ジョン・ウィリアムズ グレイテスト・ヒッツ1969−1999

(CD1)
「スター・ウォーズ」〜メイン・タイトル/「E.T.」〜フライング・テーマ/「スーパーマン」〜メイン・タイトル/「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」〜とらわれの子供たち/「続・激突!カージャック」〜テーマ/「ジョーズ」〜テーマ/ビューグラーズ・ドリーム(レオ・アルノー)〜オリンピック・ファンファーレ&テーマ/「スター・ウォーズ ジェダイの復讐」〜ルークとレイア/「華麗なる週末」〜メイン・タイトル/「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」〜帝国のマーチ/「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」〜オートバイとオーケストラのスケルツォ/「太陽の帝国」〜大空のキャデラック/「レイダース 失われたアーク」〜レイダーズ・マーチ/「未知との遭遇」〜未知との遭遇(抜粋)
(CD2)
「プライベート・ライアン」〜戦没者への讃歌/「ジェラシック・パーク」〜テーマ/「シンドラーのリスト」〜テーマ/「フック」〜ネヴァーランドへの飛行/「セヴン・イヤーズ・イン・チベット」〜セヴン・イヤーズ・イン・チベット/「JFK」〜プロローグ/「グッドナイト・ムーン」〜ザ・デイズ・ビトゥイーン/「1941」〜マーチ/「ホーム・アローン」〜サムウェア・イン・マイ・メモリー/1996年アトランタ・オリンピック公式テーマ曲〜サモン・ザ・ヒーロー/「ローズウッド」〜ルック・ダウン・ロード&フィナーレ/「遥かなる大地へ」〜テーマ/「7月4日に生まれて」〜テーマ/「スターウォーズ・エピソード1 ファントム・メナス」〜運命の闘い
●演奏
ジョン・ウィリアムズ/ロンドンSO他 ソニー・クラシカル SRCR 2463/4

この前(2002年3月31日)のオーケストラ・アンサンブル金沢と名古屋フィルハーモニー交響楽団の合同演奏会ではジョン・ウィリアムズの音楽が数曲演奏されきました。特に印象に残ったのは,「スターウォーズ:エピソード1:ファントムメナス」の音楽でした。同じモチーフをしつこく繰り返していたので,頭から離れなくなってしまいました。その演奏会の後,たまたま中古CDショップで「ジョン・ウィリアムズグレイテスト・ヒッツ1969-1999」という2枚組CDを見つけてしまったので(「ファントム・メナス」も入っていたので),ついつい「これも何かのご縁」と思い買ってしまいました。

ジョン・ウィリアムズという作曲家は,本当に沢山の映画音楽を作っており,私もかなりその作品を映画館で見ています。その音楽は,大オーケストラを使ったものが多く,クラシックの先輩作曲家の影響を強く受けているものも沢山あります。悪く言えば「パクリ」「イイトコ取り」ということになります。というわけで,この2枚組CDを聞きながら,似ている曲がないか,探してみることにしました(少々趣味が悪いか?)。皆さんはどう思われるでしょうか?

(1)スター・ウォーズ〜メイン・タイトル
ジョン・ウィリアムズの代表曲です。CDの録音もサントラ盤以外でもズビン・メータが録音したりしています。この曲の中間部ですが,ホルストの「惑星」の中の火星と大変良く似たところがあります。不協和音が続いた後,5拍子のような感じになる辺りはそっくりです。「火星=戦争の神=War」という連想でしょうか?

(2)E.T.〜フライング・テーマ
スピルバーグの映画会社のシンボル・マークになっている,「満月に自転車」のシーンで流れる音楽です。とても素晴らしい曲ですが,出だしの部分で,ホルンが「パッ,パッ,パッ,パッ」という伴奏をしているのに乗って,弦楽器が出てくる辺りはプロコフィエフの交響曲第5番の第4楽章に似ています。

(3)スーパーマン〜メイン・タイトル
これは逆なのですが,ファンファーレが出てくるまでの「タッタカ,タタタ」といった音の感じが,NHK大河ドラマ「利家とまつ」の音楽の中の「利家のテーマ」の中間部と似ています。「利家=スーパーマン」というのは,ちょっとイメージと合いませんが,ドラマの主役にふさわしい音楽なのかもしれません。この曲は,妙に元気の出る音楽です。ちなみに,このファンファーレ自体,「スターウォーズ」「インディ・ジョーンズ」とも似ていますね。

(4)インディ・ジョーンズ魔宮の伝説〜とわられの子供たち
「インディ・ジョーンズ」シリーズ第2作です。冒頭部分の雰囲気は,ちょっとピアソラの曲のような感じですが,ファンファーレが出てくるとウィリアムズ風になります。このブラスのファンファーレなのですが,無気味な感じの音型を延々と繰り返し,格好良くハモる感じが,PL学園など「ブラスが上手な学校」の甲子園での応援を思い出してしまいます。

(5)ジョーズ〜テーマ
スピルバーグの名前を一躍有名にしたスピルバーグ初期の代表作です。最初の方に低音で出てくる音の動きは,ドヴォルザークの新世界交響曲の第4楽章の出だしと似ています。

(6)オリンピック・ファンファーレ
ウィリアムズが作曲したオリンピック・ファンファーレは1984年のロサンゼルス大会と1996年のアトランタ大会の両方で使われています。NHKのオリンピック中継などでさんざん使われたので誰もが知っている曲だと思います。この曲のいちばん最後の「ジャン」という音ですが,ホルストの「惑星」の「木星」の最後の「ジャン」と同じ音に聞えます。調性も同じみたいです。

(7)スターウォーズ帝国の逆襲〜インペリアル・マーチ
「スターウォーズ」の第2作に使われている曲です。これはダースヴェイダーのテーマにもなっています。この曲ですが,何となくマーラーの交響曲第6番「悲劇的」の出だしを思い出してしまいます。これも調性が似ているのかもしれません。リズムの感じも何となく似ています。

(8)ホーム・アローン〜サムウェア・イン・マイ・メモリー
子供が出てくるクリスマス向け作品の「ホームアローン」の中の曲です。チェレスタのような音が聞えてくるせいか,チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」の「こんぺい糖の精の踊り」を思い出してしまいます。最後の方には少年合唱も出てきます。「くるみ割り人形」にも少年合唱が出てくるので,かなり意識しているのではないかと思います。

(9)スターウォーズエピソード1:ファントム・メナス〜運命の闘い
この曲は先に書いた演奏会で聞いた曲です。その時はオーケストラのみでしたが,このCDでは,合唱も入っていました。この合唱入り版で聞いてみると,最初の合唱の雰囲気がオルフの「カルミナ・ブラーナ」の最初の曲と似ているのではないかと感じました。オルフの曲の方も「運命の女神」ということで,「運命つながり」がありそうです。(2002/04/11)