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松井秀喜 公式応援歌『栄光(ひかり)の道』 【ビクター盤】 1)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』 2)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(カラオケ) 3)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(Stadium Edit) 4)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(Stadium Editのカラオケ) 6)Tilzer(Norworth詞,鈴木行一編曲)/Take Me Out To The Ball Game (私を野球に連れてって)(英語詞) 7)Tilzer(Norworth詞,鈴木行一編曲)/Take Me Out To The Ball Game(私を野球に連れてって(カラオケ) 【OEKレーベル盤】 1)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』 2)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(カラオケ) 3)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(Stadium Edit) 4)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(Stadium Editのカラオケ) 5)宮川彬良(須貝美希原作,響敏也作詞)/松井秀喜公式応援歌『栄光(ひかり)の道』(Children's Choir Version) 6)Tilzer(Norworth詞,鈴木行一編曲)/Take Me Out To The Ball Game (私を野球に連れてって)(英語詞) 7)Tilzer(Norworth詞,鈴木行一編曲)/Take Me Out To The Ball Game(私を野球に連れてって(カラオケ) 8)古関裕而(佐藤惣之助詞,鈴木行一編曲)/六甲おろし(Instrumental) 9)弦哲也(松岡良夫詞,鈴木行一編曲)/鼓門で逢いましょう 10)弦哲也(松岡良夫詞,鈴木行一編曲)/鼓門で逢いましょう (カラオケ) 11)ボーナス・トラック「松井秀喜感動の初演」 ●演奏 ルドヴィーク・モルロー(1-7,9-10);岩城宏之(8)指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(1-10) 安藤常光(バリトン*1),鳥木弥生(メゾ・ソプラノ*6),松井昌雄(歌*9) OEK合唱団(1,3),もりのみやこ少年少女合唱団(5) ●録音/2006年12月30日,31日 会場:石川県立音楽堂コンサートホール(1-7,9-11);2003年9月20日東京オペラシティ・コンサートホール ●発売/Victor VICL-36204(2007年3月7日発売) \1,400(税込),OEKレーベル(ヤマチク発売) NCS-568(2007年3月1日発売)\1,600(税込) |
オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が石川県出身の大リーグニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手を応援するために作った応援歌のCD。この”郷土愛”に溢れる企画は,国内の他のプロオーケストラでは考えられないような発想であるが,もともとのアイデアは岩城宏之前OEK音楽監督(現永久名誉監督)によるものである。いわば岩城さんの最期の仕事といえる。その遺志をついで,2006年の後半に歌詞を公募し,それをプロの作詞歌・作曲家によってオーケストラ伴奏によるダイナミックな作品に仕上げられたのがこの応援歌である。 詞の原作は新潟県出身の須貝美希さんという若い方によるものだが,これを響敏也さんが再構成している。曲は宮川彬良さんによるもので3分以内に収まる明るい行進曲調のものとなっている。曲の中の「Go,Go,Go,Go!マツイ...」という歌詞がいわゆるサビのメロディで,この部分がヤンキー・スタジアムでの応援の際に流されているとのことである。この部分の歌詞は,非常に覚えやすく,また口ずさみやすくできているのはさすがである。「マツケン・サンバII」と同じ作曲者ならでは,突き抜けたような明るさも大リーグの気分にぴったりである。イントロの部分の重い音はゴジラの歩みを思わせるようで,ちょっとユーモラスな気分があるのも,宮川さんらしい。あと望まれるのは,「松井選手の成績がもう少しアップしてくれれば...」という点だけかもしれない。 