yumi:天使の宝石箱
1)渡辺俊幸/ザッツ・モーツァルト!
2)yumi(渡辺俊幸編曲)/天使の宝石箱[with orchestra version]
3)アーレン(渡辺俊幸編曲)/オーヴァー・ザ・レインボウ
4)スコットランド民謡(渡辺俊幸編曲)/アメイジング・グレイス
5)バッハ,J.S.(佐野秀典編曲)/G線上のアリア
6)ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」〜「春」第1楽章
7)モーツァルト(佐野秀典編曲)/アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章
8)プッチーニ(竹内淳編曲)/トゥーランドットのフルート・ファンタジー(カデンツァ:yumi)
9)ラフマニノフ/ヴォカリーズ
10)フォーレ/夢のあとに
11)グルック/精霊の踊り
12)プーランク(朝川朋之編曲)/愛の小径
13)クライスラー(朝川朋之編曲)/愛の悲しみ
14)yumi(朝川朋之編曲)/天使の宝石箱[with harp version]
●演奏
yumi(フルート)
小松長生指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(1-8)
浦壁信二(ピアノ*9-11),朝川明之(ハープ*12-14)
●録音/2006年4月18日,5月5日 石川県立音楽堂コンサートホール;2006年2月6,7日軽井沢大賀ホール
●発売/SONY SICC-10038(2006年11月22日発売) \3,045(税込)

帯に書かれている「フルートの妖精yumiが奏でる珠玉のメロディ」というキャッチコピーどおりの雰囲気を持ったアルバムである。yumiさんは,2006年,NHKの「クイズ日本の顔」という番組にレギュラー出演し,そのテーマ曲「ザッツ・モーツァルト!」を演奏するなど,「クラシックを演奏するアイドル」として売り出されている東京芸術大学を卒業したばかりの若手フルート奏者である。

収録されている作品は,穏やかな曲,明るい曲が中心で,宝石箱に入れられたの14個の宝石のようにきちんと収まっている。前半は,オーケストラ・アンサンブル金沢との共演,後半はピアノ,ハープとの共演という構成になっているが,フルートという楽器の持つ浮世離れした高貴な気分が全体に満ちている。この中では最初に収録されている渡辺俊幸作曲のザッツ・モーツァルトの清新さが特に印象的である。yumiさん自身が子供の頃に作曲したという,アルバムのタイトルにもなっている「天使の宝石箱」という曲も聞きものである。

このアルバムについては,マーラーやショスタコーヴィチの交響曲など重厚長大好みの音楽愛好者からは,別世界の音楽という印象を持たれるだろう。また,あまりにもアイドル的でメルヘン的な雰囲気を強調した「ピンクのモーツァルト」といったジャケットの雰囲気には,ちょっと付いていけない部分がある。私自身,ジャケットを手にするだけで気恥ずかしさを感じる。

そういったこともあり,アルバム全体の仕上げの美しさは認めるものの,yumiさん自身の個性よりは,「アイドル一般」といった表面的なイメージだけが伝わってくるようなもどかしさを感じるアルバムとなっている。(2007/02/25)