Steely Dan

 この名前を聞くとやはりDonald Fagenの名前が真っ先に浮かびます。実質彼のワンマンバンドというかユニットですね。非常に洗練された完成度の高い音が特徴です。彼は非常なまでの完全主義者のようで、最初は6人組のバンドでしたが、次々に去っていき、残ったのはWalter Beckerだけ?東海岸のイメージがありますが、結成されたのはLAです。それゆえ西海岸でもない、東海岸でもない不思議な音世界になっています。知人のSteely Danの方からの感想なども参考にして作成いたしました。オフィシャルはこちらです。

[News]
・Walter Beckerが6/10にSolo Albumを発売するとの事。Titleは'Circus Money'で、Producerは元Jomi Mitchellの旦那だったLarry Klain。Donald Fagenが参加していません。
・また、このSolo作品の発売と連動して、Steely DanのTour 'THINK FAST, Steely Dan '08'が全米で開始されるとか。日本にも来るのでしょうか?

[Remaster]
Imported vs JP:Not checked
RMs
89:Not so Good
99-2K:24bit RM
Can't Buy a Thrill (JP,US Re-RM:US 04:SACD)
Countdown to Ecstacy (JP,US Re-RM:US 04:SACD)
Pretzel Logic (JP,US Re-RM:US 04:SACD)
Katy Lied (JP,US Re-RM:US 04:SACD)
The Royal Scam (JP,US 11/23 Re-RM:US 04:SACD)
Aja (JP,US & MF 11/23 Re-RM:US 04:SACD)
Gaucho (10/17/00 RM:US,MF, DTS edition,03:SACD 04:DAD)

 '89版はUSでもJPでも発売されています。ただ、新品でないと区別が難しい(ジャケットには何も書かれていない)です。RMの効果は十分かと思います。MF盤も存在します。中古で買う場合は、CD番号を覚えていかないと区別はつきません。RMの時期が古いので、今となってはやや...です。尚、MFよりAjaやGaucho等が発売されています。
('99.4.23)USでは98年から再RM(by Roger Nichols)が徐々に発売されています。
 Re-RMに際しては、二人も立ち会ったようですね。外観から判別は容易です。音質は非常に自然で、まるで昨日録音したような音質です。Masterそのものの音質は十分に良好だと思いますが、このRMは全く誇張(RMを感じさせるという意味)が無く好感が持てます。発売のペースが遅いのですが、完全主義者の彼らのことですから致し方ないでしょう。是非聴いてみることをお勧めします。どれも音質は優秀です。ただ、Canada盤はあまり音が良くありませんでした。購入の際はご注意ください。Ajaは一個所ノイズが、Gauchoは3個所ほど一瞬音が途切れます。うーむ。
 Donald Fagen/The NightflyはDVD-Audioで発売されましたが、48Kと期待外れの密度の薄い音でした。Digital録音だからなのか、あえてその録音をRemasterするという事はしなかったようです。5.1chへのRe-Mixは行われています。Kamakiriadの方は96KHzになって音質の改善も顕著です。音が良くなると作品の評価も上がりますね。DVD-AudioはKamakiriadの方がお勧めです。
 再結成後の2作品はどちらもDVD-Audioで発売されています。5.1chも収録されています。良い音ですが、圧倒的というわけではありません。また、Gauchoは03にSACDとDVD-Audio(04にずれ込み)が発売されます。04の6月にはAja以前の全作がSACD化されるそうです。
('08.4.18)SHM-CD版が6/25紙ジャケ仕様で再発だそうです。Gauchoまでの7作品全てとのこと。肝心のDATAは前のRMのまま?

For Audiophile
 音楽面のみならず、音質面でもかなりのこだわりを感じます。CDにはRemaster(1989?)とRe-remaster(1998-2000)が存在します。Re-remasterは11/23/99にThe Royal ScamとAjaが発売されました。このRe-remasterの音質は恐ろしいほど優秀です。あまりに自然な音なので、意識しないとこの音の凄さに気が付かないかもしれません。可能な限り優秀な再生装置で聴かれることをお勧めします。最近のRemasterの中では最も優秀ではないかと思います。日本では紙ジャケで発売されました。尚、カナダ盤は音質的には良くありませんでした。Album別ではやはり'Aja'の評価が高いでしょう。The NightflyはDVD-Audioで発売されましたが、スカスカの密度の薄い音(48K/24bit)でがっかりです。
 日本でのLPはかつて東芝EMIから発売されていました。このプレスマスターはUS原盤が使われていると思います。

[Album]

