が勧めた奴全部そろえるぐらいだかださぁ…。』

 な、…何よ。

 『俺のこと愛してるわけでしょ?』

 顔赤くして、はい、とでも言えばいいのかしら?

 『可愛くないな。』

 ゆ…優の事は好きよ…。

 『んじゃさ、沖縄行っちゃおうよ。』

 いや、それは別の問題であって。

 『何が問題なわけ?』

 仕事がね…それさえ無ければいいんだけど。

 『んじゃ、仕事やめないよ。』

 え?

 何て言った?

 『とにかく、やめなよ仕事。』

 は…

 話の無駄ね。私寝るわ。

 『いや、話の続きはあるって!』

 何?






 『結婚したら、やめる理由になるわけでしょ?』









 それって…プロポーズ?

 『のつもり。』

 …結婚してあげる。

 『そこ違う。俺がしてあげるわけよ。』

 いや、私がしてあげるの。

 『どこまでいっても可愛くない。』

 余計なお世話よ。




















 「おめでとう!」

 村上さんや、黒沢さん、酒井さん、北山さん。

 そして友達が口々にお祝いしてくれた。










 『…?』

 身内だけのパーティーで。

 黒いスーツの優が私の横に立っている。

 『…綺麗だよ。』







 「ありがとう…優…」


 今日一日だけは優の望みどおり素直になってみようと思った瞬間だった。
END

■あとがきと言う名の言い訳
ファイルの整理とかしてたら、出てきた(笑)で、ある程度文章は出来てるし公開です。久々ヤス作品。もっと、ご本人は大人な方ですから、勘違いしないで下さいね(笑)