神様。
願いが叶うなら。
彼女のココロだけを繋ぎとめる力を僕に与えて…
『あいしてる…』
細い身体を抱くと必ず、は言う。
『あいしてるよ…』
僕はそう返して、の首筋に顔を埋める。
いつもならそれでよかった。
そう、いつもなら。
でも、あの日は違った。
明らかに僕以外が付けた、紫色の痕。
の首に、紫色の痕があった。
それを見つけた瞬間、僕はを強く抱きしめた。
『…どうしたの?』
『…なんでもない…』
『ユタカ…』
が僕の名前を呟きながら、指差した向こうは寝室。
赤い唇が、艶っぽく動く。
こんなに愛していても。
は僕だけじゃ物足りないの…?
それでも、夜を共にしなければならないの…?
その痕は誰のもの…?
は僕だけのものじゃないの…?
はいつも誰の胸に抱かれて幸せな夢を見てる?
その胸は僕じゃないの?
その唇も
その瞳も
その身体も
僕だけのものだと思っていたい。
せめてココロだけは僕のものだと言って…
『あたしは、ユタカのもの…』
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