0.You Gotta Walk It Like You Talk It (Or You'll Lose That Beat) (1971)
Donald Fagen (Key,Vo),Kenny Vance (Vo),Walter Becker (b,g,Vo),Denny Diaz (g,per),Joe Discepolo (Ds),John Discepolo (Ds)
 映画音楽のようでLPのみであるようです。

1.Can't Buy A Thrill (1972) US Remaster & Re-Remaster CD
 彼らのデビュー作はまだLiveのノリを重視したSoundではありました。それでもかなり洗練されてはいます。個人的にはこのアルバムは非常に気に入っています。Remasterを持っていますが音質的には時代を考えるとかなり優秀なのではないでしょうか。

2.Countdown to Ecstacy (1973) US CD
 Vocalが脱退し5人組になりました。VocalはFagen氏がとっているようです。この後のLiveでの演奏を意識しない曲作りへ向かおうとしていることは感じ取れます。Re-Remasterを買いましたがその音質は驚くべきものでした。彼らの音へのこだわりは相当なもののようです。

3.Pretzel Logic (1974) US CD
 このアルバムに収められている'Rikki Don't Lose That Number'(リキの電話番号)は初めて聴いた彼らの曲でした。この頃は既にメンバーは二人になってしまい、Live活動はやっていないようです。Acousticな曲が少し多いという印象です。

4.Katy Lied (うそつきケティ 1975) US CD
 あまり目立った曲は収められていないですが、何曲かはBest盤にも入っています。ゲストは非常に多彩であるようです。積極的にStudio Musicianを使い出すようになり、その後のユニット形式の出発点になったのではないかと思います。あまり印象に残っていません。

5.The Royal Scam (幻惑の摩天楼 1976) US Remaster & Re-Remaster CD,US LP
US LP: MCA-1595 Matrix: AB931A W4/AB931B W5 (Re-Issue)
 知人のお勧めでしたが、確かに良い作品です。Singleなどは無いのですが、その後のLiveのレパートリーになる曲がたくさん入っています。こちらもゲストは多彩です。録音はLAだけではなくNYCでも行われたそうです。

6.Aja (彩 1977) US CD & Re-Remaster
US LP: AA-1006 Matrix: D1 AA 1006(R-3)-A D1 (英国国旗のマーク)/1D AA 1006(R6-3)B2 1D (英国国旗のマーク) (1st Press?)

 彼らの代表作というと一般的にはこのアルバムということになっています。確かに完成度は高く広くお勧めできます。ジャケットの山口小夜子さんも日本では話題になりました。Remasterはここまでで、MF盤も存在します。再Remaster盤のクオリティはすごいです。音が良いという評判のことはありますね。LPとの比較もしたいです。

+.Aja (1999) DVD
 DVD等でMaking映像も制作されています。二人がコンソールの前で制作時の逸話を話し、参加ミュージシャンも当時の話をしています。珍しい映像も挿入されていますが、完奏していないのが残念。Ian Duryもインタビューに答えています。これを観ると、本編もより楽しめると思います。

7.Gaucho (ガウチョ 1980) MF CD & Re-Remaster,US LP,DVD-Audio
US LP: MCA-6102 Matrix: MCA-2469-MD-2 (MASTER DISK) /MCA-2470-MD2 (MASTER DISK)
 このアルバムで一旦解散します。3年間の制作期間をかけたことで全作を上回る完成度を実現しています。非常に気持ちの良いSoundではあります。このアルバムのみRemasterは存在しませんが、MF盤があります。それから、USではDTS盤(サラウンド仕様)が発売されています。再Remasterでは所々音がとぎれるところがあるのが残念です。音質は非常に優秀です。US LPは重量盤のような分厚いレコードです。'03にはSACD(Multi)が、'04にはDVD-Audioが発売されました。DVD-Audioの音質は新作のDVD-Audioの音質よりも気に入っています。他の旧作もSACDだけとは言わず、DVD-Audioでも発売してほしいものです。

8.Alive in America (1995) US CD
 1993から94年の再結成ツアーLiveです。彼らのLive盤というと公式にはこのアルバムが最初になります。音質はかなり優秀です。演奏もLiveということを考えるとすごいでしょう。Studio盤と比べても遜色はありません。個人的には、Peter Erskineのドラムが好きです。日本盤のみBonusが1曲追加されています。

