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by E-mail, 2005. 6. 22
text by Yoshiyuki Suzuki
translation and photo by Hidetomo Hirayama

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この8月に初期レア音源集『THE DIFFERENCE BETWEEN HOUSES AND HOMES』を発売し、日本では傑作サード・アルバム『Cursive's DOMESTICA』も初リリースされたカーシヴ。それに合わせて11月に実現する再来日公演に向けて、ティム・ケイシャーに近況をメールで聞きました。けっこうリラックスして答えてます……。ザ・グッド・ライフとしての来日時には「カーシヴは休止中だから、ザ・グッド・ライフの新譜の方が先に出ると思う」と語っていたけれど、やっぱりカーシヴの活動を再開することにしたようですね。いずれにせよ色々と楽しみです。

「これまでに関わった人間関係すべてを過剰に分析したがる絶え間ない欲求から、もうそろそろ自分を切り離さないといけないなって思ってる。すぐにでもやめないと、隠すものがなくなってしまうし、こんなイヤな男とは誰も付き合いたいと思わないだろ?」

今回カーシヴの初期シングルを集めたコンピレーションを編集することになった経緯について教えてください。

Tim:もともとはサドル・クリークからのアイデアだったと思う。最初は正直、何曲か出し直すのをちょっとためらったよ。でも少し経つと、肩をすくめて「ま、いっか」って思えたんだ。また聴いて楽しめる曲も結構あるしね。

昔の楽曲を今回あらためて聴き返す機会を持ってみて、どういう感想を持ちましたか? 当時の思い出で蘇ってきたものなどがあったら教えてください。

Tim:最初は「Eh, fuck it」って思ったよ――いやいや冗談。昔の曲を聴く事で、魔法にかけられたように呼び起こされてくる思い出は何千もあって、たいていはかつての練習スタジオにまつわることだね。もう何年も前に作った曲だけど、とても鮮やかに記憶が甦ってきたのは自分でも不思議なくらいさ。でも、そういう思い出があるのはいいことだよ。練習スタジオに関して思い出すのは、当時そこで一生懸命練習したこと、そこに住んでいたこと、その曲に対して感じていた真剣さ、かな。当時の僕たちにとって、音楽はとてつもなく重要だった。もちろん今でもそうなんだけど、何年もやっていると、ほかの事への「情熱」(もっと上手い言葉が見つからない)を見つけてしまうから。当時は音楽だけが、僕たちのしがみつかなければならない唯一のものだったんだ。それだけはハッキリ言えるね。

特に興味をひかれた旧曲(ライヴでまたやってみたいと思ったとか、アレンジをいじりたい気持ちがわいてきたとか、歌詞にあらためて感じるところがあったなど)はありましたか?

Tim:多くの曲には、今でも満足しているよ、好きじゃない曲はひとつもないし。昔の曲を初めて聴くような新しいオーディエンスに、何曲か昔の曲を演奏したら楽しいだろうなっていう予感はある。どの曲かって? とくにね……。“A Disruption in the Normal Swing of Things”はずっとやっているけど、演奏していて楽しい曲だね。

オリジナル・ギタリスト=スティーヴン・ペーターゼンってどんな人だったのでしょう? 彼が初期のカーシヴに果たしていた役割とはどんなものだったと思いますか?

Tim:彼は他のメンバーと同様に真剣だった――今でもそうだと思うけど――それって素晴らしいことだよね。彼の役割は、曲を聴けばすぐ分かる。『THE DIFFERENCE BETWEEN HOUSES AND HOMES』では、あちこちに彼が聴こえるよ。ギターだけじゃなくて、歌もね。彼は、テッドや僕よりもすごくギターが上手いんだ。カーシヴはリズム隊(マットとクリント)が信じられないくらいタイトにバックを支えていて、おかしな間抜け2人(僕とテッド)が下手なギターをキーキー鳴らして、おかしな歌声で歌っているんだ。昔の曲を聴くと、ギターが「上手すぎる」ように感じるよ。ヘンだよね、普通は良いことのはずなんだけど。

当時と現在とで、自分自身の中で音楽創作に向かう時の意識に関して最も変わったと思うところ、逆にずっと変わらずにいるところをそれぞれ教えてください。

Tim:今のカーシヴではテッドの役割がとても大きい。彼は歌詞のテーマでいいアイデアをたくさん持ってきてくれる。そっち方面ではテッドが僕を“繋ぎとめてくれている”んだ。僕の出す良くないアイデアを取り除いて、アルバムの中心になるようなアイデアをさらに良くしてくれるんだよ。一方、マットとクリントは音楽面で“繋ぎとめる”のに大きな役割を果たしてくれている。僕の意見では、あの2人こそ「カーシヴ」だね。彼らがいなければ、僕のアイデアは制御不能に陥ってしまう。僕らはアルバムごとにサウンドを出来るだけ変えるのが好きなんだけど、彼らのおかげでなんとか「次のカーシヴのアルバム」になるんだ。僕が考えていた、とっぴでぞっとするようなレコードじゃなくてね。信じてほしいんだけど、これはすごく良いことなんだよ。だって、そうじゃなかったら今頃ウェイターでもやっているだろうから。

当時の自分に向けて、現在のあなたから何か一言伝えられるとしたら何と言いますか?

Tim:初めてツアーをした頃、全然自信が持てなくてね。ステージに上がる自信をつけていくということは簡単じゃないんだ。だから「そんなに自分に厳しくしすぎなくてもいいよ」って言うかな。あっ、でも今から10年後には、現在の自分に対して同じアドバイスをするかもしれないねえ。

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