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2009年・・・ こんな映画ありました

ビデオ 「カムイ外伝」 全7巻26話に出てくる 忍術について
(最終更新2007年頃)


  

「カムイ」とは、アイヌ語で、「神」 を意味する。

日本語の大もとは といえば、縄文言葉だろう。

アイヌ語は、今残る縄文語・・・

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「神」とは、なんだろう と聞かれて、即答できる人は、いるだろうか。

漢和辞典でみると

@ かみ。天の神 A 広く神の総称 B たましい C 心、精神 D人力では計り知れない霊妙な働き

などとある。

古代の日本人の死生観・宗教観は、「死んだ人は神になる」だったそうだ。

死んだら、その人の魂は、神の国に行く ということで、ときどきは、戻ってくるようお招きをする。

お盆や彼岸、直来(ご先祖の霊とお食事をすること) など。

小さいころ、川で、お招来(おしょうらい)といって、竹ぼうきの形の木に火をつけて、くるりくるりと回した思い出がある。あれは、先祖の魂をお招きするということなんでしょう。

御招霊(おしょうらい)

神というのは、「八百万(やおよろず)といわれるように多彩であるが、人や動物や物の、目には見えない魂 とすれば、わかりやすいのではないか。神社などで祀られるというのは、それなりの特別な理由があるということになる。

それでは、忍術についての個人的主観的な解説をどうぞ

 1  いづな落とし (忍法 飯綱落し)

 カムイの必殺得意技。相手を後ろからかかえ、高いところから落下し、頭から落とす。 2パターンがある。この技の応用にプロレスのバックドロップ(岩石落とし)とパワーボムがある。コーナーポスト最上段から場外へ向かってきめれば、高低差はまだ小さいが、ほぼ近いだろう。 これほど、ヘビーで、現実的な技を主人公に与えた作者の思うところは何だろう。 いづな落としが、天から地上への軌跡であること、生から死への一瞬であること、などを思うと、なんともスケールの大きな、壮絶な技である。
 OKOJO.JPG

「飯綱落し」の 「飯綱」とは、信州の飯綱の地名である。ここには、「飯綱の法」というのが昔から言い伝えとしてある。古代の山人の呪術(不思議なる法術、まじない、妖術)らしい。飯綱の法では、管狐(くだぎつね)と呼ばれる小動物を使う。管狐とは、いたち科のオコジョではないか。オコジョは、冬には、尾の先端を除いて、真っ白になり、山の「カミ」の使い とも感じられる。飯綱使いは、この動物を竹筒に入れ、首から下げていたそうだ。オコジョは、肉食で性格は、獰猛であるが、近眼で、好奇心も強く、あまり人を恐れる方でなく、じっとしていると近くまで寄ってくるようだ。(写真は、立山観光のパンフより)

 追伸・・・後日、「管狐」は、オコジョではなく、「こえぞいたち」のことと知る。実際に、北海道では、「こえぞいたち」を「いずな」と言っているようです。また、「管狐の呪法・・・古代山人の呪法」と「飯綱の法・・・修験者の秘術」とは、別のものであることが分かりました。詳しくは、「飯綱の法」のページに書きました。

 「カムイ」を生んだ作者の白土三平氏は、戦時中、信州に疎開されており、「管狐の呪法」や、修験者の呪術 「飯綱の法」 のことをご存知だったのだ。  (2004/4/18)
 

 2 変位抜刀かすみ切り  KAMUI03.JPG
 カムイの必殺技。お互いに走りながら、接近する。カムイの身体は徐々に左右に揺れだす。その後、背中の太刀を抜くのだが、右で抜くのか、左で抜くのか、・・・?  太刀は、左手で抜くようにさしているが、すれ違う寸前に位置を変え、右で抜く。変移(変位)抜刀 と名付けられる由縁であろう。なお、「かすみ」とつづくのは、左右に揺れるカムイが、かすんで見えるからであろうか。これを破る法は、十文字かすみ崩し。カムイ自身が必要に迫られあみだした。
忍者は、おのれのあみだした法を破る法も知っている」(26話参考) 
このかすみ切りを最近読んだ、甲野善紀的に解説するならば、カムイの走り方は、現代のランナーの上体を交互にねじるものではなく、ナンバ(なんば)的動き、つまり、右手と右足、左手と左足が同方向に動くものではないかと思われる。少なくとも、腕を大きく振る走り方ではなく、体を左右不定期に移動させるのであろう。相手には、カムイがどの方向に動くのか予想がつかない。よって、どちらに、動いても、太刀が抜けるように訓練したのだろう。

甲野氏の「身体から革命を起こす」より引用・・・「ふつうの人が走るのには、現代的な走り方のほうが、はるかに効率はいいですよ。現実的には、ナンバ(なんば)的に走ることは難しいと思います。それだけにやり甲斐があるとも 言えるわけで、普通の人にはできないことだからこそ、「術」と呼べるものになるんです。」 

