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キリスト教について


西欧文化の背景には、キリスト教があります。映画やビデオの題名だけを見ても、
その数に驚くと同時に、知った題名が多くあることにおどろかされます。

2006年には、「ダ・ヴィンチ・コード」が、上映された。
十字軍の遠征、魔女狩り、新しい思想や科学への弾圧、キリストは神だったのか、人だったのか 
なども背景として描かれていましたね。

       目次

 1 キリスト教の歴史 

 2 旧約聖書 ごく簡単に

 3 新約聖書 ごく簡単に

 4 各派の 特色
    東方正教会〜モルモン教など17派

 5 映画、ビデオ の紹介


はじめに

 キリストの教えは、支配階級に迫害されたが、民衆に支持され、ついにはローマの国教となる。
その後、教会(教皇)は、絶大な権力を持つようになり、暴走する。
十字軍の遠征、魔女狩り、宗教裁判、自由思想への弾圧などを歴史に残す。

「魔女」とは教会の権威に服しない自由な精神をもつ女性といえそうだ。
教会は自らの権威をおびやかす「自由思想」の普及を最も恐れたのか。

 その後、教会の権威に反発し、正そうとする宗教改革がおこる。

 そして、教会の権威から開放されたルネサンス(人間性復興の文化)がおこる。

 その後、新しい思想、科学、新しいキリスト教がたくさん生まれ、今日にいたっている。
 
 今日、日本の多くの仏教が、「死んだ人のための宗教(葬式仏教)」となっているのに対して、
キリスト教は、今も昔も「生きている人のための宗教」である とのことです。

参考・・・朝日新聞社出版局 「キリスト教がわかる」、日本基督教団出版局 「聖書辞典」など。

1 キリスト教の歴史
成立

 

後期ユダヤ教の時代、宗教官僚主義と貴族主義の社会の中で、人々は抑圧され、苦しんでいた。イエス・キリストは、これらの人々に「神の国」を説き、多くの人々を引き寄せた。これにより、ユダヤ教祭司貴族たちの不安と不興をかい、迫害され、ついには、処刑された。

イエスの死後は、使徒が布教したが、なおも迫害された。ローマ皇帝ネロ(在位54〜68)、ディオクレティアーヌス(在位284〜305)による迫害が有名である。

   その迫害にもかかわらず、キリスト教の奉仕、援助、看護、施しなどの活動は、抑圧された民衆にとって、新鮮であり、大いに支持され広まり、ついには、権力側も抗しきれなくなり(1〜3世紀)、公認へと向かう。

313年、コンスタンチーヌス大帝(在位306〜337)のとき、公認される。

392年、テオドシウス1世により、国教となる。

     395年、ローマ帝国は、東西に分裂する。 

397年、新約聖書がまとめられる

キリスト教の基本原理、「三位一体論、キリスト論」が制定される。

 三位一体論(325年)〜神は父・子・聖霊の3つの位格をもつ、1つの実体である。

 キリスト論(451年)〜キリストは「真の神にして、同時に理性を有する霊魂と肉体から成る真の人間である」

     476年、西ローマ帝国、滅亡する。

まとめ 〜 キリスト教は、迫害されたが、民衆に支持され、ついにはローマ帝国の国教となる。 

ローマ帝国・・・前8世紀、イタリア民族が住みつく。異民族が侵入し、前6世紀ころ、共和制ローマとなる。その後、諸都市と抗争を繰り返しながら拡大していく。各都市は、ローマと直結され、都市どうしの連携はとれないようにした。奴隷の反乱が治められたのは、アウグスティヌスのときで、前31年以後、帝政ローマとなる。その後、2世紀ほどが全盛期となる。領土は、地中海を取り囲むようであった。「地中海は、我らの海」。その後、社会が硬直化し、衰退していく。

