ネコ禪ハウス
西洋館


C.オルフ「 カルミナ ブラーナ」より
5「Ecce gratum」の歌詞を曲の通りに反復させて、
文法解釈と意訳をしてみました。

最下段に演奏ファイルへのリンクがあります。(YouTube動画)↓


Ecce gratum という5曲目のとても美しい曲があるのだけれど、歌詞を読んでみると、キレイなだけではないものを感じる。
歌詞の中に letantur と letantes という言葉が出てくるのだが、これは leto という単語の活用形で”殺す、亡ぶ”という意味らしい。
ラテン語の世界に暗いので詳しいことはわからないのだけれど、このletoを、laetoという単語と同義と解釈することが可能であるらしく、そうするのが一般的なようだ。
laeto という言葉はgladdenとかrejoiceとかに英訳できるような言葉のようで、相当にポジティブな語感があるのだけれど、どうも、納得がいかない。
”パリスの仲間になろう”という歌詞からすると、滅亡を志向しているのは明らかなようにも思えるのだ。
パリスとは、ギリシャ神話に登場し、いわゆる「三美神の審判」で、”世界の支配”、”すべての勝利”を蹴って、”もっとも美しい女性”を選んだ男である。
そして、その最高の女性、ヘレナを手にしたことで、トロイア戦争を起し、自国を滅亡に追いやるのである。
というわけで、”Gloriantur et letantur”は”昂揚し、歓びに満ちて、”と頑張るより、フツーに”昂り、やがて、亡ぼされん”とする方が自然かなとも思うのである。

