Chicago(Part1)、Boston 編 (12/16/2004-12/21/2004)


12月16日(Thu.)「シカゴです!」
14日の火曜日に、ニューヨークから約20時間かけてシカゴに到着しました!(やっぱり2時間ほど遅れました…笑)途中が吹雪だったのですが、シカゴは晴れていたのでひと安心。でもメチャクチャ寒いです!ビルとビルの間の道路の上を電車が走っていて、パトカーも結構走ってたりして、正に「ブルースブラザーズ」の舞台です!
シカゴには、「ミッドウエスト・バンドクリニック」というイベントに参加するために来ました。今年で58回目を迎えるこのイベントは、各地から、プロのバンドやスクールバンドが一同に介してコンサートをやったり、いろいろな講師の方が、演奏者や指導者のためのクリニックをやるという、とても大きなイベントです。また、何百もの楽器店、CD、楽譜屋などのブースも出店しています。(下の写真の上の段、中、右)しかも、学生の参加費用は5日間でたったの、
25ドル!
これで全ての講座が受講でき、コンサートが聴けてしまうのです!(そう、僕は今、学生なのであります!)
昨日は、「MIDI&Audio」、「中高生のジャズアンサンブルのサックスセクションが、どうやったら上達するか?」という講座を受講し、夜は、アメリカ海軍の吹奏楽団、ノーステキサス州立大学のビッグバンドの演奏を聴きました。前にも少し触れましたが、この学校には、1軍から9軍までのビッグバンドがあり、アメリカでもトップクラスのジャズプログラムを持っています。かなり期待していたのですが、CDよりは上手じゃなくて少し安心しました。(笑)とは言え、ところどころ学生とは思えない部分もありましたが・・・
そして今日は、「カウント・ベイシー・オーケストラ」のリズムセクションの講座を受講しました!ベイシーサウンドを作るためのコツを、なんと本人たち(上の写真は、Drums;Butch Miles,Guitar;Will Matthews,Bass;James Leary、写真に写ってませんが、PianoはTony Suggs)が解説してくれるという、ジャズファン、ベイシーファンにはたまらない講座です!
彼らが繰り返し言っていた事は、「シンプルに!」という事です。
むやみに音数を増やさない、やり過ぎないという事ですね・・・学生バンドなどでは特に、難しいテクニックや、凝った音を使ってしまう傾向がありますが、それがかえって逆効果で、ベイシーサウンドを損ねてしまうという事です。本人たちに言われると、ものすごい説得力ありました・・・
その後聴いた、高校生のビッグバンドも、高校生とは思えないすばらしい演奏でした!
そして夜は、またしてもアメリカメジャーオケのひとつ、「シカゴ交響楽団」のコンサートに!(左がシンフォニーホール)これはクリニックとは別なのですが、クリニックをやっているヒルトンホテルと僕の滞在先からも歩いてすぐの所にあり、ゲストがブラウンフォード・マルサリスという事もあり、面白そうなので行く事にしました。ブラウンフォードは、グラズノフと言うロシアの作曲家のサクソフォン協奏曲を演奏しましたが、ジャズだけでなく、クラシックもすばらしいものでした!この兄弟(家族)はホントに凄いですね・・・
オーケストラの方も、フィラデルフィア、ニューヨークともまた違うサウンドで、ダイナミックかつ繊細な印象を受け、とても好きな音でした。
このコンサートが10時過ぎに終わったので、10時15分から始まるアメリカ陸軍のビッグバンド(写真右)を聴くためにヒルトンに戻る事に。これまたすばらしい演奏な上、ゲストがサックスの巨匠、フィル・ウッズという豪華なプログラムでした!
観光地やライブハウスには行ってませんが(行く暇がないくらいクリニックが充実しているので・・・)、思う存分、シカゴを満喫中です!

12月18日(Sat.)「センソウしないでエンソウを!」
昨日も「ミッドウエスト・バンドクリニック」を満喫しました!