中世

初期には 〜  教皇権と帝権との確執(権力をめぐる不和、争い)が生まれる。

 10世紀、教職売買、破倫姦計(道徳がすたれ、わるだくみ)のうずまく暗国時代となる。

中期には 〜 修道院より、改革運動が起こる。

 11〜12世紀には、教皇権は、全盛期、絶頂期となり、教皇が皇帝よりも強くなる。
  この絶頂期に十字軍を送る(1096〜1270年の間に8回)。表向きの理由は、「イスラムに占領されている聖地エルサレムの奪回」であったが、イスラム側から見ると「異教世界からの野蛮な侵略戦争」であった。エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地である。
 この十字軍の遠征は、エジプト・メソポタミア・ギリシアの古代文明(アリストテレスの哲学、古代科学など)を継承し発展させていた先進のサラセン文化を西洋に持ち帰った。これらは、後の西洋の思想、近代科学の基となった。・・・ 現代ヨーロッパ文化の基礎のひとつは、イスラム文化である とも言える。後のルネサンスもアラブ文明に触発された面がある。

 この時代のヨーロッパは遅れた暗黒時代であり、一方では絢爛たるイスラム文化が花開いていた。

 異端裁判魔女狩り などで多くの人が殺された。
          (アビニョン捕囚、英仏100年戦争 ジャンヌ・ダルクを処刑 など

末期 〜 教皇庁の風紀は、おおいに乱れ、宗教裁判も狂気じみていた。
 
 ペスト が大流行し、14世紀には、流行地域では、3/4の人が死んだ。

  1453年、オスマントルコにより、東ローマ帝国は滅び、中世(封建時代、主従関係、土地に縛られ、支配される時代)は解体した。

まとめ 〜 教会側は、絶大な権力をもつようになり、極端な悪弊をおよぼす。十字軍、異端裁判、魔女狩りなどを歴史に残す

近世

ルネサンスが興る 〜 教会の権威から開放され、人間性を尊重する運動が興ってくる。
ルネサンスは、キリスト教会の権威からの開放であり、人々の思考の枠は、教会的なものから、人間的なものへと転換した。

コペルニクス(1473〜1543年) 〜 地動説
ガリレオ(1564〜1642年) 〜 地動説 〜 宗教裁判 〜 「それでも、地球は動く」
                             1992年、ローマ教皇、地動説を認める。

ルター(1483〜1546年) 〜 「免罪符への抗議」により、宗教改革が起こる。
さらに、カルヴァン(1509〜1564年)、ツウリング(1484〜1561年)らによる改革が起こる。

カトリックとプロテスタントの戦争が起こる。1572年バルテルミー祭の大虐殺や30年戦争(1618〜48年)など。

デカルト(1596〜1650年) 〜 「われ、思うゆえに、われあり」
ニュートン(1643〜1727年) 〜 万有引力
ロック(1632〜1704年) 〜 経験論 〜 人間の感覚、経験から出発して、現実を判断する。

ルソー(1712〜1778年) 〜 「自然へ帰れ」 〜 科学主義の偏狭さを批判する
ゲーテ(1749〜1832年) 〜 ロマンティシズム  〜謁見後のナポレオンのつぶやき 「彼こそ人間だ」
シュライアーマッハ(1768〜1834年) 〜 信仰とは、宇宙に対する絶対的依存感情である
カント(1724〜1804年) 〜 宗教とは、道徳的義務を神の要求とみなすこと
ダーウィン(1809〜1882年) 〜 進化論〜 「種の起源」
         1996年 ローマ教皇が進化論を認める

マルクシズム 〜 シュトラウス(1808〜1874年) 〜 イエスは、宗教理念を表現した一人の人間
         〜 フォイエルバッハ(1804〜1872年) 〜 神は、人間の願望である
         〜 マルクス(1818〜1883年) 〜 宗教は、精神のアヘンである
         〜 ニーチェ(1840〜1900年) 〜 「神は死んだり」

まとめ 〜 宗教改革により、新しいキリスト教が、生まれる。また、教会の権威から開放された、新しい文化、思想、近代科学が生まれる。自給自足の中世から、営利主義、資本主義が誕生する近世へと移る。

 


 
 
