5W1H / Still Looking 4 Gennjitz
『やつらの代わりはどこにでもいるが 俺らの代わりはどこにもいねぇ』
現在栃木で活動中のDUFFとKZMの2MCグループ。
音は重め。アルバム一枚通して不穏な雰囲気が漂ってます。ただ2人のMCがものすごい存在感。なんというか圧倒的なオリジナル。正に上のリリックの通りで。この人たちの魅力はやっぱりそこにありますね。2人の声、スタイルも真逆ってほど違くてそこがまたいい。ただその分トラックがどうしても弱く感じる。そしてその部分がアルバム通してどうしてもひっかかる感じ。
その曲を聴いてるときはラップやリリックとかかっこいいってすごく思うんだけど、通して聴いてると曲名見て「あぁこういう曲だった」っていうのが思い出せないっていうか。最初に書いたようにトラック、ラップ通して不穏な感じがずっと流れてるためにどうしても振り返るとそれぞれ同じような印象が残るんですよね。一曲単位ではトラックともラップ合っててすごいかっこいいって感じるんだけど...。ん〜。
「Intro」に続いて2曲目「アイソザム」。KZMの『同業者に届け この詩』というリリックから始まるこの曲。この言葉の示す通り2人の気持ちを放った厳しいリリック。栃木と言えばのあのアーティスト二組をDUFFが名前まんま出しでガッツリDIS。そのDISがあるヴァースの最初の『どこでもドア適当に開けたらここどこだ?』がすごく印象的。かっこいいなぁ。
3曲目「New Era」。この曲はこのアルバムでは珍しいBPM早めの曲。でもやっぱりノリがいいってわけではなく(笑)。とは言ってもこの雰囲気の違いはすごいインパクトあっていいねぇ。この曲最後のヴァースのテンション高いDUFFが最高。
4曲目の「潜行」はKZMのイントロがめっちゃ印象的。でもリリックが...。こういうなんていうか狂気の部分のリリックもこのアーティストにはあるんだけど、正直ちょっと厳しいな。2人とも恐い(笑)。特にDUFFリリック、フロウ共にやばぁい。
そんな中でも一回聴いただけで圧倒的な印象を残す7曲目「Most Ill MC(MI:2)」。この曲はすごい。最初に書いたようなトラックの弱さもまったくなし。こんな音使うかって感じ。それでもまったく負けない2人のラップ。特にリリックがすごい。DUFFの始まりから数行分のリリック。そしてとにかく響いたのがKZMの『国内のシーンに興味ないし聞けないって奴の気が知れない 頭おかしんじゃない? 5秒に1回はファックかニガ はたまたひたすら暴言のみ吐くあのリリック 気にしない気にしない音だけ楽しみたい 翻訳済みの歌詞カードも要らない あぁ、絶望』(長くてごめんなさい)ってとこ。これはものすごい共感。昔ハーレムのコンピに入ってる曲で対訳見て愕然としたのすんごい覚えてる。正に『暴言のみ吐くリリック』、こんなの何がいいんだって思ってハーレムのコンピ自体まともに聴かなくなりました。脱線...。戻して。KZMのフロウすごいっすね。あの裏声になるように突然音を引き上げるフロウ。ほんとに耳に残る。かっこいいわぁ。フックも飛んでる。この曲は聴くべき。
8曲目の「Get Da Money?」もやっぱりリリックがおもしろいな。ヒップホップにはほんとによくあるテーマだけどこの2人にかかるとまたちょっと変わってくる。KZMの『お金で買えないもの探す前に 人間らしい生き方するそのために』ってとことか。「お金で買えないもの探す」ってんだったらよくありそうだけど...ってとこでちょっと違う視点になってるのがおもしろい。そして最後のKZMのセリフがものすごくキニナル。『三人ともね...』。
タイトル曲11曲目「Still Looking 4 Gennjitz」。この曲インパクトあるわけじゃないけどなんだかすごい好き。トラックの弦の音もすごくいいし。KZMの『寝耳に水のリリックをどうぞ』ってフレーズが大好き。自ら言うかって感じで(笑)。
やっぱり初めて聴いたときの印象がどうしても抜けないです。最初に書いたいわゆる曲の中はかっこいいけど、通すとどうも...、っていうところ。MC2人のラップ自体は印象薄くなっちゃうのほんとにもったいないほどかっこいい。リリックももっと挙げたいのいっぱいあるぐらいすごくいい。トラックもだけどもう少しなにかが変われば...。
リリックいっぱい挙げたからなかなか長めになったなぁ。
【おまけ】
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