どんなもんでしょう。  (^^ゞ

Ecce gratum, Ecce gratum et optatum Ver reducit gaudia;
ごらん、
ほら、さあ
喜ばしい、
歓迎される
ごらん、
ほら、さあ
喜ばしい、
歓迎される
そして、
また
望まれた、
求められる、
春が、青春が、
若さが
思い出させる、
復活させる
喜びを、
楽しみを
感動詞 形容詞・主格 感動詞 形容詞・主格 接続詞 形容詞・主格 名詞n・主格 動詞・三単現 名詞n・対格
  ほら、ごらん、うれしい、 ほら、ごらん、うれしい、 待ち望まれた春が、喜びを楽しみを、よみがえらせ、
Ecce gratum et optatum Ver reducit gaudia;
ごらん、
ほら、さあ
喜ばしい、
歓迎される
そして、
また
望まれた、
求められる、
春が、青春が、
若さが
思い出させる、
復活させる
喜びを、
楽しみを
感動詞 形容詞・主格 接続詞 形容詞・主格 名詞n・主格 動詞・三単現 名詞n・対格
ほら、ごらん、うれしい、 待ち望まれた春が、喜びを楽しみを、よみがえらせ
purpuratum floret pratum, Sol serenat omnia.
正装の紫色の、
高貴な紫の
花が咲く、
繁茂する
草原、野原、
牧草地
太陽は 明るくする、
輝かせる
すべてのものを、
万物を
形容詞・主格 動詞 名詞n・主格 名詞m・主格 動詞 名詞n・対格
野原は、貴い紫色に花咲き乱れ、 太陽は、すべてのものを輝かせ、
Iamiam cedant tristia! Estas redit, nunc recedit Hyemis sevitia.
すぐに、今 去りますように、
過ぎますように、
悲しみが、
憂鬱さが、
夏、夏の暑さ
年、年期
戻る、頼る、応じる 今、現在 退く、引く、
衰える
冬の、冷たさの、嵐の 激しさ、獰猛さ
副詞 動詞・三複数現・接続法 形容詞
主格(名詞化)
名詞 動詞・三単現 副詞 動詞・三単現 名詞f・属格 名詞f・主格
今すぐに、 憂鬱な思いは、去ってゆくがいい! 季節の熱の、今、よみがえり、 険しき冬の退きて、
Iamiam cedant tristia! Estas redit, nunc recedit Hyemis sevitia.
すぐに、今 去りますように、
過ぎますように、
悲しみが、
憂鬱さが、
夏、夏の暑さ
年、年期
戻る、頼る、応じる 今、現在 退く、引く、
衰える
冬の、冷たさの、嵐の 激しさ、獰猛さ
副詞 動詞・三複数現・接続法 形容詞
主格(名詞化)
名詞 動詞・三単現 副詞 動詞・三単現 名詞f・属格 名詞f・主格
今や、すぐに、 過ぎゆけよ、悲しさよ! 季節の熱の、よみがえり、  険しき冬の退きて、
Estas redit, nunc recedit, Estas redit, nunc recedit, Hyemis sevitia.
夏、夏の暑さ
年、年期
戻る、頼る、応じる 今、現在 退く、引く、
衰える
夏、夏の暑さ
年、年期
戻る、頼る、応じる 今、現在 退く、引く、
衰える
冬の、冷たさの、嵐の 激しさ、獰猛さ
名詞 動詞・三単現 副詞 動詞・三単現 名詞 動詞・三単現 副詞 動詞・三単現 名詞f・属格 名詞f・主格
季節の熱の、よみがえり、 今、険しき冬の退きて、  季節の熱の、よみがえり、 険しき冬の退きて、
Ah----------a!
ああ!
感動詞
Iam liquescit, Iam liquescit et decrescit grando, nix et cetera;
今、すでに 溶ける、流動する 今、すでに 溶ける、流動する そして、また 減る、少なくなる 雹、雹の嵐 そして、また 他のもの、
それ以外のもの
副詞 動詞・三単現 副詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 名詞f・主格 名詞f・主格 接続詞
今や、流れ出で、今、諸々の、氷と雪と、流れ出で失せ、
Iam liquescit et decrescit grando, nix et cetera;
今、すでに 溶ける、流動する そして、また 減る、少なくなる 雹、雹の嵐 そして、また 他のもの、
それ以外の
もの
副詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 名詞f・主格 名詞f・主格 接続詞
今、諸々の、氷と雪と、流れ出で失せ、
bruma fugit, et iam sugit Ver estatis ubera;
冬は 逃げる、
消えうせる、
そして、また 今、すでに 吸う、飲む 春は 夏の暑さの 乳房を
名詞f・主格 動詞・三単現 接続詞 副詞 動詞・三単現 名詞n・主格 名詞f・属格 名詞n・対格
冬の逃げ失せ、今、春は、季節の熱の、乳房を吸い、
illi mens est misera, qui nec vivit, nec lascivit sub Estatis dextera.
あの~は
心情、理性 ~は~である 惨めな、不幸な ~人は することなく 生きる
生活を楽しむ
することなく 跳ね回る、
暴れ回る
のもとで、の間 夏の暑さの
夏の
挨拶、握手、
右手