まず、昨夜演奏したアメリカ陸軍のビッグバンドが今朝も演奏するとの事で、それを聴きに行きました。これは、いわゆるコンサートではなく、新しく出版された譜面のデモ演奏をし、これを聴いた各地の先生たちが譜面を買って帰って、自分の学校に取り入れられる様な仕組みになっているようです。いかにもクリニックらしいプログラムですね・・・
演奏も昨日同様にすばらしいものでした。米軍さんには、「センソウしないでエンソウをして欲しい」と心から思います。
その後展示ブースに行き、楽器の試奏をしました。旅で練習不足のため、ほとんどこの場を利用して練習してただけですが・・・(笑)
この日クリニックを行う、Bill Reichenbach氏、Michael Davis氏(上の写真の左の二人)、シカゴ響のジェイ・フリードマン氏などがいらっしゃいました。
続いては、Jamey Aebersoldさんの、ジャズのアドリブに関するクリニックに参加しました。
この人は、自身もサックス、ピアノ、ベースなどを演奏する方で、マイナスワンの教材などを多数出版しています。ジャズを勉強している人なら、一度は彼の教材を使った事があるはずです。この人がその、Jamey Aebersoldさんなのであります!内容は、音階、分散和音の練習の仕方、それを少しずつ崩してメロディにしていく初歩的なものでしたが、基本を見直す意味でとても勉強になりました。この事が書いた本が、jamey@jazzbooks.comにメールをするとタダでもらえるらしいので、興味のある方はメールしてみて下さい!
そして、個人的には一番楽しみにしていたMichael Davis氏(写真右)、Bill Reichenbach氏による講座に参加!Michael Davis氏は、ニューヨークのすばらしいトロンボーンプレーヤー、作曲家、編曲家で、ボブ・ミンツァーのビッグバンド、ローリングストーンズなどで演奏してます!
あこがれのプレイヤーの一人で、彼のCDはほとんど聴いているし、エチュードなども使用しています。http://www.hip-bonemusic.com/で手に入ります。また、ブラスプレイヤーのためのページ、http://www.clubhip-bone.com/が新たにオープンしました!要チェック!)
この講座も、金管奏者のための基礎的な講座でしたが、Michael Davis氏、Bill Reichenbach氏のデュオでリリースしているCD、「BoneTown」、「NewBrass」の中の曲を生のリズムセクションを入れて演奏してくれたのはとてもラッキーでした!(コンサートプログラムでなく、講座なので、あまり楽器を吹かないでしゃべるだけの人が多かった。)
夜は、Orquesta Alto Maizというサルサバンドと、Chicago State University Community Jazz Bandのコンサートへ。どちらもすばらしかったのですが、特にChicago Stateのビッグバンドは凄かった!プロはメンバーの中に2人位らしいのですが、もの凄い勢いがあり、これぞライブという感じでした!高校、大学などの音楽教育は、プロを養成する事だけでなく、いかに生涯音楽を楽しむか、という事が大きな目的だと思います。そういう意味で、このバンドは、このクリニックのジャズコンサートのトリにふさわしいパフォーマンスだったと思います!(演奏中叫び過ぎて、終わったら声が枯れてました・・・笑)
5日間これだけ吸収して、たったの25ドルですよ!(ひとつ1ドル位だよね・・・笑)
そんな訳で、シカゴも大満足で終了!(滞在先のホテル、ヒルトン、シンフォニーホールしか行ってないけど・・・ブルースのライブハウスは行ってみたかったかな?)
今日、ボストンへ出発です!

12月21日(Tue.)「ボストンです!」
土曜の夜にシカゴを出発し、アムトラックに乗ること約22時間、無事ボストンに到着です!
