「介護保険と医療ビッグバンがもたらす社会変革」
日時 |
11月26日 15時00分〜16時20分 |
Title |
介護保険と医療ビッグバンがもたらす社会変革 |
Sub-Title |
求められる医療介護の標準化 |
講師 |
日医総研主席研究員
日本福祉大学経済学部教授
川渕孝一 |
【内容】
1.薬価制度の改革に関する論点
1−1 制度について
現行の薬価基準制度が薬価差益を生むという弊害を持っているため、これに代わるものとして厚生省は日本型参照価格制度の創設を考えているが、市場価格・購入価格給付制度(製薬業界)、現行薬価基準の見直し(日医など)、保険医薬品・材料等供給機構(日医総研案)が代案として出されるなど、意見の一致を見ていない。
参照価格制度は、薬価差益解消を行うといいながら、新たな差益を生む危険性があるのではないか。
1−2 グルーピングについて
同種の医薬品をグループ化して価格を設定する考え方だが、特許期間中の医薬品の扱い、先発品と後発品の扱いをどうするのか。
1−3 給付基準額の設定について
薬剤定価≧給付基準額:患者負担
薬剤定価<給付基準額:価格差を容認するのか
患者負担は特定療養費とするのか
参照価格制度の導入が薬価差をなくするために考えられているのに、導入によって新たな価格差を生むことになってはいないか。
薬剤定価=製薬企業届出価格×(1+流通経費率)×(1+消費税率)×(1+損耗経費率)としているが、問題は生じないか。
2.新しい診療報酬制度の構築に関する論点
2−1 診療報酬制度について
「もの」と「技術」をどのように分離するか
「急性期」と「慢性期」の明確な定義づけは
薬価差依存による医療機関経営ができない中、どのように医療機関の経営原資を担保するのか
「もの」の部分については、内外価格差をどのように是正するか
診療報酬制度の構築とともに、医療提供体制とのリンケージをどのように行うか
診療報酬点数表の簡素化について、具体的にどのような措置を講ずるのか
レセプト様式の変更および電算化についての具体策は
地域包括医療や予防医学に対する手当ては
2−2 日本版DRG-PPSについて
Diagnosis Related Groups Prospective Payment System
日本における適切な疾病分類が可能か
医療機関におけるICD(国際疾病分類)の整備を試行とともに行う必要がある
医療機関はより利益率の高いDRGにシフトするのでは
Up Comingの心配はないか
過度な外来シフトや在宅シフトが起こるのでは
病院の倒産や病棟閉鎖が増大するのでは
医療の質の確保ができるのか
急激な在院日数の短縮がおこらないか
粗診粗療をいかにチェックするか
院内でレイオフが起こらないか
慢性疾患や要リハビリなどの長期入院が必要なケースへの対応が適切に行われるのか
3.高齢者医療保険制度の創設に関する論点
現役世代と引退世代の負担の在り方をどうするか
本格的な小子高齢社会には定年制の延長しかないのでは
公的介護保険制度との整合性は
4.公的介護保険制度に関する具体的な論点
4−1 制度整備基準について
4−2 保険財源について
財源内訳
保険料
利用者負担
介護報酬
財政安定化基金
4−3 保険給付について
保険者・被保険者
給付内容
サービス提供機関
既存制度との関係
支給限度・給付限度
4−4 要介護認定について
認定手続の流れ
認定基準
かかりつけ医「意見書」
介護認定審査会
4−4 介護支援専門員について
4−6 ケアプラン作成について
4−7 経過措置について
【所感】
介護保険がタイトルにあるわりには、前段の薬価基準の見直し論議の話が多かった。
介護保険の話題では、現実に自治体で問題点として議論されているものばかりであった。
医療介護の標準化が求められているのに、現在の厚生省の考え方で大丈夫なのかという論旨。
自身は3月まで厚生省に勤務していたという。
現在は日本医師会の関係団体と思われる日医総研に席を置く立場からの発言。
薬価にかかる論議も、薬価基準制度により薬価差益が発生することではなく、その差益を当てにして、必要以上に薬が投与されることで、結果的に医療保険に悪影響を及ぼしていることからではないのか。
川渕氏の論旨には、薬価差益による病院経営を容認する部分がある。
概ね法律は善良な住民が法律にのっとり行動することを前提として作成されているため、現実の運用レベルでは多くの矛盾や課題を含むものである。
[追加情報]
・川渕孝一氏 (infoseekによる結果)
・日本医師会
・日本福祉大学
・介護保険
・介護保険標準システム
・高齢者保険
・現行の高齢者福祉制度
・介護保険の試験前
・抜本「改革」与党案、医療改革協で合意
・日本の高齢者施策
・地方自治体担当者のための公的介護保険講座
・医療連続改悪の政府スケジュール
・国民の信頼が得られる医療保障制度の再構築
・介護保険制度関連年表 1997,10 更新
・福祉政策年表/年金・医療・介護
・福祉関係機関及び各種施設の解説
・医療保険福祉審議会
第5回運営部会議事要旨