傷痕






神様。

願いが叶うなら。

彼女のココロだけを繋ぎとめる力を僕に与えて…




『あいしてる…』

細い身体を抱くと必ず、は言う。

『あいしてるよ…』

僕はそう返して、の首筋に顔を埋める。



いつもならそれでよかった。

そう、いつもなら。



でも、あの日は違った。



明らかに僕以外が付けた、紫色の痕。

の首に、紫色の痕があった。


それを見つけた瞬間、僕はを強く抱きしめた。


『…どうしたの?』


『…なんでもない…』



『ユタカ…』

が僕の名前を呟きながら、指差した向こうは寝室。

赤い唇が、艶っぽく動く。





こんなに愛していても。

は僕だけじゃ物足りないの…?

それでも、夜を共にしなければならないの…?

その痕は誰のもの…?

は僕だけのものじゃないの…?


はいつも誰の胸に抱かれて幸せな夢を見てる?

その胸は僕じゃないの?

その唇も

その瞳も

その身体も

僕だけのものだと思っていたい。





せめてココロだけは僕のものだと言って…

『あたしは、ユタカのもの…』

END

■あとがきと言う名の言い訳
初JAVA作品。こんなんで、ヤスのファンの方は喜んでくれるんでしょうか?個人的にはヤスって、「エロ」イメージあるんですが<なんで?