KIMU'sColumn

抱腹絶倒
ノンフィクションコラム

JohnnyGuitar
KimKimの
「おしょう伝説」
Vol.18



新春特別
   長編コラム
 『ワン、ツー!!』




「気色悪ぅー。」

初めてTVで動くローリング・ストーンズを観た時の、当時16歳の僕が受けた印象である。

薄暗い映像、ケバいメイク、ぶ厚いクチビル、顔のでかいベーシスト。

しかし曲が進むにつれ、僕の手の平に汗がにじんできた。

「い、いや、カッコええかもしれん…」

司会のネーちゃんが曲名を告げ番組を締めようとした時、僕は忘れてなるものかと、汗でビショ濡れの手にその曲のタイトルを書き留めた。

「ジャックなんとか…」

次の日早速、クラスに唯一人いたストーンズマニアの友人宅を訪ね、僕は喰らいついた。

「ジャックなんとかって曲が入ったレコード貸してくれ!」

「なんや!?それ、ジャンピング・ジャック・フラッシュのことやろ。」

見下す友人から奪い取るかのようにそのレコードを小脇に抱え帰宅すると、人のモノであることもお構いなしに、溝が擦り切れるほど繰り返し繰り返し聴いた。

「やっぱりカッコええ〜。」

何がそんなにカッコ良かったのか。

何度も聴くうち、そのツボがはっきり見えてきた。

イントロである。

キースのコードカッティングに始まり、徐々に音が重なってゆく。

そしてあの超有名なギターリフに突入する直前、ミックが叫ぶ。

「ワン、ツー!」

これや。この『ワン、ツー!』なんや。
ここで鳥肌が立つんや!

オタケビと言うにはあまりにもストイックなこのクールなシャウトに、僕は完全にKOされた。


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