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20030610(火) Lasting Note

日曜の帰り道、新宿東口、スピーカーをバックに駅前広場で歌う男女。
「いい声してるな、男の方」
パダワン首肯。
「石井竜也に似てる」
「あぁ〜そうかも」

女性の方は、と。
「美人だな。だが・・・それだけだ」
「そうね」
男の歌声が、ハタ、と熄む。
続けて反省の弁。

「所詮、素人か・・・」
また歌い出す。
「でもまぁ、いい曲、だ」
「そう、ね」
しばらくその空間。
「ありがとうございました、また来週、ここでやりますんで」
聴衆の温かい拍手。
「音源ありま〜す。今なら、サインもしますんで」
「スタッフか・・・」
音源らしきものを持ち、客を見つめる男が一人。
「いくら?」
「1000円になります」
「!?高いな・・・CD?」
男の怪訝そうな顔。
「それとも、R?」
「あ、Rです」
横から、女性の声。さっきのヴォーカルだ。
「2枚あるけど・・・最後の曲はどっちかに入ってます?」
「あ、こっちです」
右を指差す。
「じゃあ、こっちください」
「ありがとうございます!」
「サイン貰えます?」
「もちろんです!」
盤に書いた後、機材を片付けている男を呼ぶ。
「え?俺も書いちゃっていいですか?サイン」
「ええ」
・・・むしろ・・・あんたのサインが欲しい。いい声してるよ。
「今度はとちらないことを祈ってますよ」
「えぇ、是非!」

また、どこかで。


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