譜面台の陰から





                         >第41回発表会後記<




 第41回の発表会が終わって早二週間。

いろいろ思いを巡らしてまとめを書いてみたい。

今回際立っていたのがスピーディーな進行だ。

これはにはほんと驚いた。

プログラム自体は去年とそれほど大きく変わったわけでもない。

曲目もそれほど少なくなっていたわけでもない。

始まりの時間がそれほど違っていたわけでもない。

しかし、終了時間は去年より30分も早く終了した。

これはなぜそうなったかだ。

一番大きな原因は演奏者の演奏にあると思う。

今回はミスが極めて少なく、

一曲の時間のロスが少なかったことが大きい。

ちょっとのロスが積み重なると、

思う以上に時間というのはかかってしまう。

今回はそのロスが少なかったと思う。

ロスを短くしていった結果が終了時間の短縮につながったと思う。

長年発表会を開催してると、

年ごとに終了時間というのが気になって、

あたふたすることも多々あった。

今回ほど時間的に安心できた会もそうはない。

始まる前に一言主催者が何かしゃべるというのも有りだと思うが、

いつも終わりを気にしてしまってその余裕がない。

結果的に今回はその余裕があったということだ。

ま、次回は何か一言始まる前に言えるのかもしれない・・・。


 では、なぜそれほどスピーディーに曲だ進んでいったか・・・。

もちろんなんとなくそうなることなどないわけだから、

理由がしっかりあると思う。

全体を通して聴いていると、

演奏者のテンポが一番大きな理由になっている。

テンポについては機会があるごとに書いたり言ったりしてきている。

そのテンポをよくコントロールできた会だという気がした。

だいたいその曲に対するテンポ感というのは、

CD、YouTubeからの情報が多くを支配していたと思う。

まずそこからの脱出をテーマにしていた。

しっかり自分と向き合ってテンポを設定すること。

第三者のテンポを参考にしない。

どうしてもジョン・ウィリアムスとかセゴビアとか、

世界の巨匠の演奏というのはインパクトがあるから、

感覚の中にインプットされやすい。

YouTubeなどからの情報でもそこから出てくるテンポというのは、

それだけで信じてしまいやすいものだと思う。

しかし、そういう情報というのは実は本人とは何の関係もないものだ。

能力、持っている運動性、すべて一人一人違う。

それを画一的にしてしまうことは、

重大なマイナスをもたらすと思う。

ひとつの曲に対してAとBの人が全く同じように弾くこと自体がおかしい。

二人は持っているものが全く違うにもかかわらず、

同じ演奏を目指すこと自体が理に適っているとは言い難い。

実際はテンポも何も違っていて当然だと思う。

表現にしても違っていてそれが普通のことだと思う。

一人一人が自分のテンポをしっかり踏まえて演奏できたことが、

スムースな進行になって表れたと思う。

自分のテンポをしっかり持って演奏した人の演奏は、

総じてうまくいっていたと思う。

今回の出演者はそこが一番出来ていたと思う。

舞台で演奏するという機会は、

アマチュアであればそう度々あることではないと思う。

そうであるならばより慎重に自分としっかり向き合って、

舞台で緊張する自分。

緊張した自分が確実に弾けるテンポ。

こういうことは練習してる時からしっかり自分と向き合ってこそ、

割り出されてくることだと思う。

世界のプロがこう弾いていたからそのようにと演奏すれば、

その結果は弾く前からすでに決定されているということだ。

世界のプロは常人ではできないことをするから世界のプロなわけで、

それが普通のアマチュアが真似してできる可能性はゼロだ。

まずそういう演奏は参考として飲まれないようにすることが肝要であって、

絶対に真似をするべきことではないと思う。

とりあえず曲に向かう時はすべて白紙にして、

どのテンポが自分がしっかり弾けるテンポになるのかを、

的確に見極めることだと思う。

この見極めができた順にしっかりした演奏になっていたと思う。

前もってリハーサル会を開催して演奏してることも、

いい結果に結びついてると思う。

リハーサル会のほうがはるかに緊張する場であり、

厳しい状況にして演奏している。

そこで調整できたことも結果に大きく影響したと思う。


 去年40回として今年はそこから第一回目。

なかなか大きな収穫があった発表会になった。

今回ひとつプラスしようと思っていたのが、

子供たちのアンサンブルだ。

去年も演奏したが今回は少し演奏する規模が大きくなったと思う。

それに伴って当日だけの練習では非常な不安があって、

前もって練習することができた。

これも大きく結果に出たと思う。

まったく乱れることなく全員完奏できた。

大人のアンサンブルよりしっかりアンサンブルになっていたと思う。

ギターという楽器は独奏楽器であるが故の宿命で、

なかなかアンサンブルをする機会というのは少なくなりがちだと思う。

しかし、音楽というのはそもそもアンサンブルで楽しむのが基本だと思う。

その体験を子供のうちからしていければ非常にいい経験となって残ると思う。

毎回何か一つでもプラスができればいいなと考えてはいるが、

なかなか毎回うまくいくとも限らない。

今回はプラスがうまくいった会になったと思う。

ギターの持っている楽しみ方を高度に発揮できた会になったかなと、

自画自賛したくなる・・・。

こういうのを典型的な手前味噌ということだと思う。

次回もより前進した演奏で参加してもらえるといいなと、

これを長々と書きながら考えてるところです。


 もう一つ忘れてはならないのが、

お手伝いいただいた方たちにはヒントに頭が下がります。

会を重ねるごとに熟練してきたというのもありますが、

ほとんど淀みなく切り替えの準備ができたことも、

時間短縮にかなり影響があったと思います。

それでもこちらのミスがなかったわけでもなく、

ご迷惑をおかけした方には平身低頭お詫びいたします。

次回はミスの内容にもう一度しっかり練り直して臨みたいと思います。

〜7月30日記



                   メニューへ




                    topへ