譜面台の陰から





                          >継続は力なり<





 継続は力なり・・・。

よく言われるほど言われて聞く言葉だ。

この力とは何か・・・。

継続することがどんなことなのか・・・。

分かりそうで実はそれほどはっきりわかることではない。

まず疑問に思うのは、

継続することがなぜ力となるのかということだ。

これはなかなか明確に、

一つのことに定義するのは難しいと思う。

しかし、シンプルにいくつかを上げることは可能だと思う。

人間には学生時代と社会人という、

大きな二つの区切りがあると思う。

学生時代というんは変化に富んでいて、

いろいろな変化が短期間のうちに起きる時代でもある。

ここから書いていくといつ終わるかわからなくなるので、

社会に出てからのことに絞ってみたいと思う。

仕事の世界に身を置くとそれが一つの世界となって、

その関連した中での行動パターンが出来上がっていく。

これはひとつには人間性の固定化ということだ。

あの仕事この仕事と掛け持つことはできない。

土木工事の仕事とコマーシャルの仕事を、

一緒にすることはできないということだ。

そんなことが許されることもなく事実上不可能だ。

とすれば、ひとつの世界の中での思考、

行動となっていくのは当然だと思う。

ではその固定化された世界におかれた自分を、

どう変化させられるのか・・・。

変化させていけるのか・・・。

ここに趣味の世界が重要な意味を持ってきて、

継続の意味が出てくると思う。

人間のというのはひとつの世界に固定されると、

そこからまったく新しい自分を見つけることが、

実は非常に難しくなると思う。

しかし、ギターという世界を持つことによって、

その世界での自分は変化させていくことができると思う。

ここではギターということに絞ってはいるが、

他の趣味でも同じことだと思う。

ギターというのは感性にうったえていくものであり、

その感性というのは硬直しやすいという性質があると思う。

いわゆるほっておくとやたら頑固になるということだ。

その硬直しやすい感性を軟らかく保つことができるのが、

実はギターという音楽の世界だと思う。

なぜか・・・。

ギターを上達させていくには、

具体的な知識と感覚的な知識の同時進行が必要だと思う。

この二つの知識というのは一方方向から見てるだけではだめで、

いろんな角度から考察しなければならない。

この過程で感性というのは大きな変化を遂げていくと思う。

しかもそれは止まることなく変化し続けるものだ。

そこで一人の人間の固定化を防ぐことができると思う。

具体的な知識と感覚的な知識の向上において、

ありとあらゆる刺激が感性というものに働きかけ続ける。

一つの世界に固定化されやすい人間を変化させることができると思う。

変化が起きていけば自らをめぐる世界も変わっていくことができる。

一定の決まった社会にて自らを変化させていくのは非常に難しい。

それは会社なり社会が、

そこからはみ出すような変化をともなった人間を、

受け入れにくいという性格があるためだと思う。

そこで変化させていくことが難しくなってしまって、

諦めと固定化が起こるということだと思う。

自らを固定化して変化させることがなくなれば、

思考がとまり新たな興味を失い進歩が止まる。

ある程度の年を経るとコミュニケーションが難しくなるのは、

このあたりに原因がありそうだ・・・。

 
 趣味でギターを弾くことがいいということは分かる。

しかし、いいと分かっていることになぜ断絶が起きるのだろうか。

ここが難しいところで、

やめなければならないという、

どうにもならない状況があるということは確かにある。

しかし、多くは断絶を招く状況を乗り越えられる場合がかなりある。

断絶の一番大きい原因としてめぐる状況の変化というのがある。

もちろんすべての断絶はこれが原因といってもいい・・・。

しかし、なぜこの場面を乗り越えられないのだろう。

長年見ていると難なくといってもいいほど簡単に乗り越える人と、

ちょっとした変化も乗り越えられない人がいる。

どこにその違いがあるのだろうか・・・。

ギターを始める、習い事一般にも言えることだが、

だいたいが一番やりやすい時に始めている。

それは至極当然ではありますが・・・。

しかし、状況というのは一番いい時からは徐々に下っていくわけで、

さらに登るということがあっても、

必ず自体は下降線をたどるものだと思います。

しかし、人間というのはそういうことには意外と鈍感に過ごしていて、

一番底に来て初めて気が付く場合がほとんどだと思います。

気が付いた時というのは一番いい時のイメージで事態を見てるので、

そこで絶望感につながり終わってしまうという構図です。

事態の底に着いた時が大きな分かれ目になるのはなぜか・・・。

そこで継続できるかどうかが決まってくるわけです。

断絶をおこすパターンで一番多いのが、

そこについた時特有のマイナスイメージを積み重ねて、

結論を断定して出すことです。

人間というのは頑固になると、

回りが見えなくなり独りよがりになります。

そのため人の言うことが全く耳に入らなくなります。

そうなるとどうなるか・・・。

もう継続の糸口は全く閉ざされてしまいます。

そこで継続していける人はどう行動してるのか・・・。

まず状況が底についたことを自覚して、

底についてからどうしていくかを考えます。

要するにいい時のイメージはもう終わりにしてしまっていて、

底についてしまった今の状況の中で、

どうやっていくかの方法論を考えてます。

状況のいい時というのはそれ行けどんどんで、

上達の高度成長を成し遂げます。

しかし、自分を取り巻く状況が底になれば、

高度成長はなくなります。

そこからゆっくり進歩させるにはどうするか・・・。

柔軟に物事の行先とそれに伴う道筋を選択します。

それに伴う抵抗感を柔軟に吸収していくのです。

実力の高度成長はなくなっても、

レッスンをしていれば成長は続きます。

ただゆっくりになるというだけです。

断絶する場合はマイナスイメージを断定して諦めます。

諦めてしまうともう成長はなくなります。

感性の広がりも全くとだえる結果となります。

自分という一人の人間を硬直化していくことになります。

 ここで具体的になるのは、

継続は力なりという言葉の意味です。

継続していくということは、

状況を柔軟に受け止めて新たな思考を開拓して、

新たな興味を持っていくということです。

硬直していけば新たな思考は生まれることはありません。

継続していくということは、

いろんな状況を消化して力に変えていくということです。

これが継続は力なりということの意味ではないかと思います。

柔軟な感性を獲得するということは、

新たな興味を弾きだします。

新たな興味によって行動力が生まれると思います。

行動力は人間を成長させます。

一つの状況に自分を確定してしまうと、

楽な満足となり自分の可能性を限定してしまいます。

継続するということはあらゆる状況を、

乗り越えていくという意味があると思います。

継続しようとすれば山あり谷ありに直面します。

この山、谷を越えるために柔軟に考え行動していくことによって、

それが力になっていくと思います。






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