譜面台の陰から
>テンポの管理<
テンポについては何度もいろいろ書いてきていますが、
これがなかなか難しい・・・。
言葉では理解してもらえてると思うのですが、
感覚的なものだけに実行することのむずかしさがあると思う。
テンポという概念は理解できてると思っても、
いざ実行しようとすると目に見えるものではないだけに、
なかなか思うところに着地できないというのが実際だと思う。
最近特に感じることはテンポを一定に演奏することの難しさ・・・。
非常に身近に感じることはレッスンでのことで、
テンポが一定に弾けない。
たとえばまず最初に課題曲を弾く。
それから少し間をおいて演奏すると、
もう最初のテンポで弾くことが出来ない。
まず最初弾いたテンポより早くなってしまう。
一回目に弾いたテンポはだいたい少し遅めに弾くのが普通で、
そのテンポで弾くと最後まで無難に弾き通すことが出来る。
もちろんすべてのレッスンの時にそうなるとも限らないですが、
ほぼ全員に共通している。
では、間をおいても一度弾くとだいたいテンポは速くなっていく。
一回弾いていることを考えると、
指の回りがよくなっているわけだから当然といえば当然だ。
そこからミスと弾き損じが多くなっていく。
演奏している本人はなぜ一回目が無難にいって、
二回目がうまくいかないのか、
不思議な感覚を持つと思う。
レッスンでの様子を見ていると、
その理由が分からないでいるように見える。
そこでテンポが一回目より早くなっていることにどうも気がつかないようだ。
指というのは不思議なもので、
右手の指は一回弾くとそこで動きに慣れて、
二回目は無意識に早く動いていく。
ところが左の押さえる指は右指が早くなっても、
押さえる速度というのは変わらない。
そうするとどうなっていくのかというと、
一回目は右手が慎重になるためにテンポは抑制されている。
左手の押さえる指はそのテンポでは無理がなく押さえていくことが出来る。
要するに右手の動きを抑制されて動く動きには、
左手はついていくことが出来るということだ。
ところが二回目、三回目になって、
右手の指が動きに慣れて早く動き出すと、
左手の指というのは、
その速くなった分については動きを合わせることが出来なくなる。
要するに間に合わなくなってしまうということだ。
左手の押さえる指の動きというのは非常に不器用で、
ちょっと変化でもなかなか器用にこなすということが出来ない。
そこで音がビレたり、出なかったり、
次に行くところで止まってしまったりの現象が起こってくる。
右手の指の比べて左手の押さえる動作というのは、
当然動きが大きくなる。
右手の指の動きが早くなれば動きの大きい左の指は、
動きについていくことが出来なくなる。
テンポをいつも一定に保てるかどうかというのは、
演奏の成否にかかわってくる問題だと思う。
特に人前での発表となればよりシビアに結果が出てくる。
曲というのは練習すればするほど、
テンポは速くなっていくというのが普通だ。
無防備に繰り返し練習すれば間違いなく早くなっていく。
この段階で一人で練習してる時には何事も起こらなくても、
いざ本番の演奏となれば、
早くなった分というところには左手はついていくことが出来ない。
右手の動きとのアンバランスが出来てしまって、
演奏に祖語をきたす結果となってしまう。
練習の時は弾けたのにおかしいな・・・、
という一言はよく出てくる言葉だが、
これにはこういうことが大きく影響している。
要するにテンポの持っていき方に問題があるということだ。
そこで威力を発揮するのがメトロノームということになる。
無難に弾けてるテンポをメトロノームで記憶しておき、
本番前に必ずチェックする。
だいたい思う以上に遅く感じるテンポだと思う。
繰り返し練習した後というのは、
それほど早くなっているということだ。
このテンポを管理することが出来れば、
演奏するということの大きな防波堤になると思う。
メトロノームというのはなんとなく存在してるわけではないということだ。
いろいろな場面でいろいろに使える機械ではある。
しかし、音楽の世界にしっかり存在して、
なくなることがないということは、
それだけ重要な意味があるということだ。
テンポを管理することにおいて、
メトロノームほど強力な味方はいない。
ミスが少ない人の演奏というのは、
常にテンポが一定であることがほとんどだ。
ここを見逃してはいけないと思う。
テンポの変化に微妙に反応するのはguitarという楽器では、
左手だということを忘れてはならないと思う。
右手の動きではなくて、
左手の動きを中心にテンポを考えていくことが大事だと思う。
特にアマチュアの方の演奏においてはここが重要だと思う。
テンポを管理する。
これを忘れないでほしい。
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