SWEET
ディーリアス/春初めてのカッコウを聞いて
シュトラウス,R./歌劇「カプリッチョ」序奏
ワーグナー/ジークフリート牧歌
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
クライスラー/愛の悲しみ
ラフマニノフ/ヴォカリーズ
バーバー/弦楽のためのアダージョ
サン=サーンス/白鳥〜組曲「動物の謝肉祭」より

指揮/井上道義 独奏/パヴェル・ボガチュ(ヴァイオリン)ルドヴィット・カンタ(チェロ)
●発売/ポリドール株式会社(1994.10.26)
●DeutscheGrammophon POCG-1796 ¥2,718(税抜)
●録音/富山県・小杉町文化ホール ラポール(1993.8)

前作が,やや近寄りがたい雰囲気だったので,趣きを変えて聴きやすい曲ばかりを集めている。選曲のセンスの良い,プレゼントにピッタリのアルバムとなっている。指揮は派手なパフォーマンスとおしゃべりでおなじみの井上道義。特に良いアイデアだと思うのは,「SWEET」というタイトルを付けている点である。クラシック音楽についても,こういうコンセプト・アルバムがもっとできれば良いのにと思う(「アダージョ・カラヤン」みたいな編集モノはよくないが)。

特に気に入っているのは,ディーリアス,シュトラウスという比較的なじみの薄い曲を前半に2曲並べている点である。マイナーな曲からさりげなく始めるのが心憎い。派手な外見とは別に井上さんの指揮はしっとりとさりげないものになっている。カヴァレリア・ルスティカーナなどははかなげな雰囲気も漂っていて私の気に入っている演奏の一つである。中村紘子が,定期公演のプレトークで「小渕元総理の葬儀用に使った”どこよりも素晴らしい演奏”」と言っていたのがこのCDの中の曲だと思われる。