 再結成までの間に、編集もののアルバムが何枚かと、彼らのSoloアルバムが発売されています。

Donald Fagen/The Nightfly (1982) US CD,DVD-Audio
 実質Steely Danの延長線上にあると考えて良いでしょう。完成度の非常に高いアルバムで、大ヒットしました。収録時間が短いのが不満です。
DVD-Audio盤:残念ながら、48KHzの仕様で気合いの入ったRemasterを期待していただけに拍子抜けです。Digital録音された作品ですが、多分50KHz/14-16bitではないかと思います。それをSRCしただけのような印象です。fレンジは狭く軽い密度の薄い音がします。5.1chの方も同様ですが、CH数が多い分希薄な印象は和らぎます。おまけのVideoはNew Frontierだけで、これならDiskの容量に対してDataの量はかなり少なそうです。あまりお勧めはしません。

Donald Fagen/Kamakiriad (1993) Ger CD,DVD-Audio
 架空の旅を描いたアルバムとのことです。意外とSteely Dan(特にTwo Against Nature)的な音でした。聞いていた情報よりも良かったです。録音は20bitのDigital録音とのことです。こちらも6/24/03にDVD-Audioが発売されました。音質はNightflyよりも遥かに優秀です。

Donald Fagen/Morph the Cat (3/14/06) US CD+DVDA
 Soloとしては久々の新作です。CDとCD+DVDA(CDを付ける意味はあるのか?)で発売されました。内容はEverything Must Goと同じような曲ばかりで楽しめませんでした。同じような音世界を期待している人には受け入れられるでしょう。歌詞を理解できれば理解が深まるのかもしれません。どうも現在の世界が抱えている問題点や不安を訴えたいようです。9.11のようなテロ行為の撲滅を訴えていると考えられます。今度は歌詞を理解しながら聴いてみましょう。どうもNativeにも理解しにくい歌詞のようです。Makingの映像も参考になるでしょう。

Walter Becker/11 Tracks Of Whack (11の心象 1994) 未聴
 残念ながら聴いていません。Walter Becker唯一のSolo作品です。ProduceはDonald Fagen。彼のVocalは下手だそうです。(確かにそうでした)

もしかしたらBoot?という感じの初期の作品群は次のアルバムで聴くことができます。
Catalyst (1968-1971) 未聴
Sun Mountain 未聴
Old Regime 未聴
Stone Piano 未聴
Early Times 未聴
Roots of Steely Dan 未聴
Forward into The Past 未聴
Donald Fagen,Walter Becker/The Masters (オリジナル スティーリー ダン) 未聴
 これは日本盤も出ていますね。

 編集ものも結構出ています。

Gold (1982) 未聴
 Live音源等アルバム未収録のTrackもあります。

Decade of Steely Dan (1985) JP CD
 標準的なベストアルバムではないかと思います。Remasterではありませんが、from Original Mater Tapeと表記されています。まあまあ音質も良いほうです。映画'FM'のサントラ曲も入っています。限定のGold盤が存在します。

The Best of Then And Now (?) 未聴
 もしかしたらこれが最初に出たBestかもしれません。青っぽいジャケットのものです。

Citizen (1993) 未聴
 4CDの緑系の縦長BOXです。一部未発表Takeが存在するようです。

Two Against Nature (2/28/00) US CD,DVD-A
 スタジオ盤としては1980年のGaucho以来の20年ぶりの新作となります。2/28(日本では2/29)に世界同時発売となっています。音楽的には大きな変更はないという印象です。Gauchoの延長線上にあるといっても良いでしょう。ただ、音質的にはかなり変わったなあという印象です。独特の透明感のある音ではありません。空間を感じさせる音ではなく、底にも何かがあるという印象です。(うまく表現できません)

 DVD-A Edition:中途半端に大きなケースに入っています。ライナーはほぼ同じ内容。特典映像は収録されていません。曲毎に写真(コンサートパンフに収録されている感じのもの)と歌詞とCreditがあるだけのシンプルなものです。音声は6chサラウンド(Packed PCM,DTS,DD)と2ch(リニア)が収録されています。音質はさすがに良いです。Bassの音なんかはこれが彼らの意図している音なのかと納得できました。2ch音声の方が音は良いと感じました。Audiophile向けの作品でしょう。

Showbiz Kids: The Steely Dan Story (11/14/2000?)
 2CDのベスト盤です。アルバムには含まれていない曲'FM'や'Here at the Western World'がRemasterで含まれているのがミソでしょうか。

