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Modwheelmood



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ちなみに、アルバム本編の方も単純に3部作を足しただけでなく、“happily delayed”を1曲増やしていますよね。その他にリマスタリングなどオリジナルEPからの変更点はありますか?

Alessandro:全曲がリマスターされてるよ。NYのポール・ローガスがやってくれたんだけど、素晴らしい仕事をしてくれた。EPと聴き比べると、より良いサウンドになっているのが分かると思う。で、“happily delayed”は『Pearls to Pigs』のEPを作っている最中に出来た曲で、その時はあまり上手くEPにはまらなかったんだけど、EPを全部作り終えた後に聴き直してみたら、アルバムとしては他の曲とうまく合ってたんで、あらためて入れることにしたんだよ。ジャスパーがドラムをプレイしていて、“Mhz”と“bellevue”、“if i was you”のドラムもその時にレコーディングしたんだ。この“happily delayed”はイレヴンのナターシャ・シュナイダー(※昨年の夏に急逝)を想起させられる曲でね。僕達はイレヴンから大きな影響を受けていて、この曲にはイレヴンのヴァイブがあったから、この曲を彼女に捧げることにしたんだ。

それから、EP3枚のアートワークを通じて、ひとつずつ増えていった点が、ついに点字になりましたが、このアイデアは最初から考えていたのですか?

Alessandro:点字になった理由は、EPの次の段階がこれだという気がしたからなんだ。EPでは点を1つ、2つ、3つと増やしてきたけど、それを一緒に合わせてみただけでは、あまり良くなかった。でもEPの点っていうアプローチからかけ離れたものにはしたくなかったし、そこで「バンド名とアルバム名を点字にしたらどうだろう」って思いついてさ。そうすることによって、EPもこの作品の一部に見えるようになるしね。CDでは浮き彫りになってないから、触われない点字ってちょっと意地の悪いジョークみたいになっちゃってるけど、さすがにそこまでやる資金がなくて(苦笑)。ともかく、こうしてアルバムが形になって、すごく嬉しいよ。後はプロモーションに力を入れてバンドとして成長していきたいな。PRを雇う方法を見つけて、僕達の名前を広めて行きたいと思ってる。

こうしてアルバム・サイズの作品としてまとめる作業を通じて、『Pearls to Pigs』とはモッドウィールムードにとってどんな作品であったか、ソングライティング/レコーディングの時に何を表現しようとしていたかなど、客観的に見つめなおす機会もあったのではないでしょうか?

Alessandro:今はもう次のアルバムのことを考えてる。もう、このアルバムは聴けないんだよ。作品を発表すると、いつもそうなるんだ。作品をまとめた直後には聴き返して、すごく良いものになったとは思うけど、同時にやっと次に進めるなって、そう感じたんだよね。だからEPも出来上がる度に発表してきたわけだしさ。僕にとって作品とはセラピーみたいなもので、いったん外に出してしまったら、これでまた次に行けるっていう、そういうものなんだ。だから、これはもう昔の僕。その作品が好きじゃなくなってしまったということではなくて、作品を完成させることによって、また新しい音楽を作る認可を自分に与えられるような感じなんだよ。もちろん、これらの曲を今はライヴで演奏しているわけだけど、ライヴはまた別物だからね。多くの曲はコンピューターで作曲したから特定の作曲方法で書かれていて、ライヴではその曲が進化しているんだ。で、次のアルバムでは、コンピューターでまず曲を作ったら、それをバンドでリハーサルして、サンプルとライヴ・サウンドを統合したい。『Pearls to Pigs』には、ヴァースやコーラスにたくさんの変化や動きを持つ曲が何曲かあって、それらはスタジオでプレイするには簡単だけど、ライヴでやるとなると、ちゃんとした曲にするのは大変だってことが分かったんだ。だから次のアルバムでは、そういう形をとってみたいと思ってる。もう半分ぐらいまで進んでるんだよ。

おっ、そうなんですか!

Alessandro:うん、普段から日常的に曲を作ってるから、アルバムのために完全にゼロから新曲を作り始めなきゃいけないっていう状態がないんだよね。まあ、いつかは1ヵ月間でアルバムの作曲をするとかいうこともやるかもしれないけど。とにかく僕はいつでも曲を作っていて、その全てを捨てずに取っておくようにしてるんだ。昔は曲になっていなかったり、それ以前に作ったものと全然違っていたりしたら、取っておきたくなかったんだけど、今はもう全部レコーディングしてる。料理みたいなものでさ、しばらく煮込んでから冷凍しておいて、1週間後でも1ヵ月後でも1年後でも、それを取り出して何かの曲のどこかのパートに使うっていうやり方が好きなんだ。僕は大抵1人で作曲してるんだけど、1人でやっていると、いつまでに完成させるか自分で決めるのがすごく難しいんだよね。トレントと一緒にやっていて感嘆したのはそこでさ、彼はスケジュールに沿って構築していくのがとても上手なんだ。僕みたいに注意散漫じゃなくて、すごくきっぱりしてる。だから彼からは多くを学んだけど、僕は彼とは違うってことも分かったし、僕にできるベストのやり方をとって、それをより良い形で実行できるようにしていきたいと思っているよ。将来的には、作品を発表する上で適切なフォーマットを見つけたいな。今デジタル・リリースには、曲が完成してからオンラインにあげるまでに6週間位かかってるんだけど、それを1日か2日でやれるようになりたい。そうなったら、リリースの順番を逆転させて、デモを先に発表したりもできるし。曲を作りながらそのデモをリリースして、アルバムは1年後に発表する、みたいな感じでね。そうすれば曲がどんな風に進化していったか、レコーディングのプロセスを皆にも見てもらえるからさ。

それは面白そうですね。ちなみに『Pearls to Pigs』を完成させたことでミキシングやエンジニアリングといった作業に関しても、さらに自信がついたのではないでしょうか?

Alessandro:そうだね。『Enemies & Immigrants』は僕1人でミキシングをやったんだけど、今回と比べるとやることがずっと少なかった。『Pearls to Pigs』では5曲ほど僕がミックスしたよ。僕が将来すごいエンジニアになることはないだろうけど、だんだん上手くなってきてるとは思う。まあ、ミキシングの技術的な側面が好きだし、いろいろ試すのも好きなんだけど、現状では僕よりずっと上手くやれる人達がいるからさ。今作ではEPのVol.1と2を手がけたアレックス・ニューポートや、レディトロンの作品をミックスしたマイケル・パターソンにやってもらったんだよ。マイケルはエレクトロニカ・ミュージックを数多く手がけてるんだ。Scream UnitedとかCarpark Northとかデンマークのバンドをね。それにP.Diddyなんかとも仕事してて、ヒップホップのバックグラウンドもあるから、サウンドをビッグにするやり方をよく知ってる。アレックスはもっとロック寄りで、イカルス・ラインとかデス・キャブ・フォー・キューティを手がけてて、エッジのあるサウンドにするのが上手い。その両方がこのアルバムに入っているのはすごく良いことだと思うし、嬉しいよ。


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