この日から二人の仲間が加わり、一人もついに終了。田中匡志君(Drums、写真右)と木村友香さん(Piano、写真中央)。二人はUNLVの生徒と元生徒で、僕が9月末に、学校の見学でラスベガスを訪れた時に知り合い、この旅の計画を話した所、是非一緒に旅をしたいとの事で、この日からの合流が実現しました。にぎやかになる事でしょう・・・
今回、たったの20分遅れというすばらしいタイム(ほぼ毎回2時間遅れていたので・・・笑)で到着したので、あきらめていたMcCoy Tyner(Piano、写真中央)のグループのライブに行く事が出来ました。ピアノはもちろんすばらしかったのですが、ベースのCharnet Moffett(写真右)と言う人が異常にうまかったです!テクニックはもちろん(ウッドベースでチョッパーをやっていたのがメチャかっこ良かった。)ですが、ソロでのフレーズの多さと歌い方に感動でした!
日曜は本場のジャズを満喫し、昨日は雪でメチャ寒い中(氷点下でした。)ボストン美術館で芸術鑑賞を・・・ここはパリのルーブル、サンクト・ペテルブルクのエルミタージュ、ニューヨークのメトロポリタンと並ぶ世界四大美術館のひとつで、とても壮大なスケールでした!
まずインド美術のコーナーに。紀元前500年前位の作品(下の写真中央)に圧倒されました。今から2500年も前にこんなものを作る人達がいたとは・・・
その後アジアコーナーをひととおり周り、日本のコーナーへ。(作品に、仏教伝来のルーツがはっきり現れています。)ここには下の写真のようなものから葛飾北斎の浮世絵など、日本でもなかなか見られないような作品がありました。
「この時代は江戸かな?」「いや明治だろ?」「何言ってんの、もう昭和だよ!」などとレベルの低い会話をしながらの鑑賞。いかに自分が日本の文化を知らないか、大切にしていないかを実感しました。反省・・・
そして、これが結構面白かった!ミュージシャンにはたまらない、楽器コーナー!!
下の左上の写真、トロンボーンです!ベルが蛇の形をしていました。本でしか見た事のない楽器が並んでいました。ちなみにその下もトロンボーン。ベルが後ろを向いています!軍隊の信号ラッパの役割で、後ろの部隊に何らかの合図を送っていた様です。ホルンが狩りに使われた楽器のためにベルが後ろを向いていたというのは知っていましたが、トロンボーンにもある事は知りませんでした。大発見です!ちょっと感動。
大満足で楽器コーナーを後にし、次はエジプトへ・・・
下の写真の器は、なんと紀元前6000年前のものです!す、すごい・・・その他にもミイラやヒエログリフの描かれた壁など、とても今から何千年も前に作られたとは思えない作品の数々。そんな時代に高度な文明が存在し、人々が暮らしていた事に、ただただ呆然とさせられる空間でした!世界ふしぎ発見!
ラストミステリーはヨーロッパ絵画の世界へ。美術の知識の全くない僕でも知っている、モネ、ミレー、ルノワール、ゴッホ、ピカソなどの作品が満載で、その絵の数の多さとエネルギーで、見るのに疲れるほどでした!
ほとんど6時間ぶっ続けで鑑賞していましたが、それでも周りきれない規模でした。
大満足で、さらに夜は、Boston Symphony OrchestraのHoliday Pops Concertへ!
ボストン交響楽団は、シーズンオフの時期にボストン・ポップスオーケストラという名前で軽めの曲を演奏しています。写真ではちょっと分かりづらいですが、1階席がライブハウスの様にテーブルが入り、お酒を飲んで食事をしながら聴けてしまうのです!優雅ですよね?むろん、貧乏旅行をしている僕らは、2階のバルコニーで普通に聴いていたのですが・・・(笑)
合唱団が入り、150人規模でのクリスマスコンサートは圧巻でした!メンバー自身も、ポップなこのコンサートを楽しんでいる事が伝わって来る、とても楽しい夜でした!
東海岸に来て、フィラデルフィア管弦楽団ニューヨークフィルシカゴ交響楽団ボストン・ポップスというメジャーオーケストラを制覇しました!日本でこれだけ聴いたらいくらかかるんだろう?と恐ろしくなりますが、驚くほどお金はかかっていません!しかも、それぞれの本拠地で聴く事ができ、その違いを堪能出来ると言うのはとても幸せな事です!
ジャズ、クラシック、美術を満喫し、明日から再びニューヨークです!