21世紀へのメッセージ Vol.3
野平一郎/室内交響曲 第1番(1995)
金子仁美/フルート協奏曲(1995)
近藤 譲/岬へ(1995)
細川俊夫/庭の歌T−室内オーケストラと弦楽(任意)のための(1995)

指揮/岩城宏之 独奏/木村かをり(ピアノ) 工藤重典(フルート)
●発売/ポリドール株式会社(1996.8.25)
●DeutscheGrammophon POCG-1947 ¥2,718(税抜)
●録音/富山県・小杉町文化ホール ラポール(1995.10)

「21世紀へのメッセージ」シリーズの第3弾は,中堅の作曲家の作品が中心となっている。これは第51回定期公演の内容がそのままCDになったものである。

この中で,野平の作品は第44回尾高賞を受賞している。その野平の作品は,冒頭からユニゾンで音が動くので,非常に鮮烈な印象が残る。現代音楽にしては珍しいと思う。

金子仁美は,今回の4人の中ではいちばん若い作曲家である。この曲は,冒頭からフルートのいろいろな奏法や音色を駆使した作品だが,打楽器も結構派手に使われているので,フルートはそれほど目立たない気がする。

近藤の作品は,弦楽器が中心の静かな作品である。後半,少しリズミカルになるあたりが気持ち良い。「岬へ」というタイトルには意味がない,と解説には書いてあったが,どういうわけだろうか?

細川の作品は,さらに静かに始まる。次第に音量が大きくなってくるが,これは春の嵐を描写しているとのことである。春の庭をさりげなく描写している作品と考えると意外に作品の世界に入っていきやすいかもしれない。窓を開けて,庭の虫の声を聴きながらこの曲を聴くというのも渋いかもしれない。