●第3章 プログラマになるには
Q:資格は必要なのでしょうか?
A:要りません。
コンピュータのプログラムを書くプログラマになりたいのであれば、幸いな事に日本国内においては特に何かの資格が必要という事はありません。
資格はあなたの実力の一部をあなたに成り代わって表現してくれるかも知れませんが、それが全てではありません。
むしろ、資格では表現しきれない部分の方が多いと言えます。
要はあなたに社会的に求められるだけの実力があれば良いだけの話なので、資格のことについて深く考える必要はないでしょう。
もちろん、個人的に楽しむ分には、それさえ考えずに済むので非常に簡単です。
Q:学校は出た方が良いのでしょうか?
A:特に必要ないでしょう。
高校、専門学校、大学など、様々な教育機関───いわゆる「学校」が、あなたにプログラムを習得する場を与えてくれています。
しかし、学校に行ったからと言って、100人居たら、そのすべての人がプログラムが組めるようになる訳ではありません。
もちろん「逆もまた真なり」との言葉通り、学校に行かずとも、プログラムが出来るようになる人も居る訳です。
あなたがどちらのタイプか、あるいはその中間であるのかは分かりませんが、どのケースにおいても学校が100%必要という事ではないので、
特に「学校を出る」という事にこだわる必要はないでしょう。
逆に、下手に学校を出てしまうと、周囲に「あの学校を出た逸材」との印象を与え、あなたに過剰なプレッシャーを与えるかもしれませんし、
あなたがそのプレッシャーを真に受けて、「期待に応えなければ」と悩み苦しむことにもなりかねません。
ですので、世間の評判や常識などを過信せず、自分の能力を信じて、自分にあった道を選ぶのがベストと言えるでしょう。
Q:プログラミングを教えてくれる学校に行った場合、就職は有利になるのでしょうか?
A:多少は有利になるでしょう。
多くの場合において、プログラミングを教えている学校というのは、金づるである将来の学生を確保する為、
可能な限りの高い就職率を維持しようと、相当の努力をしています。
例えば、学校が機材などを購入している、する事をたてに、企業に圧力をかけて勝ち取った「学校推薦」───。
教授などが、さまざまな権益をたてに、自分の所にいる学生の採用を要求する「教授推薦」などです。
それ以外にも、さまざまな手段を用いて学生を就職させる為に努力しています。
ですので、あなたが黙っていても仕事が舞い込むような著名で、そして才能溢れるプログラマでないならば、
単独で就職活動を行うより幾分かは「有利になる」と言え、授業料を支払い、時間を費やす価値があると言えるでしょう。
では、学校から斡旋され、そして就職した企業は、「プログラマになったらこんな仕事をしたい」と、
あなたが思い描いた夢を叶えてくれる企業なのでしょうか?
これはわかりません。
もちろん、あなたが思い描いたとおりの仕事をさせてくれる企業もあるでしょう。
しかし、中には「高い就職率を維持したい学校」と「戦死した欠員を補充したい企業」が裏で手を組み、あたかも人身売買のようにあなたを売り渡
すかもしれません。
この場合、あなたが就職できたことに喜びを感じる間もなく、就職をしてしまったことに後悔の念を覚えることでしょう。
でも、この場合においても、最初の「学校に行った場合、就職に有利か?」という問いの答えは「Yes」であることに変わりはありません。
なぜなら、あなたが後悔しようがしまいが、「就職に有利」に働いたことには違いないのですから。
Q:年齢制限はありますか?
A:ありません。
幸いなことにプログラマになることに関しては、年齢制限がありません。
米寿を迎えるおじいちゃんが、「ワシは今日からプログラマじゃ」と宣言すれば、おめでたいことにその瞬間からおじいちゃんはプログラマになれますし、
逆に今年幼稚園に入園するボクが、「ボク今日からプログラマになるよ」とママにこっそり教えれば、そのボクはボクとママとの間の秘密になりますが、プログ
ラマになったと言えます。
ですので、プログラマに年齢制限はありません。 プログラマと名乗ればプログラマになれるのです。
もし、あなたが会社勤めのプログラマになることを希望しているのでしたら、求人に出ている年齢と自分の年齢を見比べ落胆するかも知れません。
しかし、世は実力主義です。
あなたが求められる以上のスキルを持っていれば、表だって公開している採用枠の基準超えてあなたを迎え入れてくれることでしょう。
Q:未経験でもなれますか?
A:才能があればなることができます。
誰でも最初は未経験です。
血のにじむような努力と何回かの修羅場を経験することにより、一人前となってゆきます。
ですので、未経験だからと言って諦める必要はないでしょう。
もし、あなたが「業界未経験」で、求人が「要経験3年」とか「要経験5年以上」と書いてることを見て落胆しているのであれば、これも落胆する
必要はこれっぽっちもありません。
上に書いたように、誰もが最初は「未経験者」です。 何処かで経験を積まない限り、これが「経験者」になることはありません。
業界は慢性的に「出来る人間」が不足しており、常にこれを求めており、あなたがこの枠に当てはまる、いわゆる「出来る人間」であるならば、
業界は喜んで未経験者のあなたを迎え入れ「経験者」としてくれることでしょう。
Q:文系でもプログラマになれますか?