代名詞・主格 名詞f・主格 sum・三単現 形容詞・主格 関係代名詞・主格 接続詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 前置詞・奪格支配 名詞f・属格 名詞n・奪格
彼の心根は不幸なり、季節の熱の音連れに、命を喜ぶこともなし、遊んで回ることもなし、
illi mens est misera, qui nec vivit, nec lascivit sub Estatis dextera.
あの~は
心情、理性 ~は~である 惨めな、不幸な ~人は することなく 生きる
生活を楽しむ
することなく 跳ね回る、
暴れ回る
のもとで、の間 夏の暑さの
夏の
挨拶、握手、
右手
代名詞・主格 名詞f・主格 sum・三単現 形容詞・主格 関係代名詞・主格 接続詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 前置詞・奪格支配 名詞f・属格 名詞n・奪格
彼の心根は不幸なり、季節の熱の音連れに、命を喜ぶこともなし、遊んで回ることもなし、
qui nec vivit, nec lascivit qui nec vivit, nec lascivit sub Estatis dextera.
~人は することなく 生きる
生活を楽しむ
することなく 跳ね回る、
暴れ回る
~人は することなく 生きる
生活を楽しむ
することなく 跳ね回る、
暴れ回る
のもとで、の間 夏の暑さの
夏の
挨拶、握手、
右手
関係代名詞・主格 接続詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 関係代名詞・主格 接続詞 動詞・三単現 接続詞 動詞・三単現 前置詞・奪格支配 名詞f・属格 名詞n・奪格
命を喜ぶこともなし、遊んで回ることもなし、命を喜ぶこともなし、遊んで回ることもなし、季節の熱の音連れに、
Ah------------a!
ああ!
感動詞
Gloriantur, Gloriantur et letantur in melle dulcedinis.
誇りにする、
大いに喜ぶ
誇りにする、
大いに喜ぶ
そして、また 殺される、亡ぼされる、
損なわれる
中で、上で 蜂蜜、甘さ、 甘さの、快適、
呪文
動詞・三複数現 動詞・三複数現 接続詞 動詞・三複数受 前置詞奪格支配 名詞n・奪格 名詞n・属格
皆、昂揚し、歓喜して、 皆、昂揚し、歓喜して、 そして、その後、亡ぼされん、 甘き呪文の蜜の内に、 
Gloriantur et letantur in melle dulcedinis.
誇りにする、
大いに喜ぶ
そして、また 殺される、亡ぼされる、
損なわれる
中に、上に 蜂蜜、甘さ、 甘さの、快適さの、
呪文の
動詞・三複数現 接続詞 動詞・三複数受 前置詞奪格支配 名詞n・奪格 名詞n・属格
甘き呪文の蜜の内に、 皆、 昂揚し、歓喜して、そして、その後、亡ぼされん。
qui conantur, ut utantur premio Cupidinis;
~する人は (私たちは)
努力する
するために (私たちは)
交流を楽しもうと、
押すこと、追求、
求愛、
愛の神の
代名詞・主格 動詞・一複現 接続詞 動詞・一複現接 名詞n・奪格 名詞n・属格
恋神の誘いに逢いて、悦んで、楽しまんとする者は、
simus ijussu Cypridis gloriantes et letantes pares esse Paridis.
なりましょう(勧奨) 命令によって アフロディティの 大いに喜ぶこと と、また 亡ぶこと 仲間、同類に になることが パリディス
sum・一複接続 名詞m・奪格 名詞m・属格 動詞・現在分詞 接続詞 動詞・現在分詞 名詞c・対格 sum・不定詞 名詞m・属格
美の神、ウェヌスの命に依り、 美を愛で亡びし、パリスの如く、  大いに昂り、歓んで、 いざ、その後に、亡ぼされん。
simus ijussu Cypridis gloriantes et letantes pares esse Paridis.
なりましょう(勧奨) 命令によって アフロディティの 大いに喜ぶこと と、また 亡ぶこと 仲間、同類に になることが パリディス
sum・一複接続 名詞m・奪格 名詞m・属格 動詞・現在分詞 接続詞 動詞・現在分詞 名詞c・対格 sum・不定詞 名詞m・属格
美の神、ウェヌスの命に依り、 美を愛で亡びしパリスの如く、  皆、大いに昂り、歓んで、 いざ、その後に、亡ぼされん。
gloriantes et letantes gloriantes et letantes pares esse Paridis.
大いに喜ぶこと と、また 亡ぶこと 大いに喜ぶこと と、また 亡ぶこと 仲間、同類に になることが パリディス
動詞・現在分詞 接続詞 動詞・現在分詞 動詞・現在分詞 接続詞 動詞・現在分詞 名詞c・対格 sum・不定詞 名詞m・属格
皆、 大いに昂り、歓んで、  いざ、その後に、亡ぼされん。    美を愛でし、パリスの如く、いざ、亡びん。
Ah------------------------a!
ああ!
感動詞


バレーダンス付きです。
この歌の雰囲気がよく出ていると思います。