譜面台の陰から





                       >アンサンブルについて<





 今年はアンサンブルにとって受難の年だったかと、

振り返ると思える年だった・・・。

無難に通った演奏もあったが、

おおむね破綻した状態の演奏に終始した年だった。

いろいろな原因が考えられるが、

一番重要なことは意識の問題だと思う。

アンサンブルという演奏形態に対する認識だ。

この認識というところで大きな問題があるように思えた。

 ギターという楽器はそもそも独奏楽器であり、

習い始めた時からそういう認識で見ていると思う。

それはそれで間違いではないと思うし、

実際として、

メロディーと伴奏が一緒に弾ける楽器というのはそう多くはない。

独奏を弾こうという意識が、

アンサンブルをしようという意識に勝るのは仕方ないと思う。

一台で独奏を弾けるというのは、

ギターの魅力の大なるところで間違いはないと思う。

では、なにもアンサンブルが必ずしも必要とは言えないのではないか、

という意見も当然出てくると思う。

それも確かにそうかもしれない。

 しかし、もう一つなにはともあれ上達ということがあると思う。

以前にも上達ということでは、

アンサンブルの有効性というのは書いた気がするが、

アンサンブルをするということは、

上達するということに深くかかわっていると思う。

アマチュアの方ならプロになるわけでもあるまいし、

独奏が弾ければとりあえずOKという意見もあると思う。

これも確かにそうだということは言える。

 弾く曲のレベルが上っていけば、

とりあえず上達してるのではないか・・・。

確かに曲のレベルが上がっていけば、

演奏技術は上がっていくのは間違いないし、

それをもって上達しているということであれば、

それはそれで間違いないと言えると思う。

 ならばなぜアンサンブルが大事ということが、

出てくるのだろうということになる。

特にアンサンブルをしなくても、

楽器は弾けるではないかと言えなくもない。

確かにそれも間違いではないと思う。

ギターが独奏楽器である以上、

それでいいと言ってしまえばそこまでのことだ。

 しかし、上達するということが技術的なことだけなら、

アンサンブルは必要ないと言って構わないと思う。

しかし、音楽というのは、テンポ、リズム、読譜力・・・。

様々な要素が組み合わさって曲は構成されていると思う。

このさまざまな要素の中で、

テンポリズムということに最も焦点が当たるのが、

実はアンサンブルだと思う。

もちろんもっと細かく言えばもっといろいろある。

しかし、アンサンブルをするということの意味を絞り込んで、

さらにもっと絞り込んでいけば、

テンポ、リズムということになると思う。

単純に独奏曲を練習してるだけでは進歩できないのが、

実はこのテンポ、リズムということがいえる。


 時々アマチュアの方でものすごく難曲を弾かれる方がいる。

しかし、時としてテンポ感が技術力に、

合っていないと思う演奏に遭遇する。

そして結果はだいたいどこかで破綻してしまう・・・。

演奏する曲のテンポ感、リズム感が、

自分のものになっていないということだと思う。


 なぜ自分一人で演奏しているときは無難に弾けるのに、

改まると上手くいかないんだろう・・・、

と、思うときが少なからずあると思う。

そういう時に一番原因となるのがテンポ感とリズム感だといえる。

もちろん緊張してあがってることもあるが、

そういうときこそ一番重要になってくるのがテンポ感リズム感だと思う。

自分で練習してる時のテンポ感リズム感が改まった時に、

どのくらい正確に再現できるだろうか・・・。

実はここのところで上達してるかどうかが分かるということだと思う。

改まった時に自分の弾けるテンポが再現できるかどうか、

これはなかなか難しいことだと思う。

多くの場合録音してみると、

練習時のテンポ感と改まった時のテンポ感が、

一致しないことが多いのではないか・・・。

自分で一人で弾いてる時のテンポと、

改まった時のテンポをコントロールできてるのだろうか・・・。

ここのところは聞いていていつも疑問に思うところではある。


 アンサンブルというところでも同じことが言えるわけで、

なぜ練習では問題なく合わせられて、

何度弾いても破綻することなく演奏しきって終わるのに、

いざ改まって演奏するとバラバラになってしまうのだろうか・・・。

今年のアンサンブルの演奏を象徴していたと思う。

練習では特に問題なく皆で合わせて弾けてるのに、

本番なるとバラバラになってしまう・・・。

これこそ最大の謎と言えるのかもしれない。

この現象は謎でもなんでもなく、

しっかりとしたテンポ感を一人一人持っていないことの結果だと思う。

練習の時は全体の音が聞こえてきていて、

それに合わせていれば問題なく合わせていける。

しかし、いざ本番で改まると、

そうそう全部の音が聞こえるわけではなくなる。

そこから個人個人のそれぞれのテンポになってしまって、

結局、合って弾けているのかどうかも判別できなくなってしまう。

演奏しているその曲に対してのしっかりしたテンポ感リズム感がなければ、

合わせることは不可能に近い・・・。

アンサンブルをすることは、

テンポ感、リズム感を鍛えるのには、

上達には有効だと以前書いたことがあると思う。

しかし、ただ何となく参加していても、

あまり状態は変わらないかもしれない。

ただ漫然と参加して弾いてるだけでは、

上達という意味をそれほど大きくは持たせらないかもしれない。

参加するということの意味に、

テンポ、リズムをしっかり体でとりながら練習することが、

ソフト面での演奏するということを、

上達させていく重要な意味があると思う。

テンポ感、リズム感という目に見えないところでの上達には、

アンサンブルが一番有効だと思う。





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