地下鉄で売れるもの
バンソウコウ、拡大鏡、カセットテープ、ゴムボール。地下鉄に乗ると、こんな物を売りにくる。 どれも、誰が買うのかなあと思いながら見てると、必ず買う人がいる。満員の電車でも、大型のスーツケースを 持ち込んで、大音量で音楽のテープを流す。こんななつかしい音楽が入っているテープをいくらで売っていますよ、 そんなアナウンスを大声でしながら。本当に満員なので、私なんかは、まじかよー、と思うのだが、別に他の乗客 迷惑そうでもない。多分当たり前のことなのだろう。ゴムボールは女学生が買った。拡大鏡は、おじさんが買った。 雨が降ると必ず折りたたみ傘を売りに来る人がいる。確かに安い。なので、同じチェックの模様の傘を差している 人をよく見かけた。韓国の人は、人前に立つことに抵抗があまりないのか、車内でも堂々と大声で説明をして商売 する。私は買わないけど、いつもなんとなく眺めてしまうのだ。 買った人がいると必ず、その周りの人たちは、品物を持った人の手元を覗き込む。拡大鏡を買ったおじさんの隣りに 座っていたおばさんは、これで、見てくださいよ、と持っていた新聞をおじさんに差し出す。 「ははあ。どうもどうも」 といった感じで、新聞を拡大鏡で、見てみる。 「あら、いいですねえ」 ってな感じで、おばさんも一緒に見る。要は、おばさんも見たかったのでは・・。 でも、そんな光景は当たり前だ。興味があったら放っておかない。遠慮はせずに一言かけるのが、韓国なのだ。
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