2 旧約聖書
 
聖書とは、旧約聖書と新約聖書の2つをいう。「約」とは、「契約」のことで、「神の人間にたいする恵の申し出(約束)」をいう。     
 
 旧約聖書は、 もともとは、ユダヤ教典であり、キリストも読んでいる。1回目の「契約」が、しるされており、「神は、イスラエル民族の始祖アブラハムと、モーゼを通じて、人間救済の聖意を啓示された」とする。
 39書からなり、ユダヤ民族の歴史がしるされている。
 
3 新約聖書
 
 2回目の「契約」 〜 イエス・キリストを通じて、全人類に対してなされた契約

旧約聖書は、新約聖書の準備であり、新約聖書は、旧約聖書の完成であるといえる。旧約聖書に示された、「救世主(イエス・キリスト)」が、来臨(降誕)され、その活動、受難、死、復活がしるしてある。
 27書からなる。4つの福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ各福音書は、イエスの出来事、事実を書いたもの)と手紙(事実の意味の解釈)からなる。

 
4 現在のキリスト教各派 

 カトリック(旧教)は、「聖書」と「教会の伝承」を基本とする。

 プロテスタント(抗議派、新教)は、聖書を基本とし、教会の権威、支配に対する批判、反発から生まれた。
 
 派    新・旧・他  発祥地        特色  
東方正教会  カトリック エルサレム   ローマ帝国時代の国教であった教えを厳格に継承する。   
カトリック教会 カトリック ヴァチカン

 キリストの弟子の12使徒が広めた。4世紀に、使徒のひとりのペトロの墓の上に、サンピエトロ大聖堂が建てられる(15世紀に建替えられた)。代々のローマ教皇が継承。

聖公会 カトリック 英国  16世紀に、ローマカトリック教会から独立し、国王(ヘンリー8世)が、首長となり、国教会を設立する。その後、独立したアメリカ合衆国で、最初の聖公会が設立される。
ルーテル教会 プロテスタント ジュネーブ 

 ルター(ドイツの大学の聖書教授、1483〜1546年)派の教会。最初のプロテスタント(抗議派)の教会。「免罪符の購入販売で、罪が消える」というのは、間違いで、聖書が根本であると抗議する。この運動は、全ヨーロッパに広がり、宗教改革の発端となり、ルネサンスの布石となった。       

        〜 音楽家バッハ

改革派教会 プロテスタント  

 教会自身によって改革された宗派。 「み言葉によって、常に改革される教会」  

    〜 画家レンブラント 

会衆派教会 プロテスタント イギリス発祥

16〜17世紀に、プロテスタント思想に触発された人々(ピューリタン)による教会。ピューリタンは、国王が、カトリックにつくときは、迫害された。クロムウェルのもとでは、政治的主導権を握った。イギリス国教会体制のもとでは、非国教徒とされた。 1620年、信教の自由を求めて、102人が、アメリカ、マサチューセッツ州プリマスに上陸する。大きな苦難にあい、多くの犠牲者をだしたこの旅は、「巡礼」といわれている。

  〜 新島襄(同志社大学設立)

バプテスト   オランダ発祥

17世紀初、イギリス国教会を離脱し、オランダに渡り、設立する(ジョン・スミス)  

 マーチン・ルーサ・キング牧師(公民権運動指導者)

メソジスト(几帳面派)   イギリス発祥

18世紀の産業革命下、富と快楽を求め、社会は、荒廃し、道徳は乱れ、多数の労働者は、苦しんでいた。この時代に登場する。聖書を学び、礼拝を守り、規則正しい生活をする。伝道と教育に力を入れる。賛美歌を普及し、大多数の字の読めない人々に聖書の内容を伝えた。

  〜 青山学院、活水学院、関西学院など

アナバプテスト(再洗礼派)    スイス発祥

幼児期の洗礼を認めず、国家と教会の分離を主張する。新約聖書に描かれた、初代教会の姿を再現しようとする。絶対平和主義で兵役は拒否する。メノナイト、フッタライト、アーミッシュ矢次綾さんのページ)などが現存する。相互扶助、結束がかたい。