Everything Must Go (6/10/03) CD+DVD,DVD-Audio
 DVD-Audioも発売がアナウンスされていますが、買ったものはDVD-Video付のCDでした。発売されたものは、CDのみ,CD+DVD,DVD-Audio+DVDと3種類あるようです。基本的な音は前作と同様ですが、曲自体は少し変わったようにも思います。しかし、これをなんと表現すればよいのかよく判りません。第一印象は少し変わったなというものなんですけど。音質は前作同様良好です。特にDVD-Audioでは非常に自然な音で誇張のない音になっていて通好みの音と言えるでしょう。尚、裏ジャケには2CHは96KHzと記載されていますが、Playerの表示は192KHzとなっています。
 おまけのDVDは、タクシーに乗り込む二人に運転手(?)の女性に、二人の真ん中に座る若い女性が入れ替わり立ち替わりで新作とSteely Danに関しての話が進みます。どこまでが演出かは判りません。場所はラスベガスのようです。時間は24分ほどで48KHz/16bitのLinear音声です。このVideoはDVD-Audioでも特典映像として収録されています。

[Video]
 彼らのVideo映像はさほど多くありません。

from Midnight Special (1972?) VHS
 BSでエアチェックしたものの中に2曲ほど入っていました。1stの曲を演奏していたと思います。まだBandの体裁を保っていた頃の演奏です。

Making of 'Aja' (1977?) DVD
 1999年に発売されたドキュメンタリーVideoです。メンバーやアルバムに参加したミュージシャン達が当時を振り返って話しをしています。これを観ると、Ajaという作品に対して新たな視点が生まれるでしょう。これを観たらもう一度Albumも聴き返してみましょう。

Secret Live (5/13/00) JP DVD
 日本盤が5/13に発売されました。下の'Two Against Nature'と同じではないかと思うのですが、海外盤の方は情報がありません。2000年1月28&29日にNYC Sony Studioで行われたSecret Liveの模様が収められているそうです。DVD(102min.)とVHS(82min.)が発売されましたが、DVDの方が収録時間が長くなっています。
 曲の間にインタビューなどが挿入されているので、コンサートの雰囲気を味わうには興ざめの部分があります。演奏はさすがに良いですね。来日公演とはSetlistはかなり違っています。

Two Against Nature Plush Tv Jazz Rock Party In Hi Fi Stereo (2000) 6/13 on Sale
 USで6/13に発売が予定されています。内容は不明で、DVDとVHSでの発売となっています。多分、上のSecret Liveのことだと思います。(US&Canada only)

[Bootleg]
 手持ちのものを紹介しておきます。

USA Tour '74 (3/9,10/74) CDR
 1974年にはまだツアーをしていたのですね。Trade音源ですが、素人がカセットからCDRに焼いたので音質的・音楽的には非常に損をしています。ああもったいないという音質です。音楽的な良さを失ってしまって非常に残念です。
3/9 3/10

Book of Lairs (9/8/93) 2CDR
 再結成ツアーの音源ですね。Audience録音です。Tradeで入手しましたが、ジャケットコピーが付いていたので、Bootlegのコピーのようです。音質的にはいまいちですが、音楽的には楽しめますね。 Setlist

Live in Japan (5/14/00) DAT->CDR
 Audience録音です。国際フォーラムAでの録音で、World Tour初日のコンサートとなります。1階やや左側の真ん中より少し前辺りでの録音です。一部は実際の会場の音よりはずいぶんバランスがよく聴こえますが、強烈なバスドラやBassの音で歪が発生していますが、録音レベルは低いのでマイクでClipしてしまっているようです。二部はマイクのボリュームが上がってしまったようで、完全にClipしてしまっています。:-( Setlist

Live at JJ's ,San Diego (3/24/74) CDR
 1973年の録音ということでTradeしたのですが、上記の録音日が正しいようです。次のMemphisのものと演奏曲目も似通っていますから。Pretzel Logicからの曲も演奏していますし。音はさほど良くありません。演奏曲を見ると、2000年のツアーで演奏された曲もやっているので、これらの曲は彼らのお気に入りと考えて良いのでしょう。時代を考えると恐ろしく洗練された演奏ですね。 Setlist

Live at Ellis Auditorium,Memphis (4/30/74) CDR
 こちらの方が音質は優秀です。Line録音ではないかと思います。歓声はかなり控えめに入っています。FMのAir-Checkなのでしょうか。演奏曲を見ると、2000年のツアーで演奏された曲もやっているので、これらの曲は彼らのお気に入りと考えて良いのでしょう。時代を考えると恐ろしく洗練された演奏ですね。最後は何度かアンコールで登場しているようですが、間で音が途切れているので、同じ日の録音なのかどうかははっきりしません。 Setlist

You Go Where I Go (?) CD
 中古を\950で買いましたが、ディスカウントショップに置かれている商品のようです。(結局損をした)一応、Sweden製とのこと。録音時期など詳細は不明ですが、デビュー前の録音ではないかと思います。確かにSteely Danサウンドではあります。Setlist