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ベルリンへの誘い
 
 
                          
(6)大阪大学医学部付属病院
 
 
 
  阪大病院の診察予約を電話でした。ちょうど大阪市内から吹田市に移転の真っ最中で、9月1日
 
開業するが、当初は混むので診察は9月中旬となった。
 
 
1993年 9月13日
 
 さすが国立大学病院は違う、総大理石の受付待合はシティーホテルのロビーのようだし、すし屋、鰻屋、
 
うどん屋、郵便局、最階上にはロイヤルホテルのレストランまであって病院とは思えない。
 
CTと血液検査を済ましてから消化器外科、門田教授の診察だった。
 
   「やはり良くないです、海外での肝臓移植しかないですね。行きましょか」
 
まったく予期しない言葉だった。移植なんてマスコミにたまに報道されることはあるが、非常に稀であるから
 
報道されるのであって、身近にこんな話し聞いたこともない。私に”移植”の話がでるなんて・・・・・。
 
ゆっくり考える余裕もなく大きく頷いていた。
 
   「アメリカのUCLAに頼んでみます」
 
   「よろしくお願いします」
 
 
 さあ、すごいことになった。内緒と思っていた樫田先生にも報告しなければならない。神戸中央市民
 
病院は京都大学系で、もちろん樫田先生も京大出身だ、阪大へ転院を言われるかもしれない。
 
困った、樫田先生を信頼し命を預け何度も救われ世話になった。先生が「もう駄目です」といえば
 
納得して死ねるが、離れるのはつらい。
 
 
市民病院、診察日。
 
   「先生、実はある人に阪大病院の門田教授を紹介され、移植に行く話しになって
 
    るんです。」
 
   「肝臓移植ですか・・・・、それなら協力しましょう。後で書類を渡しますから阪大に
 
    持って行ってください。門田教授は話たことはないのですが、学会でお顔は存じてます」
 
この先生はやはりすごい!病院や学閥の垣根を越えようとしてくれている。
 
書類の入った分厚く大きな封筒が渡された。今までの経過とかカルテとか入ってるのだろうが、私は見な
 
かった。
 
 
今までの報告をかねて遠藤先生を訪ね封筒も見せた。
 
   「すごいなぁ、いい先生に診てもらってるなぁ。命を助けられてるの一度や二度では
 
    ないよ!」
 
遠藤先生はもちろん阪大出身で阪大の非常勤の講師の兼ねておられ、遠藤クリニックの患者数も
 
すごく一日300人を超えることもあるそうだ。当時、遠藤先生は45才、樫田先生は34才で静脈瘤
 
破裂で助けられた時はなんと29才の若造だったのだ。
 
樫田先生の素晴らしさが遠藤先生にもわかってもらえてよかった。
 
 
門田教授の2回目の診察日。
 
   「磯田さん、UCLA断られました。B型ウイルス性肝硬変は移植できないんだって」
 
後で知ったことだが、B型ウイルス性は肝臓を入れ替えても血液中にウイルスが残り、新しい肝臓に
 
取り付き短期間に再発する。この再発はかなりきつく、すぐ死に至るらしい。
 
   「でもね、あとイギリス、フランス、ドイツとあるけど、どれにする?」
 
あ、あのね!どれにするったって・・・・・・海外旅行にも行ったことがないのに・・・。
 
しかしアメリカでできない移植がヨーロッパでできるのだろうか、理解できないがここは任せるしかない。
 
   「あの〜・・・・ド、ドイツでお願いできますか?」
 
   「そう言えば、『B型でもだいじょうぶ』って講演したドイツの医者がいたなぁ。彼に連絡してみます。」
 
   『そんなん早く言ってよ!ほんまに〜!』
 
門田教授にしてみれば、UCLAに”B型は移植できない”と言われたのだから、この話は終わってもいいはずで、
 
いや終わるのが普通ではないだろうか。それでも教授はあきらめなかった。
 
 
パラゴンのアメリカに断られたのに、見限ってしまったシーメンスのドイツが受け入れてくれるのだろうか

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