A:能力を証明できれば、全く問題なくなることができます。
もしかすると、あなたは「コンピュータは理系の人間でないと扱えないのでは?」と、心配に思うかもしれません。
世の中にはそのような風潮があるようですが、しかし、それは間違ったイメージであり、全く心配する必要がありません。
実際、理系を自認する人でもコンピュータが使えない人は多数存在しています。
逆に、文系の人でも素晴らしいプログラムを書ける人も多数存在しています。
ですので、「自分は文系だからプログラマになれない」と諦める必要はないでしょう。
もし、あなたが文系の学校に在学していて、プログラマとしての就職先を学校に100%依存してこの事を心配いるのであれば、
理系のそれと比較してしまうと多少は劣るかもしれません。
しかし、心配する必要はありません。
あなたが学校に依存せず、就職活動を行えば、この問題はすぐに解決できます。
最初に述べたように、文系であれ理系であれ、プログラマとして活躍している人は多数存在しており、
あなたが心配している「プログラマになるには理系でなければならない」という事は明確に否定できます。
プログラマという仕事は、ある意味、個人の能力が全てである仕事と言えます。
あなたに「プログラマとしての才能がある」という事が証明でき、それが相手の要求とマッチすれば、たとえ文系であったとしても引く手あまたで
しょう。
Q:社会人の経験が無いのですがなれますか?
A:才能と最低限のコミュニケーション能力があればなれるはずです。
プログラマは基本的にコンピュータと向かい合う仕事です。
社会人としての経験が無くとも、優れたプログラムを書くプログラマは多数存在しており、業界はこれを求めています。
ですので、あなたが優れたプログラムを書くことができるプログラマであれば、社会人としての経験が無くとも十分にやっていけます。
ただ、社会人として同僚と会話が出来るくらいのコミュニケーション能力は必要でしょう。
「人と会話をする」と聴いただけで、あなたは怖じ気づいてしまうかも知れませんが、案ずることはありません。
会話と言っても、打ち合わせをこなすだけ───つまり、相手の言っていることを理解できれば、後はうなずくだけで良いのです。
「え、それだけ!?」と、あなたは驚くかも知れませんが、 そこは成果主義のこの業界。 後はあなたが結果を出すことだけを待っています。
余計なことは一切考えず、大好きなプロラムを書く事に専念するという、夢のような生活が待っています。
Q:独学でも問題ありませんか?
A:全く問題ありません。
独学でプログラマになったと言うことは、とても素晴らしいことだと言えます。
なぜならば、専門学校や大学など、プログラムを誰かが教えてくれる理想的な環境においても、プログラムを組めるようになれない人が多数存在す
るという 残酷な現実があるからです。
そのような中であなたは独学でプログラムが組めるようになった───この事は実に賞賛すべき事であり、多くの企業が求める能力を満たしている
と言えます。
そのような、あなたが迷うことは何もありません。 あとは自分の実力がどれほど世間で通用するものなのか試すだけです。
どこか適当な企業の採用試験を受けてみる、あるいはより待遇の良い企業を狙う為にも、今の実力を何かの資格で表すのも良いかも知れません。
いずれにせよ、今のあなたに必要なことは止まらず前に進むことだけです。
あなたが自らの力で前に進まなければ何も始まらないでしょう。
逆にあなたが前に進めば全てが明らかとなり、あなたの望むものがすべて手にはいるかも知れません。
もちろん、あなたの能力が社会に通用すれば、の話ですが。
Q:コンピュータでプログラムを組んだことがないのですが問題ありませんか?
A:特に問題ありません。
パソコンがここまで普及した最近では珍しいですが、ちょっと前まではコンピュータ上でプログラムを1から書くと言うことは珍しいことであり、
紙にプログラムを書くのがプログラマの仕事であり、コンピュータにプログラムを打ち込むのはパンチャーの仕事でした。
この名残かどうかは不明ですが、一般的なイメージとして思い浮かばれる「プログラマはキーボードを見なくともタイプできる」という事を出来な
い人が多数現場で作業をしています。
ですので、コンピュータ上でプログラムを組んだことが無くとも、紙上、あるいは頭の中でプログラムを組むことが出来れば、
「コンピュータ上にプログラムを打ち込む」という作業を習得するのに、さほどの時間がかからないので問題はないでしょう。
Q:そう言うことではなく、紙上でも頭の中でも、夢の中でもプログラムを組んだことがないのですが問題はありませんか?
A:はい。 最低限の教養を持ち合わせ、適性が企業の求めるものとマッチすれば問題ないでしょう。
プログラムを全く書いたことがない、コンピュータを使ったことがないと言う人がプログラマになると言うことはそう珍しいことではありません。
世間一般のイメージだと「プログラムは難しい」「コンピュータは難しい」と言う人もいるかもしれませんが、所詮は人間の作ったものです。
義務教育修了程度の教養を持ち合わせていれば、プログラムとコンピュータについて学習できる本は多数出版されていますし、
適性があれば短期間でベテランよりも優れたプログラムを書くようになることができます。
ですので、まずは「プログラマになりたい」と悶々としながら妄想を繰り返すよりは、一度でも採用試験を受けた方が手っ取り早く自分の能力と素
養を知ることができるでしょう。
Q:では、最低限の教養も適性も持ち合わせていない人間を0から教育して一人前のプログラマにしてくれる企業というのは無いのでしょうか?
