当店のパラゴンの図面etc


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ベルリンへの誘い
 
                        (3)窮地、再び
 
 
 食道静脈瘤の破裂箇所の硬化術も無事終わり、なんとか死なずにすんだようだ。でも他にも静脈瘤が
 
あるので今回の硬化術が固まったころもう一度硬化術をして、それを確認してから退院となる。ということは
 
後2回も胃カメラを飲むことになる。カメラとは言いながらポーズもとれないしVサインも出せない、ほんとに
 
難儀な検査だ。
 
 思えば、東京での喉の違和感は静脈瘤がほんの少し破れて血が滲み出ていたのだろう。これは飛行機
 
に乗って気圧が変化したからからと推測できる。そして真っ黒のタール便が出た。消化器系の出血は口に
 
近いほど便は黒く。大腸での出血では便は赤いという。
 
それをあの若い藪医者が胃カメラを不注意に突っ込んで破ってしまった。本当は医療ミスで大きな問題と
 
なる。でも樫田先生が助けてくれてその後の病院側の対応もよかったので医療ミスのことは一言も病院側
 
には言わなかった。
 
藪医者はその後院内ですれ違っても謝るどころか視線すら合わさない。こんな医者に診てもらう患者は
 
不幸としか言えない。いくら勉強ができて知識が豊富であっても人間性の駄目な医者は迷惑だ。
 
 
 破裂から一ヶ月、すべての処置と検査が終わり退院が許可された。これで全快ではなく肝硬変の
 
治療を続けるため通院しないといけないが、なんとか普通の生活に戻れそうだし樫田先生が主治医と
 
なってくれたのはせめてもの救いだ。
 
荷物をまとめ昼ごろ退院、もう病院食はこりごり、お気に入りの高級中華料理の”王民 王民(ミンミン)”へ。ここの
 
春雨炒めと五目野菜炒めはあまり知られていないが絶品だ。
 
そして職場に復帰したところまでは順調だった。仕事が終わり一ヶ月ぶりに家で風呂に入れるはずであった
 
のだが、また体が動かなくなってきた。東京から帰ってきたときのようにすごくしんどい。さっきまでとはぜんぜん
 
違う。一度も家に帰ることなくまた病院へ逆戻りだ。
 
   「緊急入院です。血清肝炎がでてます。破裂したときの輸血が原因でしょう。今から点滴を
 
   します、24時間べッドから降りてはいけません」
 
   『さっき退院したばかりなのに緊急入院なんて、まあ荷物は解いてないので手間は省けるけど』
 
なんてのんきなことを思っていたら。点滴を打たれて一時間後にすごい嘔吐感が襲ってきた、食べたものは
 
全部吐いてしまったが嘔吐感は収まらない。この点滴が体に合わないようで、2時間で終わったが針を
 
抜いても嘔吐感はなかなか収まらない。洗面器に顔を突っ込んだままだ。
 
この苦しい点滴を朝夕、2回する。ほぼ一日中エズいているわけで、食べ物は当然入らない。体中が
 
見事なほど黄色くなり、典型的な黄疸の症状で手を上にあげるのもつらいくらいしんどい。
 
静脈瘤破裂のときの”死の宣告”は不思議と恐怖感がなかった、しかし今は怖い。寝るのがすごく怖い。
 
   『寝ればそのまま目が覚めないかもしれない』
 
と思ってしまう。女房はこの時も樫田先生に言われたらしい。   
 
   「覚悟してください。」
 
 
再入院して二ヶ月まだ苦しい点滴はつづいているが、やっと黄疸の色が少し薄くなり峠は越えたようだ。
 
やがてベッドから離れてもいいという許可がでて、点滴も日に一本になった。どんなにうれしかったことか


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