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Jaguar Love Interview

Jaguar Love

by telephone, 2008. 6. 25
text by Yoshiyuki Suzuki
interpretation and translation by Tomoko Yamamoto

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シアトルを代表する個性派2組が解散し、そのメンバーが新たに結成したジャガー・ラヴは、以前のバンドがそれぞれ持っていた強烈な個性をも上回る勢いと新鮮さと前向きなヴァイヴレーションに満ち満ちている。2008年にリリースされたデビュー・アルバムの中でも間違いなくトップクラスの内容となった『テイク・ミー・トゥ・ザ・シー』を聴いて、その過激なポップ・サウンドと高音ヴォーカルの魅力に全身を貫かれちゃってください☆

「ブラッド・ブラザーズもプリティ・ガールズ・メイク・グレイヴスも解散してしまって、メンバー全員けっこう厳しい状況にいたし、色んな不安や悩みを抱えてた。だから尚更みんなの一体感が強くなって、それがソングライティングにも反映されたと思う」

ブラッド・ブラザーズもプリティ・ガールズ・メイク・グレイヴスも好きだったので解散はショックでしたが、ジャガー・ラヴが誕生してくれて嬉しいです。まず最初に、あれだけ勢いづいていた2つのグループが活動を停止させ、こうして新たなバンドを始めるに至った大まかな経緯を教えてもらえますか?

Johnny:ブラッド・ブラザーズが解散した理由についてはできれば詳しく話したくないんだけど……とにかく、コーディと僕は以前からジェイと仲が良かったんだ。プリティ・ガールズ・メイク・グレイヴス(PGMG)とブラッド・ブラザーズ(BB)には長い歴史があって、共同で4回もヨーロッパ・ツアーを回ったし、全米ツアーも4回まわったことがあるんだよ。で、BBが解散した時、ジェイとコーディは一緒に住んでて、コーディと僕は何かしら一緒に続けたいっていう気持ちがあったから、ジェイと組んでみようってことになったんだ。ジェイとは一緒にツアーした時も楽しかったし、うまくやってけそうだったから、試しに組んでみるかって話になったのがジャガー・ラヴの始まりなんだよ。

そうして誕生した新バンドに「ジャガー・ラヴ」と名付けた理由は?

Johnny:バンドの名前を決めるのって、すごいトリッキーなんだよね。ブラッド・ブラザーズっていうのも高校の時につけたバンド名で、コーディと僕は結果的にずっとこのバンド名で10年間以上も我慢しなきゃいけなかった。16歳の時にはクールに思えたバンド名も長年経つと、さほどクールじゃなかったことに気がつくんだよね(笑)。だから今回は用心深く、時間をじっくりかけて考えて、いろんな候補をあげた中で、いちばん聞こえがいいバンド名にしたんだ。バンド名に意味を持たせるのもありだけど、そうすると必ずしも聞こえがよくなかったりするからね。30ぐらい候補をあげて、その中で最もパンチの効いた名前で全員の気に入ったものがジャガー・ラヴだったんだ。

結成にあたって、あなたがたの間では、ジャガー・ラヴをどういうバンドにしようというヴィジョンがあったのでしょう? 新バンドにおけるポリシーのようなものがあれば教えて下さい。

Johnny:特にこれと言って決まったポリシーはないんだけど、コーディと僕は方向性として従来のポップ・フォーマットに沿った音楽を作れることにワクワクしたよ。BBの後期にはビートルズとかエリオット・スミスを熱心に聴くようになって……BBみたいなカオス的な、叫んでるだけのハードコア・バンドにはしたくないと思ったんだ。強いて言えば、それが基準かな。まあ、当たり前の話だけどね。あるバンドを解散してまたそのバンドと同じようなサウンドにするなんてバカみたいだし。とりあえず、典型的なポップに近いサウンドを試してみたかったんだ。それ以外は、みんなでこういうジャンルに限定しようとか特に話し合わずにひたすら曲を書いたって感じかな。

ブラッド・ブラザーズの後期には、あなたが弾くキーボードを活かした、よりポップなフィーリングを持った楽曲が登場していましたよね。この方向性は明らかにジャガー・ラヴで開花しているように思います。以前のバンドと今のバンドとで、ソングライティングのプロセスにはどのような違いがありますか?

Johnny:そんなに違わないかも。BBの時は、誰かが曲を書いてきて持ち寄ることもあれば、みんなでジャムって何も無いところから作り出すこともあったんだけど、今回も似たような感じだったね。例えば"GEORGIA"とか"HIGHWAYS OF GOLD"みたいにキーボードで作ったものを基に作ったものもあれば、"Vagabond Ballroom"や"My Organ Sounds Like..."みたいにみんなで集まって1から作った曲もある。だからソングライティングのプロセスはとても似ているね。ただし、コーディと僕はBBにいた時よりもっと自由でオープンな感覚で曲作りができたと思う。その点には非常に満足しているよ。

鍵盤だけでなく、あなたのヴォーカルにもブラック・ミュージックのフィーリングが表れていると感じましたが、もともとこうしたスタイルにルーツがあったんでしょうか? 

Johnny:うん、そうだね。子供の頃マイケル・ジャクソンとかスティービー・ワンダーとかを聴いて育ったし、ブラック・ミュージックは身近にある存在だからかな。個人的には、ただ単に歌ったり叫んだりするんじゃなくて、自分の感情を表現しようとしているつもりだから。

歌い方を変えても声はカン高いままですが、やはりこの声色には強いこだわりが?

Johnny:それ、あらゆる人から言われるけど、ホントこういう歌い方しか知らないんだよ(笑)。みんな僕が計算高く細心の注意を払って常にこういう声を出していると思ってるみたいなんだけどね(苦笑)。実際、他にどうやって歌ったらいいのか分からないし、このスタイルでしかできないんだ。

わかりました(笑)。デビュー・アルバムをレコーディングするにあたって、特にどのようなことを心がけましたか? また、アルバムにコンセプトのようなものがあれば教えてください。

Johnny:特にコンセプトもなかったし、事前に決め込んだことは無かったよ。ただ共通して言えるのは、BBもPGMGも解散してしまって、メンバー全員けっこう厳しい状況にいたし、色んな不安や悩みを抱えてたってこと。だから尚更みんなの一体感が強くなって、それがソングライティングにも反映されたと思う。この新しいバンドを始めた時、コーディとジェイはうちに泊り込みに来たんだ。全員うちで練習して、僕の妻が食事を作って、毎日ちゃんと朝食〜昼食〜夜食〜デザート〜おやつを一緒に食べて……その場は強烈にポシティヴなエネルギーが満ちていたよ。だから、特定のテーマや細かい部分にこだわるというよりも、仲良く楽しく一緒にレコードを作りあげて、今までとは違う形でそれぞれ成長していこうって思えたんだ。

家でレコーディングしたのですか?

Johnny:家で曲を書いて、その後スタジオに入ってレコーディングしたんだけど、MySpaceにアップした最初のデモは家でレコーディングしたものだよ。


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