 3 変わり身の術
 よく出てくる術。自分とは別の何かを自分と思わせる法。基本的には、音や光、小動物などを使い、自分とは、違う方向に、相手の意識を向かわす術である。

 4 分身の術
 一般には、すばやい動きが必要と思われている。カムイも言っている。「おぬしに、そのようなすばやい動きができるとは ・・・ 。 ん、 これは・・・、 おぼろ影か?!」。 

 発想を変えると、 暗いところで、光源が数個、さらに、複数人で、連携をとり、影と本物との区別がつかない演出ができれば、どこから、手裏剣が打たれるのかわかるまい。現代のダンスのような動きをすれば、「物の怪」のようにも見えるだろうから、鬼や夜叉、物の怪に変身することも可能か。 

 4 おぼろ影
 おぼろ影とは、相手の反対側に何らかの方法で自分とおもわせる像を映し出す術である。

 暗いうちに、山の頂上に登り、日の出をみる 「御頼光」 がある。そして、太陽の登ってくる反対側に「仏」の像が現れることがある。これは、日の出に映された登山者自身の影が、雲やかすみに映るものだそうだ。・・・

 5 やまびこの術

やっほー!      「やれやれ ・・・」

 6 風穴
 地上すれすれに打たれた手裏剣が浮き上がってくる。地上すれすれなので、見えない。手裏剣の形と打ち方で可能であろう。たとえば。旋盤型の手裏剣(八方手裏剣など)では、可能でなかろうか。また、ブーメランという武器は、弧を描いて、戻ってくる。

 7 しゅんか(春香?)の術
 風上から粉薬をまく。視力をなくす、呼吸ができない、眠くなる、体がしびれるなどの効果がある。
海辺の漁村での話では、乾燥させた赤くらげの粉を風上からまく術がでてくる。

 現代アロマテラピーという「術」も関わるか。    

 8 陰形滅心(おんぎょうめっしん)の術
 陰形とは、回りの環境に同化して、姿、意識を消すことであり、この場合、自ら、自己催眠により意識を失い、追っ手から気配(ケハイ)を消す術である。「飯綱の法」の項でも、「陰形の術」として、ちょこっと出てくる。

 ところで、私たちは、「催眠術」という術についてよくは知らないが、その存在を認めている。催眠術をかけられた人は、無意識下に刷り込まれた暗示によって行動する。催眠術は、現代に認められている「妖術」 とも言えるのではないでしょうか。ゆえに、あまり表に出さないようにされている。

 9 忍法やばしりの術 
 相手への怒りをこめた技である。打撃により、相手の肋骨を折り、折れた肋骨が内臓にささることで、一晩中、苦しむ。

 10 移し身の術 
 別の人物と心身ともに入れ替わる。非常に高等な術で、古代の呪術の世界に関係するであろう。
「何か」が人に憑り移ったりすることは、昔は、普通に信じられていたでしょう。少し前までは「狐憑き」というのが、田舎ではよくありました。・・・若い娘が、ふっと狐のようなしぐさをし、・・・ コンコンと鳴いたりし、振り返る・・・

 11 狂馬の術
 なんらかの方法で馬を狂わせ、暴走させる。そして相手を混乱させ、これに乗じて、目的を達する。馬をよく知っていることが必須。ほかには、犬を寄せる「いぬまん」の術がでてくる。
 猫にまたたびを与えると異常状態になることは、よく聞くが、私も、試しに、猫にまたたびを与えたことがある。猫は、一気に「妖変」した。 虎やライオンにも試すと同様であろうか・・・

 12 くもよせ
 「月」が雲で隠れるように、別の何者かを集め、その中に姿を隠す術である。また、なんらかの理由で追われる者を「自分らの中」に入れ、追い手の目をくらまし、逃す法も「くもよせ」と言えよう。

 13 憑き移し(つきうつし)
 飼い犬に狂犬病を移し、飼い主を噛ませる。ウィルス、細菌兵器の原型ともいえるか。

  昔は、ウィルスや細菌などは、知られていなかったから、何か悪いものが「憑く」、あるいは、魔とか鬼のしわざと考えられた。そして、それらを退散させるには、ふしぎな「力」に通じることが必要と思われていた。よって、医療は、呪術師にとって、重要な仕事であった。
 現代では、「科学」という技術が「摩訶不思議な力」に入れ替わっており、、「科学信仰」ともいうべきものが、一般的になっている。昔の人が、「呪術」に求めていたものを、現代人は、「科学技術」に求めているのでしょうか。

三日月型の大型の剣が、弧を描いて飛んでくる。

アニメGIF 「月光」