非核神戸方式について

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☆神戸方式ってなに?☆

「核兵器積載艦艇の神戸港入港に関する決議」(長いので「決議」って呼びます^^;)に基づき、外国の艦船(軍が管理する船)が神戸港に入港する際に、核兵器を搭載していないことを自ら証明する「非核証明書」を提出することを義務づけたものです。

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☆法的根拠☆

地方自治法
第2条第3項第1号 地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること
(解説)
地方自治体は、住民などの安全や健康を守らなければならない。
神戸市港湾施設条例より(抜粋)
第3条 港湾施設を利用しようとするものは、市長の許可を受けなければならない。
第5条 市長は・・・次の・・・場合においては、許可又は承認を与えてはならない。・・
(3)その使用内容が港湾環境を悪化させおそれれがあるとき。(4)その使用内容が公の秩序を乱すおそれがあるとき。
第6条 市長は・・使用に係わる危険を防止し、秩序を維持し、または環境を保全するために必要な条件を付し、及びこれを変更することができる。
第36条 市長は、必要があると認めるときには使用者に対し取扱い貨物、・・・その他港湾施設の使用に関する事項について関係書類の提出を求めることができる。
(解説)
第3条
港を利用したい人は、市長の許可を受ける。
第5条
港の利用によって、環境が悪くなったりしそうなときは、市長は利用を許可してはいけない。
第6条
港の環境や安全を守るために、港の利用に条件を付けることができる。
第36条
市長が「必要だ」と思えば、港の利用を許可するときに、必要な書類を提出させることができる。
解説になってんのかなぁ(笑)まあ、非核神戸方式のシステムの根拠になってる、ってことはわかってもらえるでしょうか?

ちなみに、初めの「地方自治法」は、元々はデモなどを押さえつけるためにできたものだとか。法律も使い方で利益になったり害になったりするんですね。気を付けないと。

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☆神戸港の歴史☆

1945〜51 神戸港は米軍の完全占領下
1952〜  一部撤収解除が始まる
   〜74 第6突堤返還により米軍完全撤収
1975年 市会決議

 神戸港は、戦後1945〜51年、米軍の完全占領下にありました。52年から一部撤収が始まりましたが、船舶関係で高い工業技術を持つ神戸港は、朝鮮戦争(1946〜53)・ベトナム戦争(196?〜74)で米軍基地として利用され続けました。クリスマスには三宮や元町の繁華街に米兵があふれ、市民が暴行を受けるなどの被害も増えました。「平和で静かなクリスマスを」と、神戸港で働く労働者を中心に61年から「クリスマス闘争」が始まり、74年になってようやく神戸港から米軍基地は撤去されました。その年、米議会でラロック証言(※下参照※)「日本に寄港する艦艇は核兵器をはずさない」があり、翌1975年、神戸港で働く労働者が中心となって市議会に陳情し、「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」が全会一致で採択されました。これにより、それまで自由に神戸港を利用していた米軍艦は、その後一隻も入港できなくなりました。

※ラロック証言
ラロックってのは人の名前。アメリカの海軍で少佐(結構上の方)をしていた人なんだけど、74年10月6日、議会で核兵器の取り扱いについて質問を受けて、「核兵器が搭載できる艦船には全て核兵器を搭載している。日本の港に入る時にも核兵器は外していない」という証言をしたんです。
要するに、米軍の当事者が「日本に核兵器を持ち込んでいる」と証言したわけで、日本中が「これはえらいこっちゃ」と大騒ぎになったそうです。
*議会での証言っていうのは、アメリカの場合嘘をつくと罰則があったりするので、結構信頼性があったりするんだよね。

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☆神戸方式による効果☆

外国艦船(特にアメリカ)の入港を抑制
 決議以後、18隻の外国艦船が入港。うち、一番最近の98年、カナダの「プロテクター」が「核兵器非保有国なので搭載はあり得ない」とする政府圧力によって証明書なしで入港(※下参照※)、大きな抗議の声があがりましたが、核保有国のフランス(3隻)、インド(2隻)をはじめすべて入港時に非核証明書を提出。
 イギリスは78〜84年にかけ、7回入港を打診したが証明書が提出できず断念。
 決議以前、最大時は年間100隻以上入港していたアメリカは、決議以後、入港の打診すらもありません。

※ちなみに全国的には1975〜87年の統計でのべ311隻の米艦船の入港があったそうです。なかでも87年には米第7艦隊(太平洋を中心に活動し、世界最強と言われる)の旗艦(一番リーダー格の船)が首都である東京港に入港したとか(#-.-)

※実は決議以後長い間、神戸港だけでなく兵庫県内の他の港にも、米軍艦船は入港していませんでした。しかし01年に巡洋艦ヴィンセンス、03年に駆逐艦ヴァンデグリフトが相次いで入港、神戸方式を外堀から包囲する動きも強まっています。

※プロテクター入港については、港内のバースへは着岸していない(港内の自衛隊施設に着岸)ことから、厳密には神戸港入港と見なさない、というのが正しいようです。むしろこれによって「神戸方式が破られた」と悲観する方が、神戸方式を敵視する人たちの「思うつぼ」です。
私たちとしては、こういう例外的扱いも認めず、厳密に神戸方式が適用されるよう求めていく必要があると思います。

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☆際立った特徴☆

「非核宣言」を行っている自治体は全国に数多くありますが、ほとんどは「非核三原則を守る」とか、「尊重する」といった表現になっています。それに対して神戸ではもう一歩ふみこんで「核兵器の持ち込みを認めない」ということを、決議で明記しています。
さらに、決議を「行政措置」という形で具体的に実践していることが大きな特徴です。