このCD録音は,2006年12月の年末のカウントダウン・コンサートにあわせる形で石川県立音楽堂で行われている。レコーディングのセッションには,地元のバリトン歌手の安藤常光さんと地元の合唱団が加わっている。安藤さんの歌は,CD録音で聞くと少しよそよそしく聞こえる。CD発売後,音楽堂のコンサート等でのヤンキースのユニフォームを着ての,ノリの良いこなれた歌と比べるとちょっと物足りないところがある。 指揮のルドヴィーク・モルローさんは,カウントダウン・コンサートの指揮者だっためぐり合わせで今回のレコーディングの指揮を担当することになったと思われる。ボストンで活躍されていた方ということで,ヤンキースの応援をするのには抵抗があったかもしれないが,ジャケットには楽しげに指揮する姿が写っている。なお,このカウントダウン・コンサートには松井選手自身も登場している。 なお,このCDには,ビクターから発売されている全国発売版とOEKレーベルから発売されている県内限定版の2種類が収録されている。その内容は上記のとおりだが,カップリングされている数々の曲は,OEKファンにとってはお宝的な内容となっているのが注目である。 ビクター版,OEK版に共通して,大リーグのテーマ曲ともいえる「私を野球に連れてって」が収録されているが,この演奏が大変ダイナミックなワルツとなっていて聞き応えがある。石川県出身のメゾ・ソプラノ歌手・鳥木弥生さんの歌も,エネルギーが自然と湧き上がってくるような”はじけた歌”となっている。 それ以外の曲は,OEK版のみに収録されているが,いずれも”珍品”そろいである。中でも2003年9月のOEK東京公演でのアンコールで演奏された岩城さん指揮による「六甲おろし」は,”アンコールにここまで凝るか?”という感じの聞いてびっくりの演奏である。この演奏は,この年,久しぶりに優勝した阪神にちなんで演奏したものであるが,野球好き,ユーモア好きだった岩城さんらしい,アイデアに満ちている。まず思わせぶりな冒頭の後,コンサート・マスターによる独奏でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第1楽章のカデンツァのメロディが出てきて,一体何が出てくるのだろうと思わせた後,突如行進曲調に変わり,「六甲おろし」になるという流れになっている。 2番では,コンサートマスター(確かマイケル・ダウスさんのはず)の演奏する,演歌風の対旋律をしっとりと聞かせるようになっており,これまた何とも言えない味を出している。3番は再度,シンプルな行進曲に戻るが,全編を貫くトランペットの進軍ラッパのような響きが心地よい。実演ではOEKのトランペット奏者の谷津さんが,演奏中にタイガースのハッピを羽織って演奏していたはずだが,これもまた甲子園球場の気分があり,さぞかし楽しい実演になったに違いない。この録音はライブ録音で,拍手・手拍子も盛大に入っているが,OEKにとっては貴重な記録の一つだろう。ちなみにこの曲の演奏は,金沢では行われておらず,東京と大阪でのみ行われたようである。 もう一つの”珍品”は,松井選手の父上の松井昌雄さんの歌による「鼓門で逢いましょう」という曲である。弦哲也作曲によるもので,正真正銘の”ど演歌”である。これをOEKの伴奏で歌うことができ,”ゴジパパ”もさぞかし気分が良かったことだろう。その気持ち良さが素直に伝わってくる歌となっている。こちらにもカラオケが付いているので,ちょっと歌ってみようかいう気になる人もいるだろう。 ちなみに歌詞になっている「鼓門」というのは,石川県立音楽堂のすぐ傍にある,金沢の玄関の象徴と言っても良い巨大なモニュメントである。これは,数年前に金沢駅にガラスドームが出来た際に,突如現れた,鼓二つを立てたような門である。出来た当初はあまりにも唐突に出来たので,少し違和感を感じたのだが,今ではすっかり風景になじんでいる。 この後さらに,応援歌の初演が行われたカウントダウン・コンサートでの松井選手のインタビューが収録されている。 OEK版の方は,このとおり少々雑多なものを詰め込みすぎたCDとなっており,マキシCDにしてもかなり長い収録時間となっているが,恐らく後から聞けば貴重な記録ばかりである。松井ファンでない人でも,OEKファンならば,このOEK版CDを記念に購入しておく価値はあるだろう。 ●OEK版とビクター版の違いについて OEKレーベル版とビクター版は,収録曲以外にジャケットの写真が違う。OEK版の方はカウントダウン・コンサートで指揮をしている松井選手の写真が使われているが,ビクター版の方は水色を背景とした”スター”のような写真となっており,松井選手のサインも入っている。 OEKレーベル版の方は,県内限定発売ということで,石川県立音楽堂などで購入できるが,地元のCDショップヤマチクが発売元なので,その通信販売でも購入することはできる。 http://www.yamachiku.co.jp/index.htm l(2007/06/04) |