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Tokyo, 2005. 6.24
text by Yoshiyuki Suzuki
interpretation by Keiko Yuyama
translation by Shizu Kawata


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 2005年4月に初のフル・アルバム『ユー・アー・アウェイク・オア・アスリープ』をリリースし、6月には来日公演も実現させたニュー・アイディア・ソサエティ(以下NIS)は、ケイヴ・インのスティーヴン・ブロッズキー、ユールシドのマイク・ロウの2人が組んだユニットだ。アルバムのリリースを受けてツアーに出るにあたり、オールド・マン・グルームでも叩いているドラマーのサントスを引き入れ、これをきっかけにユニットからバンドへと進化していったことが以下のインタビューでも語られているが、実際に日本公演で演奏された音楽は、繊細な雰囲気が前に出たアルバムとは大きく変わった実に力強いサウンドになっていた。ケイヴ・イン他、ボストン周辺に独自のコミュニティを形成するミュージシャン達の今後の活躍ぶりには要注目だ。

「ツアー中に、このバンドの持つ可能性について色んなことを話し合ったよ。仲間になれたことはもちろんだし、ツアーが始まって数週間後には今後の展望が見えてきた。すごくエキサイティングだよ、僕達はいまや“バンド”なんだ」

NISとしての来日ツアーも、明日の最終公演を残すところとなりましたが、これまでの感想を聞かせて下さい。

Mike:めちゃくちゃ楽しんでるよ。すごく熱心なオーディエンスで、初来日ツアーなのにここまで成功するなんて思ってもみなかった。スタッフみんなのおかげだよ。

Santos:あそこまで真剣に演奏に耳を傾けてくれる聴衆は初めてだったんで、すごく嬉しかったな。普段のライヴはみんな興奮して音楽は二の次って感じだから、最初はちょっと驚いたんだ(笑)。中には目をつむってじっと聴き入ってる人もいて、曲の世界に入り込んでくれてるんだと思って、本当に嬉しかった。

Stephen:僕は3度目の来日になるけど、日本文化の何が素晴らしいって、アートに対して理解やリスペクトがあるところだね。ミュージシャンでいる限り、何度でも訪れたい国だよ。

ツアー中に共演した日本のバンドについてどう思いましたか?

Mike:54-71は……あんなにユニークなバンドを見たのは初めてかもしれない(笑)。かなりクールだね。ベースとドラムが凄くタイトで、そこにビンゴのヴォーカルが加わると……

Santos:さらにワイルドでクレイジーになる(笑)。OGRE YOU ASSHOLEにも良い意味で驚かされたよ。

わかりました。では、このバンドの馴れ初めについて教えて下さい。スティーヴンとマイクはハイスクール時代からの友人だったそうですが、初めて会った時、お互いに抱いた第一印象はどんなものでしたか?

Stephen:通ってた学校は別だったんだ。

Mike:初めて会った時のことはよく覚えてないんだよね(笑)。最初の記憶として残ってるのは、スティーヴンから手紙をもらったことだな。ちょうど僕のバンドが4トラックを使ってデモ・テープのレコーディングを始めたばかりの頃で、デモを聴いて興味を持ったんだけど自分もやってみたい、って内容だった。知り合ったのはそれ以前なんだけど。

スティーヴンは、手紙を書いたことを覚えてます?

Stephen:デモ・テープを買ったのは覚えてるよ。すごく良い音だと思ったね。手紙を書いたような気もするけど、どうだったかな……。デモを聴いた辺りから電話で話すようになったんだ。それから、モーフィンのライヴ会場で一度マイクを見かけたことがあるよ。僕は父親と一緒だった。あのライヴは、葉っぱを吸ってる人が多かったってのも覚えてる(笑)。

Santos:マイクもそのうちの一人だった(笑)?

Mike:いや、僕は吸ってないよ。

NISとして、今回フル・アルバムをリリースすることになった経緯は?

Mike:僕とスティーヴンが2人ともレコーディング好きってのが前提にあったんだ。録音技術やサウンド加工なんかにすごく興味があるんだよ。ラジオで流れるような音楽とは違う、自分達が影響を受けてきた音楽みたいな個性的なサウンドを作り出してみたくてね。そして一緒にレコーディングを開始したんだけど、制作が進むにつれて、アルバムに仕上げて他の人達にも聴いてもらいたいと思うようになったんだ。それって自然なことだよね。最初に作ったEPは、大々的にリリースするつもりはなくて、通常の7インチになる予定だった。だから今回は自分達を表現できるソリッドな作品にしたかったんだよ。

アルバム全体のサウンドに、霞がかったような独特の雰囲気が漂っていますが、これは意図的なものですか? それとも自然発生的なものだったんでしょうか?

Mike:うーん、比較的意識してたんじゃないかな。ディープなサウンドにしたかったし、楽曲の持つエモーションをどんなサウンドで表現すべきか、レコーディング中にたくさん話し合ったよ。もしかしたら、実際の録音作業よりも話し合いに時間を費やしたかもしれない。各々の楽器だけでなく、楽曲やアルバム全体がどう聴こえるかも重要なポイントなんだ。ホーム・スタジオでレコーディングしたんだけど、作業が始まると2時間ぐらい話し合って、その合間に食事、それからまた作業ってことが多かった(笑)。

2人とも別のバンドで活動をしていて、そちらではそれぞれシンガーかつソングライターであるわけですが、NISでは、ソングライティングもメイン・ヴォーカルもマイクが担当していますよね。この役割分担になった理由を教えてもらえますか?

Mike:結成当時はスティーヴンの曲も録音してたんだけど、それから徐々に、僕の曲を使う頻度が多くなったんだ。理由は覚えてない。自分で作ったラフなデモをスティーヴンに渡して、お互いどの曲が気に入ったか話した後、アレンジしてレコーディングするって形をとってたね。

スティーヴンは今回、自分の曲を入れたいとか、自分が歌おうとは考えなかったんですか?

Stephen:最近そう思うようになってきたよ。でも最初の頃は……自分の曲はどれもプライベートな内容が多くて、分かち合いたい相手は友人や身近な人達だけに限られてたんだ。それ以外の人に聴かせる勇気がなかったっていうかさ。だから他の人が書いた曲を使う方が安心していられたってことはあるね。それに、他の人が書いた曲に、自分のアイディアが入るなんて経験、それまでしたことがなかったから。

Mike:それは僕にも言えることだね。ソングライター、そしてギタリストとして自分より才能のある人とバンドを組んだのは、スティーヴが初めてだったんだ。彼のおかげで僕の曲が何千倍にも輝きを増すんだよ。

Santos:今後は“プロジェクト”というより“バンド”として、3人それぞれが楽曲を手掛けるようになると思う。

Mike:ああ、メンバー全員にとってより身近に感じられる曲を作っていきたいな。

なるほど。スティーヴンに関しては、ソロでのソングライター的な資質とは別に、NISではサウンド・プロデューサー的な面を発揮する場を重点的に楽しんでいるようにも思えます。

Stephen:今、僕が何より好きなのは、実はプロデュース・ワークなんだよ。他の人が書いた音楽を、歌詞の細かいところまで一緒に作り上げていったのは、NISが初めてだったんだけど、ほんとに楽しくてね。できれば、こっちでメシを食っていきたいって思うくらいさ。もし誰か、僕にプロデュースしてほしいっていうアーティストがいたら、ぜひCDを送ってくれないかな(笑)。

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