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☆神戸方式の立脚点☆

非核三原則(核兵器をつくらない、持たない、持ち込ませない)は日本の国是(※)であり、 このうち3つ目の「持ち込ませない」を具体化したのが神戸方式です。この視点にたてば、神戸方式「日本の港全てで採用すべきもの」といえます。

※国是[こくぜ]
国家・世論がよいと認めた施政上の方針. (類)国策
(三省堂WebDictionary)

戦後、米軍の占領下だった(行くのにパスポートが必要だった)沖縄が、日本に正式に返還されたのが1971年。このとき、「返還に核兵器がついてくるのはいやだ」という国民の声にこたえて、国会で非核三原則が決議されました。

「非核3原則」という言葉を知らない日本人は少ないでしょう。(中身、特に「持ち込ませない」については詳しくないとしても)。そして、それに反対だと言う人も少ないと思うんです。国民に受け入れられている非核3原則です。

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☆現在のうごき☆

 神戸港非核化運動の中心を担った神戸港原水協は、原爆が投下された6日、9日を「6・9行動(ろっきゅうこうどう)と位置づけ、毎月6日・9日の2回、12月は6と9が付く全ての日(6回)、三宮センター街東口(そごう向かい)で、被爆者救援カンパを訴えています。2002年8月6日で累計1000回に到達後も、欠かさず継続。全国でもきわだった活動として注目されています。
 毎年3月18日には記念集会が開かれる。また、「クリスマス闘争」を記念して、毎年12月下旬に集会が開かれている。

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☆世界への広がり☆

ニュージーランドでは神戸方式と同じシステムを国の法律にし、国として完全な非核化を達成しています。

国連の「ミレニアムフォーラム」での宣言でも「(非核地帯の)ネットワークを、艦船が核兵器を積載しないことを証明しないなら入港を拒否する、という措置によって守るべき」として、神戸方式を取り入れています。

国内では、函館市、高知県などが条例化を検討しています。


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☆神戸方式の弱点☆

非核証明の提出が明文化されていない
現在の神戸方式は、港湾管理条例の中の「必要ある時は関係書類の提出を求めることができる」という記述と、「核搭載艦船の入港を拒否する」決議とに基づいて、港湾管理者である神戸市が取っている「行政措置」と言うことになります。
つまり、非核証明書の提出義務そのものを記述した条文はどこにもなく、いわば港湾管理者(=市長)の良心(それを動かすのは市民の声ですが)によってのみ実施が保障される、というのが弱点です。。
「事前協議制度」に基づく圧力
日本政府は米国との間で、「米国が核兵器を持ち込むときは事前に日本政府に相談する」という約束をしています。そのため、政府の理屈では「米政府から事前協議の申し入れがない以上、核兵器の持ち込みはありえない。一地方自治体が証明の提出を求める必要はない」ということになります。別に、大切なことなんだから重ねて確認すればいいことなんですけどね。そう言うと「外交ハ国ノ専権事項ナリ」なんて逃げたりします。
この事前協議、実際には効果のない空手形であることが色々と明らかになってはいるんですが。
調べてみよう→事前協議、核一時持ち込み=通過、核密約
有事法制
有事法制のもとでは、米軍にとって必要と判断した場合、国が自治体の頭越しに使用許可を与えることができるしくみになっています。
まあ戦時体制ですからね。神戸方式なんてメじゃない、なんてことになるわけです。OSOROSHIYA

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☆今後の課題☆

やっぱり、非核証明書の提出義務を明文化することでしょう。そのため、条例の制定を働きかけていきたいと思います。そのためには、市長も国に対してものを言える人でないとつらいですね。
高知県の橋本大二郎知事(橋本龍太郎元首相の弟)は、県として非核港湾条例の制定に取り組んでいます。
また、震災後低迷している取扱貨物量に対し、「神戸方式があるから」と敵視して無力化する圧力もあります。平和な港であってこそ安心して取引ができるというもの。市民が声をあげましょう。

※最近、神戸港と大阪港を連携して一つの港として使う方向が検討されているようです。取り扱い貨物量が増えるならいいことなんですが、神戸方式つぶしの突破口にならないよう注意が必要だと思います。

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○マメ知識

デートコースに含まれたり、子どもたちの遊び場になったり、お祭りや集会で使われたり・・・「メリケンパーク」は、メリケン=アメリカに最後まで占領されていた第6突堤(当時「メリケン波止場」と呼ばれた)を埋め立て、公園化したもの。軍事占領からの独立という意味でも、この場所は平和の象徴なんですねー。

※メリケンパークへの行き方
JRまたは阪神電鉄元町駅、東口からでも西口からでも、ひたすら南へまっすぐ行けば着きます。(それだけかい)
ルミナリエにいくときは、三宮駅からスタートして、センター街でお買い物、中華街で食事、ルミナリエを見たら海沿いを西へ歩き、メリケンパークを経由してハーバーランドへ。車を使ったりせず、電車や路線バスなど公共交通で。
ハーバーランドへ行ったら、帰りは神戸駅からが便利。


○言葉

クリスマス闘争の中、デモ隊に向かって演説した牧師さん、大川義篤さんの言葉。「キリストが今の世に生きていたなら、三宮のバーやスナックの中でなく、このデモ隊の先頭に立っていたであろう」
戦争好きのキリスト教原理主義者が聞いたら何て反論するやろね。

(以下、準備中)
参考文献 「非核神戸方式」(大川義篤著)ヒューマンブックレット

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