店主の呟き























当店のパラゴンの図面etc


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         Copyright(C) 2004  
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        ------ G 天下の一大事!------
 
                  その @ 強面の進化
 
  JUST IN TIMEは2004年4月29日営業を開始した。60歳近くなって生活環境を
 
変えるのはよくないことはわかっていたが、起床や就寝が3時間ずれると体にこたえる。たいして
 
忙しくもないのに一日が終わるとグッタリだ。でもそのうち慣れるだろうと思っていた。
 
  忘れもしない、もうすぐ開店一周年という、4月26日。
 
この日、夜はライブだった。夕刻になってジンジャエールが足らないことにきずき、近くの酒屋へ
 
走ったのです。
 
店内を物色しているとき、まるで下りのエレベーターに乗ったときのように、”フゥーッ”となり、つぎの
 
瞬間ゴッ〜ンと顔面に激しい衝撃が走り、何が起こったのか理解できなかった。
 
頭が朦朧としている ・・・・・・・・・・・・・ どうやら倒れているようだ・・・・・・・・
 
目を開けてみると視界全体が真っ赤だ。少し体を起こすとコンクリートの床が血に染まっている。
 
店の人に助けられ、やっと立ち上がることができた。
 
洗面所を借り、鏡を見て驚いた。唇が腫れ上がり、鼻血をたらし、口からも出血して前歯が欠け、
 
かばい手をしたのか欠けた歯が左手中指に食い込んでいる。
 
あの美しかった顔が、主役にブチのめされた、悪役商会のようになってしまった。
 
どうやら立ったまま失神し、顔面をコンクリートの床で強打し、衝撃で気がついたらしい、その間
 
短時間ではあるが、タイムスリップして記憶がない。
 
顔を洗い、礼を言って店をでるころには顔面の痛さを除けば、まったく普段と変わらぬ体調に
 
戻っていた。
 
ますます腫れあがる唇と進化した強面を隠すためマスクをして、その日のライブを終えた。
 
 翌日知り合いの医者に昨日の経緯を話し、診察を受けたところ、脳のMRI検査を受けるよう
 
手配してくれた。
 
数日して、画像を見ながら医者の言うには、
 
「60歳近くもなると細い血管が詰まった小さな点が四つや五つはあるんですけど、磯田さんは
 
まったくありません。きれいな若い脳ですわ。」
 
「はぁ、今までなるべく使わんようにしてたから・・・・・・・・。」
 
 
 
  私は他の病で阪大病院に通っている。主治医に話すと、循環器科の診察をうけるよう
 
手配してくれた。
 
循環器科の診察日。この日は朝から前日の疲れが残っているようで体調がいまいち悪かった。
 
「磯田さん、血圧の上が80しかありませんし不整脈もでています。今日は帰れません!」
 
緊急入院であります。24時間体制で心電図で監視され、他の階へ行かないよう指示された。
 
別に薬も治療もない、レントゲンと血液検査をしただけだ。
 
入院して五日目に、担当医がとんでもないことを言い出した。
 
「磯田さんの不整脈は心房細動といいまして、脳から出る心拍をつかさどる信号が心臓内で
 
うまく伝達されず心房細動がおこります。しかしその心房細動が問題ではなく、それが正常に
 
戻る時に心臓が6秒ぐらい止まります。だからこの前のように失神するのです。これが大変危険で
 
運転中なら大事故になるし、立ってる時なら打ち所が悪いと命にもかかわります。だから
 
ペースメーカーを入れましょう。心房細動はなくなりませんが、心臓が止まるときペースメーカーが
 
働いて心臓を止まらなくするので失神はなくなります。」
 
「原因はなんなんです?」
 
「加齢でしょう。」
 
最近は原因が分からないと、ストレスとか年配者には加齢とか相場が決まっているが、私は
 
信用しない。しかしあれだけ脅かされれば手術には同意するしかなかった。
 
  
 
 ペースメーカーを埋め込む手術は部分麻酔で行う。医者も私の強面を見たくないのか、
 
顔から胸にかけてシートをかけて、レーザーメスで鎖骨のすぐ下を切り開くのだ。レーザーメス 
 
というのは皮膚や肉を焼き切るわけで、つまり焼いた臭いがシートの下に充満して鼻を直撃
 
する。私の肉はよほど旨いタレで焼かなれれば喰えたものではないだろう。なかなかオツな
 
経験であった。
 
 
 この出来事は、退院で一応の収束を見たように思えたのであるが、大間違いで、とんでもない
 
方向へ展開して行く。
 
私だけの問題ではなく大きな社会問題にもなりかねない事柄を含んでいる。
 
                                         磯田 省三