譜面台の陰から





                        >第39回発表会後記<






 第39回目の発表会が終わって早一ヶ月あまり・・・。

夏休みもありなんとなくボケッとした雰囲気もありますが、

このへんで発表会を振り返ってみたいと思う。

全員の実際の演奏を聴き、

またビデオで振り返ってみて、

気が付いたことを描いてみたいと思う。

 まず全体的によかったと思うのは、

弾き直しがほぼゼロだったということがあると思う。

弾き直しをしないようにとは常に言っていることなので、

それがある程度徹底されていたことは、

結構大きなポイントだと思う。

それと姿勢がかなり決まって演奏できていたことも大きい。

姿勢についても結構注意しているので、

結構成果が上がったと思う。

姿勢は楽器を弾く上での基本中の基本なので、

良い姿勢で演奏できていたことには結構満足できた。

 
 一番注意して聴いていたのは、

テンポをどう取っていたかということだ。

これも以前に比べると多くの人が成功していたと思う。

ただテンポ取りがいまひとつという演奏もあった。

こういう舞台の上に立った時のテンポ取りの難しさ、

確かにそれは存在する。


 そもそもテンポというのは、

自分が弾けるテンポで弾かなければうまくいくわけがない。

ここが難しいところで、

ある程度の曲になるとCDやYou Tubuで聴くことができる。

だいたいはここに落とし穴がある。

そういうメディアにのったテンポというのは、

間違いなくほぼすべて早い。

しかし、初めて弾く曲であれば、

それがそのままその曲のテンポと思い込んでしまう。

その曲のテンポと思えば、

そのとおりに弾こうとするのが当然という気がする。

しかし、ここで何歩か下がってそのテンポを吟味してみれば、

それは第三者のテンポであって自分のテンポではまずありえない。

ようするに人のふんどしで相撲を取ろうとするようなものだ。

自前のふんどしでなければ居心地もいいはずもないし、

上手く自分の相撲もとれるわけがない。

ではなぜその他人のふんどしを自分に巻いてしまうのか・・・。

それはまず一番大きな原因が情報から入ってしまうことにあると思う。

弾く前に情報から入ってしまうというのは結構怖いことで、

耳に入ってきたテンポがその曲のテンポだと決めつけてしまう。

感覚的に覚えこんでしまうといった方がいい。

経験が少なければこの状態になるとそこから抜け出すのは難しい。

テンポを客観的に見ることが出来なければ、

そのテンポが速いのか遅いのかの判断も難しいと思う。

結果的に自前のテンポでは弾かずに、

耳から入ってきた他人のテンポで弾いてしまう結果になる。

これでうまくいく可能性はほぼゼロだ。

 今回上手く最後までミスもそれほどなく演奏しているというのは、

自前のテンポで弾いてる人ばかりだった。

では、どのように自前のテンポというのは決めていくのか・・・。


 こういう発表会で演奏するということは、

ある程度特別なことだと思う。

アマチュアであればそうそうない経験だと思う。

そういう時の曲決めというのは、

だいたいは今持っている実力より上の曲を選ぶ。

こちらもそういいう傾向で選ぶことがほとんどだ。

やはりここで一段というより、

二〜三段跳んで上達できる機会ととらえるからだが・・・。

実力より上の曲を弾くということは、

リスクも高くなるが技術的には何段か上げることができる。

そこが主催するこちらの狙いの一つになるということだろう。

ただここで気をつけなければいけないのが、

テンポをどうするか・・・。

まず考えるのは初めて弾く曲であるということ。

技術的には実力より上の曲であること。

初めてでしかもある程度レベルの高い曲であると、

読譜が結構大変なこと。

ここが一番重要なところで、

読譜して曲にするというのはなかなかの重労働。

ついメディアに曲がないか探すところだ。

さっきも書いたがここが落とし穴になる。

自分が読譜してメロディーをつなげる前に、

第三者のつなげたメロディーが耳から入ってきてしまう。

自分のテンポではさらさらないのだが、

入ってきた速さがすべてになってしまって、

自分のテンポを決める前に演奏テンポが決まってしまう。

ここにいざ本番の時に大きな落とし穴となる。

自分の部屋で弾いてる時は第三者のテンポでもなんとか弾けても、

舞台に立たされればそこは別世界というところだ。

あらゆる落とし穴が一斉に口を開けて待っている。

自分の演奏キャリア、その曲に対する実力。

ギターという楽器は、

メロディーと伴奏を同時に弾か萎えればならない楽器だ。

緊張状態の中で演奏するにはかなり難しい楽器だと思う。

そういう状態の中で最後までミスを最小限に抑えて、

弾ききるにはどうしたらいいかという問いかけになってくると思う。

そこで最大のポイントになるのが、

自前のテンポで弾いてるかどうかだ。

遅いか早いかはほとんど意味がない。

ある程度自分の実力より難しい曲を弾こうというときに、

テンポを遅いか早いかを言ってもなんの意味もない。

まず初めて弾く曲であれば、

自分のテンポでしっかり弾くことが大事だと思う。

初めて弾くテンポが遅かろうがそんなことは大した問題ではない。

同じ曲を繰り返し機会を見つけて演奏していけば、

テンポは速くなっていくものだ。

技術的に上がっていくと思う。

そもそもこういう機会というのは、

技術的に難しい曲を演奏するわけだから、

一回で結論を出さずに、

先を見て今の演奏を決めるべきだと思う。

繰り返し演奏していけば、

その時出来なかったことでも自然にできるようになっていくと思う。

ある程度のレベルになってきたら、

あまり短いスパンで自らの演奏を見ない方がいいと思う。

自分のテンポをしっかり見極めていくことが大事だと思う。

安易に情報を得る前にしっかりと読譜をして、

自分でしっかりメロディーを把握することを心がけることが大事だと思う。

演奏する曲をテンポが自前のテンポになっているかどうか、

次の機会には試してほしいと思う。





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