クエーカー    

絶対平和主義。真理は、各人の魂に呼びかける「神の声(内なる光)」に見出されるとする。形式や権威を否定し、瞑想や沈黙を重んじる。

  ジェームス・ディーン、内村鑑三、新渡戸稲造

救世軍     制服を着用し、軍隊式の規律や組織をもつ。一般信者を兵士、牧師を仕官と呼ぶ。慈善事業に群を抜く活動をする。
ペンテコステ派     現在、もっとも、元気がある。
クリスチャン・サイエンス     「神の似姿である人間は、完全である」と前提する。
ユニラリアン・ユニヴァーサリスト     かつては、「異端」とされ迫害された。「イエスは、私たち神の子の中で、もっとも神に近い人間であり、究極の師である」とする。
再臨待望信仰     日曜日ではなく、土曜日を安息日として、聖日礼拝をし、イエスの再臨を待ち望む。
エホバの証人 ものみの塔聖書冊子協会   すべての教義のよりどころを聖書に求める。クリスマス、イースターなどは、聖書にないので祝わない。兵役は拒否する。自派への絶対的忠誠を要求する。輸血拒否と熱心な訪問勧誘が有名。
モルモン教     一夫多妻、黒人差別、女性差別など批判される。

5 映画・ビデオの紹介 

全編キリスト教的なものから、ワンシーンだけに背景として信仰をだぶらせているものなどいろいろ。


「天地創造」     〜 旧約聖書の「創世記」の映画化
「十戒」        〜 イスラエルの民をモーゼが、約束の地へと導く
「サレムの魔女」 
「クルーシブル」   
「ホーム・アローン」 〜カトリック
「シックス・センス」  〜 カトリック
「13デイズ」      〜カトリック 〜 ケネディー大統領のときのキューバ危機回避の物語だったと思います。
「ゴッド・ファザー」   〜 ゴッド・ファザーとは、カトリックで洗礼を受けるときの代父の呼び名
「天使にラブソングを」 〜 カトリック教徒なので、尼さんを殺せないギャングたち
「地獄の黙示録」〜 沼から顔を出すシーンは、洗礼を暗示し、生まれ変わりを意味する。

ジャンヌ・ダルク」 〜 15世紀の英仏100年戦争が舞台。信仰をもととした、短くも壮絶な一生を描く。宗教裁判、異端、魔女などのいんちきさも、描いてある。500年後、ヴァチカンは、ジャンヌを聖人の列に加えた。

 「ピアノレッスン」 「グリーンマイル」 「ペイ・フォワード」 「ライブ・フレッシュ」
「この素晴らしき世界」 「フォレスト・ガンプ」 「キャスタ・アウェイ」

    聖職者や修道者が主人公
 
「サウンド・オブ・ミュージック」 「 テレーズ」 「炎のランナー」 「エクソシスト」 「わたしは告白する」 
 「尼僧物語」 「野のユリ」 「ポセイドンアドベンチャー」 「司祭」 「オスカーとルシング」 
 「サイモン・バーチ」 「レッサーエヴィル」   「僕たちのアナ・バナナ」 

    天使が出てくる
 
「素晴らしき哉、人生」 「天使とデート」 「ベルリン・天使の詩」 「シティ・オブ・エンジェル」 「エンジェルス」
 「俺たちは天使だ」 「マイケル」 「普通じゃない」 「ドグマ」 「天使のくれた時間」

    悪魔が出てくる
 「エンゼルハート」 「ディアポリス・悪魔の扉」 「悪いことしましょ」 「くたばれ、ヤンキース」
 「ローズマリーの赤ちゃん」 

    天使と悪魔の最終戦争(ハルマゲドン、ヨハネの黙示録)が下地のもの
 「オーメン」〜 ゾクッとはします。
 「エンド・オブ・ザ・デイ」〜アーノルド・シュアルツネガー 〜 ヴァチカンの教皇も出る大胆な構成。最後は感動的。
 「ロスト・ソウルズ」
 「ブレス・ザ・チャイルド」 

 「ファウスト」 〜 見ごたえありました。



参考は、 朝日新聞社出版局 「キリスト教がわかる」、
日本基督教団出版局 「聖書辞典」などです。
2006/06