日時 | 11月26日 13時10分〜14時30分 |
Title | ネットワークビジネスとOne to Oneマーケティング |
Sub-Title | |
講師 | 慶応義塾大学総合政策学部教授
井関利明 |
【内容】
●構造的なビジネスの変化(ビジネス戦略の焦点移動)
Phase-1 | 大量生産、大量販売の時代 | 20世紀初頭〜'70 | マス生産、マスマーケティング、マス物流の効率化を追及
1913年フォードシステム |
メインフレーム
集中処理 企業内オートメーション |
Phase-2 | クオリティ改善の時代(Quality) | '70〜'80 | TQC
リエンジリアニング 顧客の満足 |
ワークステーション
自律分散 顧客対応 業務プロセスの改善 |
Phase-3 | 価値追及の時代(value) | '90〜21世紀始め | リレーソンシップマーケティングの時代
顧客ロイヤリティとソリューションビジネス(課題の解決) |
PC
インターネット 企業と顧客の相互作用(コラボレーション) 課題解決 カスタマイゼーション 顧客参加 共同学習 個別対応 企業と顧客が同じ土俵の上にのった(水平化) |
●「マスカスタマイゼーション」
アキア、デル、ゲートウエイなど個別対応の会社が儲かっている
発注の直後、向上での生産が始まるため、在庫のリスクを抱える必要がなく、ロスがないため、結果的にコストを抑え、価格を下げることができる
同時に個別対応可能なマーケティングが必要。トヨタは最終仕様車として38000種類の車を作っているが、そのことを活かしたマーケティングが行われていない。
少量個別対応ではビジネスにならない、大量個別対応でなくてはならず、それがコンピュータテクノロジーにより可能になっている。
中間部品を標準化していれば、その組み合わせによって最終製品を多様化することができる。(なぜ最終製品を標準化するのか)
なにを組み合わせれば、「あなただけの特別なもの」にできるか。
●Meal Solutionのビジネス原理
食品、食材(foods) | 食事(meals) |
単品販売 | 組み合わせ中心 |
物販中心 | サービス志向 |
商品の発想 | 生活起点発想 |
無差別、大量志向 | 個別対応志向 |
販売、取引中心 | リレーションシップ志向 |
transaction | relationship |
●スイッチボード型モデル(キーボードビジネス)
実社会の模倣ではなく、インターネットによりはじめて可能になるビジネス
BuyerとSellerがインターネットを介することで、初めて出会うことができる。
実社会では出会うことができない両者を結びつける(スイッチボード)
(Buyers)
(Sellers)
Buyer--------++++++------Seller
Buyer-------+
+-----Seller
Buyer------+ Internet +----Seller
Buyer-------+
+----Seller
Buyer--------++++++------Seller
●スモールビジネスソサエティ
アメリカの売上高Top500のGDPに占める割合は、10%に過ぎない。
スモールビジネスソサエティ=活性化した社会
●Market-Share is DEAD.
市場占有率が高いからといって、利益をあげているわけではない。
売上が利益をもたらさない→商品の組み合わせによって利益を生むようにする。
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+ <- 売上
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* *** $ ******* <- 利益率
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* +
|
* +
|
*+
|
+ *
|
+ *
|
+ *
| +
*
| + **** *
+---------------------------------------------------
交点($)を越えると、売れば売るほど赤字になる
●Jack Welch(GEのCEO)のとった戦略の推移
1. Be NO1 or NO2 市場でNO1/NO2でない商品は捨てる又は捨てないために努力する
2. Work-out 業務のプロセスからいらない部分を取り除く
3. Solution Marketing (現在の戦略)
●価値連鎖の2つのモデル
1.企業主導・製品中心モデル(マイケルポーター型)
企業資産 原料 製品 流通
→ → サービス → → 顧客
コアコンピタンス 材料 提供物 チャネル
2.顧客主導モデル
顧客ニーズ 流通 原料 企業資産
期待・展望の → → 提供物 → 材料 →
重要度 チャネル 部品 コアコンピタンス
●自らのお客を明確にする
お客でないものを排除する。
不特定多数相手のビジネスはあり得ない。
【所感】
1998年10月に受講した「尾道市官民合同研修」における広島市立大学・大場充教授による基調講義(http://www.sel.cs.hiroshima-cu.ac.jp/~ohba/onomichi/ohba.htm)
と共通したものを感じた。
井関氏のいう「One to One」を「顧客によって提供するサービスに差を設ける」(よい顧客にはよいサービスを提供し、そうでない顧客にはそれなりのサービスを提供する)と考えると、行政になじまない話になるが、顧客(住民)という「人」を主体において、教育・福祉など、その人が享受できる各種サービスを一ヶ所で手続きできる(ワンストップサービス?)と考えれば、どうか。
「あなただけの特別なもの」という感覚を、住民に等しく同等のサービスを提供しようとする行政にあてはめようとするのは困難であろう。
[追加情報]
・One to Oneマーケティング協議会
・井関利明氏