武満 徹/夢千代日記・波の盆
武満徹/海へU
武満徹/ア・ウェイ・ア・ローンU
武満徹/雨ぞふる
武満徹/トゥリー・ライン
武満徹/3つの映画音楽
武満徹/波の盆(オーケストラ編曲:佐藤紀雄),夢千代日記

指揮/岩城宏之 独奏/小泉 浩(アルトFl)木村茉莉(Hp)
●発売/ヤマチク(1998.6.21)
●Victor PRCD-5281¥2,667(税抜)
●録音/富山県・小杉町文化ホール ラポール(1998.4.6-8)

OEKの武満作品集の第2弾。武満の後期の作品ばかりを,落穂拾いのように集めたものだが,いずれも美しく,気持ちの良い響きの作品ばかりである。特に「波の盆」は,小室等が武満の葬儀で聴いて,泣けてきたという名曲である。武満は非常に映画好きで,映画音楽も沢山書いているが,3つの映画音楽は,武満の作品の中でももっとも親しみやすい作品の1つだろう。「ホゼ・トーレス」にはちょっとジャズっぽい味がある。「黒い雨」は,弦楽のためのレクイエムと似た雰囲気がある。「他人の顔」のワルツは,芥川也寸志が「八つ墓村」のために書いたワルツと同じくらいメロディアスで,センチメンタルである。

岩城/OEKの響きは,非常に濃厚な味を持っている。小泉浩のアルト・フルートの響きも通常のフルートよりはかなり濃い音色である。しかし,室内オーケストラの響きだけあってもたれることはない。晩年の武満トーンに何も考えずに浸る,というヒーリングミュージックとして聴いても良いCDかもしれない。