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Joe Lally

Joe Lally

by E-mail, 2011. 2
text by Yoshiyuki Suzuki
photo by Antonia Tricarico

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2011年2月に、3枚目のソロ・アルバム『Why Should I Get Used To It』をリリースしたジョー・ラリー。家族との暮らしを優先させるためイタリアに移住しながら、フガジのメンバーの中では最も熱心にバンド活動を続けている彼に、最新作と近況について、メールでインタビューしました。

「僕が最も大事にしているのは、ライヴの場でみんなと曲を一緒にシェアするってこと。みんなで集まって音楽に浸ることにこそ、やりがいを感じるんだ」

サード・ソロ・アルバムについては、前回来日時にも今後の予定として話してくれましたが、その時の話では「どうやってレコーディングしたらよいか方法を考え中」とのことでしたよね。結局、アメリカには戻らずローマで録音したようですけども、実際の制作作業がどのような様子だったのか、うまくいったことや大変だったことなども含めて教えてもらえますか?

Joe:そうだね、曲を1人で書くのは好きじゃないんだけど、自分が今いる状況はまさにそれに近いと思う。エリサと出会ったのは、ちょうど曲のアレンジやギター・パートを考えているときで、それから数ヵ月して、やっと彼女はギターを弾いてくれる気になってくれた。今までステージではドラムしかやったことがなかったから、ギターを弾くと決めるまでには少し時間がかかったわけ。でも3回ほどショウをやってみて、彼女も自分のギターの腕前に驚いていたようだよ。で、ようやくレコーディングに取りかかったとき、いちばんの問題は、僕たちがバンドとしてリハーサルをする時間が十分とれていなかったことだった。それまでライヴはたくさんやってきたけど、ドラマーのエレは練習する十分な時間を持てなかったんだ。エリサもドラマーと一緒に曲にとりくむ時間をほとんど持つことができなかったから、最終的に僕が数曲分のギターを演奏することになったのには、そういう理由があったというわけ。あと、エレがあまり演奏に自信がなかった曲からはドラムを外すことも決めた。もうその時点で僕は、録音する曲に長い間とりくんできていたから、とにかくレコーディングをやってしまわないと、次の段階に進めなかったんだよね。 エレがスタジオにいたのはほんの数日だったけど、それでも僕たちができる限りのことはやれたと思っているよ。

今作は、来日時の編成の延長で作られており、いわば「ローマを拠点に新たなバンド体制を作り上げての初のアルバム」と言っていいかと思います。D.C.人脈のミュージシャンをゲストに迎えて作った過去2枚のソロ・アルバムよりもバンドっぽさが出ているようにも思えましたが、今度のレコーディングにおける、過去の作品とは変わったところや変わらないところ、新たな試みなどについて話してください。

Joe:そう、この3人のメンバーで日本に行ったよね。"Let It Burn"は、エレとエリサが僕のシンプルなベースラインの上で自由に演奏できるのが分かっていて書いた曲。それから、"Revealed in Fever"の最後のブレイクも、エレに任せている。一緒にプレイする人の演奏スタイルを考えて曲を書いたのは初めてだね。それから、以前の作品よりも今回はよりギター・パートが目立つところが多いと思う。ドラムの代わりに、ハンドクラップに曲をのせたりしたのは、最初のアルバムからやってたようなことだね。

最新作に収録されている各曲は、どのようにして書かれていったのですか? 来日時に対面インタビューさせてもらった時に「初めて歌詞から曲を作ったりもするようになった」と言ってましたが、それでもやはり大半は最初にベースラインを思い浮かべて、そこから作っていくのでしょうか? また、エリサやエレとの、作曲/アレンジ面でのコラボレートについてはどうだったかについても教えてください。

Joe:2008年の夏に新曲のデモ作りを開始したんだ。自分のギター・プレイにはちょっと限界があったけど(あまりコードを弾くのが得意じゃないんだ)他に演奏してくれる人がいなかったから、とりあえずギターもやってみることにした。いつもベース・ラインは自分でやっているけど、何か気になればその都度取り組み直せるし、かつ毎回初めて耳にするような感覚でその音と向き合えるしね。たいてい自分が思っている感覚はベースが持っていて、もちろん曲のラインが変わることもあるけど、だいたいその曲全体に求めるフィーリングはいつもベースにある。それからリズムをベースに加えていって、ギター・パートが合うかもチェックするんだ。そうすることでヴォーカル・パートにも取り組める。時には、ギターと似た音を出すベースを使ってギターのパートをやっているよ。全てのパートは、ヴォーカルがそれに合うかどうかによって常に変わり続ける。僕はいろんな要素を付け加えたり取り除いたりしながら、たくさんの曲の作業を一度に全部やってしまうんだ。だから時々、曲を聴き直すと、本当に自分がやったのか覚えていないような場合もよくあって驚いたりする。他のミュージシャンとコラボレートして作った作品なんじゃないかと思ってしまうほどだね。2009年には、エリサと一緒にたくさんの曲を演奏した。彼女はフルートやサックス、とにかく何でも演奏するんだ。僕が録音して、彼女の音を編集したり加工したりする、という流れだった。その雰囲気にしっくりくるようなサウンドになるようにね。それがギターのパートだったり、フルートのパートになっていったんだ。

歌詞は未だ手元にないのですが、アルバム・タイトルにもなった「Why Should I Get Used To It」をはじめ、「Philosophy For Insects」とか「Last Of The Civilized」など、曲名だけでも非常に面白いものになっていますね。こうした語句はどのようにして浮かんでくるのでしょう。また「Nothing To Lose」や「Let It Burn」などの言葉は「開き直りにも近い決意」の心情を連想させますが、こうした感情がアルバム制作当時のあなたの中にあったりしたのでしょうか?

Joe:演奏に対して、僕は強い信念をもって取り組んでいる。もしツアー費用などの理由から、 ライヴで演奏する事が難しくなったら、ただ曲を書き続けるか、友人のバーなんかで演奏するんじゃないかと思う。 "Last Of The Civilized"は文明化された人類について書いたものだけど、現代社会に見られる文明化ではなく、より民族や部族的状況下での文明化について言及している。現在確立された体制を当たり前に思ってしまう自分はどうなんだろう?って、曲を書くときには、いつもこのことを考えながら制作しているんだ。

アートワークもあなた自身が手がけているのですよね。ジャケットの写真も非常にユニークですが、この「不思議な被り物をしてファイティング・ポーズ(?)をとっている裸の女性」は何を示しているのでしょうか?

Joe:僕のレコードの写真は、ぜんぶ妻のアントニアが撮影している。もちろん、最新作も含めてね。彼女は今、女性に対する暴力をテーマとした作品を撮っているんだけど、このジャケットの写真もそのシリーズから持ってきたもので、今回のアルバム・タイトルにぴったりだと思ったんだ。ちなみに裏ジャケットの絵は僕が描いたものだよ。


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