譜面台の陰から
>気になる演奏(二)<
今回の発表会でもう一曲気になった演奏があった。
よく知られた曲で「鐘の響き」だ。
この曲のタイトルもいろいろあるようで、
今まで目にしたタイトルは「鐘の音」単に「ショーロ」ここで言う「鐘の音」
どれが実際なのかは分からない・・・。
今回は、O氏が演奏していた。
去年から見ると今回は少しレベルアップした曲となった。
この曲は上下の指板上の動きがかなり激しい。
コケやすい曲の一つだ。
左右の手の動きのバランスが難しいということろだろう。
テンポを一定に弾くことについてもかなりの難度を持っている。
非常にリズムが良くついノセられてしまう。
心地よいリズムには無条件で乗りたいというのが、
人間の感性の本音だろう。
しかし、これがなかなか聴き手と弾き手が一致しない難しさだ。
演奏しながらいい気分でノリたいというのは、
かなり分からないでもないところだ。
しかし、こういう曲はまずその二正面的なことは許してくれない。
今回の演奏がその難しさをよく表してると思う。
曲の出だしのテンポは少し遅めに出てまずまずだろう。
指の移動に目もよくついていっている。
少し左指のフレットへの到達が遅れ出損なう音が入ったが、
前半はまずまず無難に演奏で来てると思う。
それにしても装飾音はまったく出ていない状態だ。
後半に入ると徐々にテンポが上がっていく。
前半に比べて和音が多くなり、
指が若干苦しくなってくるのが原因の一つに挙げられる。
余裕をもって押さえきれてないのもテンポが速くなっていく原因だ。
ギターが和音楽器という難しさの一端が現れてると思う。
音の出も後半に入って十分に出せなくなっている。
テンポが若干早くなってきてるのと、
右手の速さに左手の押さえが間に合わなくなっている。
前半のテンポで練習されている左手の指の動きというのは、
テンポが早くなってしまうとだいたいはついていけない。
この後半はなかなかいい例だと思う。
指板上の上下に大きく振れる動きにも左手はついていけてない。
そのために十分に音が出てない箇所が多くなっている。
やはりしっかり押さえてから弾くということを、
前もってしっかり練習しておかないと、
しっかりした音の出にはつながらない。
しっかり押さえてというと左手が跳躍するところでは、
テンポが少し押さえられるかもしれない。
しかし、その押さえられることで、
テンポの暴走を抑えるいこともできるとも言える。
前半とでは弾き手が変わったようにさえ見える。
本人も前半と様子が変わってしまっていることで、
一種焦りが出てくるのではないかと思う。
後半に早くなっていくテンポは抑えられることはなく、
そのテンポのまま弾き続けられてしまうことで、
前半のような正確さは影をひそめてしまう結果になってしまっている。
この曲意は弾いても聴いても非常に心地よいリズム感を持っていて、
メジャーな曲としては名曲の部類だろう。
ギターはマイナーな名曲が多いので貴重な一曲だ。
ある程度の実力をもっているアマチュアにも、
広く演奏できる曲としても貴重な一曲だ。
そのメロディーの良さとリズムの良さが、
落とし穴を作っているともいえる。
Oさんにとっては実力より曲のレベルが少し上だったかもしれない。
それだけにいろいろ考え得る場面も多く出現したともいえる。
この曲はダカーポして前半に戻るのだが、
前半に戻っても少し早くなったテンポは変わらなかった。
しかし、和音から旋律的に変わったことで、
指の動きがよくなっておりテンポが速くなっているにもかかわらず、
たいしたミスは出なかった。
それにしても装飾音は全滅に近い状態だった。
練習を要する。
今回は、そもそもが少し持てる力よりも難しい曲を演奏してるわけだから、
なかなか完璧にというわけにはいかなかったと思う。
しかし、いろいろ問題が出てくることによって、
そこを考え練習していくことでレベルは上げることが出来ると思う。
次回に活かすということが大事だと思う。
少しづつレベルを上げることによって、
ギターの世界を広げることもできると思うので、
次回にしっかり活かしてほしいと思います。
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