KIMU'sColumn

抱腹絶倒
ノンフィクションコラム

JohnnyGuitar
KimKimの
「おしょう伝説」
Vol.17



『ブッサイクやな〜!』


熱狂のうちに幕を閉じた、監獄ロック大阪初公演。

ステージを降り、楽屋で汗をぬぐい一息入れていたメンバーのもとに、威勢のいい女性訪問客が現れた。

「おつかれさんで〜す!!」

素晴らしい存在感!

その声からして、明らかにソウルかブルースを唄っているに違いない そのお姉さんは、おしょうを見つけると、その自慢のハスキーボイスで叫んだ。

「おしょうさん! お久しぶり〜。良かったで〜。」

「・・・・・・・・・・」

「ホンマ何年ぶりやろ!? やっぱりおしょうさんは唄ってる時が一番カッコええなあ!」

「・・・・・・・・・・」

「どないしたん!? オッサン何とか言いや〜。」

「・・・ブッ、ブッ・・・ブッサイクやな〜!」

「ハア〜!? 何やのん! 失礼な! 久しぶりに会うて、どういう言い草や!」

「・・・ブッ、ブッサイクやな〜!!」

「何がブッサイクじゃ! アンタ自分の顔鏡で見たことあんのか? 人のこと言えるんかいな、ホンマ。」

「ブッサイクやなあ〜〜!!」

「こらオッサン、ええ加減にしいや! ちょっとウジちゃん、おしょうに何とか言うたってぇや。こんな美人つかまえて失礼するで〜。」

靴のヒモを結び直していたウジちゃんが、顔を上げるなり叫んだ。

「ブッサイクやなあ〜〜!!!」

「な、なんやのんアンタら! もうええわ! ホンマに…。 ほな失礼しまっす〜。サイナラ! おつかれさんでした!」

ついに堪忍袋の緒が切れたか、現れた時以上に威勢良く肩で風を切って楽屋を出て行くソウル姉ちゃんに、極道コンビが声をそろえてダメ押しの一発。

「ぁブッサイクやなあ〜!!!」

“ブッサイク”の直前の小さな“ぁ”が何とも絶妙である。

他人には理解不能な、この凄まじき非人間的コミュニケーション…。


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