A:あるかも知れませんが、一般的には難しいでしょう。
素養のある、あるいは学校などでコンピュータについて専門的な教育と訓練を受けてきた人間でも「一人前のプログラマ」に育てる為に企業は数百
万の経費が必要となります。
「即戦力」になるスキルを持ち合わせた人間が採用枠を超えて採用される一方、その逆に位置する人間は昨今の経済情勢においては企業側も敬遠す
る状況にあります。
たとえ、慢性的に人員不足が叫ばれている状況下においてもです。
ですので、残念ながらあなたが無経験から会社勤めのプログラマになるのは一筋縄ではいかないでしょう。
しかし、諦めるのはまだ早いです。 可能性として2つ考えられます。
*
まず、第一に、コンピュータ業界には、非常に安い金額で孫請け、ひ孫請けの仕事をこなしている企業というのがあります。
一般的にこのジャンルに属する企業は人を人と思わず、人を消耗品として扱い、個性や人格、人権までをも否定し、
発注元に「頭数いくら」で仕事を請け負う、あるいは「客先」と言う名の戦地へ「プログラマ」と言う名の兵士を送り出しています。
つまり、「頭数を満たす為に空きが出れば補充する」というスタンスで人を採用をしている訳です。
これらの企業は、送り込んだ兵士の戦死や脱兵を見込んで採用をしているので非常に門戸が広いと言えます。
あなたに徹夜の連続に耐える体力と、血尿の出る思いを我慢できる精神力が備わっていれば、これらの企業のニーズにマッチし、採用される可能性があります。
数年、その状況に無事耐えることができ、実力が程良く付き、運が良ければ、資格欄に「要経験3年」と書いてあるようなワンランク上の企業に転職できるかも
知れません。
* 第二に、多くの企業で数人は居る、縁故による採用を狙うと言うことです。
家系図を片手にあなたを縁故採用へと導いてくれる親戚と企業を探しましょう。
どのような場合においても「抜け道」と言うのは必ずあります。
しかし、その「抜け道」は自らが労しないと決して手に入りません。
メーリングリストや掲示板などで「プログラマになりたい」などと願望を漏らしている暇があったら、
心身の鍛練をして傭兵として戦地へ赴く準備をするか、家系図を片手に地べたをはいずり回った方があなたの夢を確実に叶えてくれることでしょう。
Q:会社勤めのプログラマにはなれそうもないのですが、私はプログラマになれないのでしょうか?
A:なれます。 自分で起業すればよいのです。
会社というのは志を同じくするものの利益集団であり、他の誰かが作ったものです。
あなたがその枠に収まれ無いのであれば、あなたが新しい枠を作ればよいだけの話です。
つまり、あなた自身がプログラマとして名乗りを上げ、仕事を始めれば立派な職業プログラマです。
ただ、会社勤めのプログラマとは違い、収入が保証されていませんが、
なあに、奴らがどんなに高い能力を持っていたとしても、「月々の給与」という、能力に見合わない賃金で会社に飼われているのに対し、
あなたの能力ひとつで収入は青天井です。
一時期が厳しかったとしても、「崇高な理念に基づく活動、そして修行」と思い、努力しましょう。
Q:起業をして食べていけるのでしょうか?
A:能力次第で十二分に食べていけます。
あなたは「この不景気な時代に起業などして仕事はあるのか?」と不安を感じるかも知れません。
確かに、あなたが十分に名の知れたプログラマでなく、あなたの存在を広く知らしめるだけの宣伝費が無いのであれば、
仕事の依頼はないかもしれません。
しかし、ここでがっかりする必要はありません。
仕事がなければ、売れる「商品」を作れば良いだけの話です。
プログラマの仕事は、他の仕事と比べて初期投資が少なくとも、莫大な利益を生む商品を作れるという、
他の業種から見るとうらやむべき点があるかも知れない仕事です。
あなたが無名の、そして駆け出しのプログラマであったとしても、世の中に受け入れられる、
そして求められているプログラムを作れば、あなたが無名であるか有名であるかの如何に関わりなく、
広く受け入れられ、あなたが食べて行くに十分な収入をもたらすことでしょう。
そうなれば、あなたのもとには、あなたがこなしきれない程の仕事の依頼が舞い込むことでしょう。
もしかすると、プログラムの開発依頼以外にも、雑誌や書籍の執筆依頼、あるいはTV出演や講演などの話も舞い込むかもしれません。
そうなると、あなたが今抱えている心配など何処吹く風です。
すべてはあなたが1本のプログラムを作ることから始まります。
まずは、爆発的なヒットをもたらす渾身の一作を作ってみましょう。